Gene Review著者: Nathan D Pankratz, PhD, Joanne Wojcieszek, MD, Tatiana Foroud, PhD.
日本語訳者: 窪田美穂(ボランティア翻訳者),櫻井晃洋(信州大学医学部附属病院遺伝子診療部)
Gene Review 最終更新日: 2008.3.13. 日本語訳最終更新日: 2008.5.1.
要約
疾患の特徴ゴーシェ病(GD)の臨床像は周生期死亡をきたす重症型から無症状型まで連続的で多彩である.GDは1型,2型,3型とよばれる主要な臨床型の他に周生期致死型,心臓血管型とよばれる亜型に分類されるが,これらの分類は予後の予測及び臨床的マネジメントの決定の際に有用である.GD1型は,臨床所見や画像診断で認められる骨症状(骨減少症,局所性骨溶解性病変や骨硬化病変,骨壊死),肝脾腫,貧血,血小板減少症,肺疾患が特徴であり,原発性中枢神経病変は見られない.GD2型及び3型では原発性中枢神経病変が特徴的である.以前は,2型と3型は発症年齢と病状の進行度により区別されていたが,これらの区別は絶対的ではない.2歳以前に発症して精神運動面の発達遅滞を伴い,病状の急速な進行により2~4歳で死亡する症例はGD2型に分類される.2歳未満でGD3型を発症する場合もあるが,より緩徐な経過を示すことが多く,20歳代もしくは30歳代までの存命が可能な例もある.周生期致死型は魚鱗癬やコロジオン皮膚異常,もしくは非免疫性胎児水腫を伴う.心血管型は,大動脈弁と僧帽弁の石灰化,軽度脾腫,角膜混濁,核上性眼筋麻痺が特徴である.心肺合併症は全ての臨床型で見られるが,頻度や重症度に差がある.
診断・検査GDの診断は,末梢血白血球もしくは他の有核細胞におけるグルコシルセラミダーゼ酵素活性欠損の確認に基づいてなされる.保因者と非保因者の酵素活性分布が重複しているため,酵素活性測定による保因者診断は信頼性が低い.GD発症に関係すると考えられている唯一の遺伝子GBA遺伝子に2個の病原性アレルを同定することによって診断を確実にすることができるが,生化学的検査の代用として診断に用いるべきではない.シークエンス解析を用いた分子遺伝学的検査は大多数の患者で変異を同定できる.
臨床的マネジメント
病変に対する治療:可能ならば,包括的なGDの医療チームによる治療を行う.酵素補充療法や基質抑制療法を受けていない患者への対症療法には,重度の脾腫及び血小板減少症に対する脾臓の部分切除もしくは全摘がある.全ての患者に対して行われる支持療法には,重度の貧血・出血傾向に対する血液製剤の輸血,骨痛に対する鎮痛薬投与,慢性的な疼痛をなくし機能を回復させる人工関節置換術,骨減少症に対するビスフォスフォネートとカルシウムの内服がある.
一次病変の予防:イミグルセラーゼによる酵素補充療法は通常耐性が良好であり,十分な外因性酵素の投与により蓄積基質であるGL1が分解されることで血液学的所見や肝脾症状が改善し,異化経路障害が克服される.慢性的神経病変を伴うGD3型を主とする重症GD患者は,骨髄移植による治療効果が期待できる.ミグルスタットはイミグルセラーゼ治療を受けられないGD1型患者に処方される場合がある.
経過観察:International Collaborative Gaucher Group Registry(ICGG)や他の団体により,包括的継続的経過観察を推奨する提言が出版されている.
リスクのある親族の検査:リスクのある無症状の親族に対して検査を提供することが適切である.これにより,酸β-グルコシルセラミダーゼ酵素欠損症の親族,もしくは2個の病原性アレルを持つ親族は,早期診断及び治療により病状を軽減できる.遺伝カウンセリング
GDは常染色体劣性形式で受け継がれる.受精段階で患者の同胞が罹患する確率は25%,無症状の保因者となる確率は50%,罹患もせず保因者ともならない確率は25%である.既知の変異を標的とした遺伝子解析により,ハイリスク集団(アシュケナジーユダヤ人等)における保因者の検出が可能となる.特定の集団におけるGD保因者頻度が高いこと(例えば,アシュケナジーユダヤ人を祖先に持つ集団では18人に1人),そしてN370S/N370S遺伝子型患者の臨床像が多様であることから,保因者診断でホモ接合体と同定される可能性が高くなる.リスクのある妊娠に対する出生前診断は,家系内の病原性変異が2個分かっている場合,グルコシルセラミダーゼ酵素活性測定及び分子遺伝学的検査により可能である.
臨床診断
GDは特徴的な骨病変,肝脾腫,血液学的異常が認められる場合に疑われる.中枢神経疾患の徴候がある場合とない場合がある.臨床所見だけで診断を下すことはできない.
