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シスチノーシス(シスチン症)
(Cystinosis)

Gene Reviews著者: Galina Nesterova, MD and William A Gahl, MD, PhD.
日本語訳者: 岡村匡史、大熊喜彰、赤平百絵(国立国際医療研究センター)

Gene Reviews 最終更新日: 2016.10.6.日本語訳最終更新日: 2017.2.3.

原文 Cystinosis


要約

疾患の特徴 

スチノーシスは下記の3つのタイプに分類される:

診断・検査 

シスチノーシスの診断は、発端者に下記のいずれか一つの所見があった場合:

臨床的マネジメント 

症状の治療: 腎ファンコニ症候群は、尿細管からの電解質、重炭酸塩、無機質(ミネラル)、およびその他低分子栄養素の喪失を補充することにより治療する。小児に対しては、水分を自由に摂取でき、トイレにも行きやすい状況にする。血液をアルカリ化するため、クエン酸を補給する。クル病の予防、治療にはリン酸塩やビタミンDを補給する。骨格変形は、整形外科医と協力し、早期に対処すべきである。脱水症状が見られる期間は、補液と栄養素を補給する。腎糸球体疾患に対しては、システアミンを服用することで、細胞内のシスチンを減少させる。腎移植は最終的な治療である。システアミン点眼薬は羞明を軽減する。乳児期の体重増加不良の影響を最小限にするために、栄養は十分与えなければならない。成長ホルモン治療、甲状腺機能低下症治療のためのL-サイロキシン、糖尿病治療のためのインスリン、男性における性腺機能低下症のテストステロン補充療法は、これらすべて有益である。理学療法や言語療法は、高齢者の筋力低下や嚥下困難に有効である。

初期症状の予防: シスチン除去薬による治療は診断後できるだけ早く、あるいはもし可能であれば、出生後まもなく始めることにより、糸球体障害の進行を遅らせる。診断時にすでに腎障害がある場合は、症状を軽減することはできない。適切な対処療法とシスチン除去治療を施すことで正常な速度で成長するが、成長ホルモン療法をしなければ、一般的に低身長は回復しない。

二次的合併症の予防: 腎移植を行った後は、免疫不全や感染症の兆候をモニターする。移植前の患者では、カルニチンの補充により筋力低下を改善する。プロトンポンプ阻害剤は、システアミンによる胃酸過多を軽減する。

サーベイランス:

回避すべき薬物や環境脱水、羞明がある場合には直射日光

リスクの高い親族の評価:生化学的検査と分子遺伝学的検査(発端者の遺伝子情報がわかっている場合)の両方、またはいずれか一方により、早期診断と治療が可能である。

遺伝カウンセリング 

 シスチノーシスは、常染色体劣性形式により遺伝する。受精段階で罹患者の同胞が発症する確率は25%、発症せずに保因者となる確率は50%、発症もせず保因者ともならない確率は25%である。リスクの高い血縁者の保因者診断とリスクの高い妊娠の出生前診断は、家族内で病気を引き起こす遺伝子変異が同定されていれば可能である。腎障害型シスチノーシスの可能性が高い妊娠においては、絨毛膜絨毛と羊膜細胞内のシスチン濃度増加に基づいた、生化学的な出生前診断が可能である。


診断

国際的なシスチノーシスの専門家が作成・承認した"Cystinosis Standards of Care" (https://cystinosis.org/images/family-support/resources/CRN_Standards_12pgloRes.pdf)がオンラインで利用可能である。

シスチノーシスを疑う所見

腎障害型シスチノーシスは、乳児および幼児に下記の臨床的所見、検査所見およびレントゲン所見がある場合に疑うべきである。

臨床的所見

検査所見

レントゲン所見

中間型シスチノーシス(若年型/遅発型は、腎ファンコニ症候群に加え、末期腎不全を引き起こす進行性の慢性糸球体機能不全が見られた場合に疑うべきである。

眼型(非腎型)シスチノーシスは成人に羞明と、細隙灯検査において角膜のシスチン結晶の両方、あるいはいずれか一方が見られた場合に疑うべきである(図1b)。

fgi1

図1.シスチノーシス患者角膜の細隙灯顕微鏡(スリットランプ)検査所見

  1. システアミンを点眼している33歳シスチノーシス患者の帯状角膜変性症へのシステアミンの点眼は、角膜のシスチン結晶を溶解させるが、石灰化には効果がない。
  2. 43ヶ月齢未治療児の角膜のシスチン結晶
  3. システアミン点眼治療を12ヶ月行ったパネルbと同一患児

