小頭症を伴う下顎顔面異骨症
(Mandibulofacial Dysostosis with Microcephaly)

[Synonym: Mandibulofacial Dysostosis, Guion-Almeida Type (MFDGA), EFTUD2-Related Mandibulofacial Dysostosis with Microcephaly (Guion-Almeida Type)]

Gene Reviews著者: JMatthew Lines, MD, Taila Hartley, MSc, Stella K MacDonald, BSc, and Kym M Boycott, PhD, MD.
日本語訳者:佐藤康守(たい矯正歯科)、櫻井晃洋(札幌医科大学医学部遺伝医学)

GeneReviews最終更新日:2023.4.6.  日本語訳最終更新日: 2023.11.11.

原文: Mandibulofacial Dysostosis with Microcephaly


要約


疾患の特徴

小頭症を伴う下顎顔面異骨症(MFDM)は、頰骨と下顎骨の低形成、小頭症(先天性、ないし出生後の発症)、知的障害(軽度、中等度、あるいは重度)、外耳奇形、難聴(ふつうは伝音性)を特徴とする疾患である。これに加え、口蓋裂、後鼻孔閉鎖、頰骨弓の裂(これは頭蓋のCTで確認される)、顔面非対称といった頭蓋顔面奇形が伴うこともある。その他の比較的多く(罹患者の25%-35%に)みられる所見としては、心奇形、拇指の奇形、食道閉鎖/気管食道瘻、低身長、脊椎奇形、癲癇などがある。

診断・検査

発端者におけるMFDMの診断は、特徴的な臨床症候を有することに加え、遺伝学的検査でEFTUD2の病的バリアントのヘテロ接合が確認されることをもって確定する。

臨床的マネジメント

症状に対する治療:
頭蓋顔面症候に対する個別的治療は、口腔顎顔面外科、形成外科、耳鼻咽喉科、歯科/矯正歯科、作業療法/言語治療などの多職種チームの管理下で行うようにする。分娩の段階で、児に後鼻孔閉鎖や下顎低形成に起因する気道障害がみられることがあり、初期の安定化を図るため、挿管ないし気管切開が必要になることがある。食道閉鎖/気管食道瘻、心奇形、腎奇形、拇指奇形については、通常のやり方で治療が行われる。低身長については、それを予期した形での対応がとられることになる。難聴に対しては個別的対応がとられ、具体的には従来型の補聴器、骨固定型補聴器、人工内耳などの使用が考えられる。できるだけ良好な発達が獲得されるよう、必要に応じ、早期教育・治療計画が立てられることになる。

サーベイランス :
成長評価を年に1度、発達評価を定期的に行う。また、必要に応じ、睡眠時無呼吸や癲癇に関する評価を行う。

遺伝カウンセリング

MFDMは常染色体顕性遺伝疾患である。現在までにMFDMの診断が確定している罹患者の大多数は、EFTUD2に生じたde novoの病的バリアントに起因するものと推定されている。ただ一部には、原因となった病的バリアントを、軽症の表現型を有する片親から継承した例もみられる。発端者で同定された病的バリアントを発端者の片親も有していたならば、受胎の段階で発端者の同胞の有するリスクは50%となる。原因となった家系内に存在するEFTUD2の病的バリアントが同定済の場合は、出生前検査や着床前遺伝学的検査を行うことが可能となる。


診断

本疾患を示唆する所見

下顎顔面異骨症(頰骨や顎骨の低形成といった特徴を有する第一・第二鰓弓の発生異常疾患)を有することに加えて、以下に示す症候の1つ以上を有する例については、小頭症を伴う下顎顔面異骨症(MFDM)を疑う必要がある。

これは、原発性(先天性;出生時すでにみられるもの)であることもあれば、続発性(出生後発症型)であることもある。

これは、軽度、中等度、重度のいずれの場合もありうる。

具体的には、小耳症(Ⅰ度からⅢ度)、上部耳輪や対耳輪の欠損、耳前部副耳、外耳道閉鎖/狭窄など。耳垂の後縁と下縁が直角を成す(いわゆる「squared-off形」)ことがある。

これはふつう伝音性である。

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図1:MFDMにおける外耳症候の現れ方の幅

小耳症の程度はさまざまで、しばしば耳前部副耳や外耳道閉鎖/狭窄を伴う。上部耳輪が比較的欠損しやすい。耳垂の後端と下端は直角を成すことがあり(例えば、下段右端)、これがみられる場合は、本疾患を示唆するものとなる。

診断の確定

発端者におけるMFDMの診断は、特徴的な臨床症候を有することに加え、遺伝学的検査でEFTUD2の病的バリアント(pathogenicとlikely pathogenicの両方を含む)のヘテロ接合が確認されることをもって確定する(表1参照)。
注:(1)アメリカ臨床遺伝ゲノム学会(ACMG)/分子病理学会(AMP)のバリアントの解釈に関するガイドラインによると、「pathogenic」のバリアントと「likely pathogenic」のバリアントとは臨床の場では同義であり、ともに診断に供しうるものであると同時に、臨床的な意思決定に使用しうるものとされている[Richardsら2015]。本セクションで「病的バリアント」と言うとき、それは、あらゆるlikely pathogenicのバリアントまでを包含するものと理解されたい。
(2)EFTUD2にヘテロ接合性の意義不明バリアントが同定された場合、それは、本疾患の診断を確定するものでも否定するものでもない。