検査
酸β-グルコシルセラミダーゼ酵素測定
注:生化学的検査結果ではGDの重症度や病型を予測することはできない.
保因者 保因者と非保因者の酵素活性分布が重複しているため,グルコシルセラミダーゼ酵素活性測定による保因者診断の信頼性は低い.
骨髄検査
GD関連症状(貧血・血小板減少症・脾腫など)に対する骨髄検査を受けてはじめてGDを疑われる場合がある.骨髄検査では,細胞質に対してけばだった(fibrillary)「しわくちゃのシルク」様で核の偏在が見られる脂質蓄積マクロファージ(ゴーシェ細胞)の存在が確認できる.この物質は過ヨウ素酸シフ(PAS)試薬で染色できる.
注:ここで記述された変化は非特異的であり,骨髄検査は信頼性の高い診断検査ではない.
分子遺伝学的検査
遺伝子 GBA遺伝子はGDとの関連が分かっている唯一の遺伝子である
臨床的検査
GBA遺伝子コード領域のシークエンス解析は,既知の変異の解析で変異が1つしか同定されない患者に対し,もう1つの変異を検出する目的で行なわれることがある.
表1と表2にGDで用いられる分子遺伝学的検査をまとめた.
表1 ゴーシェ病で用いられる分子遺伝学的検査
検査方法 | 検出変異 | 検査方法ごとの変異検出率 |
---|---|---|
既知の変異の分析 | よく見られる4種のGBA変異(注1) | 89%(注2) |
11個のGBA変異(注3) | 98%以下 | |
シークエンス解析 | GBA変異 | 99%以下 |
注1:N370S変異,L444P変異,84GG変異,IVS2+1変異.
注2:表2を参照のこと.
注3:注1の4個の変異と「稀な」変異のV394L変異,D409H変異,D409V変異,R463C変異,R463H変異,R496H変異,55塩基欠失(エクソン9)である.
表2 よく見られる4個の変異パネルを用いたGBA変異保持者の割合
変異の種類(注1) | 患者全体における割合(%) (注2)(注3) |
---|---|
N370S/N370S | 29% |
N370S/? | 20% |
N370S/L444P | 16% |
N370S/84GG | 12% |
L444P/L444P(注4) | 6% |
L444p/? | 3% |
N370S/IVS2+1 | 3% |
注1:表5に現行の命名法ガイドラインに従った変異の名称と塩基置換を掲げる.
注2:Gaucher Registry登録上の1097人のデータに基づく.このうち,94%が1型,1%が2型,5%が3型であった.
注3:ICGG Registry Programを通じて実施されたシークエンス解析に基づくGD変異検出率.
注4:組み換え型のアレルには,機能的遺伝子と偽遺伝子のエクソン9とエクソン10との間の遺伝子再構成の結果生じた2~4個の点変異(L444P変異を含む)がある.このためL444P変異のみに対する検査では単独のL444Pアレルと組み替え型アレルとの区別が不可能であり,遺伝子型の判定で過誤が生じやすい.
検査結果の解釈
検出されうる変異
変異が検出されない場合に考えられる可能性
検査手順
発端者の確定診断
リスクのある親族への保因者診断 リスクのある親族への保因者診断には家系内の病原性変異の同定が必要である.
注:保因者は常染色体劣性遺伝形式をとる本疾患に対してヘテロ接合体であり,発症するリスクはない.
出生前診断と着床前診断 リスクのある妊娠への出生前診断と着床前診断には,家系内の病原性変異の同定が必要である.
遺伝学的に関連する疾患
GBA遺伝子に関連する臨床型はGDだけである.
パーキンソン症候群症状
パーキンソン症候群症状はGD1型患者の一部で報告されている.これが単なる偶然の合併ではなく,何らかの因果関係があることが示唆されているが,その根拠は確立されていない.以下の研究報告は,グルコシルセラミド代謝変化の有無に関わらずGBA変異がパーキンソン症候群症状のリスク要因である可能性を示唆するものである.しかし,ごく少数の症例で同定されているだけであり,他の要因がGD1型患者のパーキンソン症候群症状を起こしている可能性もある.
臨床像
自然経過
従来GDは明確な臨床型を呈するとされてきたが,現在では周生期致死型から無症状型まで幅広い臨床所見を包括するものとして認識されている.しかし,予後の予測及び臨床的マネジメントの決定には,臨床病型分類が幅広い臨床所見と極めて多様な病態を記述する上で依然として有用である.原発性中枢神経症状の有無に基づき3種類の主な臨床病型に分類される(表3).