確定診断

シスチノーシスの診断は、発端者に下記のいずれか一つの所見があった場合:

増加した多核白血球中シスチン濃度の同定は、質量分析装置を用いるのが最もよい測定法である。

(1)シスチン測定用に白血球を調整する場合は、下記のことを注意しなければならない。
 (a)多核白血球は正常量の50倍、一方リンパ球は5倍しかシスチンを蓄積していないので、リンパ球の数が顕著に多いと白血球中のシスチン量が低くなる。
 (b)赤血球の混入によりタンパク量が増加してしまうため、タンパク質で補正したシスチン量が低くなる。これらの混入により、人為的に白血球中のシスチン量が低くなる。

(2)イオン交換クロマトグラフィーなどを用いたアミノ酸測定は感度が低く、白血球中のタンパク質が少ないときには、測定値が信頼できない場合がある。

その他のシスチン濃度測定

シスチノーシスは培養した線維芽細胞中あるいは出産時の胎盤中のシスチン量の増加によっても診断できる。

分子遺伝学的検査

北ヨーロッパ系の家系の患者では、まずCTNS遺伝子の57-kb欠失変異解析を行う。CTNS遺伝子の病因変異解析は、最初にフランス系カナダ人集団を対象にした検査パネルを用いるとよい。

注:(1)パネルに含まれる遺伝子およびそれぞれの遺伝子検査の診断感度は、検査機関により様々である。 (2)いくつかの原因遺伝子解析パネルは、GeneReviewで議論されている条件に関連していない遺伝子を含んでいる。そのため、臨床医はどの原因遺伝子解析パネルが、検査にかかる費用も含め、原因遺伝子同定に最も適しているかを決定する必要がある。(3)パネルに用いられている方法は、シークエンス解析、欠失/重複解析、およびその他シークエンスに基づかない検査である。

表1. シスチノーシスで用いられる分子遺伝学的検査

遺伝子 検査方法 この方法で検出できる病因変異2
を持つ発端者の割合
CTNS シークエンス解析 56%5
標的遺伝子欠失/重複
解析4
44%5
  1. 染色体上の位置およびタンパク質名は、TableA. 遺伝子とデータベースの項を参照
  2. アリル変異に関する情報は、"分子遺伝学"の項を参照
  3. シークエンス解析により、病因ではない(benign)、病因ではない可能性が高い(likely benign)、不明(of uncertain significance)、病因である可能性が高い(likely pathogenic)、病因である(pathogenic)変異を検出する。病因変異は、遺伝子内の小欠失/挿入、ミスセンス変異、ナンセンス変異およびスプライス変異を含んでおり、一般的にはエクソンあるいは全遺伝子欠失/重複は同定されない。
  4. 標的遺伝子欠失/重複解析は、遺伝子内の欠失、あるいは重複を検出する。検出に利用される方法は、定量的PCR(quantitative PCR)、ロングレンジPCR、multiplex ligation-dependent probe amplification (MLPA)、単一エクソンの欠失あるいは重複を検出する、標的遺伝子マイクロアレイが用いられる。
  5. Shotelersuk et al [1998], Attard et al [1999]

検査特性

検査の感度や特異性を含む検査の特性に関しては、Clinical Utility Gene Card [Levtchenko et al 2014]を参照。


臨床像

自然経過
シスチノーシスは、腎障害型(古典的腎型、全身性)、中間型(遅発性腎障害型)および非腎障害型(眼型)の3つの型に分類される、CTNS遺伝子の病因変異によって引き起こされる対立遺伝子疾患である。

