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CHEK2関連がん易罹患性素因
(CHEK2-Related Cancer Predisposition)

Gene Reviews著者: helen Hanson, MD, Tuya Pal, MD, Marc Tischkowitz, MD, PhD, and Douglas Stewart, MD.
日本語訳者:櫻井晃洋(斗南病院ゲノム医療センター)  

GeneReviews最終更新日:2026.3.25 日本語訳最終更新日: 2026.8.27

原文: CHEK2-Related Cancer Predisposition


要約


疾患の特徴

CHEK2関連がん易罹患性素因は、主に女性の乳がんリスクの上昇によって特徴づけられる。程度は低いものの、前立腺がんリスクの上昇との関連も認められる。その他のがんとの関連は、十分に確立されていないか、あるいは相反する結果が出ている。CHEK2関連がん易罹患性素因を持つ人のがんリスクは、家族歴などの修飾因子によって大きく変動する可能性がある。

診断・検査

CHEK2関連がん易罹患性素因の診断は、分子遺伝学的検査によって発端者にCHEK2のヘテロ接合性生殖細胞系列病的バリアントを確認することで確定する。

臨床的マネジメント

症状の治療:
標準的ながん治療が推奨される。乳がんリスク低減のための対側乳房切除術は一般的には推奨されないが、状況によっては検討されうる。

経過観察:
女性の乳がんサーベイランスには、一般的に乳房自己検診の指導と症状の認識、40歳からの12か月ごとのマンモグラフィ、地域によって異なる乳房MRI検査が含まれる。男性の前立腺がんサーベイランスには、特に前立腺がんの家族歴が強い場合、40歳からの年1回の血清PSA検査が含まれる。

リスクのある血縁者の評価:
リスクのある成人女性および男性の血縁者に対する分子遺伝学的検査により、家系内の病的バリアントを持つ家族を特定することができ、それによってがん監視の強化から恩恵を受ける可能性がある。

遺伝カウンセリング

CHEK2関連がん易罹患性素因は常染色体顕性遺伝疾患であり、CHEK2病的バリアントを1コピー持つ人がこの疾患を発症する。CHEK2関連がん易罹患性素因を持つ人のほとんどは、ヘテロ接合性の病的バリアントを持っている。まれに、両アレル性の病的バリアントを持つ罹患者もいる。ヘテロ接合性の生殖細胞系列CHEK2病的バリアントを持つ人の大多数は、がんの診断を受けたことがあるかどうかにかかわらず、親から病的バリアントを受け継いでいる。ヘテロ接合性の生殖細胞系列CHEK2病的バリアントを持つ人の子は、50%の確率で病的バリアントを受け継ぐ。両アレル性の生殖細胞系列CHEK2病的バリアントを持つ人の子は全員、病的バリアントを受け継ぐ。罹患した家族でCHEK2病的バリアントが特定されると、リスクのある血縁者に対する予測検査(発症前診断)が可能になる。


診断

示唆される所見

以下の臨床所見、家族歴、および/または検査所見を有する発端者においては、CHEK2関連がん易罹患性素因を疑うべきである。

臨床所見

家族歴は、常染色体顕性遺伝と一致する場合がある(例えば、複数世代にわたって男性と女性が罹患しているなど)。しかし、CHEK2は浸透率が中程度であるため、家族内にがんを発症している人がいないことはよくあり、典型的な常染色体顕性遺伝のパターンは観察されないことが多い。

検査結果 腫瘍組織検査でCHEK2病的バリアントが同定された場合、生殖細胞系列病的バリアントの存在を示す可能性がある。注:単一の腫瘍センターで治療を受けた患者から採取した45,472個のhypermutated(高頻度変異)タイプではない固形悪性腫瘍の解析では、フィルタリングされたCHEK2バリアントの大部分(89.9%、187/208)が真の生殖細胞系列由来であった。全体解析に含めるためにフィルタリングされたバリアントは、(1)マイナーアレル頻度(MAF)が1%未満、(2)腫瘍で観察されたバリアントアレル頻度(VAF)が30%超(一塩基変異)または20%超(小さな挿入/欠失)、および(3)タンパク質切断を引き起こすと予測され、かつ/または病原性/病原性の可能性が高いと分類されたものであった[ Kuzbari et al 2023 ]。

