シャルコー・マリー・トゥース(CMT)遺伝性ニューロパチー概説
(Charcot-Marie-Tooth (CMT) Hereditary Neuropathy Overview)

[Synonyms: 遠位遺伝性運動ニューロパチー(Distal Hereditary Motor Neuropathy; dHMN)、遺伝性運動感覚ニューロパチー(Hereditary Motor/Sensory Neuropathy; HMSN)]

GeneReviews著者: Thomas D Bird, MD
日本語訳者:冨成麻帆(名古屋大学医学部附属病院)、越智 龍太郎(町立別海病院、札幌医科大学脳神経内科)

GeneReviews最終更新日: 2020.3.14. 日本語訳最終更新日: 2022.2.23.

原文 Charcot-Marie-Tooth hereditary neuropathy overview


要約

この概説は、シャルコー・マリー・トゥース(CMT)遺伝性ニューロパチー、その原因、およびその管理について、臨床医の認識を高めることを目的としている。
この概説の目標は、以下の通りである。

目標1

CMT遺伝性ニューロパチーの臨床的特徴を説明できる。

目標2

CMT遺伝性ニューロパチーの原因を検討する。

目標3

発端者が持つCMT遺伝性ニューロパチーの原因を特定するための評価方法を提供する(可能な場合)。

目標4

CMT遺伝性ニューロパチー患者の家族の遺伝カウンセリングを行う。

目標5

CMT 遺伝性ニューロパチーの管理を検討する。


1.シャルコー・マリー・トゥース(CMT)遺伝性ニューロパチーの臨床的特徴

シャルコー・マリー・トゥース(CMT)遺伝性ニューロパチーとは、慢性の運動・感覚性多発ニューロパチーを特徴とする疾患群であり、遺伝性運動感覚ニューロパチー(HMSN)とも呼ばれる。

臨床所見

CMTの患者は、通常10歳になる前から30歳前後で発症し、四肢における対称性・緩徐進行性の遠位運動ニューロパチーを示し、手または足の筋力低下や筋萎縮を引き起こす。典型的な症状としては、遠位部の筋力低下と筋萎縮、足関節背屈の筋力低下、腱反射の低下、足部の凹足変形(甲高の足)などがある。

筋力低下は、しばしば遠位部における軽度から中等度の感覚脱失を伴う。通常は 「無痛」と記述されるが、神経障害は痛みを伴うこともある[Azevedoら2018]。感覚脱失は、振動覚の低下と記述されやすいが、痛覚/針刺感覚、温度覚、および関節位置覚の障害も含むことがある。
感音難聴が生じることもある。

症状のある患者におけるCMTの臨床診断は、病歴および身体検査における末梢神経障害の特徴的な所見に基づく。

CMTタイプの分類

CMT古典的分類(CMT1、CMT2、DI-CMT[顕性(優性)遺伝性中間型])は、神経伝導速度(NCV)で判断される末梢神経障害のタイプと、家族歴で判断される遺伝形式に基づいていた。CMTの遺伝学的基礎が次第に解明されていくにつれ、CMTのタイプには関連する遺伝子を表すアルファベットが割り当てられた(例:CMT1A)。
一般的には、NCV(正常>40~45m/s)に基づく3つの常染色体顕性(優性)遺伝性ニューロパチーのタイプは以下の通りである[Stojkovic 2016]:

  • 脱髄型(CMT1)は、NCV<35m/sと定義される。遠位筋の筋力低下や筋萎縮、感覚脱失などの臨床所見は、通常は緩徐進行性であり、しばしば凹足や両側性の下垂足を伴う。罹患者は通常、5歳から25歳の間に症状が現れる。5%未満の患者が、車椅子に依存するようになる。寿命の短縮はない。
  • 軸索型(非脱髄型)(CMT 2)は、NCV >45m/sと定義される。臨床所見は遠位筋の筋力低下と筋萎縮である。軸索性末梢神経障害は、脱髄性末梢神経障害と広範な臨床的重複を示すが、一般的に軸索性ニューロパチーを持つ人は、脱髄性ニューロパチーを持つ人よりも障害が少なく、感覚脱失も軽度の傾向がある。
  • 顕性(優性)遺伝性中間型 CMT(DI-CMT)は、NCV 35-45 m/sと定義される。臨床所見は、比較的典型的なCMT表現型である。NCVは非常に多様であり、家系内でも脱髄性ニューロパチーの範囲に罹患する者もいれば、軸索性ニューロパチーの範囲に罹患する者もいる。

新たに提案されたCMTの命名方法:CMTの原因となる遺伝子がより多く特定され、ニューロパチーの表現型や遺伝様式の重なりが明らかになるにつれ、上記の英数字による分類法は扱いにくく、不適切であることが判明した。2018年にMagyら[2018]は、遺伝性ニューロパチーの遺伝子に基づいた分類を提案した(CMT関連遺伝子の包括リストと英数字による分類との相関関係を含む表4を参照)。Magyら[2018]の分類システムのさらなる利点は、患者の所見を遺伝形式、ニューロパチーのタイプ、遺伝子の観点から記述できることである(「評価方法」を参照)。

命名方法

遠位遺伝性運動ニューロパチーdHMN)および遠位脊髄性筋萎縮症(DSMA)=CMT
Bansagiら[2017]は、遠位遺伝性運動ニューロパチー(下位運動ニューロン障害を特徴とする臨床的および遺伝的に異質な疾患群)の研究において、同一遺伝子の病的バリアントがdHMNとDSMAとして知られる表現型を引き起こすことがあることを報告し、dHMNと運動性CMTを異なった分類にすべきではないと結論づけた。

デジェリン・ソッタス病(Dejerine-Sottas syndrome: DSS) は、元来、NCVの高度低下、脳脊髄液蛋白の上昇、著しい臨床的な筋力低下、onion bulbと呼ばれるタマネギ球のような像の形成を伴う神経肥厚を伴う乳児期および小児期の重度の脱髄性ニューロパチーを指していた。「DSS」という用語は、臨床的な表現型を示すために使用されることはあるが、遺伝形式や特定の遺伝子異常を意味するものではない[Parmanら2004]。