表3 ゴーシェ病:臨床病型
病型 | 原発性中枢神経症状 | 骨疾患 | その他 |
---|---|---|---|
1型 |
|
有 |
|
2型 (急性・乳児性) |
|
無 |
|
3型 (亜急性・若年性) |
|
有 |
|
周生期致死型 |
|
無 |
|
心血管型 |
|
有 |
|
GD1型
骨疾患 臨床所見や画像診断で認められる骨疾患がGD1型患者の70~100%に発症する.骨疾患には無症状の骨減少症から局所性骨溶解性病変,骨硬化病変や骨壊死が含まれる.急性もしくは慢性の骨痛,病的骨折,続発性変性性関節炎による軟骨下関節圧潰を引き起こす可能性のある骨病変は,GD1型で最も患者を悩ませる症状であることが多い.
急性の骨痛は「骨クリーゼ」,すなわち通常四肢のうちの1本もしくは1つの関節に限定された深部骨痛症状として現れ,発熱と白血球増加症を伴う場合が多いが血液培養は陰性である.患部に腫脹,熱感がみられる場合がある.画像診断により局所的浮腫もしくは出血を示すシグナル異常が検出される.X線画像では骨膜隆起(偽骨髄炎)が認められる.
従来の放射線画像 (X線画像)で,骨髄浸潤徴候である大腿骨遠位のエーレンマイヤーフラスコ変形および骨皮質内部の侵食像が見られる場合がある.MRI画像では骨髄病変の程度が分かり,梗塞を伴う線維症,もしくは梗塞を伴わない線維症が確認される.一般に,骨髄浸潤は体軸中心の骨から四肢骨へ広がり,下肢及び患部の近位部位で重症化する場合が多い.重症例を除けば,通常,骨端は浸潤を免れる.骨密度測定により骨減少症の進行程度の量的評価が可能である.
GDの骨疾患は血液学的症状及び内臓病変の重症度と相関がないようである.
GD1型の続発性神経学的疾患
GD1型患者では原発性中枢神経病変は見られないが,神経系合併症(脊髄・神経根の圧迫)が骨疾患 (脊椎圧迫骨折を伴う重症の骨減少症・長管骨骨折による塞栓等)や凝固障害(脊髄出血等)に続発して起こる可能性がある.
末梢神経障害が起こる確率はこれまで考えられていたより高い可能性がある.
肝脾腫
脾臓が腫大し(平均成人の容量50~200ccに対し1500~3000cc),汎血球減少症(貧血・白血球減少症・血小板減少症)を伴う脾機能亢進症が生じる.脾梗塞は急性の腹痛をきたす.稀に脾破裂により緊急手術が必要となる場合がある.
肝腫大はよく見られるが,肝硬変や肝不全は稀である.
汎血球減少症
未治療のGD患者のほぼ全員に血球減少症が認められる.貧血,血小板減少症,白血球減少症が同時に見られる場合もあれば別々に起こる場合もある.GDの血球減少症の現れ方は脾臓の状態による.
血小板減少症は脾機能亢進症,脾臓への血小板集積,骨髄の浸潤や梗塞によって生じる.自己免疫性血小板減少症も報告されているが,GD特異的治療にもかかわらず持続性血小板減少症が見られる患者とは区別するべきである.血小板減少症は,特に外傷,手術,出産時の内出血傾向もしくは出血過多の原因となる.出血リスクは凝固能異常がある場合に高くなる.
貧血は脾機能亢進症,血液希釈(出産など),鉄欠乏,ビタミンB12欠乏により起こる可能性がある.病状が進行すると,ゴーシェ細胞の浸潤や骨髄の梗塞による骨髄不全の結果,赤血球造血の減少が起こり貧血をきたす.
白血球減少症が治療を要するほど重症化することはめったにない.好中球機能障害が報告されている.
凝固異常
後天性凝固因子欠乏症には軽度の播種性血管内凝固症候群があり,また特定の遺伝性凝固因子欠乏症がある(アシュケナジーユダヤ人に見られる第IX欠乏症等).エジプト人GD1型患者の研究では,様々な凝固因子(フィブリノーゲン・第Ⅱ因子・第Ⅶ因子・第Ⅷ因子・第X因子・第XII因子)の異常が明らかになった.血小板数が正常であっても,血小板凝集能異常による出血傾向の可能性がある.
肺疾患
以下のような症状が見られる.
肝肺症候群に起因する,ばち指を伴う呼吸困難及びチアノーゼが肝機能不全患者で報告されているが,これは併発疾患(ウイルス肝炎等)によっても起こる.
明らかな肺疾患はないが易疲労感のため身体活動を制限しているGD1型患者では,循環障害を伴っている場合がある.
妊娠と出産
重症の肺高血圧症の女性を除き,GD患者の妊娠は禁忌ではない.
