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プラダー・ウィリ症候群
(Prader-Willi Syndrome)

[PWM, Prader-Labhart-Willi Syndrome]

Gene Review著者: Daniel J Driscoll, MD, PhD, FACMG, FAAP, Jennifer L Miller, MD, MS, FAAP, Stuart Schwartz, PhD, FACMG, and Suzanne B Cassidy, MD, FACMG, FAAP.
日本語訳者: 江田 肖(瀬戸病院 遺伝診療科) ,櫻井晃洋(札幌医科大学遺伝医学)
Gene Review 最終更新日: 2014.1.23 日本語訳最終更新日: 2014.10.28

原文 Prader-Willi Syndrome


要約

疾患の特徴 

Prader-Willi症候群(PWS)は乳児期早期の重度の筋緊張低下と摂食障害,その後、乳児期後期〜小児期早期に始まる過食と,徐々に進行する病的肥満症(外部から摂食をコントロールされない場合)を特徴とする.運動発達や言語発達が遅れる.すべての患者にある程度の認知障害がみられる.独特の行動特徴(かんしゃく発作,頑固な性格,他人を操作しようとする行動,強迫的性格)はよく認める所見である.性別を問わず、性腺機能低下症は性器形成不全や思春期発育不全として認められ,不妊症である場合がほとんどである.一般的に低身長で、特徴的顔貌,斜視,側彎をしばしば認める.肥満の患者ではインスリン非依存性糖尿病がしばしば起こる. .

診断・検査 

正確でコンセンサスを得た臨床診断基準は確立されているが、診断はDNAメチル化解析を用いて、15番染色体にあるPrader-Willi責任領域(PWCR)に異常な親特異的インプリティングの検出によって確定される.DNAメチル化解析は、PWCRが母親のみから受け継いだものか(すなわち父親由来の領域の欠失)を調べ,罹患者の99%以上を診断できる.DNAメチル化解析はすべてのPWS患者の確定診断に重要であるが,臨床所見が非典型的な患者や十分な臨床症状を呈していない乳幼児ではとりわけ重要である.

臨床的マネジメント 

症状の治療: 乳児期には,十分な栄養を摂取するために特殊な乳首や経管栄養が必要;理学療法は筋力向上に役立つ;停留睾丸に対してホルモン療法および外科的処置が考慮される.小児期には,体重増加を制限(BMI<30)しながら,毎日の食事量を身長,体重,BMIに基づく必要なエネルギー量以内に厳しく管理する必要がある;成長ホルモン補充療法は身長を正常化し,除脂肪量(LBM)と可動性を増加させ,脂肪量を低下させる.睡眠障害に対する評価および治療は,一般的な場合と同様に行う.教育計画が必要であり,場合によっては言語療法を行う.行動上の問題には,厳格な制限の設定が必要である;セロトニン再吸収抑制薬は多くの患者に有効である.性ホルモン補充療法は十分な二次性徴を促す.トピラメート(抗てんかん薬)は一部の患者に皮膚のかきむしりを抑える効果がある.モダフィニル(中枢神経興奮薬;ナルコレプシー治療薬)は小児期における日中の異常な眠気を治療した成功例がある.成人期には,PWS患者専用のグループホームで行動や体重管理を調整することによって、病的肥満を予防できる可能性がある;成長ホルモンは筋肉量の維持に役立つ.

二次的合併症の予防:糖尿病の予防に体重管理;骨粗鬆症の予防にカルシウムとビタミンDの補充を行う.骨粗鬆症を発症した場合、ビスホスホネート製剤による治療を考慮する.

サーベイランス:乳児に対する斜視のスクリーニング検査;運動プログラムと食事プログラムの適切性を確認するための身長,体重及びBMIの定期的モニタリング;年に一回の甲状腺機能低下症の検査.

その他:過食症のコントロールに役立つ薬物治療はまだない.

遺伝カウンセリング 

PWSの原因は父由来の15番染色体にあるPWS/AS(アンジェルマン症候群)領域(15q11.2-q13)において、インプリンティング遺伝子発現の欠失によって引き起こされる.その欠失は幾つかの遺伝的メカニズム(父由来15番染色体領域の欠失、母型片親性ダイソミー、稀にインプリティング異常)のを含む.PWS患児同胞のリスクは発症の遺伝的メカニズムによる.欠失型あるいは片親性ダイソミー型の場合には同胞のリスクは1%未満,インプリティング異常の場合には、同胞のリスクは最大50%、親が染色体転座の場合には同胞のリスクは最大25%である.事前に家系での遺伝的原因が分かっていれば,出生前診断は可能.