腎障害性および中間型(腎障害型)シスチノーシス

腎障害型シスチノーシスは、未治療の場合、体重増加不良、成長障害、腎尿細管性ファンコニ症候群、腎糸球体機能不全および腎以外の様々な組織・臓器合併症などを発症する。効果的なシスチン除去治療を行えば、シスチノーシスは、進行性、致死性腎臓病から治療可能な慢性多臓器疾患となり、寿命は未治療だと約10歳であるが、治療すれば50歳かそれ以上になる。

リン酸およびカルシウム排泄量の増加、血清アルカリフォスファターゼの上昇、骨変形により特徴付けられる低リン酸/低カルシウム血症性くる病は、歩行開始が遅れるほどの歩行時痛を引き起こす。ビタミンDやカルシウムの栄養欠乏はくる病を併発し、けいれん発作やテタニーを引き起こす場合がある。

重度の低カリウム血症は心臓の電気伝導を悪化させる。時に低ナトリウム血症や低マグネシウム血症も生じる。

くる病、テタニー、アシドーシスおよび検査所見の異常を解決するためには、腎臓からの喪失を補充する入念な治療が必要である。尿細管障害が起こっていない出生直後からシスチン除去治療を開始することで、腎尿細管性ファンコニ症候群を軽減することができる。しかしながら、通常診断される時期にはすでに腎尿細管障害があり(すなわち、~1歳)、障害は不可逆性である。

 システアミンの服用など、早期にシスチン除去治療を行えば、糸球体障害の進行は緩やか、あるいは停止し、腎移植の必要性を遅らせる、あるいはなくすことができる。

fig2

図2

腎障害型シスチノーシスの37歳男性

  1. 身の体格 胃瘻管
  2. 母指球、小指球筋および骨間筋の萎縮による鷲手
  3. 上部体幹の筋肉萎縮
  4. 胸部CT検査:左冠状動脈の石灰化(矢印)
  5. 脳CT検査:大脳基底核の石灰化と萎縮

中間型シスチノーシス腎尿細管性ファンコニ症候群、成長遅延、羞明、糸球体機能障害など初期症状はすべて腎障害型シスチノーシスと同様であるが、大部分は思春期に発症する。

病理組織診断:糸球体の電子顕微鏡像では、足突起の融合、ボウマン膜の肥厚および間質細胞内にシスチン結晶が観察される。シスチノーシスの糸球体では、巣状糸球体硬化症が見られる。

病態生理腎尿細管性ファンコニ症候群の病態生理は、研究中である。いくつかのメカニズムが提唱されている。

非腎型シスチノーシス

眼型シスチノーシスは、未治療だと羞明のみ感じる。

遺伝子型と臨床型の関連

一部遺伝子型と臨床型の関連がわかっている。

命名法

腎障害型シスチノーシスは、乳児型シスチノーシスとも呼ばれる。

中間型シスチノーシスは、若年性腎障害型シスチノーシスとも呼ばれる。

"成人型"および"良性"シスチノーシスは、命名を"眼型"および"非腎障害型"あるいは"眼非腎障害型"シスチノーシスに置き換えるべきである。

頻度 

シスチノーシスは10-20万人に1人の頻度で発症し、世界中のあらゆる民族で見つかっている。フランスのブルターニュでは、2万6000千人に1の頻度である。シスチノーシスは、小児腎不全の5%をしめる。


疾患関連遺伝子

CTNS遺伝子に関連した病因変異について、このGeneReviewで取り上げた以外の表現型は知られていない。

鑑別診断

腎尿細管性ファンコニー症候群

未治療の腎障害性シスチノーシスは、小児期の腎尿細管性ファンコニ症候群で、最もよく特定できる原因である。類似症状を呈する疾患は、以下の通りである。

眼型(非腎型)シスチノーシス

多発性骨髄腫は、非腎型シスチノーシスと同様の羞明や角膜結晶を引き起こす。


臨床的マネジメント

国際的なシスチノーシスの専門家に作成・承認された、シスチノーシスの臨床診療指針が公表されている。"Cystinosis Standards of Care" を参照。