CMTの鑑別診断

この概説の主題であるCMTは、ニューロパチーを伴う全身性疾患、その他の遺伝性ニューロパチー(表1)、遠位型ミオパチー(表2)、遺伝性感覚ニューロパチー(HSN)、後天性疾患などと区別する必要がある。注:これらの疾患については、この概説では他の項目で説明していない。

ニューロパチーを伴う全身性疾患

失明、痙攣、認知症、知的障害は、この概説で説明したCMT遺伝性ニューロパチーの表現型には含まれず、異染性白質ジストロフィー、クラッベ(Krabbe)病、ペリツェウス・メルツバッハ(Pelizaeus-Merzbacher)病、ロウ(Lowe)症候群などの重大な中枢神経病変を有する小児期発症疾患を含む別の診断を示唆する。

その他の遺伝性ニューロパチー

末梢性運動ニューロパチーが主徴(すなわち、多系統の症状が認められる前)または複雑な神経障害の1つの症状となる多系統障害を表1に示す。

表1. その他の遺伝性ニューロパチー

遺伝子 MOI 障害 その他 GeneReview/OMIM
ABCD1 XL 副腎脊髄ニューロパチー 進行性の両下肢のこわばりと筋力低下、括約筋障害、性機能障害、多くの場合で副腎皮質機能低下症 X連鎖()副腎白質ジストロフィー
ABHD12 AR 多発ニューロパチー、難聴、運動失調、網膜色素変性症、白内障(PHARC)   OMIM 612674
FXN AR フリードライヒ(Friedreich)運動失調症 感覚消失、腱反射低下、甲高の足を呈することがある フリードライヒ(Friedreich)運動失調症
MT-ATP6 mt NARP 神経原性筋力低下、運動失調、網膜色素変性症 ミトコンドリアDNA関連リー(Leigh)症候群およびNARP
PEX7
(PHYH)
AR レフサム(Refsum)病 無嗅覚症、早期発症の網膜色素変性症±ニューロパチー、難聴、運動失調、および/または魚鱗癬 レフサム(Refsum)病
PMP22 AD 遺伝性圧脆弱性ニューロパチー 急性発症の単一神経における再発性・無痛性・限局性感覚運動ニューロパチー 遺伝性圧脆弱性ニューロパチー
SCN9A AD SCN9A関連遺伝性肢端紅痛症 再発性・発作性の足および(頻度は低いが)手における両側性・対称性の激痛・発赤・熱感・腫脹 SCN9A関連遺伝性肢端紅痛症
SEPTIN9 AD 遺伝性神経痛性筋萎縮症 再発性・突然発症の肩または上腕の疼痛と筋力低下±感覚脱失、後に起こる上肢の筋萎縮 OMIM 162100
SPART AR トロヤー(Troyer)症候群 進行性の痙性対麻痺、構音障害、仮性球麻痺、遠位筋萎縮、運動・認知発達遅延 トロヤー(Troyer)症候群
TTR AD トランスサイレチン関連アミロイドーシス 感覚運動・自律神経性ニューロパチー、心筋症、腎症、中枢神経アミロイドーシス 家族性トランスサイレチンアミロイドーシス
TYMP AR MNGIE 進行性の消化管運動障害、悪液質、眼瞼下垂/眼球運動障害または眼筋麻痺、白質脳症、脱髄性末梢神経障害 ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症

AD = autosomal dominant(常染色体顕性(優性));AR = autosomal recessive(常染色体潜性(劣性));MOI = mode of inheritance(遺伝形式);mt= mitochondrial(ミトコンドリア);XL = X-linked(X連鎖)

  1. 遺伝子はアルファベット順に記載した。

遠位型ミオパチー

遺伝性ミオパチーの中には、四肢の遠位部に脱力感を呈するものがあり、CMTと混同されることがある(表2)。これらのいわゆる「遠位型ミオパチー」では、末梢神経の電気生理は正常で、筋電図や筋生検ではミオパチーが認められる。

表2. 遠位型ミオパチー

遺伝子 MOI 障害 臨床症状 GeneReview/OMIM
平均発病年齢(歳) 初症状が見られる筋群
ANO5 AR 三好型筋ジストロフィー3型     ANO5に関連する筋疾患
CAV3 AD
AR
遠位型ミオパチー     OMIM PS601419
CRYAB AD 遠位型筋原線維性ミオパチー 成人 下肢遠位と両手+心筋症
DES AD
AR
デスミン関連筋原線維性ミオパチー
※原著の誤字(Mesminopathy→Desminopathy)
15-40歳 下肢遠位と前腕+心筋症
DNAJB6 AD 筋原線維性ミオパチー 10代から成人 下肢遠位
DYSF AR 三好型早期成人発症性ミオパチー 15-20歳 両下肢の後区域 ディスフェルリノパチー
FLNC AD 遠位型ミオパチー-4     OMIM 614065
GNE AR 埜中型早期成人発症性遠位型ミオパチー 15-20歳 両下肢の前区域 GNE関連ミオパチー
LDB AD ザスポパチー(マルケスベリ-グリッグス(Markesbery-Griggs)型遅発性遠位型ミオパチー) 40歳超 両下肢の前区域 OMIM PS601419
MATR3 AD 筋萎縮性側索硬化症21(以前のMPD2) 35-60歳 非対称性の下腿と手、発声障害 筋萎縮性側索硬化症の概説、OMIM
606070
MYH7 AD レイン(Laing)型早発性遠位型ミオパチー(MPD1) 20歳未満 両下肢の前区域と頚部屈筋群 Laing型遠位型ミオパチー
MYOT AD 遠位型ミオティリノパシー 40歳超 両下肢の後区域>前区域 OMIM PS601419
NEB AR 遠位型ネブリンミオパチー 2-15歳 下腿前区域 OMIM 256030
TIA1 AD
AR
ウェランダー(Welander)型遠位型ミオパチー 40歳超 両上肢遠位(手指と手関節伸筋群) OMIM 604454
TCAP AR テレソニノパチーにおける遠位発症 早期 下肢 OMIM 601954
TTN AD ウッド(Udd)型遠位型ミオパチー 35歳超 両下肢の前区域 ウッド(Udd)型遠位型ミオパチー