分子遺伝学的検査のアプローチとしては、表現型に応じ、遺伝子標的型検査(単一遺伝子検査,マルチ遺伝子パネル)と網羅的ゲノム検査(エクソームシーケンシング,エクソームアレイ,ゲノムシーケンシング)を組み合わせるやり方が考えられる。

遺伝子標的型検査については、どの遺伝子の関与が考えられるか、臨床医の側であらかじめ目星をつけておく必要があるが、ゲノム検査の場合、その必要はない。MFDMは多様な臨床的表現型の幅を示すため、非常に特徴的な臨床症候を複数有する例については、遺伝子標的型検査(「方法1」参照)で診断がつく可能性が高く、一方、臨床症候が非典型的ないし非特異的で他の遺伝性症候群と症候が重なる場合には、網羅的ゲノム検査(「方法2」参照)で診断がつく可能性が高い。

方法1

表現型や検査所見からMFDMが疑われる場合には、分子遺伝学的検査として、単一遺伝子検査もしくはマルチ遺伝子パネルが選択されることになる。

最初に、遺伝子内の小欠失/挿入や、ミスセンス・ナンセンス・スプライス部位バリアントを検出するためのEFTUD2の配列解析を行う。
注:使用する配列解析の手法によっては、1エクソン・複数エクソン・1遺伝子全体といったサイズの欠失/挿入が検出されない場合がある。したがって、配列解析でバリアントが検出されない場合、次のステップとして、エクソン単位あるいは1遺伝子全体の欠失/重複を検出するための遺伝子標的型欠失/重複解析を行うことになる。

現況の表現型と直接関係のない遺伝子の意義不明バリアントや病的バリアントの検出を抑えつつ、疾患の遺伝学的原因の特定に至る可能性が最も高いと考えられるのは、EFTUD2その他の関連遺伝子(「鑑別診断」の項を参照)を含むマルチ遺伝子パネルである。
注:(1)パネルに含められる遺伝子の内容、ならびに個々の遺伝子について行う検査の診断上の感度については、検査機関によってばらつきがみられ、また、経時的に変更されていく可能性がある。
(2)マルチ遺伝子パネルによっては、このGeneReviewで取り上げている状況と無関係な遺伝子が含まれることがある。
(3)検査機関によっては、パネルの内容が、その機関の定めた定型のパネルであったり、表現型ごとに定めたものの中で臨床医の指定した遺伝子を含む定型のエクソーム解析であったりすることがある。
(4)ある1つのパネルに対して適用される手法には、配列解析、欠失/重複解析、ないしその他の非配列ベースの検査などがある。本疾患については、欠失/重複解析を含むマルチ遺伝子パネルが推奨される(表1参照)。
マルチ遺伝子パネル検査の基礎的情報についてはここをクリック。
遺伝学的検査をオーダーする臨床医に対する、より詳細な情報についてはここをクリック。

方法2

表現型だけでは類似の頭蓋顔面症候を有するその他多くの遺伝性疾患と区別がつかない、あるいは、表現型が典型的なものでないためMFDMを検討しにくいといった場合であれば、網羅的ゲノム検査(この場合、臨床医の側で原因遺伝子の目星をつけておく必要はない)が最良の選択肢となる。エクソームシーケンシングが広く用いられているが、ゲノムシーケンシングを使用することも可能である。

エクソームシーケンシングで診断がつかない場合は、臨床的に利用可能なようであれば配列解析で検出できないエクソン単位の欠失や重複を検出するためのその他の手法も検討対象となりうる(表1参照)。
網羅的ゲノム検査の基礎的情報についてはここをクリック。

ゲノム検査をオーダーする臨床医に対する、より詳細な情報についてはここをクリック。

表1:小頭症を伴う下顎顔面異骨症で用いられる分子遺伝学的検査

遺伝子1 手法 その手法で病的バリアント2が検出される発端者の割合
EFTUD2 配列解析3 93%4
遺伝子標的型欠失/重複解析5 7%4
  1. 染色体上の座位ならびにタンパク質に関しては、表A「遺伝子とデータベース」を参照。
  2. この遺伝子で検出されているアレルバリアントの情報については、「分子遺伝学」の項を参照のこと。
  3. 配列解析を行うことで、benign、likely benign、意義不明、likely pathogenic、pathogenicといったバリアントが検出される。バリアントの種類としては、遺伝子内の小さな欠失/挿入、ミスセンス・ナンセンス・スプライス部位バリアントなどがあるが、通常、エクソン単位あるいは遺伝子全体の欠失/重複については検出されない。 配列解析の結果の解釈に際して留意すべき事項についてはこちらをクリック。
  4. Gordonら[2012],Linesら[2012],Needら[2012],Luquettiら[2013],Voigtら[2013],Lehalleら[2014],Demlら[2015],Gandomiら[2015],Sarkarら[2015],Smigielら[2015],Huangら[2016],Vincentら[2016],Bickら[2017],Matsuoら[2017],McDermottら[2017],Rengasamy Venugopalanら[2017],Williamsら[2017],Paderovaら[2018],Yuら[2018],Lacourら[2019],Silvaら[2019],Wuら[2019]
  5. 遺伝子標的型欠失/重複解析では、遺伝子内の欠失や重複が検出される。
    1. 具体的手法としては、定量的PCR、ロングレンジPCR、MLPA法、あるいは単一エクソンの欠失/重複の検出を目的に設計された遺伝子標的型マイクロアレイなど、さまざまなものがある。

