軟骨無形成症
(Achondroplasia)
Gene Reviews著者: Richard M Pauli, MD, PhD
日本語訳者:窪田美穂(ボランティア翻訳者),澤井英明(兵庫医科大学)
Gene Reviews 最終更新日: 2012.2.16. 日本語訳最終更新日: 2012.4.16.
原文: Achondroplasia
要約
骨無形成症は不均衡な低身長をきたす病態のなかでは最も一般的な疾患である.患者は短い腕と下肢,大きな頭,前額部の突出と顔面中央部の下顎後退(これまでは顔面中央部の低形成として知られていた)による特有の顔貌といった症状を特徴とする.乳児期には筋緊張低下を広く認め,運動面での発達パターンが異常となったり,遅滞することが多い.乳児期には頭頸接合部の圧迫が死亡リスクを高めるが,知能と寿命は通常,正常である.
診断・検査
大部分の患者で軟骨無形成症は,特徴的な臨床所見やX線所見により診断可能である.診断が不確定であったり,典型的でない所見を有する患者では,軟骨無形成症との関連が知られている唯一の遺伝子であるFGFR3遺伝子の変異を検出するために,分子遺伝学的検査を用いることができる.こうした検査により患者の99%で変異が検出できる.検査は臨床検査室で実施可能である.
臨床的マネジメント
症状の治療:頭蓋内圧上昇に対して,脳室腹腔シャントが必要となることがある.頭頸接合部の圧迫徴候や症状に対して,適応があれば後頭下減圧を行う.閉塞性睡眠時無呼吸の是正には,アデノイド口蓋扁桃摘出,気道陽圧や,稀に気管切開を施行する.中耳機能障害に対して,積極的な管理を行う.下肢の進行性弯曲が生じた場合,整形外科医による評価を行う.症状のある成人に対して,脊柱管狭窄症の是正手術を行う.社会生活と学校への適応のため,教育支援を行う.
経過観察:小児期の軟骨無形成症児に対して,標準化した成長曲線を用いて身長,体重,頭囲をモニタリングする.乳児期から小児期を通じて発達段階を評価する.乳児期にベースライン時の脳CT検査を行う.睡眠時無呼吸の徴候や症状に対するモニタリングを行う.小児期の中耳障害や難聴所見の有無に対するモニタリングを行う.後弯や下肢の弯曲に対する臨床評価を行い,必要な場合には,X線評価や整形外科医への紹介を行う.成人期には,脊柱管狭窄症に対するスクリーニングのための臨床経過や神経学的検査を3~5年に1回行う.
回避すべき薬剤・環境:体同士がぶつかり合うスポーツのような頭頸接合部への損傷リスクを伴う活動.トランポリンの使用.飛び込み台からの飛び込み.体操競技の鞍馬.遊具で膝や足をかけて頭を下にすること.
妊娠管理:軟骨無形成症の妊娠女性は骨盤が小さいため,帝王切開を行うこと.
遺伝カウンセリング
軟骨無形成症は常染色体優性で遺伝する.軟骨無形成症患者の約80%の両親は平均身長を有しており,こうした患者は新生遺伝子突然変異の結果,軟骨無形成症となっている.こうした両親の場合,次の子供が軟骨無形成症となるリスクは低い.軟骨無形成症患者と正常身長者の間の子が軟骨無形成症となるリスクは,各妊娠当たり50%である.両親とも軟骨無形成症の場合,子供が平均身長となる確率は25%,軟骨無形成症となるリスクは50%,軟骨無形成症のホモ接合体(致死性)となるリスクは25%である.リスクの高い妊娠に対する出生前診断が可能である.
臨床診断
公式な診断アルゴリズムは発表されていないが,軟骨無形成症の臨床症状とX線所見は十分に定義されている[Langer et al 1967].
軟骨無形成症の臨床所見は以下の通りである.
小児の軟骨無形成症のX線所見は以下の通りである.