診断の確定

CHEK2関連がん易罹患性素因の診断は、分子遺伝学的検査によって発端者にCHEK2のヘテロ接合性生殖細胞系列病的(または病的の可能性が高い)バリアントを確認することで確定する(表1参照)。
注記: (1) 米国臨床遺伝・ゲノミクス学会(ACMG)および分子病理学会(AMP)のバリアント解釈ガイドラインによれば、臨床現場において「病的バリアント」と「病的の可能性が高いバリアント」は同義であり、いずれも診断的意義があるとみなされ、臨床的判断に用いることができる。本GeneReviewにおける「病的バリアント」への言及は、病的の可能性が高いバリアントを含むものと理解される。(2)意義不明のヘテロ接合型CHEK2バリアントが同定されたとしても、それだけでは診断を確定または除外することはできない。(3)過去に病的/病的の可能性が高いと報告されたCHEK2バリアント、特にc.470T>C (p.Ile157Thr)およびc.1283C>T (p.Ser428Phe)は、現在では浸透率の低いバリアントであり、単独では臨床的に臨床対応可能なリスクレベルとは関連しないと広く考えられている。さらに、3番目のバリアントであるc.1427C>T(p.Thr476Met)も、リスクをわずかに上昇させるだけであることが示唆されている[ Bychkovsky et al 2022 ](「遺伝型と表現型の相関」を参照)。生殖細胞系列がん感受性バリアントの標準化された報告に関するENIGMAグループのガイドラインは、2倍以上のリスクと関連するバリアントのみが臨床的に報告されるべきであると示唆している[ Spurdle et al 2019 ]。(4)白血球で同定されるCHEK2病的バリアントの低レベルモザイクは、加齢、細胞毒性型治療、基礎にある造血器悪性腫瘍または前悪性腫瘍、あるいは循環腫瘍細胞による意義不明のクローン性造血(CHIP)に関連する後天的な病的バリアントである可能性が最も高い[ Slavin et al 2019 ]。ヘテロ接合性を示すアレル頻度範囲のバリアントも獲得される可能性があり、病的バリアントが生殖細胞系列由来か体細胞由来かを判断するためのさまざまな組織のさらなる検査は、臨床評価に基づいて行うべきである[ Sutcliffe et al 2022 ]。
分子遺伝学的検査の手法には、多遺伝子パネル検査や単一遺伝子検査などが含まれる。

多遺伝子パネルの概要については、こちらをクリック。遺伝学的検査を依頼する臨床医向けのより詳細な情報については、こちらを参照のこと。

表1 CHEK2関連がん易罹患性素因における分子遺伝学的検査
遺伝子 1 方法 病的バリアント検出率 2 
CHEK2 シーケンス解析3 89%~93% 4
遺伝子特異的欠失/重複解析5 報告なし4,6
  1. 染色体上の位置とタンパク質については、表A「遺伝子とデータベース」を参照のこと。
  2. この遺伝子で検出されたバリアントに関する情報は、「分子遺伝学」の項を参照のこと。
  3. シーケンス解析では、良性、良性の可能性が高い、意義不明、病的の可能性が高い、または病的のバリアントを検出する。バリアントには、ミスセンスバリアント、ナンセンスバリアント、スプライス部位バリアント、および小さな遺伝子内欠失/挿入が含まれる場合がある。通常、エクソンまたは遺伝子全体の欠失/重複は検出されない。シーケンス解析結果の解釈において考慮すべき事項については、こちらをクリック.。
  4. Truty et al [2019], LaDuca et al [2020], Agiannitopoulos et al [2023]、およびHuman Gene Mutation Databaseの購読ベースのプロフェッショナルビューから得られたデータ [Stenson et al 2020]
  5. 遺伝子標的型欠失/重複解析は、遺伝子内の欠失または重複を検出する。使用される方法には、定量的PCR、ロングレンジPCR、多重連結依存性プローブ増幅法(MLPA)、単一エクソンの欠失または重複を検出するように設計された遺伝子標的型マイクロアレイなど、さまざまな技術が含まれる。エクソームおよびゲノムシーケンスは、切断点の検出またはリード深度を使用して欠失/重複を検出できる場合があるが、感度は遺伝子標的型欠失/重複解析よりも低い場合がある。
  6. CHEK2の病的バリアントのうち、遺伝子内欠失または重複の割合は、調査対象の集団によって異なる(特定の集団でよく見られるより大きな欠失については表5を参照)。

臨床的特徴

CHEK2関連がん易罹患性素因は、主に女性乳がん[ Dorling et al 2021、Hu et al 2021 ]および対側乳がん[ Morra et al 2023、Yadav et al 2023 ]のリスク上昇が特徴である。程度は低いものの、前立腺がんとの関連も認められる[ Dong et al 2003、Pritchard et al 2016 ]。他のがんとの関連は、十分に確立されていないか、あるいは矛盾している。がんのリスクは、家族歴などの修飾因子によって大きく異なる可能性がある。この疾患に関連する表現型の特徴に関する以下の記載は、これらの報告に基づいている。

表2 CHEK2ヘテロ接合体におけるがんリスクと一般集団のがんリスクとの比較
がん種 一般人口における80歳までの発症リスク CHEK2ヘテロ接合体の発症リスク コメント
乳がん ~10% 20%~30%1 修飾因子に依存する
対側乳がん(CBC) 5年以内に2%  ~13%2 閉経前の女性
~4%2 閉経後の女性
(注:対側乳がんの推定リスクには、対側乳がんのリスクを低下させる可能性が高いアロマターゼ阻害剤による治療を受けた女性も含まれている。)
男性乳がん 0.1%3 最大1%4
前立腺がん ~12%4 約2倍のリスク 生涯累積リスクは報告されていない
  1. Dorling et al [2021]
  2. Yadav et al [2023]
  3. Liang et al [2018]
  4. 英国がん研究センターの「がんリスク統計」(2025年5月19日アクセス)を参照。

乳がん 大規模な症例対照研究では、生殖細胞系列CHEK2病的バリアントc.1100delC(p.Thr367MetfsTer15)のヘテロ接合体の女性において乳がんリスクの上昇が報告されており、オッズ比(OR)は2.66(95%信頼区間:2.27-3.11)である。他のCHEK2短縮型病的バリアントについてはORが2.13(95%信頼区間:1.60-2.84)と報告されており、生殖細胞系列CHEK2病的バリアント陽性者全体でのORは2.47(95%信頼区間:2.02-3.05)と報告されている[ Dorling et al 2021、Hu et al 2021 ]。