臨床的特徴

臨床像

小頭症を伴う下顎顔面異骨症(MFDM)は、頭蓋顔面骨格奇形、小頭症、発達遅滞/知的障害、外耳や聴力の異常、時として頭蓋外の奇形(食道閉鎖,先天性心疾患,拇指奇形)、低身長を呈する多発奇形症候群である。

現在までに、EFTUD2の病的バリアントが126例で同定されている[Gordonら2012,Linesら2012,Needら2012,Luquettiら2013,Voigtら2013,Lehalleら2014,Demlら2015,Gandomiら2015,Sarkarら2015,Smigielら2015,Huangら2016,Vincentら2016,Bickら2017,Matsuoら2017,McDermottら2017,Rengasamy Venugopalanら2017,Williamsら2017,Paderovaら2018,Yuら2018,Lacourら2019,Silvaら2019,Wuら2019]。以下、これらの報告に基づき、本疾患の表現型について述べる。

表2:小頭症を伴う下顎顔面異骨症:代表的症候の出現頻度

症候 その症候を有する罹患者の割合 コメント
顔面構造の異常 頰骨低形成 92%  
小下顎症/下顎低形成 93%  
口蓋裂 43%  
後鼻孔閉鎖 30%  
顔面非対称 58%  
小頭症 87% 頭囲が-2SD以下のもの
発達遅滞/知的障害 97% 重症度は多様である(軽度から重度まで)。
重大な合併症(例えば新生児期の気道障害や心奇形)が発達に影響する可能性あり。
外耳奇形と難聴 小耳症/外耳異形成 97%  
外耳道閉鎖/狭窄 68%  
耳前部副耳 50%  
難聴 83%  
他の症候 心奇形 35% たいていは心房中隔欠損や心室中隔欠損
拇指奇形 34% 近位付着が多くみられ、少ないながら軸前性多指症や拇指低形成もみられる。
食道閉鎖/気管食道瘻 33%  
低身長 30%  
脊椎奇形 28% 脊柱側彎/後彎,半椎、頸椎分節異常など。
てんかん 26%  

下顎顔面異骨症
下顎顔面異骨症は、頰骨や顎骨に低形成が現れることが特徴である。
MFDMに伴う症候として、小下顎症/下顎低形成、口蓋裂、後鼻孔異常などがある。
MFDMにおける口蓋裂は、Robin sequenceの形で現れ、口唇裂を伴わない正中線上の骨欠損が特徴である。粘膜下口蓋裂の報告もみられる。後鼻孔閉鎖はふつう骨性で、片側性のことも両側性のこともある。後鼻孔狭窄も多くみられる。
頰骨弓の裂は、評価(手法としては頭部CTの3次元再構成が最適)がなされた19例中10例に確認されている。

特徴的形態異常(図2)
幼児期には、他の下顎顔面異骨症や先端顔面異骨症とはっきり異なる特徴的形態異常がみられるようになる(「鑑別診断」の項を参照)。前述の頰骨や顎骨の低形成、小頭症、特徴的な耳の奇形に加え、目立つ前頭隆起、眉間の突出、目立つ鼻堤と丸い鼻尖を伴う広い鼻梁、大きな口、下口唇の翻転、(しばしば)顔面非対称がみられることがある。

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図2:MFDMでみられる特徴的頭蓋顔面症候

具体的には、小下顎症、頰骨低形成、目立つ鼻堤を伴う相対的に高い鼻根、下口唇の翻転、(しばしば)顔面非対称などがみられる。特徴的な外耳奇形は、実質的にすべての罹患者でみられるが、これについては、図1に、より詳細に示した。形態的特徴は幼児期に最もわかりやすい形で現れるが、成人期になっても十分それと認識可能である。

小頭症

小頭症は、報告された罹患者の約87%にみられる(n=33;中央値-3.5SD;範囲-2SDから-6.5SD)[Huangら2016]。MFDMの頭の成長曲線が公表されている[Huangら2016]。中には、はっきりした形で頭の「追いつき」成長を示す罹患者もみられ、小児期にみられた小頭症が、成人期には正常な頭囲を獲得するに至るようなことがある。頭囲が正常範囲内にあるにもかかわらず知的障害を有していた例が、複数報告されている[Luquettiら2013,Lehalleら2014]。

発達遅滞/知的障害

発達遅滞/知的障害は、ほぼ全例でみられる。データが確認可能な30例では、知的障害の程度は、「軽度」が40%近く、「中等度」が50%近く、「重度」が10%近くで報告されている[Gordonら2012,Linesら2012,Luquettiら2013,Voigtら2013]。