分子遺伝学的検査
GeneReviewsは,分子遺伝学的検査について,その検査が米国CLIAの承認を受けた研究機関もしくは米国以外の臨床研究機関によってGeneTests Laboratory Directoryに掲載されている場合に限り,臨床的に実施可能であるとする. GeneTestsは研究機関から提出された情報を検証しないし,研究機関の承認状態もしくは実施結果を保証しない.情報を検証するためには,医師は直接それぞれの研究機関と連絡をとらなければならない.―編集者注.
遺伝子 FGFR3遺伝子は軟骨無形成症を発症させることが知られている唯一の変異である.
臨床検査
表1.軟骨無形成症で用いられる分子遺伝学的検査
遺伝子記号 | 検査方法 | 検出変異 | 検査方法ごとの変異検出率1 | 検査の実施 |
---|---|---|---|---|
FGFR3 | 標的変異解析 | c.1138G>A (p.Gly380Arg) | ~98% | 臨床 |
c.1138G>C (p.Gly380Arg) | ~1% | |||
選択したエクソンのシークエンス解析 | 選択したエクソンのシークエンス・バリアント2,3 | 脚注4を参照 | ||
シークエンス解析 | FGFR3遺伝子のシークエンス・バリアント2,3 | 99%超5 |
検査の利用とは,GeneTests Laboratory Directory掲載施設での利用状況である.GeneReviewsは,分子遺伝学的検査について,その検査が米国CLIAの承認を受けた研究機関もしくは米国以外の臨床研究機関によってGeneTests Laboratory Directoryに掲載されている場合に限り,臨床的に実施可能としている.GeneTestsは研究機関から提出された情報の検証や,研究機関の承認状態もしくは実施結果の保証を行わない.情報を検証するためには,医師は直接それぞれの研究機関と連絡をとらなければならない.
検査結果の解釈
特異的アレル・バリアントに関する情報は「Molecular Genetics」(表Aを参照.遺伝子とデータベース,病的アレル・バリアントを参照)で入手できる.
検査手順
発端者の確定診断.軟骨無形成症の典型的な臨床所見とX線所見を有する患者には,一般に分子遺伝学的な診断の確定は不要である.診断が不確実となる患者に対しては以下を行う.
出生前診断や着床前診断(PGD).リスクの高い妊娠に対する出生前診断や着床前診断(PGD)には,家系内の発病性変異の事前同定が必要である.
注:GeneTests Laboratory Directoryに掲載されている検査機関で検査が臨床的に行われている場合に限り,臨床的に実施されているとするのがGeneReviewsの方針である.こうした掲載には著者,編集者,査読者の意向は必ずしも反映されていない.遺伝的に関連のある疾患
FGFR3遺伝子変異に関連するその他の表現型
自然経過
その他,軟骨無形成症患者の自然経過と適切な介入法に関して,詳細な要約が発表されている[Trotter et al 2005,Pauli 2010].
軟骨無形成症患者は,四肢の肢根型短縮が原因の低身長,前額部の突出と顔面中央部の下顎後退を呈する特徴的な顔貌,極度の腰椎前弯,肘の伸張および回転制限,内反膝,短指症と三尖手を有する.膝,股関節その他の関節は,関節可動域が過剰である場合が多い.
軟骨無形成症の成人男性の平均身長は131±5.6 cmであり,女性は124±5.9 cmである.軟骨無形成症では肥満が大きな問題となる[Hecht et al 1988].過剰な体重増加が小児初期に明らかになる.成人の場合,肥満が腰部脊柱管狭窄症関連の罹病率を悪化させかねず,非特異的関節障害が生じやすくなり,心血管合併症による早期死亡に至ることもある[Hecht et al 1988].
乳児期では軽度から中等度の筋緊張低下が多く,運動面の発達段階の獲得が遅滞したり,稀な異常パターンを呈することもある[Fowler et al 1997,Ireland et al 2010].乳児は筋緊張低下と大きな頭部のため,自らの頭部を支えることが困難である.
水頭症やその他の中枢神経系合併症が生じない限り,知能は正常である.
