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X連鎖αサラセミア・精神遅滞症候群
(Alpha-Thalassemia X-Linked Mental Retardation Syndrome)

[ATRX Syndrome; X-Linked Mental Retardation Hypotonic Facies Syndrome; Alpha Thalassemia/Mental Retardation, X-Linked]

GeneReview 著者 :Roger E Stevenson , MD, FACMG.
日本語訳者 :和田敬仁(信州大学医学部社会予防医学講座遺伝医学分野)
GeneReview 最終更新日: 2005.6.14.日本語訳最終更新日: 2006.1.25.

原文 Alpha-Thalassemia X-Linked Mental Retardation Syndrome


要約

疾患の特徴

X連鎖αサラセミア・精神遅滞症候群(ATR-X)は特異的な頭蓋顔貌異常、外性器異常、筋緊張低下と精神遅滞を伴う重度の発達遅滞を特徴とする疾患である。頭骸顔貌異常は、小頭症、眼間乖離、小鼻、テント状の上口唇、めくれあがった下口唇、それに経過とともに粗野になる顔貌である。すべての患者は正常核型(46, XY)であるが、外性器異常は尿道下裂や停留睾丸から、一見正常女性外性器様の重度尿道下裂や不明瞭な外性器まで、その重症度の幅は広い。発達遅滞は乳児期より明らかであり、独立歩行や有意言語の獲得が不可能の症例もいる。

診断・検査

ATR-Xの診断は身体的特徴、精神遅滞、筋緊張低下、X連鎖劣性遺伝に一致する家族歴の組み合わせから診断される。ATRX遺伝子はATR-Xの唯一の責任遺伝子である。 ATRX 遺伝子の遺伝子診断は臨床的に可能であり、罹患者の90%で遺伝子変異が検出される。頻度は不明だが、新鮮な末梢血の1%Brilliant cresyl blue(BCB)染色により HbH 封入体が赤血球内に検出される(訳者注;日本人では患者の約80%において検出される)。罹患していない女性保因者は偏った X染色体不活化パターンをとるため、分子遺伝学的検査が出来ない、あるいは情報が得られない場合、リスクのある女性の保因者診断に、家族歴とともにこのX不活化状態が手がかりとなり得る。

臨床的マネジメント

栄養摂取不良に対しては、高カロリーミルクあるいは経管栄養が必要となるかもしれない。食物が拒絶される場合、罹患者は胃潰瘍などの消化管の問題がないかどうか評価されるべきであり、乳児期、小児期には定期的に体重を評価されるべきである。流涎過多は抗コリン剤、ボツリヌス毒素A型の唾液腺への注射、あるいは顎下腺管の手術による走行変更術によって、対処されることがある。患児は早期の医療的介入や特別教育プログラムで注意深く管理されるべきである。

遺伝カウンセリング

 ATR-XはX連鎖劣性遺伝形式をとる。罹患者は子を持つことはない。患者の母親が保因者の可能性と、患者での新生突然変異の可能性がある。患者において遺伝子変異が検出されれば、リスクのある女性の保因者診断が分子遺伝学的に可能である。不可能な場合、X染色体不活化の検索が保因者診断に役に立つ可能性がある。保因者女性は50%の確率で ATRX 遺伝子変異を次世代に伝える可能性がある。 ATRX 変異を受け継いだ子孫が男性なら罹患者となり、女性なら保因者となる。出生前診断は可能である。


診断

臨床診断

ATR-Xは顔貌、外性器、骨格、その他の身体異常から疑われる。臨床的に最も重要なことは発達遅滞であり、通常重度の精神遅滞である。

血液学的研究

HbHの証明

  • 罹患者 ATRX 遺伝子変異をもつ患者の約 90%がαサラセミアをもっている。赤血球の HbH 封入体は新鮮末梢血液の1% Brilliant Cresyl Blue (BCB)染色により証明される。通常、100,000個の赤血球で観察する。 HbH 封入体をもつ赤血球の割合は0.01%から30%である。 HbH 封入体は簡単に観察できることもあるが、少数の赤血球だけに、あるいは、検査を繰り返した後に見つかることもある。よって、 HbH 封入体がないからといって、ATR-Xを否定できない。