患児は歩行可能ではあるが、運動発達は遅延を示し、歩き始めの中央値は26ヵ月(n=38;範囲13-60ヵ月)である[Huangら2016]。

言葉をもつ例について言うと、報告されている初語の中央値は27ヵ月(n=32;範囲12ヵ月-5.6歳)であるが、中には成人期に至ってなお言語発達がみられない罹患者もみられる[Huangら2016]。難聴や口蓋裂があることで、言語技能の評価が正確に行えていない可能性も考えられる。

現在に至るまで、長期的にみたMFDM罹患者の神経心理学的転帰に関する詳細な研究や横断研究は行われていない。今のところ、診断が確定している成人罹患者の数は多くないものの、その発達に関するデータは大きな幅を示し、一部に有給雇用を得て半独立の生計を営む例がある[Huangら2016]一方で、言語をもたず、生活全般にわたって大規模な支援を要するような例もみられる[著者らの未公表データ]

耳の奇形と難聴

外耳奇形は、実質上、全例でみられる。典型的なもの(図2参照)としては、小耳症(Ⅰ度からⅢ度)、上部耳輪や対耳輪の欠損、耳前部副耳、外耳道閉鎖/狭窄などがある。耳垂の後縁と下縁が直角を成す(いわゆる「squared-off形」)ことがある。

中に、耳の構造(耳小骨や半規管)の欠損や奇形を示す例がみられる。これについては、側頭骨のCTでの評価が最適である[Gordonら2012,Luquettiら2013,Voigtら2013]。

難聴には伝音性・感音性・混合性とあるが、MFDMでみられる難聴はふつう伝音性である(60%近く)。その原因は、中耳にある耳小骨の奇形や欠損、外耳道閉鎖、もしくはその両方であることが多い。

その他の比較的多くみられる所見

心奇形は罹患者の35%にみられる。血行力学的に問題にならない程度の心房中隔欠損や心室中隔欠損が最も多いものの、Fallot四徴、動脈管開存、大動脈弓異常(例えば、縮窄)の報告もみられる[Needら2012,Lehalleら2014]。

拇指奇形(近位付着,重複拇指,拇指低形成)が罹患者の約35%にみられる。

EA/TEFが罹患者の約35%にみられる。EA/TEFはふつうC型(最も多くみられるタイプ)、すなわち上部食道嚢が盲端となり、下部食道嚢が異常な形で気管とつながるもの(遠位気管食道瘻)である。EA/TEFに伴う形で喉頭気管奇形(気管軟化症,後部喉頭気管食道裂)がみられることがある。EA/TEFは、羊水過多、腹部の低エコー輝度がみられないといったことをもとに出生前の段階で疑われる場合もあれば、原因不明の呼吸窮迫、あるいは経鼻胃管の挿入がうまくいかないといったことで新生児期に疑われる場合もある。

罹患者の30%に低身長がみられる。MFDMの身長曲線が公表されている[Huangら2016]。

脊椎奇形としては、脊柱側彎、脊柱後彎、半椎、頸椎分節異常などがある。

罹患者の26%にてんかんがみられる。ただ、てんかんのタイプに関する詳細な臨床データの報告はみられない。Matsuoら[2017]は、反復性の発作を示す1例で、脳波にて右前頭野から時折スパイク発射がみられたことを報告している。
その他の奇形(出現頻度の低いもの)

脳のMRIのデータを示した報告は限られているものの、大多数の罹患者については、小頭症の問題を除き、脳に構造的異常はみられない。稀ながら報告のあるCNS奇形としては、脳回の減少、脳萎縮、小脳・橋の低形成、嗅球無形成、脱出脳症(これは1例のみ)などがある[Linesら2012,Lehalleら2014,Huangら2016,Matsuoら2017,Lacourら2019,Silvaら2019]。

腎奇形としては、片側の腎無発生、膀胱尿管逆流、腎盂尿管移行部閉塞などがある。

停留精巣、涙器の異常、表皮類皮嚢胞が、それぞれ1例ないし数例で報告されている[Linesら2012,Luquettiら2013,Lehalleら2014]。

遺伝型-表現型相関

EFTUD2に関しては、これまで遺伝型-表現型相関の存在は確認されていない。
ただ、EFTUD2ならびに隣接遺伝子を跨ぐ微小欠失を有する罹患者については、MFDM以外の症候、あるいは、より重度の知的障害を有することが考えられる[Linesら2012,Gandomiら2015]。

浸透率

MFDMは高い浸透率を示すが、表現度の幅は広い。罹患者によっては、臨床で察知できないほど軽度の症候にとどまる例もみられる。例えば、モザイクではなく、知的障害のない2人の母親に、それぞれ2人の罹患児が生まれた例がある。この2人の母親の有していた症候は、1例では頰骨弓の裂と顔面非対称[Voigtら2013]、もう1例では軽度の顔面非対称と耳前部副耳[McDermottら2017]に過ぎなかったという。