軟骨無形成症患者では真性巨脳症が起こり,軟骨無形成症の大多数の患児に大頭症を認める[Horton et al 1978].治療を要する水頭症が起こるのはおそらく5%未満[Pauli 2010]であるが,頭蓋内静脈圧の亢進が頸静脈孔の狭窄が原因で生じる可能性がある[Pierre-Kahn et al 1980,Steinbok et al 1989].
軟骨無形成症の乳児の中には,頭頸接合部関連の合併症により生後1年以内に死亡する者もいる.地域住民調査研究では,これが原因の死亡リスクはきわめて高く,7.5%であることが示された[Hecht et al 1987].このリスクは,呼吸制御中枢の損傷に関連する中枢型無呼吸に続発すると考えられ[Nelson et al 1988,Pauli et al 1995],軟骨無形成症の乳児全員に対する包括的評価[Trotter et al 2005]や神経外科的介入を選択的に行うことにより,リスクの低下が可能である.1件の研究[Pauli et al 1995]では,頭頸接合部に対する外科的減圧術を施行した患児全員で,神経機能の顕著な改善を認めた.手術後,最長20年間に渡って測定したQOL指標は,小児期に手術が適応にならなかった者のQOL指標と同等であった [Ho et al 2004].
年長児と成人に多く認める閉塞性睡眠時無呼吸は[Waters et al 1995, Sisk et al 1999],気道を縮小させる顔面中央部の下顎後退[Stokes et al 1983, Waters et al 1995]とリンパ組織環の肥大と,おそらく気道筋系の異常な神経支配[Tasker et al 1998]との合併症により生じる.
中耳機能障害が頻繁に生じ[Berkowitz et al 1991],治療が不適切な場合には言語発達に影響して重度の難聴となりかねない.
軟骨無形成症患者では下肢の弯曲が極めて多い[Kopits 1988a].未治療の成人の90%以上には,ある程度の弯曲を認める[Kopits 1988a].「弯曲」は実際,外弯,脛骨内捻転,膝の動的不安定の組み合わせから生じる複合的奇形である[Inan et al 2006].
軟骨無形成症の乳児の90~95%に胸腰結合部の後弯を認める[Kopitz 1988b,Pauli et al 1997].約10%は自然回復せず,重篤な神経的後遺症に至りやすい[Kopits 1988b].予防手段[Pauli et al 1997]を講じることにより,外科的介入の必要性を低下できることがある[Ain & Browne 2004,Ain & Shirley 2004].
成人期で最も多い医学的愁訴はL1-L4の脊柱管狭窄症による症状である[Kahanovitz et al 1982].症状は,可逆的な運動誘発性間欠性跛行から重度で不可逆的な下肢機能の異常や失禁に及ぶ[Pyeritz et al 1987].
軟骨無形成症の成人での死亡率の高さが報告されている[Hecht et al 1987,Wynn et al 2007].Wynn et al 2007では,25~35歳の心疾患関連死亡率が10倍となっており,総じて寿命は約10年短縮しているようである.
軟骨無形成症のホモ接合体.FGFR3遺伝子の1138ヌクレオチドの変異アレルが2つ存在する軟骨無形成症のホモ接合体では,軟骨無形成症のX線所見とは質の異なる変化を伴う重度障害をきたす.狭隘な胸郭と頸延髄狭窄による神経障害から呼吸不全が生じることが原因で,早期死亡に至る[Hall 1988].遺伝子型と臨床型の関連
軟骨無形成症のほぼ全症例が同一のアミノ酸置換に続発して発症しているため,一次変異に関連した遺伝子型と臨床型の相関関係はないと考えられる.
浸透率
浸透度は100%であり,軟骨無形成症を発症させるFGFR3遺伝子変異のコピーを1つ持つ者はすべて軟骨無形成症の臨床症状を呈する.
表現促進現象
表現促進現象は観察されない.