最初の診断時における評価

病気の程度やシスチノーシス罹患者のニーズを確かめるために、下記の評価法が推奨される。

最初に診断されたどの年齢においても:

最初の診断時年齢が高い場合:

症状の治療

腎臓内科医、代謝疾患専門医、眼科医、神経科医、消化器内科医、栄養士、心理学者を含む多職種医療チームが、シスチノーシス患者の治療にあたることが推奨される。

腎ファンコニ症候群

腎糸球体症

眼科的な症状 は、症状に応じてシスチン除去薬を用いて治療する。


成長

シスチノーシスの子供の成長には、良好な栄養状態、十分なリン酸の補給、および粘り強い細胞内シスチン除去が必要である(一次病変の予防を参照):

その他

一次病変の予防

システアミン酒石酸塩(Cystagon®)によるシスチン除去治療により、腎障害性シスチノーシス患者の治療管理と予後が劇的に改善した。現在、国際的に広くシステアミンがシスチノーシスの治療に使用されている。フリーのチオール(SH基)が、シスチン蓄積細胞のシスチン量を90%以上減少させる。Wilmer(2011)らは、システアミンが細胞内のグルタチオンレベルを上昇させ、グルタチオンの酸化還元状態を回復することを見いだしている。

システアミン治療は、年齢および移植の有無にかかわらず、すべての患者に対して考慮されるべきである。早期、かつ入念な服薬により、多くのシスチノーシス患者は、20代まで腎移植の必要性がなく生存する。

二次病変の予防

腎移植を受けた患者においては、免疫不全や感染症の兆候をモニターすべきである。

腎移植前の患者にカルニチンを補充することで、筋力が回復する場合がある。

システアミン誘導性胃酸分泌亢進や消化管症状は、オメプラゾールのようなプロトンポンプ阻害剤の服用により改善する。

サーベーランス
 腎障害性シスチノーシスの患者は、病気の重症度に基づいて臨床検査がなされるべきであり、それら検査には腎機能、内分泌、眼科、神経および心機能検査も含まれる。

回避すべき薬物や環境

リスクのある親族の検査

生命を脅かすシスチノーシスの合併症を防ぐために、早期に治療を開始する利点があるため、リスクのある親族(発端者の同胞の新生児など)のできるだけ早く検査をすることは、適切である。
その家系での遺伝子変異がわかっている場合は、分子遺伝学的検査、その家系での遺伝子変異がわかっていない場合は、生化学的検査を実施する。
 リスクのある親族の検査に関連する問題については、"遺伝カウンセリングの目的"の項を参照。

妊娠経過管理

シスチノーシス患者の妊娠は、早産のリスク増加があり、周到にモニタリングしなければならない。腎移植後の女性では、腹腔内に移植された腎臓が、機械的な問題を生み出す。腎移植していない女性では、体液や電解質の状態の注意深い管理が必要である。

研究中の治療法

マウスにおいて、骨髄由来幹細胞移植が慢性腎不全を改善した。

他の幅広い疾患も含めた臨床研究の情報は"Clinical Trials.gov"を参照

その他

シスチノーシスの新生児マススクリーニング法の開発が、幅広い治療の成功を可能にすると期待されている。2つの方法が提案されている。:

食物中の含硫アミノ酸制限、アスコルビン酸摂取およびジチオトレイトール(DTT)の使用は、効果がないことが証明されている。


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

すべての型のシスチノーシスは、常染色体性劣性様式で遺伝する。

患者家族のリスク

発端者の両親

発端者の同胞 

発端者の子

発端者の他の家族

保因者診断

生化学的検査:保因者検査は生化学的に実施することができる。その際には、新たに調整された白血球と適切なコントロールが必要である。

分子遺伝学的検査リスクのある家族の保因者検査は、その家族内の病因変異がわかっている場合は可能である。

遺伝カウンセリングに関連した問題

早期診断、治療を目的としたリスクの高い親族に関する評価の情報については、"リスクの高い親族の評価"を参照

家族計画

DNAバンクは、将来の使用のために、(通常は白血球から抽出した)DNAを貯蔵しておくことである。検査手法や遺伝子、アリル変異、疾患への理解は将来改善する可能性があるため、罹患者のDNAを貯蔵しておくことは考慮されるべきである。