疾患名について

「小頭症を伴う下顎顔面異骨症」という用語は、報告者に因んだ「下顎顔面異骨症,Guion-Almeida型」と同じものである[Guion-Almeidaら2009]。
MFDMを下顎顔面異骨症の1つではなく、先端顔面異骨症の1つとして分類することを提唱する向きもある[Voigtら2013]。その主たる理由は、先端顔面異骨症では四肢奇形が存在するのに対し、下顎顔面異骨症ではそれがみられないという、臨床的な違い(病態生理学的な違いではない)に基礎を置くものである。
2023年改訂の骨系統疾患国際分類[Ungerら2023]において、MFDMには、「EFTUD2関連小頭症を伴う下顎顔面異骨症(Guion-Almeida型)」の名が与えられ、「頭蓋顔面異骨症グループ」に分類されている。

発生頻度

MFDMの発生頻度は、今のところ確定していない。EFTUD2の変異に起因して生じた例として、現在までに126例が報告されている(表2、ならびに「臨床像」の項で引用した文献を参照のこと)。


遺伝学的関連疾患

EFTUD2の生殖細胞系列の病的バリアントに起因して生じるものとしては、このGeneReviewで述べたもの以外の表現型は知られていない。


鑑別診断

下顎顔面異骨症

表3:小頭症を伴う下顎顔面異骨症との鑑別診断において検討を要する遺伝子

遺伝子 鑑別対象疾患 遺伝形式 MFDMと重なる臨床症候 MFDMと異なる臨床症候

CHD7 1

CHARGE症候群
(「CHD7疾患」のGeneReviewを参照)

AD

小頭症,耳の奇形,後鼻孔閉鎖,気管食道瘻,先天性心疾患

CHARGE症候群では、眼のコロボーマやMondini型奇形がみられるが、MFDMではみられない。

DHODH

Miller先端顔面異骨症

AR

軸後性四肢欠損ないしその他の頭蓋外奇形を伴う下顎顔面異骨症

ふつうMiller先端顔面異骨症では頭囲や知能に異常はみられない。

POLR1C
POLR1D
TCOF1

Treacher Collins症候群(TCS)

AD
AR

・下顎顔面異骨症(MFDMでみられる下顎顔面異骨症に類似することあり)
・第1第2鰓弓由来の構造物に生じる奇形
・知的障害(小頭症を伴うことはない)はあまりみられないものの、一部に知的障害を伴う例あり2
・下眼瞼の裂、睫毛欠損、涙器奇形のみられることあり。

  • TCSでは心奇形や食道奇形はみられない。
  • TCSでは知能や頭囲はふつう平均レベルにある。
  • TCSと異なり、MFDMでは必ずしも眼瞼裂が常に斜下するわけではない。

RPL5
RPL11
RPS10
RPS17
RPS19
RPS24
RPS26 3

Diamond-Blackfan貧血(DBA)

AD
(XL4)

1/3近くの罹患者に下顎顔面異骨症類似の頭蓋顔面奇形ないし口蓋裂,拇指奇形,心奇形,成長障害がみられる。

DBAでは中等度から重度の貧血がみられる。

SF3B4

Nager先端顔面異骨症(OMIM 154400)

AD

下顎顔面異骨症に加えて、軸前性四肢(ふつうは上肢)欠損ないし頭蓋外奇形がみられる。

Nager先端顔面異骨症では、頭囲や知能はふつう正常。

AD=常染色体顕性;AR=常染色体潜性;XL=X連鎖性

  1. CHD7に病的バリアントが検出されるということは、CHARGE症候群とイコールというわけではない。CHD7の病的バリアントのヘテロ接合が示す表現型のスペクトラムは、CHARGE症候群だけでなく、CHARGE症候群の表現型を構成するサブセットとしての表現型をも包含するものである。
  2. 知的障害(小頭症なし)を伴う可能性があるのは、以下のいずれかの場合である。
    (a)新生児期に気道障害の既往がある。
    (b)TCOF1と隣接遺伝子を跨ぐ領域の微小欠失がある[Vincentら2016]。
  3. ここにはDiamond-Blackfan貧血(DBA)の原因遺伝子として最も多くみられる遺伝子を挙げたが、DBAを引き起こすことが知られている遺伝子の数は20以上に及ぶ(「Diamond-Blackfan貧血」のGeneReviewを参照)。
  4. DBAは、そのほとんどが常染色体顕性遺伝を示すものの、GATA1ならびにTSR2関連のDBAはX連鎖性の遺伝形式をとる(GATA1TSR2も、DBAの原因遺伝子としてそれほど一般的なものではないため、この表には挙げていない)。