  • 保因者 HbH 封入体の出現頻度は低く、 25%程度の保因者で見いだされる。

ヘモグロビン電気泳動 HbH はヘモグロビン電気泳動で検出されるかもしれないが、この検査は敏感度が低く、多くの症例で見逃される可能性がある。

赤血球指数 患者の中には、小球性低色素性貧血を呈する者もあるが、多くの場合、 MCV, MCHなどは正常範囲である。

検査の適応

  • 診断検査
  • 保因者診断
  • 出生前診断

分子遺伝学的検査

GeneReviewsは,分子遺伝学的検査について,その検査が米国CLIAの承認を受けた研究機関もしくは米国以外の臨床研究機関によってGeneTests Laboratory Directoryに掲載されている場合に限り,臨床的に実施可能であるとする. GeneTestsは研究機関から提出された情報を検証しないし,研究機関の承認状態もしくは実施結果を保証しない.情報を検証するためには,医師は直接それぞれの研究機関と連絡をとらなければならない.―編集者注.

遺伝子 ATRX (染色体 Xq13)は、ATR-Xと関係する唯一の責任遺伝子である。

分子遺伝学的検査:臨床的に用いられている方法

  • 遺伝子のシークエンス zinc finger domainあるいはhelicase domeinnのシークエンスにより、既知の変異の90%が検出される。ゲノムDNAを用いたADD領域の検索(エクソン8,9,10)も行われている。40-50%(訳注:日本では60%)の患者ではこのADD領域に変異が見つかっている。
  • X染色体不活化の検査 X染色体不活化の検査はリスクのある女性の保因者診断に利用可能である。ATR-Xの保因者のほとんどは、skewed(偏りのある)X染色体不活化パターンを示す。

注:randomなX不活化を示す保因者の頻度は知られていないので、偽陽性や偽陰性の可能性がある。このパターンはATR-Xだけに特徴的な所見ではなく、すぐに診断に結びつくわけではないので、臨床所見や家族歴と合わせて判断しなければならない。

分子遺伝学的検査:研究的に行われている方法

遺伝子のシークエンス ATRX遺伝子は巨大なため(35エクソン、>300kbのゲノムDNA)全cDNAをシークエンスするのは実用的ではないが、研究レベルでは行われている。
(訳者注;日本でも行われている。)

表1 ATR-Xの診断に用いられる分子遺伝学的検査

検査方法
検出できる変異
変異の検出される割合
エクソン7,8,エクソン9の近位領域,ヘリカーゼドメインのシークエンス解析 特定部位のATRX塩基置換 90%
X染色体不活化の検査 不均衡X染色体不活化 大部分の女性保因者
cDNAのシークエンス解析 ATRXコード領域の塩基置換 >90%1
  1. ATR-Xの臨床診断がなされ,血液学的所見を伴う患者での推測検出率.

発端者に対する検査の進め方

BCBによる赤血球の染色によりHbH封入体を同定することが、診断に結びつく。これはATR-X患者の90%で認めるので、費用のかかる分子遺伝学的検査を行うための患者の選択のため、費用のかからないスクリーニング検査として用いることが出来る。あるいは、分子遺伝学的には変異が見つからないが、ATR-Xの臨床症状をもつ患者の診断の補助として、用いられることもある。

遺伝的に関連する疾患

ATRX 遺伝子変異は 非症候性X連鎖精神遅滞(XLMR)や痙性対麻痺を伴うXLMRの症例で検出されている。

ATRX 遺伝子変異は Juberg-Marsidi 症候群やSmith- Fineman -Myers 症候群の家系で同定されている。しかし、Juberg-Marsidi 症候群やSmith- Fineman -Myers 症候群のオリジナルの症例ではATRX遺伝子変異が見つかっていないので、これらの症候群とATR-Xとの関連は今のところ不明である。

臨床像

自然歴

ATR-Xの患者の研究から、幅広い臨床症状は明らかにされている。顔貌、外性器、発達遅滞は最重症の患者において顕著である。臨床経験が豊富になり、また遺伝子検査により診断される患者・家族が増加するに伴い、臨床症状のスペクトラムが広がることが期待され、特に軽症の患者が明らかになってきている。 Guerrini やYntema らによってこのことが明らかにされた。彼らは、それぞれの同一家系内に軽症、中等度、重症の精神遅滞の患者がいる症例を報告した。 Yntema により報告された家系の成人患者は、小児期の写真では顔貌の低緊張(facial hypotonia )を認めるが、非症候性X連鎖精神遅滞と考えられた。