CHEK2ヘテロ接合体における乳がんリスク上昇の程度は、60歳以上の女性(OR=2.22、95%信頼区間:1.72-2.86)と比較して、40歳未満の女性(OR=4.54、95%信頼区間:2.87-7.17)で最も高い[ Dorling et al 2021 ]。
一般集団で発生する乳がんと同様に、CHEK2ヘテロ接合体で発生する乳がんは、エストロゲン受容体(ER)陽性例が、ER陰性またはトリプルネガティブのサブタイプよりも高い[ Dorling et al 2021、Hu et al 2021 ]。ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性乳がんとの関連性も、いくつかの研究で示唆されている[ Agaoglu et al 2024、de Baumont et al 2024 ]。他の乳がん素因遺伝子に関連する乳がんとは異なり、CHEK2ヘテロ接合体で発生する乳がんは、通常相同組換え修復欠損(HRD)のゲノムの特徴を示さない。

CHEK2の状況ががんの転帰に及ぼす影響については、さまざまな報告がある。いくつかの研究では、CHEK2関連がん易罹患性素因陽性者の転帰に違いは見られなかった[ Kilpivaara et al 2005、Huzarski et al 2014 ]が、いくつかの研究では、補助化学療法やホルモン療法の投与の有無にかかわらず、CHEK2 c.1100delC (p.Thr367MetfsTer15) ヘテロ接合体では、有意に転帰不良(全生存率[OS]、乳がん特異的生存率、対側乳がんの発生率)と報告されている[ de Bock et al 2004、Meyer et al 2007、Schmidt et al 2007、Weischer et al 2012 ]。CHEK2ヘテロ接合体53人を含む、40歳未満で乳がんと診断された2,344人を対象とした研究では、他の既知の予後因子で調整した場合でも、CHEK2ヘテロ接合体ではCHEK2病的バリアント陰性例と比較して全生存率と無遠隔転移生存率が有意に不良であった(OSハザード比[HR]=1.58、95%信頼区間:1.01-2.48、P=0.043)[Greville-Heygate et al 2020]。CHEK2ヘテロ接合体のがんのほとんどはER陽性のがんで、一般的に予後が良好であることを考えると、これらの観察結果をさらに調査するための追加研究が必要である。

対側乳がん(CBC) CHEK2ヘテロ接合体ではCBCのリスク上昇が報告されている。2つの大規模研究、Breast Cancer Association Consortium(BCAC)のBreast Cancer Risk after Diagnostic Gene Sequencing(BRIDGES)とCancer Risk Estimates Related to Susceptibility(CARRIERS)では、同様のリスクが示された:HR=2.25(95%信頼区間:1.55-3.27)およびHR=2.0(95%信頼区間:1.0-4.2)[ Morra et al 2023、Yadav et al 2023 ]。CARRIERS研究では、CBCのリスクは、若年で最初の乳がんを発症した女性で最も高いと報告されている。閉経前の女性におけるCBCの10年間の累積発生率は13%と推定されたのに対し、閉経後の女性ではCBCの10年間の累積発生率は4%であった。
これまでに実施された少数の研究では、放射線治療がCHEK2ヘテロ接合体のCBCリスクに影響を与えることは示されていない[ Reiner et al 2020 ]。

男性乳がん CHEK2ヘテロ接合体では男性乳がんのリスク上昇が報告されているが、発表された研究は小規模な単一の国での研究に限られており、主にc.1100delC(p.Thr367MetfsTer15)ヘテロ接合体に焦点を当てている[ Hallamies et al 2017、Schreurs et al 2024 ]。26の研究を含むメタ解析では、CHEK2ヘテロ接合体における男性乳がんのリスク上昇が報告されている(OR=3.13、95%信頼区間: 1.94-5.07)[ Liang et al 2018 ]。CHEK2ヘテロ接合体男性は、散発性男性乳がんや他の遺伝子の病的バリアントによる男性乳がんよりも若い年齢で発症する [Pritzlaff et al 2017]。男性CHEK2ヘテロ接合体に発生する乳がんについて、明確な組織病理学的関連性は報告されていない。

前立腺がん CHEK2 病的バリアントは、前立腺がんのリスクを約2倍上昇させる。生涯累積リスクの数値は公表されていない。いくつかの研究で、転移性前立腺がんの男性において生殖細胞系列CHEK2病的バリアント陽性者の比率が高いことが確認されており、CHEK2ヘテロ接合性がより高い悪性度に関連していることが示唆されている[ Pritchard et al 2016、Wu et al 2018 ]。

CHEK2病的バリアントとの関連が確認されていないその他のがん CHEK2は多くのがんと関連しており、低~中リスクの多発性がん素因遺伝子として作用する可能性が提唱されている。特に大腸がん、腎がん、甲状腺乳頭がん、肉腫、膵臓がん、胃がん、黒色腫、子宮内膜がん、膀胱がん、精巣がん、血液悪性腫瘍など、他の多くのがんはCHEK2ヘテロ接合体で増加することが示唆されているが、臨床的に対応可能なリスクとの明確な関連を確認するには、さらなるデータが必要である [Hanson et al 2023]。注: 初期の研究では、CHEK2のバリアントがLi-Fraumeni 症候群と関連していることが示唆された。しかし、その後の研究はこれを明確に否定し、現在ではCHEK2のバリアントはLi-Fraumeni 症候群の原因とはならないことが広く認められている。