頭蓋顔面萎縮症
頭蓋顔面萎縮症(craniofacial microsomia;CFM)は、眼-耳-脊椎(OAV)症候群やGoldenhar症候群(OMIM 164210)をはじめとするいくつかの表現型を包含する第一第二鰓弓奇形のスペクトラムである。CFMのほとんどは孤発例(家系内で1人だけの発生)で、その原因は不明である。再発リスクは、経験的な数字があるのみである。
CFMは、耳前部副耳、小耳症、外耳道閉鎖、難聴、顔面非対称など、いくつかの大きな症候について、小頭症を伴う下顎顔面異骨症(MFDM)と共通する部分がある。このうち特に注目すべきは顔面非対称で、CFM罹患者で約65%、MFDMで58%と、かなり高率に出現する。
両疾患の口腔顔面裂の現れ方には違いがみられる。MFDMで現れるのは、通常、正中部に出現する口蓋裂のみであるが、CFMでは口腔側方部の裂を含むあらゆるタイプの裂が出現する。両疾患とも、さまざまな頭蓋外奇形を伴うことがあるものの、脊椎奇形がみられる場合は特に、CFMである可能性が高い。
EFTUD2の病的バリアントを有する例ながら、MFDMが独立した1症候群と認知される前の段階において、「両側性のOAV症候群」と診断されていた例が、少なくとも2例存在する[著者らの個人的観察]。

気管食道瘻
気管食道瘻は、Feingold症候群やVACTERL連合(OMIM 192350)をはじめ、他のいくつかの独立疾患においてもみられる症候ながら、一般に、臨床でのこうした疾患との鑑別は容易である。
詳細については、「食道閉鎖/気管食道瘻概説」のGeneReviewを参照されたい。


臨床的マネジメント

最初の診断に続いて行う評価

小頭症を伴う下顎顔面異骨症(MFDM)と診断された罹患者については、疾患の範囲やニーズを把握するため、診断に至る過程ですでに実施済でなければ、表4にまとめた評価を行うことが推奨される。

表4:最初の診断に続いて小頭症を伴う下顎顔面異骨症罹患者に対して行うことが推奨される評価

系/懸念事項 評価 コメント
下顎顔面異骨症
  • 上気道閉塞や後鼻孔閉鎖について調べるための気道の評価
  • 正中線上の口蓋裂に関する診査、ならびに必要に応じ口蓋裂の多職種チームへの紹介
これを有する新生児については特に重要
発達遅滞/知的障害 発達評価 適応、認知、言語の評価を含む
難聴 聴覚評価 難聴に関する評価
食道閉鎖/気管食道瘻 特に羊水過多の既往,原因不明の呼吸窮迫,経鼻胃管の挿入困難がみられる新生児については、急いでこれに関する評価を行う。  
心奇形 心エコー、ならびに心臓病専門医による評価  
腎奇形 腎超音波検査  
骨格奇形 臨床的必要性に応じ、X線写真による脊柱側彎や肋骨・拇指奇形の評価  
低身長 成長曲線を用いた評価 MFDMの身長に関する成長曲線が公表されている1。
遺伝カウンセリング 遺伝の専門医療職2の手で行う 医学的・個人的決断に資するよう、罹患者とその家族に対し、MFDMの本質・遺伝形式・そのもつ意味について情報提供を行う。
家族への支援/情報資源 以下の諸点に関する評価
  • 地域の情報資源、あるいはParent to Parentのようなオンラインの情報資源の必要性
  • 親への支援を目的としたソーシャルワーカーの関与の必要性
  • 在宅看護への紹介の必要性
 
  1. Huangら[2016]
  2. 臨床遺伝医,認定遺伝カウンセラー,認定上級遺伝看護師をいう。

症候に対する治療

現在のところ、MFDMの管理に関する公表済のガイドラインは存在しない。
食道閉鎖/気管食道瘻、心奇形、腎奇形、拇指奇形に関しては、通法に従って治療を行う。低身長については、これを予期した上で必要な対応を行う。ヒト成長ホルモンへの反応に関する報告が存在しないことに注意が必要。

表5:MFDM罹患者の症候に対する治療

症候/懸念事項 治療 考慮事項/その他

下顎顔面異骨症

  • 分娩時の気道障害を伴う新生児については、初期の安定化を目的として、挿管ないし気管切開が必要になることがある。
  • 頭蓋顔面症候の治療は、口腔顎顔面外科、形成外科、耳鼻咽喉科、歯科/矯正歯科、作業療法、言語治療などの多職種チームの手で罹患者に合わせた個別の管理が行われる。

 

発達遅滞/知的障害

「発達遅滞/知的障害の管理に関する事項」の項を参照。

発達を最大限に誘導することを目的として行う。

難聴

治療は個別的に判断して行われるが、従来型の補聴器、骨固定型補聴器、人工内耳といったものが考えられる。

早期介入プログラムや学区を通して地域の聴覚サービスを受けることができる。

発達遅滞/知的障害の管理に関する事項

以下に述べる内容は、アメリカにおける発達遅滞者、知的障害者の管理に関する一般的推奨事項を挙げたものである。ただ、そうした標準的推奨事項は、国ごとに異なったものになることもあろう。

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作業療法、理学療法、言語治療、摂食治療、乳幼児メンタルヘルスサービス、特別支援教育、感覚障害の治療が受けられるよう、早期介入プログラムへの紹介が望ましい。これは、アメリカでは連邦政府が費用を負担して行われる制度で、すべての州で利用可能である。個人個人の治療のニーズに合わせるため、在宅サービスの形で提供される。