小頭症、なであげたような前頭部の頭髪、眼間乖離、小さく鼻梁が低い三角鼻、テント状の上口唇、突き出てめくれあがった下口唇、それに開いた口は、顔貌異常の特徴の識別可能なパターンを形成している。耳介の異常、隙間の開いた歯、舌の突出は補助的な所見であり、後者の 2つは、特に乳幼児期の粗野な顔貌に追加される所見である。

外性器は多くの症例で異常である。異常は大抵軽度であり、第 1度の尿道下裂、停留睾丸、陰嚢の未発達などである。より重度の異常は、第2、3度の尿道下裂、小陰茎、不明瞭な外性器である。ATR-Xの患者の核型はすべて46,XYであるが、しばしば、精巣形成不全によるテストステロン産生不良と正常女性様の外性器を呈し、女性として育てられていた症例もある。ATR-Xにおける外性器異常の程度は広いが、その程度は同一家系内では同程度である。

低身長が典型例で見られるが、軽度の骨格異常(短指、斜指、先細りの指、関節拘縮、鳩胸、脊椎後彎、側彎、脊椎下部の陥凹、内反・外反足変形、扁平足)を伴うこともある。大奇形の頻度は高くはないが、口蓋裂や心奇形が報告されている。

重度発達遅滞、精神遅滞は最も重要な臨床症状である。発症時から、発達は全般的に著明に遅滞している。発語や歩行は学童後期に出現する。歩行獲得のない者や有意語の獲得がない者もいる。

筋緊張の低下はこの疾患の特徴であり、顔貌異常や発達遅滞の原因となっている。

αサラセミア 小球性低色素性貧血を認めることもあるが、多くの症例では赤血球の指数( RBC, Hb , Ht, MCV, MCHなど)は正常範囲である。 ATRX 遺伝子の変異は、 HbH 封入体のある患者でαグロビン遺伝子発現の低下に関わっていると考えられる。

遺伝子型と表現型との関係

遺伝子型と表現型との関係は確立していない。ヘテロ接合の女性が臨床症状を呈することはまれである。

浸透率

浸透率は男性では100%であり、変異は正常男性では見つかっていない。

命名法

Alpha-thalassemia X-linked mental retardation syndromeあるいはATRX syndromeがこの疾患に対して広く受け入れられている。

Carpente-Waziri, Holmes-Gang, and Chudley-Lowry 症候群はallericな疾患であり、それぞれ1家系で報告され、ATRX症候群に臨床的に似ている。よって、これらの症候群の名前を無理に使う必要はない。Juberg-MarsidiあるいはSmith-Fineman-Myers症候群はこれには当てはまらない。オリジナルのこの2つの症候群の家系ではATRX遺伝子変異は同定されておらず、これらの症候群とATRX症候群がallericな疾患かどうかは証明されていない。

頻度

頻度は不明である。150症例以上が遺伝子診断のため研究所に把握されているが、まだかなりの診断されていない症例がいると考えられる。人種や民族による差異は報告されていない。

(訳注:日本では現在までに約 50症例がATR-Xと診断されている。)

鑑別診断

本稿で扱われる疾患に対する遺伝学的検査の実施可能性に関する最新情報は,GeneTests Laboratory Directoryを参照のこと.―編集者注.