AD = autosomal dominant(常染色体顕性(優性));AR = autosomal recessive(常染色体潜性(劣性))

  1. 遺伝子はアルファベット順に記載した。

遺伝性感覚ニューロパチー、遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチー

遺伝性感覚ニューロパチー(HSN)および遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチー(HSAN)は、筋力低下や筋萎縮を伴わない、軽度、中等度、または重度の感覚脱失を生じることがある。Rotthierら[2012]は、6つの常染色体顕性(優性)型と7つの常染色体潜性(劣性)型に関連する臨床的および遺伝的要因を概説した。

表3. 遺伝性感覚ニューロパチー(HSN)および遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチー(HSAN)

遺伝子 MOI 障害 その他 GeneReview/OMIM
ATL1 AD HSN1D   OMIM 613708
ATL3 AD HSN1F   OMIM 615632
DNMT1 AD HSN1E 難聴、認知症 DNMT1関連認知症、難聴、知覚神経障害
DST AR HSAN6   OMIM 614653
RETREG1 AR HSAN2B 多汗症、尿失禁 遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチーⅡ型
ELP1 AR HSAN3 偶発的・一過性高血圧、多汗症、周期性嘔吐症 家族性自律神経失調症
KIF1A AR HSN2C   遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチーⅡ型
NGF AR HSAN5   先天性無痛症の概説
NTRK1 AR HSAN4   先天性無痛無汗症
PRDM12 AR HSAN8   先天性無痛症の概説
SCN11A AD HSAN7 消化管機能障害
SCN9A A AR HSAN2D 無痛症(肢端紅痛症を伴う) 遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチーII型
SPTLC1 AD HSAN1A 穿孔性潰瘍 遺伝性感覚ニューロパチーⅠA型
SPTLC2

AD

HSAN1C

 

OMIM 613640

WNK1

AR

HSAN2A

 

遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチーII型

HSAN = hereditary sensory and autonomic neuropathy(遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチー);HSN=hereditary sensory neuropathy(遺伝性感覚ニューロパチー)

  1. 遺伝子はアルファベット順に記載した。

後天性ニューロパチー

後天性(非遺伝性)ニューロパチーには、アルコール依存症、ビタミンB12欠乏症、甲状腺疾患、糖尿病、HIV感染症、血管炎、ハンセン病、神経梅毒、慢性炎症に伴うアミロイド沈着、オカルト癌、重金属中毒、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)などの炎症性および免疫介在性ニューロパチーなどがある。


2. シャルコー・マリー・トゥース(CMT)遺伝性ニューロパチーの原因

CMTには80個以上の遺伝子が関与していると言われている[Stojkovic 2016]。

遺伝形式とニューロパチーのタイプ(軸索型、脱髄型、顕性(優性)遺伝性中間型)を含む74個の既知のCMT関連遺伝子の情報について表4に示す。この表の構成は、Magyら[2018]による新しく提案された分類方法をモデルにしている。注釈として、「その他の名称」というタイトルの列には、顕性(優性)遺伝性中間型CMT(DI-CMT)、遠位脊髄性筋萎縮症(DSMA)、遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチー(HSAN)、および遠位遺伝性運動ニューロパチー(dHMN)を含むその他の分類方法で使用される指定が含まれていることがある。