ホモ接合体/複合ヘテロ接合体

CHEK2 c.1100delC (p.Thr367MetfsTer15)のホモ接合体である個体は、片側性および両側性の乳がんのリスクが高いことが報告されている [ Rainville et al 2020、Hinić et al 2024、Schreurs et al 2024 ]。多遺伝子パネル検査によって特定された個体を対象としたある研究では、6,473人のCHEK2ヘテロ接合体と31人の両アレル性CHEK2病的バリアントを持つ個体が含まれていたが、両アレル性CHEK2病的バリアントを持つ個体は、CHEK2ヘテロ接合体と比較して、浸潤性乳がんのリスクが有意に高く(OR=8.69、95%信頼区間:3.69-20.47)、50歳までに診断される可能性が高く、複数の原発性乳がんを持つ可能性が高いことがわかった。報告されたがんリスクの上昇は、乳がんに関してのみ統計的に有意であった[ Bychkovsky et al 2022 ]。
少数の症例報告では、CHEK2の両アレル性病的バリアントを有する個体における、成人早期発症および/または多発性原発がんを伴うがん素因症候群、ならびに腫瘍組織で同定された体細胞染色体不安定性および複数の細胞遺伝学的異常について記述されている。ある報告では、c.499G>A(p.Gly167Arg)のホモ接合体である血縁関係のない2人について記述されており、1人は多発性原発腫瘍、もう1人は早期発症白血病であった[ Paperna et al 2020 ]。別の報告では、c.793-1G>Aのホモ接合体である個体と、c.1100delC(p.Thr367MetfsTer15)およびc.1312G>T(p.Asp438Tyr)の複合ヘテロ接合体である個体について報告されており、いずれも多発性原発腫瘍を有していた[ Bottillo et al 2023 ]。
ERN GENTURISネットワークを通じて確認された、両アレル性CHEK2病的バリアントを有する個体を対象とした最大規模の研究(n=294)では、両アレル性機能喪失バリアントと早期発症乳がんおよび複数の乳がんやその他のがんとの関連性が確認された[ Hinić et al 2024 ]。両アレル性CHEK2機能喪失バリアントを有する女性の半数以上が少なくとも2つのがんを発症し、そのうち約半数が乳がん以外のがんを発症した。また、単アレル性バリアント保有者と比較して、大腸がんのリスクが高いことも示唆された。

遺伝型と表現型の相関
CHEK2ヘテロ接合体におけるミスセンスバリアントのがんリスク推定値は、いくつかの研究においてCHEK2短縮型バリアントの推定値よりも低いことが報告されている[ Sutcliffe et al 2020、Dorling et al 2021、Dorling et al 2022 ]。BRIDGES の大規模研究では、まれなミスセンスバリアント(集団頻度が <0.001 の変異として定義)のORは<1.5(OR=1.42、95%信頼区間:1.28-1.58、P= 2.5×10−11 ) と推定され、遺伝子内の変異位置との相関は見られなかったが、短縮型バリアントのORは2.66 (95%信頼区間: 2.27-3.11)であった [ Dorling et al 2021 ]。
しかし、がんリスクの研究には浸透率の低いミスセンスバリアントが含まれるため、遺伝型と表現型の相関関係を決定することは困難であり、ミスセンスバリアント全体のリスク評価に影響を与える。従来病的と考えられていたミスセンスバリアントの中には、現在では浸透率の低いバリアントとして認識され、単独では臨床的に対応可能なレベルに達しないものもある。最も注目すべき例は、c.470T>C (p.Ile157Thr)とc.1283C>T (p.Ser428Phe)である。乳がん患者32,247人と非罹患女性32,544人を対象とした大規模な集団の症例対照研究では、これら2つのバリアントを個別に解析した場合のORは1.5を下回った(p.Ile157Thr:OR=1.30、95%信頼区間:1.06-1.59、P=0.01、p.Ser428Phe:OR=1.26、95%信頼区間:0.76-2.12、P=0.37)[ Hu et al 2021 ]。
短縮型バリアントとミスセンスバリアントに関連するがんリスクをさらに比較するための、6,000個のCHEK2病的バリアントを対象とした民間検査機関主体の研究では、c.470T>C(p.Ile157Thr)とc.1283C>T(p.Ser428Phe)の両方を病的ミスセンスバリアントから除外して、短縮型病的バリアント(P <0.001)とミスセンス病的バリアント(P <0.001)を別々に評価した場合、統計的に有意な差はないと報告した[ Mundt et al 2023 ]。同様の結果は、これら2つのバリアントに対する多遺伝子パネル検査の他の後方視的解析でも報告されている[ Bychkovsky et al 2022 ]。したがって、これら2つのバリアントは、単一の原因遺伝子ではなく、ポリジェニックリスクスコア内の他の一般的な乳がんリスク一塩基多型と同等とみなすのが適切と考えられる[ Ivanov et al 2022、Mundt et al 2023 ]。