出生前/着床前診断

生化学検査

腎障害型シスチノーシスのリスクの高い妊娠に対する出生前診断は、絨毛膜絨毛あるいは羊水穿刺で採取した羊水細胞中の、いずれかのシスチン濃度を測定することのより可能である。

分子遺伝学的検査

罹患者の家族にCTNS遺伝子変異が同定されている場合は、シスチノーシスのリスクの高い妊娠に対する出生前診断と着床前診断は、両親が考慮してもよい選択肢となる。

訳注:日本では本症に対する出生前診断は行われていない。

専門医の間でも、家族の間でも、特に出生前診断を早期の診断というよりも妊娠中絶のための検査と考えているような場合は、考え方に相違があるかもしれない。多くの医療機関では、出生前診断について両親の意思を尊重することになるが、これらの問題に関して、議論されることが大切である。

表2.

GeneReviewで議論されたCTNS遺伝子の病因変異

DNA Nucleotide Change Predicted Protein Change Reference Sequences
g.36,254_93,510del
(57-kb del) 1
-- AF168787
c.18_21del4 p.Thr7PhefsTer7 NM_004937 .2
NP_004928 .2
c.198_218del
(198del21bp or 537del21)2
p.Ile67_Pro73del
c.382C>T p.Gln128Ter
c.397A>T p.Ile133Pro
c.414G>A p.Trp138Ter
c.416C>T p.Ser139Phe
c.473T>C p.Leu158Pro
c.544T>C p.Trp182Arg
c.589G>A p.Gly197Arg
c.611_613del3 p.Asp205del
c.853-3C>G --3
c.898_900+24del27 --
c.922G>A p.Gly308Arg

注:表にある変異の分類は、著者らによって提供されたものであり、GeneReviewsのスタッフはその分類について、個別に確認していない。

注:命名法は、the Human Genome Variation Society (www .hgvs.org)の標準的な命名法に従っている。

  1. Touchman et al [2000]
  2. 現在の標準的な命名法には従っていない。
  3. Anikster et al [2000]

正常な遺伝子産物CTNS遺伝子がコードするシスチノシンは、367個のアミノ酸からなり、7つの膜貫通部位、2つのリソソーム局在モチーフ、128個のアミノ酸からなる7つのN-結合型グリコシル化部位を有するN末端領域と、細胞質側に10個のアミノ酸からなるC末端領域を有する。シスチノシンはすべての組織の細胞に発現している。シスチノシンは、ジスルフィド結合アミノ酸であるシスチンを、リソソームから細胞質へ輸送する。シスチノシンは、マウスとヒトで高度に保存されている。

異常な遺伝子産物CTNS遺伝子の57-kbの欠失を有すると、CTNS mRNAは作られない。一方、大部分の別のアリルは、mRNAの発現が残存している。重症型の患者においては、CTNS遺伝子に変異を有するアリルから、機能が欠失したシスチノシンが作られ、中間型あるいは眼型の患者においては、シスチノシンの機能が残存しているシスチノシンが作られていることが予想される。

更新履歴

  1. Gene Review著者: Galina Nesterova, MD and William A Gahl, MD, PhD.
    日本語訳者: 岡村匡史、大熊喜彰、赤平百絵(国立国際医療研究センター)
    Gene Review 最終更新日: 2014.1.30.   日本語訳最終更新日: 2016.9.20.

  2. Gene Reviews著者:Galina Nesterova, MD and William A Gahl, MD, PhD.
    日本語訳者: 岡村匡史、大熊喜彰、赤平百絵(国立国際医療研究センター)
    Gene Reviews 最終更新日: 2016.10.6.日本語訳最終更新日: 2017.2.3.in present)

原文 Cystinosis

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