表4. CMT:遺伝子、遺伝形式、ニューロパチーの表現型

遺伝子 MOI ニューロパチーのタイプ その他の表現型の特徴/コメント GeneReview / OMIM / Reference その他の名称
Ax De In
最もよく関与している遺伝子 3
GDAP1 AR     声帯麻痺4 GDAP1関連遺伝性運動感覚ニューロパチー CMT2K
AR   CMT4A
CMT2H
CMT2K
CMTRIA
AD, AR       OMIM 607831  
GJB1 XL 女性が男性と同様に重度の障害を受けることがあるため、家族歴がADのように見えることがある;中枢神経ミエリンが障害を受けることがある。 シャルコー・マリー・トゥース・ニューロパチーX 1型 CMT1X
HINT1 AR     ニューロミオトニア OMIM 601314  
MFN2 AD, AR     視神経萎縮 シャルコー・マリー・トゥース・ニューロパチー2A型 CMT2A2A/B
MPZ AD   OMIM 118200 CMT1B
CMT2I/J
DI-CMTD
PMP22 AD       OMIM 601097 CMT1A
CMT1E
SH3TC2 AR       シャルコー・マリー・トゥース・ニューロパチー4C型 CMT4C
SORD AR   遠位筋筋萎縮と筋力低下 Corteseら [2020]  
その他の遺伝子
AARS1 AD       OMIM 601065 CMT2N
ABHD12 AR     難聴、白内障、網膜色素変性症 OMIM 613599 PHARC
AIFM1 XL     難聴、知的障害 OMIM 300169 CMTX4
ARHGEF10 AD       OMIM 608136  
ATP1A1 AD       Lassuthovaら [2018]  
ATP7A 5 XL     両下肢遠位 ATP7A関連銅輸送障害、OMIM 300011  
BAG3 AD     筋原線維性ミオパシー、心筋症 OMIM 603883  
BSCL2 AD     両下肢遠位;UMNの病変により痙性対麻痺を来すことがある BSCL2関連神経疾患 / セイピノパチー() dHMN5A
CADM3 AD     前腕・手と両下肢の筋萎縮 Rebeloら [2021]  
CNTNAP1 AR   関節拘縮、白質ジストロフィー OMIM 602346  
COA7 AR       Higuchi ら [2018]  
DCTN1 AD     両下肢遠位 OMIM 601143 dHMN7B
DCTN2 AD     声帯麻痺 4 OMIM 607376  
DGAT2 AD       OMIM 606983  
DHTKD1 AD       OMIM 614984 CMT2Q
DNAJB2 AR     遠位運動ニューロパチー Frasquetら [2016],  DSMA5
Lupo ら [2016]
DNMT1 AD     難聴、認知症 DNMT1関連認知症、難聴、感覚ニューロパチー DMNT1
DNM2 AD       OMIM 606482 CMT2M
DI-CMTB
DRP2 XL     自閉症 OMIM 300052  
DYNC1H1 AD     脊髄性筋萎縮症 OMIM 600112 CMT2O
EGR2 AD       OMIM 129010 CMT1D
AR       CMT4E
FGD4 AR       OMIM 609311 CMT4H
FIG4 AR       OMIM 611228 CMT4J
GARS1 AD     両手に発症 GARS1関連軸索性ニューロパチー CMT2D
dHMN5A
GNB4 AD       OMIM 610863 DI-CMTF
HARS1 AD     OMIM 142810 CMT2W
HSPB1 AD       OMIM 602195 CMT2F
dHMN2B
HSPB3 AD         OMIM 60462 dHMN2C
HSPB8 AD     成人発症 OMIM 608014 CMT2L
dHMN2A
IGHMBP2 AR       OMIM 600502 CMT2S
DSMA1
INF2 AD     糸球体硬化症 OMIM 610982  
KIF1B AD       OMIM 605995 CMT2A1
KIF5A AD     痙性 OMIM 602821  
LITAF AD       OMIM 603795 CMT1C
LMNA AR       OMIM 150330 CMT2B1
LRSAM1 AD       OMIM 610933 CMT2G
AR CMT2P
MARS1 AD       OMIM 156560 CMT2U
MCM3AP AR   小児期発症、重度 OMIM 603294  
MME AR       OMIM 120520 CMT2T
AD
MORC2 AD       OMIM 616661 CMT2Z
MPV17 AR     ナバホ族神経肝症(※原著の誤字 Navaho→Navajo) OMIM 137960  
MPZ AD   OMIM 118200 CMT1B
CMT2I/J
DI-CMTD
MTMR2 AR     声帯麻痺4 OMIM 603557 CMT4B1
NAGLU AD       OMIM 609701 CMT2V
NDRG1 AR       OMIM 605262 CMT4D
NEFH AD       OMIM 162230  
NEFL AD, AR     OMIM 162280 CMT1F/2E
PDK3 XL       OMIM 300906 CMTX6
PLEKHG5 AR     遠位優位 OMIM 611101 DSMA4
PMP2 AD       OMIM 618279 CMT1G
PNKP AR       OMIM 605610 CMT2B2
PRPS1 XL       網膜症、難聴 シャルコー・マリー・トゥース・ニューロパチーX5型 CMTX5
PRX AR       OMIM 605725 CMT4F
PTRH2 AR       難聴 OMIM 608625  
RAB7A AD     顕著な感覚脱失 OMIM 602298 CMT2B
SBF1 AR       OMIM 603560 CMT4B3
SBF2 AR       OMIM 607697 CMT4B2
SCO2 AR     運動ニューロパチー Rebelo et al [2018]  
SETX AD       両下肢遠位 OMIM 608465 FALS
SIGMAR1 AR     運動ニューロパチー OMIM 601978  
SGPL1 AR     再発性単神経炎 スフィンゴシンリン酸リアーゼ不全症候群  
SPG11 AR     痙性、認知機能低下 OMIM 610844 CMT2X
ALS5
SPTLC1 AD     若年型ALS症候群 6との関連がある可能性がある OMIM 605712 HSAN1A
TRIM2 AR     声帯麻痺4 OMIM 614141 CMT2R
TRPV4 AD     声帯麻痺4、骨系統疾患(骨異形成症) 常染色体顕性(優性)遺伝性TRPV4関連疾患 CMT2C
VCP AD     封入体ミオパチー、認知症 骨Paget病を伴う封入体ミオパチーおよび/または前頭側頭型認知症 CMT2Y
VWA1 AR     運動ニューロパチー、凹足、近位筋筋力低下 OMIM 619216  
WARS AD     運動ニューロパチー OMIM 191050 dHMN9
YARS1 AD       OMIM 603623 DI-CMTC
Unknown 7 XL     急速進行、重度の手の筋力低下 OMIM 302802 CMTX3

AD = autosomal dominant(常染色体顕性(優性));ALS=amyotrophic lateral sclerosis(筋萎縮性側索硬化症);AR = autosomal recessive(常染色体潜性(劣性));Ax = axonal(軸索型);De = demyelinating(脱髄型);dHMN = distal hereditary motor neuropathy(遠位遺伝性運動ニューロパチー); DI-CMT = dominant intermediate CMT(常染色体顕性(優性)遺伝性中間型CMT); DSMA = distal spinal muscular atrophy(遠位脊髄性筋萎縮症);HSAN = hereditary sensory and autonomic neuropathy(遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチー);In = intermediate(中間型);UMN = upper motor neuron(上位運動ニューロン);XL = X-linked(X連鎖)

  1. 遺伝子はアルファベット順に記載した。
  2. その他の分類方法で使用されている呼称
  3. Cornett ら [2016]およびCornett ら [2017]に基づく
  4. CMTの初症状となることがある。典型的には、呼吸補助筋の使用に関連する嗄声および吸気性喘鳴として現れる[Zambon ら2017]。
  5. ATP7A-CMTは、アレル(対立遺伝子)異常であるメンケス病およびオクシピタル・ホーン症候群に特徴的な臨床的または生化学的異常を共有しない。
  6. Johnsonら[2021]
  7. カスタムターゲットアッセイを必要とするXq26.3-q27.3のCMTX3遺伝子座への78-kbの染色体間挿入[Breweretら 2016, Kanhangadら 2018]

 