浸透率

CHEK2の病的バリアントに関連する乳がんやその他のがんの浸透率は通常20~30%の範囲であるが、修飾因子を考慮すると、個人の生涯リスクはそれよりも低くなる場合も高くなる場合もある。CHEK2は、中程度のリスクまたは中程度の浸透率のがん素因遺伝子と考えられる(関連するがんリスクについては表2を参照)。

遺伝学的修飾因子

CHEK2とATMの両方に病的バリアントを持つ個体(低リスクバリアントを除く)は、どちらか一方の遺伝子に単一の病的バリアントを持つ個体に比べて、乳がんの診断年齢が若いことがわかった。この有意差は主に乳がんの発症年齢によるものである。これらの知見を検証するには、さらなる研究が必要である[ Agaoglu et al 2024 ]。
病的/病的の可能性が高い (P/LP) および低リスクのCHEK2バリアントのヘテロ接合体である3,783 人を対象としたコホート研究では、c.470T>C (p.Ile157Thr)、c.1283C>T (p.Ser428Phe)、およびc.1427C>T (p.Thr476Met)などの低リスクバリアントがP/LP バリアントと組み合わさって見つかった場合、より浸透率の高いがん表現型と関連していることが示された。これには、がんの発生率の上昇、複数の原発がん、および両側性乳がんが含まれる。この潜在的な修飾効果のさらなる調査が必要である [ Bychkovsky et al 2025 ]。

有病率

CHEK2の病的バリアント c.1100delC(p.Thr367MetfsTer15)は北欧の集団で広く見られ、オランダでの頻度は1%と報告されている[ Schreurs et al 2024 ]。

CHEK2の低リスクバリアントc.470T>C(p.Ile157Thr)、c.1283C>T(p.Ser428Phe)、c.1427C>T(p.Thr476Met)は、集団によって頻度が異なり、フィンランド人以外のヨーロッパ人では0.2%、アシュケナージ系ユダヤ人では1.1%、より広範なヨーロッパ人集団では0.05%であることが観察されている[ Bychkovsky et al 2025 ]。
他のいくつかのCHEK2病的バリアントは、特定の集団でより一般的であることが報告されている(表5を参照)。


遺伝学的に関連する疾患

CHEK2関連がん易罹患性素因以外で、CHEK2の生殖細胞系列病的バリアントと関連している表現型は知られていない。
白血球におけるCHEK2病的バリアントの低レベル体細胞モザイクはよく見られる所見であり、加齢、細胞障害性治療、基礎にある造血器悪性腫瘍または前悪性腫瘍、あるいは循環腫瘍細胞による意義不明のクローン性造血(CHIP)に関連する後天的な病的バリアントであることを示唆している[ Slavin et al 2019 ]。非造血組織には存在せず、補助評価によってCHIPまたは造血細胞におけるクローン増殖の結果であることが確認されたCHEK2病的バリアントを有する個体は、CHEK2関連のがん素因を持たない。

多くの種類の散発性腫瘍には、CHEK2の体細胞病的バリアントが含まれている。個人または家族の臨床管理への影響を考慮して、CHEK2病的バリアントが生殖細胞系列由来か体細胞性かを判断するための補助評価が実施される可能性があり、培養皮膚線維芽細胞などの非造血組織に対するCHEK2分子遺伝学的検査が含まれる場合がある[ Sutcliffe et al 2022 ]。


鑑別診断

症候群性乳がん 表3に記載されているがん感受性症候群を有する個体は、乳がんリスクが高く、CHEK2関連がん易罹患性素因に関連する特徴と重複する特徴(例:エストロゲン受容体(ER)陽性乳がん、中等度の家族歴)を有する場合がある。家族にみられる腫瘍の種類や発症年齢のみに基づいて、CHEK2関連がん易罹患性素因をこれらの他のがん感受性症候群から区別することはできない。すべての患者において、疾患を完全に鑑別するためには分子遺伝学的検査が必要である。

表3  CHEK2関連がん易罹患性素因の鑑別診断で考慮すべきがん感受性遺伝子
遺伝子 がん感受性症候群 遺伝形式 関連がん/特徴
乳がんの高浸透率(高リスク)遺伝子
ATM ATM関連がん易罹患性素因 AD 特定のATM病的バリアント(例:c.7271T>G)は高浸透率乳がんに関連しており、その他のほとんどのヘテロ接合性ATM病的バリアントは中浸透性乳がんに関連している。
BRCA1
BRCA2
BRCA1およびBRCA2関連遺伝性乳がん卵巣がん AD
  • 乳がんおよび卵巣がん(主に若年発症)
  • トリプルネガティブ乳がん(BRCA1)と関連
CDH1 遺伝性びまん性胃がん AD
  • 乳がん(小葉がん)
  • びまん性胃がん
PALB2 PALB2関連がん感受性(OMIM 620442) AD
  • 高浸透率乳がん1
  • 卵巣がん
  • 男性乳がん
  • 膵臓がん
PTEN PTEN過誤腫症候群 AD
  • 乳がん
  • その他のがん:甲状腺がん、腎細胞がん、子宮内膜がん、大腸がん
  • 多発性過誤腫、巨頭症、毛包上皮腫、乳頭状丘疹
  • 罹患者は通常20代後半までに発症する。
STK11 Peutz-Jeghers症候群 AD
  • 乳がん
  • その他のがん:消化器がん、卵巣がん(主にSCTAT)、子宮頸がん(悪性腺腫)、膵臓がん、精巣セルトリ細胞がん
  • 消化管ポリープ、粘膜皮膚色素沈着、指の色素沈着斑
TP53 Li-Fraumeni症候群 AD
  • 乳がん(多くは閉経前)
  • その他のがん:軟部組織肉腫、骨肉腫、脳腫瘍、副腎皮質がん、白血病
  • 早期発症および多発性原発がん
乳がんに対する中程度の浸透率(中等度リスク)遺伝子
ATM ATM関連がん易罹患性素因 AD
  • 特定のATM病的バリアント、特にc.7271T>Gは、浸透率の高い乳がんに関連しており、その他のほとんどのヘテロ接合性ATM病的バリアントは、浸透率が中程度の乳がんに関連している。
  • 膵臓がんや前立腺がんなど、他の種類の腫瘍のリスクも高まる
BARD1 BARD1関連がん感受性(OMIM 114480) AD 乳がん
RAD51C RAD51C関連がん感受性(OMIM 613399) AD
  • 卵巣がん
  • 中等度浸透率乳がん(特にER/PR陰性乳がん)
RAD51D RAD51D関連がん感受性(OMIM 614291) AD
  • 卵巣がん
  • 中等度浸透率乳がん(特にER/PR陰性乳がん)