妊娠は既存の症状の悪化もしくは骨痛といった新しい症状発現といった形でGDの経過に影響を与える可能性がある.重度の血小板減少症や凝固異常を有する女性では分娩時に出血リスクが増す可能性がある.
血液学的所見の悪化により妊娠時に初めてGDの診断を受ける女性もいる.
その他
胆石症はGD成人患者に高率で見られる(66症例中21例).
心合併症,腎合併症は稀である.
悪性腫瘍
疫学研究ではGD患者に以下の悪性腫瘍のリスクが高いことが示されている.
これらの関連性を見出せなかった研究もある.
免疫異常
多クローン性高ガンマグロブリン血症を呈する小児や成人もいる.単クローン性高ガンマグロブリン血症の増加が成人患者で報告されている.末梢血におけるNKT細胞の増加により正常に機能する樹状細胞数が減少し,患者の細胞性免疫の発現プロファイルにも変化が見られた.
代謝異常
安静時基礎代謝量の高値(サイトカイン値の上昇によると考えられる),血中アディポネクチン濃度の低値,血中インスリン濃度の低値といった代謝異常はGDと関連がある.代謝亢進状態は甲状腺ホルモン抵抗性の変化とは関連がない.
アンギオテンシン転換酵素,酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ,フェリチン,キトトリオシダーゼ,PARC/CCL18の血中濃度は通常上昇する.総コレステロールとHDLコレステロールの血清濃度は低いことが多い.
骨代謝マーカー濃度に異常が見られるGD患者もいる.血清濃度の異常は,オステオカルシン,骨特異性アルカリホスファターゼ,マクロファージ遊走阻止因子蛋白1型α・β等で見られる.尿中濃度の異常は,尿ヒドロキシプロリン,遊離型デオキシピリジノリン,カルシウム等で見られる.しかし,臨床におけるこれらの所見の有用性はまだ確立していない.
精神的合併症
GD患者は身体へのこだわりやうつ症状といった中等度から重度の心理学的な合併症を呈する.
GD2型・GD3型(原発性神経疾患)
神経疾患
以前は,GD2型と3型との区別は神経学的徴候の発症年齢及び病状の進行速度に基づいていた.発症年齢が2歳未満で精神運動面の発育遅滞を伴い,急速な経過で2~4歳に死亡にいたる症例は2型と分類された.3型患者の発症年齢が2歳以下の場合もあるが,より緩徐な経過をとることが多く20歳代もしくは30歳代までの存命が可能な場合もある.しかしこれらの区別は絶対的ではなく,神経疾患型GDは最も軽度な水平衝動性眼振から最も重症な胎児水腫に至るまでの連続的な臨床像として捉えられるようになってきている.
延髄徴候には喘鳴,斜視,嚥下困難がある.
錐体路徴候には強直性発作,頭部の後屈,痙縮,開口障害がある.
眼球運動失行,衝動性眼球運動の開始障害,視運動性眼振はよく見られる.眼球運動障害は,慢性進行性の経過をとり重症の全身症状(重度の肝脾腫等)を呈するでは,眼球運動障害が独立の神経症状として認められる場合がある.
強直性間代性痙攣や進行性ミオクローニーてんかんが見られる患者もいる.
認知症や運動失調は慢性神経症状の後期に見られる.
聴性脳幹反応検査で異常な波形が見つかることがある(Ⅲ波・Ⅳ波).脳MRI画像では軽度の脳萎縮が見られる.(脳波検査,聴性脳幹反応検査,脳MRI画像診断における正常所見は神経系病変を否定する理由にはならない)周生期致死型
周生期致死型は肝脾腫,汎血球減少症,皮膚変化の顕微鏡所見(すなわち,グルコシルセラミド対セラミド比の変化による角質層の異常)を伴い,魚鱗癬やコロジオン皮膚異常といった臨床症状として現れる場合もあるが,非免疫性胎児水腫となることもある.関節拘縮や特徴的な顔貌が35~43%に見られる.
これ以外にGD重症例に伴う稀な臨床所見としては,水頭症,角膜混濁,足親指の変形,胃食道逆流症,脾臓及び肝臓被膜の線維性肥厚がある.
心臓血管型
D409Hアレルのホモ接合体患者は,大動脈弁と僧帽弁の石灰化を伴う心血管疾患を主とする非定型臨床型を呈する.加えて,軽度の脾腫,角膜混濁,核上性眼筋麻痺が見られる.
遺伝子型と臨床型の関連
有核細胞を用いた残存グルコシルセラミダーゼ酵素活性の測定値は,臨床病型や重症度と相関しない.
GDにおける遺伝子型と臨床型の相関は不完全である.様々な遺伝子型を持つ患者の間で臨床症状が大幅に重複しているため,予後に関する個別のカウンセリングを行うことはできない.