Coffin-Lowry症候群(CLS)CLSは男性の重度あるいは最重度の精神遅滞と、ヘテロ接合に持つ女性は正常から重度の精神遅滞を示す特徴をもつ。男性罹患者は年齢と共に、特量的な顔貌を示し、短く、柔らかい、肉付きのよい手を持ち、しばしば、著明な過伸展をしめす先細りの手指をもつ。低身長、小頭症、歯牙異常はよく見る所見である。小児発症刺激誘因性転倒発作(SIDES: childhood-onset stimulus-induced drop episodes) が患者の10-20%で認め、突然の触覚や聴覚刺激、あるいは興奮が契機となって、短時間の転倒を引き起こすが意識の減損はない。進行性の脊椎の後側彎や早期の死亡を認める。RSK遺伝子変異が原因であり、X連鎖性の遺伝型式である。

(訳者注: Smith's Recognizable Patterns of Human Malformation第4版のCoffin-Lowry症候群の写真の症例は誤りであり、第5版でATR-Xの症例として訂正された。)

ATR-16 16番染色体短腕遠位部の隣接遺伝子欠失を伴う症例でαサラセミアと精神遅滞を合併する。この欠失はαグロビン鎖をコードする16p13に cis に配置する2つのαグロビン遺伝子の欠失によりαサラセミアを呈する。ATR-16を引き起こす染色体欠失や組み替えは大きく、多様であり、ATR-16に認める特異的な臨床所見はない。このことは、表現型が一様であるATR-Xと対照的である。

αサラセミア 成人型ヘモグロビン (HbA : α2β2)のα鎖の産生低下により起こる。発達遅滞を伴い地中海に起源を持つ患者では、αグロビンの遺伝型を決定することが適切である。ATR-Xの患者の遺伝型は(αα/αα)であり、一方αサラセミアの患者では1つ(α-/αα)、2つ(α-/α-)あるいは3つ(--/αα)のαグロビン遺伝子の欠失がある。

マネジメント

疾患の程度を把握するための最初の診断時に評価すること

  1. 発達や痙攣の病歴をレビューする
  2. 幼児期、小児期の発育を評価する
  3. 顔貌、筋緊張、深部腱反射の評価を含めた診察
  4. 構造異常の有無のための心音の聴診
  5. 停留精巣やその他の異常の有無の評価のための外性器の診察
  6. 嚥下困難、胃食道逆流、頻回の嘔吐がないか、小児期早期の摂食状態の評価
  7. 聴力の評価
  8. 斜視、視力、構造異常の評価のための、眼科的診察
  9. HbH封入体確認のための、末梢血液のBCB染色

症状に対する治療

  1. 栄養摂取の不良に対しては、高カロリーの栄養剤あるいは経管栄養が必要となる。
  2. 食物の拒絶がある時は、胃潰瘍などの消化管の問題がないかどうかを評価する。
  3. 流涎による重大な問題がある時は、抗コリン剤、唾液腺へのボツリヌス毒素A型の注射、顎下腺管の外科的走行変更術が考慮される
  4. 胃食道逆流、頻回の尿路感染症、難聴、痙攣、痙性、重度の行動異常、奇形(口蓋裂、心奇形、停留精巣、外性器異常、尿道下裂など)に対しては、通常の治療を行う
  5. 早期の医療的介入や特別教育
  6. 貧血は、あったとしても、軽度であり、治療を必要とすることはまれである。

調査

幼児期、小児期は発育を定期的にフォローすべきである。
幼児期、小児期を通して、発達の進行を評価されるべきである。

試みられている治療

ClinicalTrials.govを参照のこと

遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

X連鎖劣性遺伝.

患者家族のリスク

発端者の両親

  • 同胞のリスク(再発危険率)は患者の母親が保因者か否かによる。
  • もし母親が保因者の場合、妊娠ごとに ATRX 変異を伝える可能性は 50%である。変異が伝えられた男性は患者となり、女性は保因者となる。すなわち、各妊娠において25%の確率で罹患者を持つことになる。
  • もし、患者以外に家族歴がなく、母親の X不活化状態がランダムであれば、母親が保因者である確率は1%以下である。ただし、X不活化がランダムな保因者の数は検討されていない。 
  • 胚細胞モザイクが報告されている。この場合、母親がリンパ球において患者と同じ変異が検出されなくても、同胞の再発罹患率は高くなる。

患者の同胞

  • 同胞のリスク(再発危険率)は患者の母親が保因者か否かによる。
  • もし母親が保因者の場合、妊娠ごとに ATRX 変異を伝える可能性は 50%である。変異が伝えられた男性は患者となり、女性は保因者となる。すなわち、各妊娠において25%の確率で罹患者を持つことになる。
  • もし、患者以外に家族歴がなく、母親の X不活化状態がランダムであれば、母親が保因者である確率は1%以下である。ただし、X不活化がランダムな保因者の数は検討されていない。 
  • 胚細胞モザイクが報告されている。この場合、母親がリンパ球において患者と同じ変異が検出されなくても、同胞の再発罹患率は高くなる。