AD =常染色体顕性遺伝、SCTAT = 環状細管を伴う性索腫瘍

1.Antoniou et al [2014]、Yang et al [2020]

臨床的マネジメント

CHEK2ヘテロ接合体の臨床的マネジメントに関する推奨事項が、国際ワーキンググループによって発表されている[ Hanson et al 2023 ]。この論文では、可能な限り、特に乳房サーベイランスに関する推奨事項については、個別のリスク推定値に基づいて推奨事項を策定し、国別のガイドラインに従うべきと助言している。

初診後の評価

CHEK2に生殖細胞系列病的バリアントを持つ個人は、分子遺伝学的検査結果の開示時に、サーベイランスおよび初期症状の予防に関する選択肢についてカウンセリングを受ける。

症状の治療

現時点では、CHEK2関連がん易罹患性素因に基づいた特定のがん治療を推奨するのに十分な証拠はない。標準的ながん治療が推奨される。

乳がん 乳がん患者の場合、リスク低減目的の対側乳房切除術は一般的には推奨されないが、状況によっては検討されうる。ヘテロ接合型CHEK2病的バリアント陽性者の乳がんの大部分がエストロゲン受容体(ER)陽性であることを考慮すれば、これは個人および家族のリスク要因や、生涯にわたる対側乳がん(CBC)の残存リスクなど、CanRiskで評価される項目に加え、原発性乳がんの診断による競合リスクや内分泌療法による潜在的なリスク低減など、CanRiskでは評価されない要因も考慮した個別リスク評価の後にのみ実施されるべきである。

原発症状の予防

現在までに、ヘテロ接合型CHEK2病的バリアントを有する個人に対する両側リスク低減乳房切除術の有効性に関するデータはない。ほとんどの国際ガイドラインは、罹患した個人との共同意思決定アプローチを用いた家族歴を含む個別リスク評価の文脈でこの手術を検討することを支持している[ Hanson et al 2023、National Comprehensive Cancer Network 2025 ]。

経過観察

既存の症状や新たな症状の出現を監視するために、すべてのヘテロ接合型CHEK2病的バリアント陽性者に対して表4にまとめられた評価が推奨される。

表4 CHEK2関連がん易罹患性素因:推奨されるサーベイランス
系統/懸案事項 評価 コメント
乳がん(女性)1 乳房自己検診トレーニング CHEK2病的バリアントの同定時
マンモグラフィ 40歳から12ヶ月ごとに
乳房MRI2
  • NCCNガイドライン(米国):濃厚な家族歴、その他のリスク因子(例:年齢、乳腺密度)、および患者本人の希望がある場合、30~35歳から毎年検査を検討する。3
  • 英国: CanRiskによる生涯乳がんリスクが40%以上であることを示す個人リスク評価に基づき4、30歳から毎年、特定の10年間の年齢関連リスクと併せて検討する。5
前立腺がん(男性) 血清PSA NCCN:特に前立腺がんの濃厚な家族歴(例:罹患した親族が2人以上、発症が早い、または転移性疾患)がある場合は、40歳から毎年、共同意思決定プロセスを用いて検査を検討する。3
その他のがん 現在までに、他のがんに対する強化されたサーベイランスに関する推奨事項はない。注:NCCNは、CHEK2関連がん易罹患性素因を有する人に対する大腸がんの一般集団スクリーニングを推奨している。3