以下に掲げる所見は妥当なものである.GD1型
原発性神経疾患
周生期致死型
この稀なサブタイプでは,遺伝的異質性が顕著である.関連する所見を以下に掲げる.
心血管型
心血管型に特徴的な臨床所見に関しては十分な検討がなされていない.
84GG変異とIVS2+1変異
その他
臨床型の発現に影響を与える修飾遺伝子といった他の要因の存在が考えられるが,現時点で同定されているものはない.
頻度
オーストラリアからの研究では有病率は1:57,000と報告されている.オランダにおける同様の研究では10万人中1.16人である.
特異的アレルの創始者効果により,いくつかの民族集団で発症率が特に高くなっている.
非神経疾患型GD1型はアシュケナジーユダヤ人で多く見られる.有病率は1:855,保因者率は推定1:18である.
神経疾患型GD(2・3型)の頻度は民族によって様々であるが,非白人でより高率であるようだ.
サポシンC欠損症もしくはプロサポシン欠損症
サポシンCはGL1の加水分解におけるグルコシルセラミダーゼの共役因子である.サポシンCは第10染色体q21-q22上の遺伝子にコードされるプロサポシンがプロテアソームで切断されて生じる.サポシンC欠損症もしくはプロサポシン欠損症の患者は重症の神経疾患型GDに特徴的な症状(すなわち,慢性進行性垂直性眼筋麻痺,錐体路徴候,小脳徴候,ミオクロニー発作,全身性けいれん),もしくは非神経疾患を呈することがある.これらの患者ではGL1の蓄積と内臓巨大症が見られるが,in vitroのグルコシルセラミダーゼ酵素活性は正常である.
ライソゾーム病
GD所見はいくつかのライソゾーム病と重複していることがあるが,ライソゾーム病に特徴的な臨床所見,臨床施設で利用可能な生化学的検査所見,自然経過に関する所見により,両者は鑑別可能である.
肝脾腫
肝脾腫は,ニーマンピック病A型及びB型,ニューマンピック病C型,ウォルマン病,ムコ多糖代謝異常症(ムコ多糖代謝異常症Ⅰ型・ムコ多糖代謝異常症Ⅱ型),オリゴ糖鎖の蓄積症で見られる.以下の所見はGD患者には見られないため,GD以外のこのような疾患の診断へ向けた検査をすべきである.
ゴーシェ細胞
GDに特徴的な蓄積細胞は,ニーマンピック病C型など他の蓄積病で見られる蓄積細胞とは区別されなければならない.骨髄増殖性疾患や骨髄異形成疾患を含めた数々の血液疾患では,光学顕微鏡像がゴーシェ蓄積細胞と類似した「擬似ゴーシェ細胞」が生じる.ただし電顕像は似ていない.
ペルテス病
骨壊死はGDの主要所見であるので,小児でペルテス病が疑われる症例では,GDの可能性も考慮されるべきである.
先天性魚鱗癬及びコロジオン皮膚異常
これらは常染色体劣性の先天性魚鱗癬で見られる.
胎児水腫
胎児水腫はGM1ガングリオシドーシス,シアリドーシスⅠ型,ウォルマン病,ムコ多糖代謝異常症Ⅶ型(MPSⅦ),ムコ多糖代謝異常症IV型(MPS IV),ガラクトシアリドーシス,ニーマンピック病C型,播種性脂肪肉芽腫症(ファーバー病),乳児型遊離型シアル酸蓄積症(ISSD),ムコ脂質症Ⅱ型(I-セル病)といった他のライソゾーム病でも起こる.
ミオクロニー発作
ミオクロニー発作は,GM2ガングリオシドーシス,シアリドーシスⅠ型,α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ欠損症,フコシドーシスでも見られる.これらのライソゾーム病の他にも,いくつかの遺伝疾患が進行性ミオクロニーてんかんと関連があることが分かっている.
最初の診断時における評価
GDと診断された患者の病状の重症度評価に関しては「経過観察」を参照のこと.
治療前の基礎評価は治療手段や投与計画(酵素投与量及び点滴頻度)を決定する際に有用であろう.
診断時点での臨床検査の程度に影響する要素は以下の通りである.
病変に対する治療
米国では,GD治療を専門とする多分野の専門家からなる包括的なチーム医療がComprehensive Gaucher Centersで行われている.
酵素補充治療はGDの自然経過を変え,脾機能亢進症患者の脾摘を不要としたが,酵素補充治療を受けていない患者や他の患者は以下の対症療法を受ける必要がある.