病名
歴史的に見ると,当初,軟骨無形成症という用語は,四肢が短い低身長症患者すべてに用いられていた.軟骨無形成症はその他の低身長症と比べて発症頻度が多く,「小人(dwarf)」という用語はこれまで軟骨無形成症患者に対して用いられることが極めて多かった.過去40年間に診断基準が作成され,軟骨無形成症は,外見上同様の病態を呈する他の疾患と鑑別できるようになった.
頻度
軟骨無形成症は,遺伝性の不均衡な低身長を有する最も一般的な病態である.最も正確な発症率の推定値は,生児出産の26,000~28,000人のうち1人である[Oberklaid et al 1979,Orioli et al 1995].本稿で扱われる疾患に対する遺伝学的検査の実施可能性に関する最新情報は,GeneTests Laboratory Directoryを参照のこと.―編集者注.
低身長を発症させる骨格異形成症は100以上認められているが,極めて稀である疾患が多い.実際には,すべての疾患が軟骨無形成症と容易に鑑別できる臨床所見とX線所見を持つ.軟骨無形成症と混同される可能性のある病態は以下である.
臨床医への注:この疾患に関する患者特異的なについては,患者ごとの所見にい基づいて鑑別診断を行う双方向型診断決定補助ソフトを参照のこと(要登録,アクセス制限あり).
初回診断後の評価
軟骨無形成症の臨床症状にはややばらつきがある.軟骨無形成症の診断を受けた患者の疾患の程度を知るためには,以下の評価手順が推奨される.
症状に対する治療
軟骨無形成症児で推奨される管理に関しては,米国小児科学会遺伝学委員会の勧告がある[Trotter et al 2005].同委員会の勧告では,平均身長を有する患児への治療ガイドラインが追加されている.最近のレビュー[Pauli 2010]では,Trotter et al[2005]で得られる情報が更新されている.
勧告には以下が含まれる(これに限定されるわけではない).
低身長
肥満. 肥満予防措置は小児早期に開始すべきである.
水頭症
頭頸接合部の狭窄
閉塞性睡眠時無呼吸
中耳機能障害
内反奇形
後弯.角状後弯の固定化を予防プロトコルが利用できる[Pauli et al 1997].
脊柱管狭窄症
社会生活への適応
続発性病変の予防
軟骨無形成症で生じることがある続発的合併症に関連する問題は,「症状の治療」と「経過観察」を参照のこと.
経過観察
経過観察のためのガイドラインは,米国小児科学会の臨床報告に統合された[Trotter et al 2005].
成長. 毎回,診察ごとに,軟骨無形成症に対して標準化された成長曲線を用いて身長と体重の測定するHorton et al 1978,Hoover-Fong et al 2007].
発達. 乳児期から小児早期を通じて発達評価のスクリーニングを行い,軟骨無形成症に特異的な評価を行うべきである[Fowler et al 1997,Ireland et al 2010].
頭部の成長と水頭症リスク
頭頸接合部
睡眠時無呼吸
耳と聴覚
後弯
下肢.弯曲や脛骨内捻転の臨床評価は,毎回の診察で行うこと.
脊柱管狭窄症.軟骨無形成症の成人では脊柱管狭窄症のリスクが高いため,患者が成人に達したら,臨床歴聴取や神経学的検査を必ず3~5年に1回行う.
相違への適応.社会的適応に関する質問を,かかりつけ医との毎回の診察で行うこと.
回避すべき薬物や環境
とりわけ小児期には,頭頸接合部の脊髄損傷のリスクが最小限となるよう注意を払わなければならない.これには,体同士がぶつかり合うスポーツ(アメリカンフットボール,アイスホッケー,ラグビーなど),トランポリン,飛び込み台からの飛び込み,体操競技の鞍馬,遊具で膝や足をかけて頭を下にすることといった活動の禁止などが含まれる.
角状後弯の固定化が発症するリスクを低下するため,避けなければならない姿勢に関するプロトコルが発表されている[Pauli et al 1997].
骨の脆弱性や関節の変性のリスクは高くないため,骨の脆弱性や関節変性を恐れて回避すべき状況は存在しない.