NCCN = 全米総合がんネットワーク;PSA = 前立腺特異抗原

  1. CHEK2の低リスクバリアント、すなわちc.470T>C(p.Ile157Thr)、c.1283C>T(p.Ser428Phe)、またはc.1427C>T(p.Thr476Met)を有する個人については、これらのバリアントが乳がんに及ぼす臨床的影響が不確実であることから、家族歴に基づいて乳房サーベイランスの推奨事項を個別化する必要がある[ Hernandez et al 2024、National Comprehensive Cancer Network 2025 ]。
  2. 乳房MRIの推奨事項は地域によって異なる。集団ベースの研究のデータに基づくモデリング分析では、CHEK2ヘテロ接合体において、マンモグラフィのみの年間検査と、異なる年齢から開始する乳房MRIを併用したマンモグラフィを比較評価した[ Lowry et al 2022 ]。著者らは、30~35歳から乳房MRIを毎年開始することで、CHEK2ヘテロ接合体における乳がん死亡率を55%以上減少させることができることを示した。
  3. 全米総合がんネットワーク [2025]
  4. CHEK2関連がん易罹患性素因は一般的に中等度の乳がんリスクと関連付けられているが、そのリスクはCHEK2遺伝型、家族歴、ホルモンおよび生活習慣因子、および非CHEK2遺伝的背景によって影響を受ける可能性がある。したがって、CHEK2ヘテロ接合体の平均生涯乳がんリスクは約20%~30%ではあるが、リスクは大きく変動する可能性があり、最も一般的には15%~40%の範囲内にある[ Hanson et al 2023 ]。
  5. 英国国民保健サービス(NHS)の「乳がん検診:非常にリスクの高い女性のサーベイランスプロトコル」(2025年5月19日アクセス)および国立医療技術評価機構(NICE)の「家族性乳がん:乳がんの家族歴のある人の分類、ケア、および乳がんと関連リスクの管理」(2025年5月19日アクセス)を参照のこと。

リスクのある血縁者の評価

がんになりやすいCHEK2生殖細胞系列病的バリアントが家系内で特定されると、リスクのある成人血縁者の分子遺伝学的検査により、家系内の病的バリアントを有する血縁者を特定でき、表4に示されているようながん監視により恩恵を受ける可能性がある。
遺伝カウンセリングを目的とした、リスクのある血縁者の検査に関する問題については、「遺伝カウンセリング」の項を参照のこと。

研究中の治療法

現在進行中の多数の研究が、CHEK2関連乳がんおよび前立腺がんの新たな治療法を探索している。これらの研究の大部分は、ポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ(PARP)阻害剤に関するものである。しかしながら現時点では、CHEK2関連がん易罹患性素因の特定に基づいた特定のがん治療を推奨するのに十分なエビデンスは得られていない。
臨床試験に関する情報にアクセスするには、米国ではClinicalTrials.gov 、欧州ではEU臨床試験登録簿を検索のこと。


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」 -編集者注

遺伝形式

CHEK2関連がん易罹患性素因は常染色体顕性遺伝疾患である(すなわちCHEK2の病的バリアントを1コピー持つ人がこの疾患を発症する)。

CHEK2関連がん易罹患性素因を持つ人のほとんどは、ヘテロ接合型のCHEK2 病的バリアントを有している。まれに、CHEK2関連がん易罹患性素因を持つ人が両アレル性の病的バリアントを有する場合があある(「臨床的特徴、ホモ接合体/複合ヘテロ接合体」を参照)。

家族構成員のリスク

発端者の両親

発端者の同胞 

発端者の兄弟姉妹のリスクは、発端者の両親の遺伝的状態によって異なる。

発端者の子

その他の家族構成員

その他の家族へのリスクは、発端者の両親の状態によって異なる。親がCHEK2病的バリアントを持っている場合、その親の家族もリスクを有する可能性がある。

関連する遺伝カウンセリング上の諸事項

早期診断および治療を目的とした、リスクのある血縁者の評価に関する情報については、「臨床的マネジメント、リスクのある血縁者の評価」を参照のこと。

家族計画

遺伝性がんリスク評価とカウンセリング 分子遺伝学的検査の有無にかかわらず、がんリスク評価によってリスクの高い個人を特定することによる医学的、心理社会的、倫理的な影響に関する包括的な説明については、「がん遺伝学的リスク評価とカウンセリング・医療従事者向け」( PDQ® 、米国国立がん研究所の一部)を参照のこと。

出生前検査および着床前遺伝学的検査

罹患している血縁者でCHEK2病的バリアントが特定されれば、出生前および着床前遺伝学的検査の実施が可能となる。

出生前および着床前遺伝学的検査の利用に関しては、医療従事者間や家族内でも見解の相違があるかもしれない。ほとんどの医療従事者は、出生前検査および着床前遺伝子検査の利用を個人の判断に委ねるべきであると考えているが、これらの問題について話し合うことは有益であろう。詳細については、成人発症疾患における出生前検査に関する全米遺伝カウンセラー協会の見解表明、 Wafik et al [2023] 、およびがん感受性遺伝子の出生前検査に関する英国がん遺伝学グループの臨床診療ガイドラインを参照のこと。


関連情報

GeneReviewsスタッフは、この疾患を持つ患者および家族に役立つ以下の疾患特異的な支援団体/上部支援団体/登録を選択した。GeneReviewsは、他の組織によって提供される情報には責任をもたない。選択基準における情報については、ここをクリック。


分子遺伝学

分子遺伝学とOMIMの表の情報はGeneReviewsの他の場所の情報とは異なるかもしれない。表は、より最新の情報を含むことがある。

表A.CHEK2関連がん易罹患性素因:遺伝子とデータベース
遺伝子 染色体座位 タンパク質 座位特異的データベース HGMD ClinVar

CHEK2

22q12.1

セリン/スレオニンプロテインキナーゼChk2

CHEK2データベース

CHEK2

CHEK2

データは、以下の標準的な参考文献から収集されている:遺伝子はHGNC、染色体座はOMIM、タンパク質はUniProt。リンクが掲載されているデータベース(Locus Specific、HGMD、ClinVar)の説明については、こちらをクリック。