3. 発端者が持つシャルコー・マリー・トゥース(CMT)遺伝性ニューロパチーの遺伝学的原因を特定するための評価方法

CMT遺伝性ニューロパチーにおける特定の遺伝学的原因を明確にすることは、予後に関する話し合い(このGeneReviewの範囲外)や遺伝カウンセリングに役立つ。

患者のCMT遺伝性ニューロパチーの原因を特定するためには、病歴を聴取し、身体検査を行って、この概説で定義したCMTとは異なる疾患を除外する必要がある。これらの疾患には、ニューロパチーを伴う全身性疾患、その他の遺伝性ニューロパチー(表1)、遠位型ミオパチー(表2)、遺伝性感覚ニューロパチー(HSN)、遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチー(HSAN)(表3)、および、後天性疾患が含まれる。
(この概説で定義した)CMTの患者に対しては、詳細な家族歴と分子遺伝学的検査の利用が、特定の原因を明確にするために不可欠である。

家族歴

神経学的徴候や症状を有するその他の親族に注意を払いながら、3世代にわたる家族歴を入手すべきである。関連する家族の所見を文書化するには、それらの人々に対して直接診察、分子遺伝学的検査、筋電図およびNCV検査の結果を含む医療記録を見直すことで達成できる。

CMTの患者は、その他の家族での軽度で不顕性の発現、常染色体潜性(劣性)遺伝、または常染色体顕性(優性)遺伝に関連した遺伝子のde novoヘテロ接合性病的バリアント[Rudnik-Schönebornら 2016]やX連鎖遺伝など、多くの理由で家族歴が陰性である場合がある。

分子遺伝学的検査

遺伝学的検査を依頼する医療提供者は、CMTの遺伝学に通じていなければならない。遺伝学的検査の結果の解釈の複雑さとその遺伝カウンセリングへの影響を考えると、医療提供者は神経遺伝学センターまたは神経遺伝学を専門とする遺伝カウンセラーへの紹介を検討すべきである(NSGC - Find a Genetic Counselor参照)。

分子遺伝学的検査のアプローチには、遺伝子を標的とした検査(単一遺伝子検査、マルチ遺伝子パネル)と包括的なゲノム検査(エクソームシーケンシング、エクソームアレイ)がある。遺伝子を標的とした検査では、臨床医がどの遺伝子が関与している可能性が高いかの仮説を立てる必要があるが、ゲノム検査ではその必要がない。

手順1

このGeneReviewで定義したCMTの全ての発端者において、PMP22重複/欠失の単一遺伝子検査が最初の検査として推奨される。PMP22重複(PMP22を含む17p11.2における1.5Mbの重複)は、CMT全体の50%を占めるため、PMP22欠失/重複の解析は、CMTの全ての発端者の最初の検査として推奨される。注:(1) PMP22の重複を検出する方法論は、多くのマルチ遺伝子パネルで用いられているものとは異なるため、検査施設がPMP22欠失/重複解析をそのマルチ遺伝子パネルに含むと明示している場合を除き、この検査は別途オーダーする必要がある。(2) 逆に、PMP22 欠失・重複解析が既に実施されて正常であり、患者の検査の次のステップがマルチ遺伝子パネルの利用である場合には、PMP22 欠失・重複解析を含まないように検査施設に要求することが適切である。

手順2

最も一般的に関与している8つの遺伝子(すなわち、GDAP1GJB1HINT1MFN2MPZPMP22SH3CT2SORD)を含むマルチ遺伝子パネルは、表4に記載されているその他の遺伝子の一部または全部を含むマルチ遺伝子パネルと同様に、ニューロパチーの遺伝学的原因を最も合理的なコストで特定できる可能性が最も高いが、一方で、潜在的な表現型を説明できない遺伝子の意義不明のバリアントと病的バリアントの判別が制限される。注:(1)パネルに含まれる遺伝子、および、各遺伝子に対する検査の診断感度は検査施設によって異なり、また、時間の経過とともに変化する可能性がある。(2) マルチ遺伝子パネルの中には、このGeneReviewで定義したCMTに関連しない遺伝子が含まれている場合がある。特に、CMTに関連するいくつかの遺伝子の希少性を考慮すると、パネルによっては表4の遺伝子の全ては含まない可能性がある。(3) 一部の検査施設では、パネルのオプションとして、検査施設がデザインしたカスタムパネルや、臨床医が特定した遺伝子を含む表現型に焦点を当てたカスタムエクソーム解析が含まれる場合がある。(4) パネルで使用される方法には、シーケンス解析、欠失・重複解析、およびその他の非シーケンシングベースの検査が含まれる。
マルチ遺伝子パネルの紹介はこちらを参照。遺伝子学的検査を依頼する臨床医のためのより詳細な情報はこちらを参照。

手順3

手順1および手順2で遺伝学的原因が特定されなかった場合、包括的ゲノム検査(どの遺伝子が関与している可能性が高いかを臨床医が判断する必要がない)を検討することができる。エクソームシーケンスが最も一般的に使用されるが、ゲノムシーケンスも可能である。

包括的ゲノム検査については、こちらを参照。ゲノム検査を依頼する臨床医のためのより詳細な情報はこちらを参照。
Magy ら[2018]によって提案された、遺伝的形質、神経学的検査、および関与する遺伝子に照らした分子遺伝学的検査の結果に基づいた個人が持つ特定のタイプのCMTの表現型は、GDAP1関連遺伝性運動感覚ニューロパチーとして記述した(表5)。

表5.GDAP1関連CMTの分類

従来のCMT分類 MOI NCVに基づくタイプ Magy ら[2018]による分類
CMT2H AR Ax AR-CMTAx-GDAP1
CMT2K AD Ax AD-CMTAx-GDAP1
CMT4A AR De AR-CMTDe-GDAP1
CMTRIA AR In AR-CMTIn-GDAP1

AD = autosomal dominant(常染色体顕性(優性)); AR = autosomal recessive(常染色体潜性(劣性));Ax = axonal(軸索型);De = demyelinating(脱髄型); In = intermediate(中間型);MOI = mode of inheritance(遺伝形式);NCV = nerve conduction velocity(神経伝導速度)


4. シャルコー・マリー・トゥース(CMT)遺伝性ニューロパチーの家族に対する遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