患者の子孫

患者が子を持つことはない。

患者の他の家族

患者の母方の叔母とその子孫は保因者か罹患者である可能性がある。

保因者の検査

もし、遺伝子変異が同定されれば、リスクのある女性に対する保因者診断は可能である。

遺伝カウンセリングに関連した問題

家族計画 

遺伝的なリスク、保因者状態の診断、出生前診断の可能性につき討議するのは、妊娠前に行うのが適当である。

DNAバンキング

白血球から抽出した DNAを保存することである。分子遺伝学的診断には限界があるため、DNAバンキングを考慮することが望ましい。

出生前診断

ATR-Xのリスクのある妊娠では出生前診断は可能である。

高リスク

保因者と診断された母親の妊娠に対しては妊娠 16−18週に行われる羊水穿刺、あるいは10−12週に行われる絨毛採取から得られる細胞で胎児の性別を決定することが通常行われている。もし、胎児が46,XYならば、DNAを用いて、同じ遺伝子変異を持っているかどうか検索する。

中等度リスク

細胞モザイクは ATR-Xでも報告されている。白血球で ATRX 遺伝子に変異が同定されなかった母親も、次子が罹患している可能性はある。上述したような出生前診断はすべての男性胎児に行われるべきである。

着床前診断 罹患者の遺伝子変異が同定されている家族では、着床前診断は可能である。

(訳者注:出生前診断、着床前診断についての記載は、日本国内で必ずしも受け入れられていないと思われる。)


分子遺伝学

ATR-Xの分子遺伝学
Gene Symbol Chromosomal Locus Protein Name
ATRX Xq13 Transcriptional regulator ATRX

ATR-XのOMIM登録

300032         HELICASE 2, X-linked; XH2
301040          Alpha-Thalassemia/mental retardation syndrome, nondeltion type, X-linked; ATRX

ATR-Xのゲノムデータベース

Gene Synmbol Entrez Gene HGMD GeneCard GDB GenAtlas
ATRX 300032 136052 ATRX 136052 ATRX

正常多型

ATRX遺伝子は350kb以上におよび、35エクソンを持つ。

病的アレル多型

遺伝子変異はATRX遺伝子全体に散在するが、報告されている90%の変異はzinc finger domain (exon 7-9)に存在する。ミスセンス変異がフレームシフトやナンセンス変異よりも頻度が高い。欠失、挿入、ミスセンス、ナンセンス、スプライシング変異が見つかっている。

正常遺伝子産物
zinc finger domainは転写因子として働く、helicase domainは二重鎖DNAの開裂する転写過程で機能する。他のクロマチン関連蛋白と共に、ATRX蛋白はクロマチンリモデリングに於いて機能し、おそらくは、発達期の遺伝子発現抑制に働くと考えられている。

異常遺伝子産物

変異したATRX蛋白はαグロビン遺伝子の発現を抑制させ、サラセミアを引き起こす。転写あるいはクロマチン構造の破綻による遺伝子発現の抑制が、奇形や精神遅滞の原因になると考えられている。

訳者注)日本国内では、信州大学医学部社会予防医学講座 和田敬仁がATRX 遺伝子診断を行っている。
連絡先:
390-8621 長野県松本市旭3-1-1
Tel. 0263-37-2618, Fax. 0263-37-2619

E-mail: twada@shinshu-u.ac.jp

更新履歴

  1. 日本語訳者 :和田敬仁(信州大学医学部社会予防医学講座遺伝医学分野)
    GeneReview 最終更新日: 2003.4.15.日本語訳最終更新日: 2003.8.21
  2. 日本語訳者 :和田敬仁(信州大学医学部社会予防医学講座遺伝医学分野)
    GeneReview 最終更新日: 2005.6.14.日本語訳最終更新日: 2006.1.25.(in present)

原文 Alpha-Thalassemia X-Linked Mental Retardation Syndrome

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