ミグルスタットは酵素補充治療を受けていない軽度~中等度GD患者(アレルギーや過敏症患者,または血管確保が困難な患者)に対する最初の経口治療薬であり,カナダ,EU諸国,イスラエル,スイス,アメリカで承認されている.30人以上のGD1型患者を対象にした少なくとも3件の研究で,ミグルスタット治療の6~18ヵ月後に肝臓及び脾臓容量に有意な減少が見られたこと,また24ヶ月以上臨床症状の改善が見られたことが報告されている.骨疾患と血小板及びヘモグロビン値は安定もしくは若干の改善が見られた.ミグルスタット単剤治療の開始から6ヵ月で腰椎と大腿骨頸における骨密度の上昇が報告されている.臨床試験での最も起こりやすい副作用は体重減少(患者の60%),腹部膨満・鼓腸,下痢(80%)であり,治療薬を使い続けるにつれ消失または減少した.
重度の脾腫で梗塞部位が大きい患者や,出血リスクの高い重症の持続性血小板減少症患者には脾臓の部分的切除・全摘が実施される.
重度の貧血や重度の出血傾向を持つ患者に対しては血液製剤の輸血が行われる.酵素補充療法によって改善されない貧血と凝固障害に対しては,併発疾患の経過に対する迅速な検査を行うべきである.手術,歯科治療,出産に際しては,事前に血液専門医による評価が行われることが望まれる.
酵素補充療法中の患者の持続性骨痛に対しては器質的異常,すなわち病的骨折や骨壊死や変性性関節炎に続発する関節破壊,の可能性を除外できるか迅速に評価すべきである.
慢性疼痛をなくし機能を回復させる(関節可動範囲の改善)のために人工関節手術が実施される.人工関節手術を受けた患者の骨痛は人工関節の不具合を示唆する可能性もあり,再手術が必要となることもある.
ビスフォスフォネート及びカルシウム・ビタミンDの内服が骨密度の低いGD患者の症状改善につながる可能性がある.
多発性骨髄腫やパーキンソン症候群を疑わせる所見を伴うGD患者に対しては,適切な専門医が紹介されるべきである.
一次病変の予防
骨髄移植
酵素補充療法
酵素補充療法は,異化経路障害を改善し蓄積基質GL1の分解を可能とする,十分量の外因性酵素を投与する治療法である.
酵素補充療法は耐性が良好である.約10~15%の患者では静注酵素に対する抗体が形成されるが,このような患者の大多数は無症状である.副作用(掻痒,蕁麻疹等)は抗ヒスタミン薬の事前投与により比較的良好に抑えられる.
酵素補充療法を長期間継続すると,投与量に相関して骨喪失率の減少がみられ,骨痛が改善し,骨クリーゼは減少する.
神経症状に対する酵素補充療法の有効性はまだ確立していないが,ある程度の治療効果を示唆する報告が少数ある.
酵素補充療法とGD1型小児の経過観察に関して推奨コンセンサスが存在する.組織での半減期及び薬剤分布に関する知識が限られていること,また臨床経過の評価手段に限界があることが大きな原因となって,イミグルセラーゼ投与の至適用量・至適頻度は確立されていない.静注酵素はある特定の部位(脳,骨,肺等)では至適濃度に達していない可能性がある.患者の大多数は体重1kgあたり20~60単位のイミグルセラーゼの2週間に1度の静注で治療が開始される.治療開始後や維持療法期間には,反応性(すなわち造血系再構築,肝臓・脾臓の容量減少,骨所見の安定化や改善)に基づき酵素投与量が増量または減量されることがある.
酵素補充療法は高額なため,患者は保険関連の問題と保険金請求について援助を受ける必要があるかもしれない.
二次病変の予防
過度の出血防止のための,重症の血小板減少症患者や凝固能異常を伴う患者への抗凝固薬投与については血液専門医と相談すべきである.
経過観察
International Collaoratibve Gaucher Group Registry(ICGG) の米国地域コーデイネーターである複数の医師や他の団体が,重症度及び病状の進行度を継続して観察するための包括的な提言を出版している.
体重減少,疲労感,抑うつ症状,社会的家族的変化もしくは教育的職業的活動における変化,鼻や歯茎からの出血,月経過多,息切れ,腹痛,腹圧による早期満腹感,関節痛や運動可動範囲の減少,骨痛などの病歴は最低でも6~12ヶ月ごとに記録する.
身体検査は最低でも6~12ヶ月ごとに行う.心肺,関節可動域,歩行,神経学的状態,出血の有無(出血斑・点状出血)を記録すること.小児では,成長(標準成長曲線を用いた身長・体重・頭囲測定),思春期変化(タナー段階評価を用いる)にも目を配るべきである.神経学的評価は小児における2型及び3型の早期発見のために特に重要である.神経疾患型GDの神経学的所見を評価するために重症度評価スコアが開発されている.
ヘモグロビン濃度及び血小板数の測定頻度は,症状や治療状態に基づいて決定される.
手術や歯科治療に際しては,ヘモグロビン,血小板数,凝固能関連指標もまた事前評価されるべきである.
この他に医師が指示する血液検査には以下がある.