CMT遺伝性ニューロパチーは、常染色体顕性(優性)遺伝、常染色体潜性(劣性)遺伝、X連鎖遺伝のいずれかである。
家族へのリスクに関する遺伝カウンセリングは、正確な診断、各家族の遺伝形式の決定および分子遺伝学的検査の結果によって決まる。CMTの遺伝は複雑であるため、医療提供者は、リスクのある家族を神経遺伝学センターまたは神経遺伝学を専門とする遺伝カウンセラーに紹介することを検討すべきである(NSGC - Find a Genetic Counselor search tool参照)。

常染色体顕性(優性)遺伝-家族のリスク

発端者の両親

  • 常染色体顕性(優性)遺伝性CMTと診断されたか患者のほとんどは、両親が罹患している。
  • 常染色体顕性(優性)遺伝性CMTと診断された患者の中には、de novo病的バリアントの結果としてこの疾患を発症する人もいる。de novo病的バリアントに起因する症例の割合は、関与する遺伝子によって異なる。Rudnik-Schönebornら[2016]は、1,206名の症例を対象とした研究において、PMP重複を有する患者の1.3%、MPZバリアントを有する患者の25%にde novoバリアントを特定した。
  • 分子遺伝学的検査は、明らかにde novo病的バリアントを持つ発端者の両親に推奨される。
  • 発端者に見つかった病的バリアントが両親の白血球DNAから検出されない場合は、発端者にde novo病的バリアントがあるか、両親に生殖細胞系列モザイクがあるかが考えられる。生殖細胞系列モザイクは既に報告されている[Fabrizi ら2001]。
  • 常染色体顕性(優性)遺伝性CMTと診断された人の中には、家族がこの疾患を認識していなかったり、親が発症前に死亡していたり、罹患した親の疾患の発症が遅かったりするために、家族歴が陰性に見える場合がある。したがって、適切な臨床的評価および/または分子遺伝学的検査を発端者の両親に対して行わない限り、一見すると陰性に見える家族歴を確認できない。

発端者の同胞 

発端者の同胞のリスクは、発端者の両親の臨床的・遺伝的状態によって異なる:

  • 発端者の親が罹患している場合、および/または発端者に特定された病的バリアントを持っていることが分かっている場合、同胞のリスクは50%となる。
  • 両親の白血球DNAに検出されない既知のCMT関連病的バリアントを発端者が持っている場合、親の生殖細胞系列モザイクの可能性があるため、同胞の発症リスクは一般の人よりもわずかに高い。
  • 両親が病原性バリアントの検査を受けておらず、臨床的に罹患していない場合、発端者の同胞のリスクは一見すると低いように見える。しかし、臨床的に罹患していない両親を持つ発端者の同胞は、ヘテロ接合の親では浸透率が低下する可能性があることや、理論的に親の生殖細胞系列モザイクの可能性が考えられるため、依然としてCMTのリスクは高いと推測される

発端者の子

常染色体顕性(優性)遺伝性CMTを持つ人の子は、それぞれ50%の確率で病的バリアントを受け継ぐことになる。

その他の家族

その他の家族へリスクは、発端者の両親の状態によって異なる。親が病的バリアントを持っている場合、その親の家族もリスクがある。

常染色体潜性(劣性)遺伝-家族のリスク

発端者の両親

  • 常染色体潜性(劣性)遺伝性CMTと診断された人の両親は、絶対ヘテロ接合体(すなわち、1つの病的バリアントの保因者)である。
  • ヘテロ接合体(保因者)は、無症状であり、本疾患を発症するリスクはない。

発端者の同胞

  • 受胎時において、罹患者の同胞は、25%の確率で罹患し、50%の確率で非発症保因者となり、25%の確率で罹患することなく保因者でもない。
  • ヘテロ接合体(保因者)は、無症状であり、本疾患を発症するリスクはない。

発端者の子

常染色体潜性(劣性)遺伝性CMT患者の子は、病的バリアントの絶対ヘテロ接合体(保因者)である。

その他の家族

発端者の親の同胞は、それぞれ50%の確率で病的バリアントの保因者となる。

保因者の検出

リスクのある親族の保因者検査では、家系内のCMT関連病的バリアントを事前に特定する必要がある。

X連鎖遺伝-家族のリスク

男性発端者の両親

  • 罹患した男性の父親は、この疾患を持っておらず、病的バリアントについてヘミ接合体でもない。 したがって、父親は更なる評価や検査を必要としない。
  • 複数の罹患者がいる家系では、罹患した男性の母親は絶対ヘテロ接合体となる。注:女性に1人以上の罹患児がいて、他に罹患した親族がいない場合で、白血球DNAから病的バリアントが検出されない場合は、生殖細胞系列モザイクである可能性が最も高い。
  • 男性が唯一の罹患者である場合(すなわち、孤発例)、母親がヘテロ接合体であることもあれば、罹患した男性がde novo病的バリアントを持っていることもあり、その場合、母親はヘテロ接合体でない。de novo病的バリアントを持つ男性の頻度は不明である。

女性発端者の両親

  • 女性の発端者は、母親または父親から病的バリアントを受け継いでいる場合と、病的バリアントがde novoである場合がある。
  • 両親の詳細な評価やより広げて家族歴を調べることで、de novo病的バリアントを持つ発端者と遺伝した病的バリアントを持つ発端者を区別できる可能性がある。母親(場合によっては父親、またはその後に父親)の分子遺伝学的検査により、病的バリアントが遺伝したものかどうかを判断できる。

男性発端者の同胞 

同胞のリスクは、母親の遺伝的状態によって異なる。

  • 発端者の母親が病的バリアントを持っている場合、それぞれの妊娠において病的バリアントを遺伝させる確率は50%である。病的バリアントを受け継いだ男性は罹患するが、病原体を受け継いだ女性はヘテロ接合体(保因者)となり、罹患する場合としない場合がある。
  • 発端者が孤発例(家系内で1人しか発症していない場合)で、母親の白血球DNAから病原性バリアントが検出されない場合、理論的に生殖細胞系列モザイクの可能性が考えられるため、同胞の発症リスクは低いものの、一般の人々よりも高くなる。