表B.CHEK2関連がん易罹患性素因に関するOMIMのエントリ(OMIMで全件を表示)
604373 チェックポイントキナーゼ2; CHEK2
609265 腫瘍素因症候群4型;TPDS4

分子病態

CHEK2は、DNA損傷に応答して活性化することで細胞周期制御に関与する重要なエフェクタータンパク質キナーゼをコードしており、特にATM-CHK2-p53 DNA損傷応答経路における役割を通じて機能する[ Matsuoka et al 1998 ]。

疾患発症のメカニズム 機能喪失

CHEK2に特化した検査上の技術的考慮事項 当初病的として分類されたCHEK2バリアントのうち、特にc.470T>C (p.Ile157Thr)およびc.1283C>T (p.Ser428Phe)は、現在では浸透率が低い (低リスク) バリアントであり、単独では臨床的に対応可能なリスクレベルとは関連付けられないと広く認識されている。3 番目のバリアントであるc.1427C>T (p.Thr476Met)も、リスクはより低いことが示唆されている [ Bychkovsky et al 2022 ]。
アレル頻度が低い(例えば、50%を大幅に下回る)CHEK2 病的バリアントの同定は、モザイク現象、意義不明のクローン性造血(CHIP)、造血器悪性腫瘍または前悪性腫瘍、あるいは循環腫瘍細胞を示唆する可能性がある[ Slavin et al 2019、Sutcliffe et al 2022 ]。生殖細胞系列または接合子形成後早期のCHEK2モザイク現象を有する人は、CHEK2関連がんのリスクが高いが、CHIPを有する人はそうではない。

CHEK2のシーケンス解析は、使用する手法によっては、5つ以上の偽遺伝子の存在によって複雑になる可能性がある。

表5 注意すべきCHEK2病的バリアント
参照配列 DNA塩基の変化 予測されるタンパク質変化 コメント [参考]
NM_007194​.4 c.319+2T>A -- フィンランド人集団における一般的な病的バリアント[ Nurmi et al 2019 ]
NM_007194​.4
NP_009125​.1
c.409C>T p.Arg137Ter 中国人集団における一般的な病的バリアント [ Liu et al 2011 ]
c.417C>A p.Tyr139Ter
c.1111C>T p.His371Tyr
NM_007194.4 c.444+1G>A -- ヨーロッパの人口に共通する病的バリアント。ポーランドの創始者バリアント[ Cybulski et al 2007、Siołek et al 2015、Leedom et al 2016 ]
NM_007194.4
NP_009125​.1
c.470T>C p.Ile157Thr 北欧集団における一般的なバリアント [ Kaufman et al 2009、McInerney et al 2010 ];「遺伝型と表現型の相関」を参照
c.499G>A p.Gly167Arg 「臨床的特徴、ホモ接合体/複合ヘテロ接合体」を参照。
c.707T>C p.Leu236Pro ヒスパニック系集団における一般的な病的バリアント[ Cybulski et al 2007、Leedom et al 2016 ]
NM_007194​.4 c.793-1G>A -- 「臨床的特徴、ホモ接合体/複合ヘテロ接合体」を参照。
NM_007194​.4
NP_009125​.1
c.1100delC p.Thr367MetfsTer15 北欧の人口に多く見られ、オランダでのアレル頻度は1%である[ Schreurs et al 2024 ]。
c.1283C>T p.Ser428Phe アシュケナージ系ユダヤ人集団における一般的な病的バリアント[ Leedom et al 2016 ];「遺伝型と表現型の相関」を参照
c.1312G>T p.Asp438Tyr 「臨床的特徴、ホモ接合体/複合ヘテロ接合体」を参照。
c.1427C>T p.Thr476Met 「分子遺伝学」を参照。他のCHEK2病的バリアントよりもがんリスク上昇は小さい[ Bychkovsky et al 2022 ]
NG_008150​.2 エクソン9-10欠失 -- ヨーロッパ/スラブ系集団に共通するバリアント [ Cybulski et al 2007、Leedom et al 2016 ]
エクソン2-3の6,160 bp欠失 1 -- ギリシャ人集団における一般的な病的バリアント [ Apostolou et al 2018 ]

エクソン6 の7,566 bp欠失 1

--

表に記載されているバリアントは著者らから提供されたものである。GeneReviewsスタッフは、これらのバリアントの分類について独自に検証を行っていない。
GeneReviewsは、ヒトゲノム変異学会(varnomen​.hgvs.org)の標準的な命名規則に従っている。命名法に関する説明については、「クイックリファレンス」を参照のこと。

  1. 現在の命名規則に準拠しない命名

更新履歴:

  1. Gene Reviews著者: helen Hanson, MD, Tuya Pal, MD, Marc Tischkowitz, MD, PhD, and Douglas Stewart, MD.
    日本語訳者:櫻井晃洋(斗南病院ゲノム医療センター)
      GeneReviews最終更新日:2026.3.25 日本語訳最終更新日: 2026.8.27[in present]

原文: CHEK2-Related Cancer Predisposition

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