リスクのある親族への検査
遺伝カウンセリング目的のリスクのある親族に対する検査に関連する問題は,「遺伝カウンセリング」の項を参照のこと.
妊娠の管理
妊娠女性が平均身長で胎児が軟骨無形成症の場合,児頭骨盤不均衡のため帝王切開が必要となることがある.
軟骨無形成症の妊娠女性は,骨盤が狭いため必ず帝王切開を行うこと.
研究中の治療法
様々な疾患や病態に対する臨床試験に関する情報へアクセスしたい場合には,ClinicalTrials.govを参照のこと.注:当該疾患の臨床検査が行われていない場合がある.
その他
遺伝クリニック.遺伝専門医を擁する遺伝クリニックでは,患者や家族に自然経過,治療,遺伝形式,患者家族の遺伝的発症リスクに関する情報を提供とするとともに,患者サイドに立った情報も提供する. GeneTests Clinic Directoryを参照のこと.
患者情報.この疾患に特異的な,または大規模な支援組織に関する情報に関しては,「患者情報」を参照のこと.これらの組織は患者や家族に情報,支援,他の患者との交流の場を提供するために設立されている.
「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」
遺伝形式
軟骨無形成症は常染色体優性で遺伝する.
患者家族のリスク
発端者の両親
発端者の同胞
発端者の子
遺伝カウンセリングに関連した問題
見たところ新生突然変異を有する家系での配慮.常染色体優性疾患の発端者の両親のどちらにも疾患の臨床所見を認めない場合,発端者は新生突然変異を有する可能性がある.しかし,父親や母親が異なる場合(生殖補助医療など)などの非医学的理由や非公表の養子関係なども考えられよう.
家族計画
出生前診断
リスクの高い妊娠.リスクの高い妊娠とは,親の1人もしくは両親が軟骨無形成症患者の場合である.リスクの高い妊娠に対する出生前診断は,通常胎生週数約15~18週に実施される羊水穿刺,もしくは胎生週数約10~12週に実施される絨毛生検により胎児細胞から抽出したDNA解析により可能である[Bellus et al 1994,Shiang et al 1994]. 出生前診断の実施前に,罹患者である親もしくは両親の病原性アレルの同定が必要である.
注:胎生週期とは最終月経の第1日から換算するか,超音波による計測によって算出される.
リスクの低い妊娠.通常の妊娠中の超音波検査で胎児の四肢が短いことがわかったり,リスクが高いと考えられていない胎児に軟骨無形成症の疑いが生じることがある.
Krakow et al[2003]は,胎生16~28週の妊娠期に3D超音波検査を用いることにより,顔貌や体肢骨格や四肢の相対比率の描出性能が向上すると述べている.Ruano et al[2004]は3D超音波検査と子宮内ヘリカルCT画像を組み合わせることにより,子宮内骨格異形成症の診断精度を高めた.Chitty et al[2011]は軟骨無形成症胎児の様々な超音波検査の発症頻度に関する報告を行った.
軟骨無形成症が疑われる場合,羊水穿刺により胎児細胞から抽出したDNAを用いてFGFR3遺伝子変異に対する検査が可能である.予備的根拠から,母体血清中の胎児DNAにおけるFGFR3遺伝子変異の検出による診断が可能であることが示された[Chitty et al 2011,Lim et al 2011].
着床前診断(PGD).リスクのある妊娠に対する着床前診断には,家系内の発病性変異が事前に同定されている必要がある.着床前診断を提供している施設に関しては,「Testing」を参照のこと.
注:GeneTests Laboratory Directoryに掲載されている検査機関で検査が臨床的に検査がおこなわれている場合に限り,臨床的に実施されているとするのがGeneReviewsの方針である.こうした掲載には著者,編集者,査読者の意向は必ずしも反映されていない.
Gene Review著者: Clair A Francomano, MD, FACMG
日本語訳者: 窪田美穂(ボランティア翻訳者),四元淳子(お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科)
Gene Review 最終更新日: 2006.1.9. 日本語訳最終更新日: 2009.4.1.