女性発端者の同胞 

同胞のリスクは、両親の遺伝的状態によって異なる。

  • 発端者の母親が病的バリアントを持っている場合、それぞれの妊娠においてその病的バリアントを遺伝させる確率は50%となる。病的バリアントを受け継いだ男性は罹患するが、病的バリアントを受け継いだ女性はヘテロ接合体(保因者)となり、罹患する場合としない場合がある。
  • 発端者の父親が病的バリアントを持っていれば、父親は娘全員にその病的バリアントを遺伝させ、息子には遺伝させない。
  • 発端者が孤発例(家系内で1人しか発症していない場合)で、両親のどちらの白血球DNAからも病的バリアントが検出されない場合、理論的に生殖細胞系列モザイクの可能性が考えられるため、同胞の発症リスクは低いものの、一般の人々よりも高くなる。

発端者の子

  • 罹患した男性は、娘全員に病的バリアントを遺伝させ、息子には遺伝させない。
  • ヘテロ接合の女性は、50%の確率でそれぞれの子に病的バリアントを遺伝させ、病的バリアントを遺伝した息子は罹患するが、娘は罹患する場合もしない場合もある。

その他の家族

発端者の親も病的バリアントを持っている場合、発端者の女性の家族はヘテロ接合体(非発症または発症)となるリスクがあり、男性の家族は発端者との遺伝的関係に応じて罹患するリスクがある。

注:分子遺伝学的検査により、de novo病的バリアントが生じた家族を特定できる可能性があり、その情報はより広げた家系の遺伝的リスク状態を判断するのに役立つ。

ヘテロ接合体の検出

リスクのある女性の親族の遺伝的状態を調べるための分子遺伝学的検査は、発端者に病的バリアントが特定されていれば、最も有益な情報となる。

遺伝カウンセリングに関連する事項

予測的検査(無症状のリスクのある人の検査)

  • CMT関連病的バリアントが罹患した家族の中で特定されると、リスクのある親族に対する予測的検査が可能となる。
  • このような検査がもたらす潜在的な影響(社会経済的な変化、検査陽性者に対する長期のフォローアップと評価の調整の必要性を含めるが、これに限定されない)や、予測的検査の機能と限界については、検査に先立って正式な遺伝カウンセリングの中で話し合われるべきである。

未成年者の予測検査(例:18歳未満の無症状のリスクのある人の検査)

  • 早期治療が疾患の罹患率や死亡率に有益な効果をもたらさない成人発症の疾患のリスクがある無症状の未成年者に対して、予測的検査を行うことは、主に説得力のある利益がないのに子供の自律性を否定することになるため、不適切であると考えられる。さらに、そのような情報が家族力学に不健全な有害作用を及ぼす可能性、将来的な差別やスティグマ化のリスク、そのような情報がもたらす不安などが懸念される。
  • 詳細については、米国遺伝カウンセラー学会のgenetic testing of minors for adult-onset conditionsについての見解声明や米国小児科学会と米国臨床遺伝・ゲノム学会の基本声明: ethical and policy issues in genetic testing and screening of childrenを参照。

CMTの診断が確定している家系では、年齢に関係なく、症状のある人の検査を検討することが適切である。
一見するとde novoに見える病的バリアントを持つ家族における注意点 常染色体顕性(優性)またはX連鎖の疾患を持つ発端者の両親のどちらにも、発端者に特定された病的バリアントまたは疾患のエビデンスがない場合、その病的バリアントはde novoである可能性が高い。しかし、医学的ではない説明として、代理父や代理母(例:生殖補助医療)、非公開の養子縁組なども検討されうる。

家族計画

  • 遺伝的リスクを判断し、出生前/着床前遺伝学的検査の利用可能性について話し合う最適な時期は、妊娠前である。
  • 罹患している、またはリスクのある若年成人に対して、遺伝カウンセリング(子への潜在的リスクや生殖に関する選択肢についての話し合いを含む)を行うことは適切である。

DNAバンク

検査の方法論や、遺伝子、アレル(対立遺伝子)バリアント、疾患に関する理解が将来的に向上する可能性があるため、分子的診断が確定していない(例:原因となる遺伝子変異が未知である)発端者のDNAを保管することを検討すべきである。

出生前検査と着床前遺伝子検査

CMT関連病的バリアントが罹患者の家族内で特定されると、リスクの高い妊娠を対象とした出生前検査や、着床前遺伝子検査が可能になる。

出生前検査の利用については、医療専門家の間でも家族の間でも、特に早期診断ではなく妊娠終了を目的として検査を検討する場合には、考え方に違いがあることがある。大抵の施設では、出生前検査の利用は個人の決定事項であると考えているが、これらの問題について話し合うことは有益になりうる。

 


関連情報

GeneReviewsスタッフは、この疾患を持つ患者および家族に役立つ以下の疾患特異的な支援団体/上部支援団体/登録を選択した。GeneReviewsは、他の組織によって提供される情報には責任をもたない。選択基準における情報については、ここをクリック。

  • Association CMT France

France
Phone: 820 077 540; 2 47 27 96 41
www.cmt-france.org

  • Charcot-Marie-Tooth Association (CMTA)

PO Box 105
Glenolden PA 19036
Phone: 800-606-2682 (toll-free); 610-499-9264
Fax: 610-499-9267
Email: info@cmtausa.org
www.cmtausa.org

  • European Charcot-Marie-Tooth Consortium

Department of Molecular Genetics
University of Antwerp
Antwerp Antwerpen B-2610
Belgium
Fax: 03 2651002
Email: gisele.smeyers@ua.ac.be

  • Hereditary Neuropathy Foundation

Phone: 855-435-7268 (toll-free); 212-722-8396
Fax: 917-591-2758
Email: info@hnf-cure.org
www.hnf-cure.org

  • My46 Trait Profile

Charcot Marie Tooth disease

  • National Library of Medicine Genetics Home Reference

Charcot-Marie-Tooth disease

  • NCBI Genes and Disease

Charcot-Marie-Tooth syndrome

  • TREAT-NMD

Institute of Translational and Clinical Research
University of Newcastle upon Tyne
International Centre for Life
Newcastle upon Tyne NE1 3BZ
United Kingdom
Phone: 44 (0)191 241 8617
Fax: 44 (0)191 241 8770
Email: info@treat-nmd.eu
Charcot-Marie-Tooth Disease