MRI画像もしくはvolumetric CT画像診断を用いて脾臓及び肝臓の容量測定を行う.同時に実質性異常も検出可能である.MRIやCTが利用困難な状態では,腹部超音波検査が実施される.腹部超音波検査では臓器容量及び実質性異常に関する情報が得られるだろうが,胆石の有無にも注意すべきだろう.小児患者にはMRI画像診断や超音波検査がよい.
肺動脈圧上昇を確認するために,心電図やドップラー心エコー検査が行われる.
大腿骨(前後像),脊柱(側面像),および患部の単純撮影が行われる.X線画像では緻密質石灰化層と骨髄層の両方の状態が写し出される.特に成長遅延や思春期発来の遅れが見られる小児では,骨年齢測定のために左手及び左手首のX線撮影が行われる.
T1強調MRI画像は,骨髄浸潤を追跡する最も感度の高い方法である.T2強調MRI画像は活動性の骨梗塞,骨壊死,骨髄炎を検出する最も感度の高い方法である.小児期から早期成人期の正常な変化である細胞髄(赤色)から脂肪髄(黄色)への発達に伴う変化が,15歳以下の小児患者のゴーシェ細胞(脂質蓄積マクロファージ)による骨浸潤の程度を評価する際に混乱をもたらす可能性がある.継続した評価を容易にする半定量法(BMBスコア・造影MRIスコア)が開発されている.
二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)により病的骨折リスクが確認できる. 99m-テクネシウム硫黄コロイドを用いたシンチスキャンにより浸潤の位置及び程度が分かる.定量的MRI化学シフト画像では骨髄浸潤マーカーとして骨髄脂質層の減少量を測定することができる.
回避すべき薬物や環境
非ステロイド系抗炎症薬は中等度~重度の血小板減少症患者では回避すべきである.
リスクのある親族の検査
リスクのある無症状の親族に検査を提供することは適切である.これによりグルコシルセラミダーゼ酵素欠損症の親族,もしくは2個の病原性アレルを持つ親族は早期の診断及び治療により病状を軽減できる.
遺伝カウンセリング目的で行われる,リスクのある親族の検査に関する問題については「遺伝カウンセリング」を参照のこと.
研究中の治療法
酵素補充療法
現在,ヒト細胞の遺伝子活性化や遺伝子導入植物細胞(ニンジン)を用いて産出される新たな組み換え酵素製剤が臨床試験段階にある.これらの酵素製剤も細胞への取り込み増進のためマンノース残基を持つが,イミグルセラーゼとは異なった過程で作られている.
基質抑制療法
基質抑制療法は,患者に残存している酵素活性で効果的な分解が可能なレベルまで基質前駆体合成量を抑制することにより(最終的には異化過程に取り込まれる),代謝恒常性を回復することが目的である.基質抑制療法で起こりうる問題点はその特異性である.すなわち,産生が阻止もしくは制限される基質が他のスフィンゴ糖脂質(ガングリオ系列及びラクト系列)の前駆体であるという点である.
現在臨床試験段階の新しいグルコシルセラミダーゼ合成酵素阻害薬(Genz-112638)は,GDマウスモデル(D409V/null)において蓄積基質の減少に効果的であったことが示されている.
酵素補充療法から基質抑制療法への転換,もしくは両者の併用療法は可能である.基質量の減少(基質抑制療法)と外因性酵素の投与により酵素の投与量及び投与頻度を調節することが可能となり費用効率の高い治療が可能となるだろう.しかし,これらの薬剤の長期的安全性は慎重に評価する必要がある.
シャペロン仲介型酵素活性増強療法
競合型,可逆的に活性部位を阻害する人工シャペロンは,欠陥酵素が小胞体に輸送される際,折りたたみに対する鋳型として作用する.このような薬剤はライソゾーム内の酵素活性を回復させ,蓄積基質を分解する可能性がある.培養線維芽細胞でのin vitro研究でこのような特性を示すことが明らかにされているイソファガミン(isofagamine)は,現在GD1型成人患者に投与された場合の安全性と有効性の確立に向けた臨床試験段階である.
遺伝子治療
遺伝子治療は造血幹細胞へのGBA遺伝子導入である.症例数は限られているが,導入細胞から多少の酵素が産出された.しかし酵素産出は持続せず根治的治療に至らなかった.導入細胞の増殖能が他の細胞に対して低かったためであると考えられる.さらに言えば,ごく少量の酵素が分泌され血液循環に入ったところで大きな代謝的相互相関は起こりにくいと考えられる.
GDマウスモデル(D409V/null)では,ヒトグルコシルセラミダーゼを産出する組み換えAAV8血清型ベクターの静注により,持続した肝酵素分泌が見られた.未発症マウスではGL1蓄積の抑制が,老齢マウスではGL1レベルの正常化が見られた.