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アメリカでは、地域の公立学区(訳注:ここで言う「学区」というのは、地理的な範囲を指す言葉ではなく、教育行政単位を指す言葉である)を通じて発達保育園に入ることが推奨される。入園前には、必要なサービスや治療の内容を決定するために必要な評価が行われ、その上で、運動・言語・社会性・認知機能の遅れをもとに認定を受けた子どもに対して、個別の教育計画(IEP)が策定される。こうした移行については、通常、早期介入プログラムが支援に当たる。発達保育園は、基本的には通園を原則とするものの、医学的見地から通園が難しいと判断された子どもに対しては、在宅でサービスが提供されることもある。

全年齢
各地域、州、教育機関が適切な形で関与できるよう、そして、良好な生活の質を最大限確保する支援を親に対してできるよう、発達小児科医とよく話をすることが推奨される。押さえておくべき事項がいくつかある。

それを超える部分については、罹患児のニーズに基づいて、自費での支援治療が検討されるようなこともある。
行う治療の種類については、発達小児科医が個別に推奨を行う。

運動機能障害

粗大運動機能障害

微細運動機能障害
摂食、身だしなみ、着替え、筆記などの機能に問題が生じる微細運動技能の障害に関しては、作業療法が推奨される。

口腔運動機能障害
口腔運動機能障害の評価は、来院ごとに行う必要がある。また、摂食時の窒息/嘔吐、体重増加不良、呼吸器疾患の頻発、特別な原因が見出せない摂食拒否といった状況がみられる場合は、臨床的摂食評価やX線による嚥下検査を行う必要がある。食物の経口摂取を安全に行えることが前提ではあるが、協調ないし感覚に関連する摂食の問題を改善していくための摂食治療(通常、作業療法士か言語治療士の手で行われる)が推奨される。安全のため、食餌にとろみをつけたり冷やしたりすることもある。摂食機能障害が重度である場合は、経鼻胃管や胃瘻管が必要になるようなこともある。

コミュニケーションの問題
表出言語に障害をもつ罹患者に対しては、それに代わるコミュニケーション手段(例えば、拡大代替コミュニケーション[AAC])に向けての評価を検討する。AACに向けた評価は、その分野を専門とする言語療法士の手で行うことが可能である。この評価は、認知能力や感覚障害の状況を考慮に入れながら、最も適切なコミュニケーションの形を決めていこうというものである。AACの手段としては、絵カード交換式コミュニケーションシステムのようなローテクのものから、音声発生装置のようなハイテクのものまで、さまざまなものがある。一般に信じられていることとは反対に、AACはスピーチの発達を妨げるようなものではなく、むしろ理想的な言語発達に向けた支援を与えてくれるものである。

社会/行動上の懸念事項
小児に対しては、応用行動分析(ABA)をはじめとする自閉症スペクトラム障害の治療で用いられる治療的介入の導入に向けた評価を行うとともに、実際にそれを施行することがある。ABA療法は、個々の子どもの行動上の強みと弱み、社会性に関する強みと弱み、適応性に関する強みと弱みに焦点を当てたもので、ふつう、行動分析に関する学会認定士との1対1の場で行われる。

発達小児科医を受診することで、両親に対し、適切な行動管理の指針を指導したり、必要に応じ、注意欠陥多動性障害に用いられる薬剤をはじめとする処方を行ったりといったことが可能になる利点がある。
深刻な攻撃的、破壊的行動に関して懸念があるときは、小児精神科医への相談という形での対応が考えられる。

定期的追跡評価

表6:MFDM罹患者について推奨される定期的追跡評価

系/懸念事項 評価 実施頻度
下顎顔面異骨症 睡眠時無呼吸に関する評価 必要に応じて
発達遅滞/知的障害 小児を対象に、発達評価と心理教育検査 小児期を通じて定期的に
低身長 成長パラメーター 小児期、思春期を通じて年に1度
癲癇 必要なら脳波や脳の画像診断を用いた神経学的評価 必要に応じて

リスクを有する血縁者の評価

リスクを有する血族に対して行う遺伝カウンセリングを目的とした検査関連の事項については、「遺伝カウンセリング」の項を参照されたい。

研究段階の治療

さまざまな疾患・状況に対して進行中の臨床試験に関する情報については、アメリカの 「Clinical Trials.gov」、ならびにヨーロッパの「EU Clinical Trials Register」を参照されたい。
注:現時点で本疾患に関する臨床試験が行われているとは限らない。


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」 -編集者注

遺伝形式

小頭症を伴う下顎顔面異骨症(MFDM)は常染色体顕性遺伝疾患で、多くの場合、de novoの病的バリアントに起因して生じる。

家族構成員のリスク

発端者の両親

注:「de novo」の病的バリアントと報告されるのは、以下の両方を満たす場合である。
(1)発端者で確認された病的バリアントが両親いずれのDNAからも検出されない。
(2)親子鑑定の結果、両親とも真正の生物学的父・母であることが確認されている。
親子鑑定が行われていない場合、そのバリアントは「de novo(推定)」として報告される[Richardsら2015]。

MFDMにおける親の生殖細胞系列モザイクの割合は6%である[Huangら2016]。
注:親の白血球DNAを検査しても、体細胞モザイクの全例で病的バリアントが検出されるわけではない。