  • Association Francaise contre les Myopathies (AFM)

1 Rue de l'International
BP59
Evry cedex 91002
France
Phone: +33 01 69 47 28 28
Email: dmc@afm.genethon.fr
www.afm-telethon.fr

  • CMT Research Foundation

4062 Peachtree Street
Suite A209
Atlanta GA 30319
Phone: 404-806-7180
www.cmtrf.org

  • European Neuromuscular Centre (ENMC)

Lt Gen van Heutszlaan 6
3743 JN Baarn
Netherlands
Phone: 31 35 5480481
Fax: 31 35 5480499
Email: enmc@enmc.org
www.enmc.org

  • Muscular Dystrophy Association (MDA) - USA

161 North Clark
Suite 3550
Chicago IL 60601
Phone: 800-572-1717
Email: mda@mdausa.org
www.mda.org

  • Muscular Dystrophy UK

61A Great Suffolk Street
London SE1 0BU
United Kingdom
Phone: 0800 652 6352 (toll-free); 020 7803 4800
Email: info@musculardystrophyuk.org
www.musculardystrophyuk.org

  • RDCRN Patient Contact Registry: Inherited Neuropathies Consortium

Patient Contact Registry


5. シャルコー・マリー・トゥース(CMT)遺伝性ニューロパチーの管理

症状の治療

CMTの治療法についての概説[Carterら2008, Youngら2008, Reilly & Shy 2009, Corradoら 2016]、CMTの診断、自然史、管理についての概説[Pareyson & Marchesi 2009a, Pareyson & Marchesi 2009b, Cornettら2017] が利用できる。
治療は対症療法である。罹患者は多くの場合、脳神経内科医、リハビリテーション科医、整形外科医、理学療法士・作業療法士を含む集学的チームによって評価・管理される[Grandis & Shy 2005, McCorquodaleら 2016]。
生活の質と障害の定義付けは、CMT患者の様々な集団間で測定され、比較されている[Burnsら2010, Ramchandrenら2015]。両手および/または両足の永続的な筋力低下は、キャリアおよび雇用への影響に重要な意味を持つため、予測的なカウンセリングが適切である。

足関節を十分にサポートする靴など、特別な靴が必要になることもある。下垂足を矯正して歩行を助けるための短下肢装具(AFO)が必要な場合が多い。夜間スプリントは足首の可動域を改善しない[Refshaugeら2006, Kenis-Coskun & Matthews 2016]。

歩行を安定させるために前腕支持型松葉杖や杖を必要とする人もいるが、車椅子を必要とする人は5%未満である。
握力低下のためのグリップ運動と、アキレス腱の短縮を防ぐためにアキレス腱のストレッチ運動を毎日行うことが望ましい[Vinciら2005b]。

個人の能力の範囲内で運動が奨励され、多くの人が身体的活動性を維持している[Smanら 2015]。
重度凹足変形の矯正には、整形外科的手術が必要になることがある[Guyton 2006, Casasnovasら2008, Wardら2008]。股関節形成不全に対して手術が必要になることもある[Chanら2006]。
疼痛の原因をできるだけ正確に特定する必要がある[Paduaら2006]。

  • 筋骨格系疼痛は、アセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症剤に反応することがある [Carterら1998]。
  • 神経障害性疼痛は、三環系抗うつ薬や、カルバマゼピンやガバペンチンなどの薬剤に反応することがある。

モダフィニルは、倦怠感の治療に使用される[Carterら2006]。
声帯麻痺のリスクが高い場合(表4参照)は、診断時に耳鼻咽喉科の専門医に紹介する必要がある。時期を問わず声帯麻痺(嗄声および/または吸気性喘鳴)の根拠がある場合は、声帯運動低下を発見し、致死的合併症となりうる気道閉塞の程度を定量化するために、耳鼻咽喉科医による定期的な観察を行う必要がある。 [Zambonら2017]。

避けるべき薬剤/状態

肥満は、歩行が困難になるので避けるべきである。
CMT患者に対して有害、あるいは有害な可能性のある薬剤は、確実に高いリスクから無視できるリスクまで、様々なリスクを含んでいる。最新のリストについては、シャルコー・マリー・トゥース協会のウェブサイト(pdf)を参照。
ビンクリスチンを含む悪性腫瘍のための化学療法は、特に末梢神経へのダメージが大きく、CMTを著しく悪化させる可能性があ[Grafら1996, Nishikawaら2008]。

妊娠管理

CMTは妊娠・分娩中の母体合併症については独立した危険因子があると思われている[Pisciotta ら2020]。Pisciottaらは193の妊娠における157の分娩についての研究で、以下を発見した。

  • 9.3%の妊娠でCMTの新しい症状が現れ、既存の症状(筋力低下や感覚障害、こむら返り、疼痛などを含む)が増悪し、妊娠後も持続することがある。
  • 前置胎盤(1.6%)、胎位異常(8.4%)、早産(20.3%)はCMTを持つ母体の妊娠でより頻度が多かった。

 


更新履歴:

  1. Gene Review 著者:Thomas D Bird, MD
    日本語訳者:窪田美穂(ボランティア翻訳者),関島良樹(信州大学医学部附属病院遺伝子診療部)
    Gene Review最終更新日: 2008.7.24.   日本語訳最終更新日: 2009.2.2.
  2. Gene Review著者: Thomas D Bird, MD
    日本語訳者: 窪田美穂(ボランティア翻訳者),関島良樹(信州大学医学部附属病院遺伝子診療部) 
    Gene Review 最終更新日: : 2012.2.9. 日本語訳最終更新日: 2012.4.8.
  3. GeneReviews著者: Thomas D Bird, MD
    日本語訳者:冨成麻帆(名古屋大学医学部附属病院)、越智 龍太郎(町立別海病院、札幌医科大学脳神経内科)
    GeneReviews最終更新日: 2020.3.14. 日本語訳最終更新日: 2022.2.23. (in present)

原文 Charcot-Marie-Tooth hereditary neuropathy overview

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