種々の疾患に対する臨床試験治験についてはClinicalTrials.govを参照のこと.
その他
GD患者におけるいくつかのマーカー(Dダイマー,CCL18/PARC,CD163など)の血清濃度の上昇は,治療効果を経過観察する上で有用な指標となりうると考えられる.しかし,これらのマーカーにより予後診断が可能であるか,臨床的重症度による患者分類が可能であるか,治療開始最適時期の決定が可能であるかといった点に関しては不明である.
Genetics Clinicsは患者や家族が自然経過,治療,遺伝形式,患者家族の遺伝的発症リスクに関する情報を提供とするとともに,患者サイドに立った情報も提供する.
支援グループは,患者やその家族に情報,支援,他の患者との交流の場を提供する.「関連情報」には疾患別の支援グループや複数疾患にまたがった支援グループが掲載されている.
「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」
遺伝形式
GDは常染色体劣性形式で受け継がれる.
患者家族のリスク
発端者の両親
発端者の同胞
受精段階で,患者の同胞が罹患する確率は25%,無症状の保因者となる確率は50%,罹患もせず保因者ともならない確率は25%である.
リスクのある同胞が発病しないと分かった場合,この同胞が保因者である確率は2/3である.
ヘテロ接合体は無症状である.
発端者の子
ある集団ではGD保因者率が高いため,患者が子どもを持つ場合,パートナーがヘテロ接合体である可能性が高く発症リスクが増す.例えば,アシュケナジーユダヤ人ではGD保因者である確率は18人中1人である.このような集団や発端者の子の発病リスクは50%,絶対的ヘテロ接合体(保因者)となる確率は50%である.
発端者の他の家族
保因者診断
ヘテロ接合体と一般集団(非保因者)の残存酵素活性レベルが大幅に重複しているため,末梢血白血球グルコシルセラミダーゼ酵素活性測定による保因者診断の信頼性は低い.
病原性変異が家系内で同定されている場合,分子遺伝学的検査をリスクのある親族への保因者同定に用いることが可能である.
4種類のよく見られるGBAアレル(N370S・L444P・84GG・IVS2+1)に対する検査は,アシュケナジーユダヤ人に対する保因者スクリーニング検査用パネルに含まれている.
ある集団におけるGD頻度が高いこと(アシュケナジーユダヤ人を祖先に持つ人等),そしてN370S/N370S臨床型が多様であることから,保因者検査を受けた人がホモ接合体と同定される可能性がある.
特にGD頻度が高い民族で,保因者もしくは患者であるパートナーに対する受精前検査の要望があることがある.この場合,既知の変異の分析では不十分であり,遺伝子全域のシークエンス解析が実施されるべきである.遺伝カウンセリングに関連した問題
家族計画 遺伝的リスクの評価や保因者診断,出生前診断の可否についての検討は妊娠前に行われるのが望ましい.罹患もしくは保因者の可能性がある若年成人に対しては,子どもへの遺伝の可能性や挙児に関する選択肢を含めて遺伝カウンセリングの提供がなされるのが適切である.
DNAバンキング DNAバンクは主に白血球から調製したDNAを将来の使用のために保存しておくものである.検査法や遺伝子,変異あるいは疾患に対するわれわれの理解が進歩するかもしれないので,DNAの保存は考慮に値する.ことに現在用いられている分子遺伝学的検査の感度が100%ではないような疾患では特に重要である.
出生前診断
出生前診断はリスクが高いと考えられる妊娠に対して提供される.出生前診断は,10-12週*に行う絨毛採取や通常胎生15-18週に行なう羊水穿刺によって胎児細胞を得てグルコシルセラミダーゼ活性を測定する.もし両親やすでに生まれた同胞でGBA遺伝子の病原性変異が同定されている場合は,酵素活性測定の結果を遺伝子解析によって補強することができる.
注:胎生週数は最終月経の開始日あるいは超音波検査による測定に基づいて計算される.
同胞が神経症状を呈している場合(2,3型)を除き,妊娠中に児の臨床的重症度を予測することはできない.急性神経症状を呈する(2型)症例は比較的似た臨床経過をたどる傾向がある.しかし慢性神経症状を伴う例(3型)では,同じ家系内の患者でも病状の進行が多彩であることに留意しておく必要がある.
GDに治療法が存在する疾患に対して出生前診断を求められることは多くない.特に遺伝子検査が早期診断よりも中絶を目的として考慮される場合は,医療関係者と家族の間では出生前診断に対する見解の相違が生じるかもしれない.多くの医療機関では最終的には両親の意思を尊重するとしているが,この問題については注意深い検討が求められる.
着床前診断は家系内の病原性変異が明らかになっている場合,技術的に可能である.
訳注:日本では行なわれていない.