発端者の同胞 

発端者の同胞の有するリスクは、発端者の両親の臨床的/遺伝学的状態によって変わってくる。

発端者の子

MFDM罹患者の子は、EFTUD2の病的バリアントを継承する50%の可能性を有する。

他の家族構成員

他の血縁者の有するリスクは、発端者の両親の状態によって変わってくる。仮に片親がEFTUD2の病的バリアントを有していたということになれば、その血族にあたる人はすべてリスクを有することになる。

関連する遺伝カウンセリング上の諸事項

家族計画

出生前検査ならびに着床前の遺伝学的検査

分子遺伝学的検査

家系内に存在するEFTUD2の病的バリアントが同定済の場合は、出生前検査や着床前遺伝学的検査を行うことが可能である。ただ、出生前の分子遺伝学的検査に基づいて、罹患者である子の有する表現型を事前に正確に予測することまではできない(「浸透率」の項を参照)。

胎児超音波検査

今のところ、MFDMの検出に関して出生前超音波検査の有する感度についての評価はなされていない。そのため、出生前診断の手法として推奨できるのは分子遺伝学的検査のほうである。MFDMでみられる特徴的所見の多くは、出生前超音波検査で検出される可能性が低い。
出生前検査の利用に関しては、医療者間でも、また家族内でも、さまざまな見方がある。現在、多くの医療機関では、出生前検査を個人の決断に委ねられるべきものと考えているようであるが、こうした問題に関しては、もう少し議論を深める必要があろう。


関連情報

GeneReviewsスタッフは、この疾患を持つ患者および家族に役立つ以下の疾患特異的な支援団体/上部支援団体/登録を選択した。GeneReviewsは、他の組織によって提供される情報には責任をもたない。選択基準における情報についてはここをクリック。


分子遺伝学

分子遺伝学とOMIMの表の情報はGeneReviewsの他の場所の情報とは異なるかもしれない。表は、より最新の情報を含むことがある。

表A:小頭症を伴う下顎顔面異骨症:遺伝子とデータベース

遺伝子 染色体上の座位 タンパク質 Locus-Specificデータベース HGMD ClinVar
EFTUD2 17q21​.31 116kDa U5 snRNP構成要素 EFTUD2 @ LOVD EFTUD2 EFTUD2

データは、以下の標準資料から作成したものである。遺伝子についてはHGNCから、染色体上の座位についてはOMIMから、タンパク質についてはUniProtから。リンクが張られているデータベース(Locus-Specific,HGMD,ClinVar)の説明についてはこちらをクリック。

表B:小頭症を伴う下顎顔面異骨症関連のOMIMエントリー(内容の閲覧はOMIMへ)

603892 ELONGATION FACTOR Tu GTP-BINDING DOMAIN-CONTAINING 2; EFTUD2
610536 MANDIBULOFACIAL DYSOSTOSIS, GUION-ALMEIDA TYPE; MFDGA

分子レベルでの病原

EFTUD2は、U5 small nuclear ribonucleoprotein particle (snRNP)を構成するサブユニットの1つである低分子量GTPアーゼをコードしている[Fabrizioら1997]。U5 snRNPは、major spliceosomeやminor spliceosomeの1構成要素である。Major spliceosomeとminor spliceosomeは、カノニカル(U2依存性)イントロンスプライシングとマイナー(U12イントロン)イントロンスプライシングを司る2大高分子マシンである[Wahlら2009]。EFTUD2saccharomyces cerevisiae(訳注:出芽酵母の1つ)ホモログであるSnul14pは、
(1)スプライセオソーム活性化前におけるU4とU6の解離
(2)スプライシング終了後におけるサブユニットの分解と回収
に不可欠とされている[Fabrizioら1997,Bartelsら2002,Smallら2006]。
EFTUD2のハプロ不全ゼブラフィッシュモデルでは、神経細胞のアポトーシスを伴う脳発達異常がみられている。なお、他の器官系への影響は確認されていない。RNAの配列解析、ならびにRNAの機能解析を行った結果、RNAスプライシング障害と、それに続くナンセンス変異依存RNA分解機構の障害、ならびにp53シグナル伝達経路の活性化障害が明らかになっている[Leiら2017]。

疾患を引き起こすメカニズム

EFTUD2の病的バリアントとして報告されているものには、ミスセンス・ナンセンス・フレームシフト・スプライス部位バリアント、ならびに遺伝子の全欠失、部分欠失があり、ハプロ不全がそれら共通のメカニズムとなっている[Linesら2012]。


更新履歴:

  1. Gene Reviews著者: JMatthew Lines, MD, Taila Hartley, MSc, Stella K MacDonald, BSc, and Kym M Boycott, PhD, MD.
    日本語訳者:佐藤康守(たい矯正歯科)、櫻井晃洋(札幌医科大学医学部遺伝医学)
    GeneReviews最終更新日:2023.4.6.  日本語訳最終更新日: 2023.11.11.[in present]

原文: Mandibulofacial Dysostosis with Microcephaly

印刷用

 

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