診断

臨床診断

1993年に提唱されたプラダー・ウィリ症候群(PWS)の診断基準 [Holm et al 1993]は,後にその正確さが証明され [Gunay-Aygun et al 2001],現在でも臨床的に使用されている.しかし,診断基準が提唱された当時には普及していなかった分子遺伝学的検査は,現在では確定診断に必要である.
診断基準を満たし、且つ分子遺伝学的にPWSと診断された患者の検討に基づいた、診断的検査を進めるべき所見がすでに報告されている [Gunay-Aygun et al 2001].これらの所見は患者の年齢層によって異なる.下記各年齢層のすべての所見を有する患者にPWS領域のDNAメチル化解析を行うのは適切である(分子遺伝学的検査の項を参照する).

生後〜2歳 

  • 筋緊張低下を伴う新生児期の哺乳不良

2歳〜6歳

  • 哺乳不良の既往を伴う筋緊張低下
  • 全般的な発達遅滞

6歳〜12歳

  • 哺乳不良を伴う筋緊張低下の既往(筋緊張低下はしばしば残存する)
  • 全般的な発達遅滞
  • 制限されていなければ,中枢性肥満を伴う過食症

13歳〜成人

  • 認知障害,通常軽度の知的障害
  • 制限されていなければ,中枢性肥満を伴う過食症
  • 視床下部性の性腺機能低下および/または典型的な問題行動

検査

細胞遺伝学的検査/FISH法

PWS患者の約70%は1本の15番染色体において、15q11.2-q13領域の欠失を認める.この欠失は高精度染色体分染法とFISH法で検出される.

注:この典型的な欠失は、遠位切断点BP3から2つの近位切断点BP1とBP2のどちらかまでによって、二つの欠失サイズに分けられる.臨床で用いられるFISH法ではこの2つの欠失とも検出できるが、両者の鑑別はできない.欠失例の約8%では上記以外の非典型的欠失が見られる [Kim et al 2012] .

患者の約1%には,15q11.2-q13領域の欠失を引き起こした染色体再構成を検出できる。

15q11.2-q13領域に切断点をもつ均衡型染色体転座は患者の1%未満である.これらは染色体検査およびFISH法で検出される.

分子遺伝学的検査

GeneReviewsは,分子遺伝学的検査について,その検査が米国CLIAの承認を受けた研究機関もしくは米国以外の臨床研究機関によってGeneTests Laboratory Directoryに掲載されている場合に限り,臨床的に実施可能であるとする. GeneTestsは研究機関から提出された情報を検証しないし,研究機関の承認状態もしくは実施結果を保証しない.情報を検証するためには,医師は直接それぞれの研究機関と連絡をとらなければならない.―編集者注.

遺伝子  PWS患者の99%以上は,PWS責任領域(PWCR)内にある親由来特異的DNAメチル化インプリティング異常を認める.

臨床検査

  • DNAメチル化解析 DNAメチル化解析はPWSの3つのメカニズム(父由来領域の欠失、15番染色体母型片親性ダイソミー[UPD]とインプリティング異常[ID])を同時に検出し、さらに欠失例においてアンジェルマン症候群(AS)との鑑別診断ができる唯一の検査方法である[Glenn et al 1996Kubota et al 1996Glenn et al 1997].遺伝カウンセリング目的以外の確定診断にはDNAメチル化解析は十分である.この解析では両親のDNAサンプルがなくても、母由来と父由来のアレルを区別できる.現在最も広く応用されている解析方法はSNURF-SNRPN座位(通常SNRPN)の5’ CpGアイランドを標的とし、PWS症例の99%以上を正確に診断できる [Glenn et al 1996Kubota et al 1997].SNRPNのプロモーター、エクソン1とイントロン1の領域において、父由来アレルはメチル化されず発現するが、母由来アレルはメチル化され発現しない.健常者はメチル化と非メチル化のSNRPN遺伝子アレル両方を持つのに対し、PWS患者は母由来のメチル化されたアレルのみを持つ.メチル化特異的MLPA(MS-MLPA)はこの領域がどの親由来なのかを決めるために有用である [Kim et al 2012].

DNAメチル化解析は診断の第一選択とされるべきだが、分子遺伝学的メカニズム(欠失、UPDあるいはID)を鑑別することができない.そのため、PWSの診断はまずDNAメチル化解析で確定し、次のステップとして分子遺伝学的メカニズムを特定する.発症メカニズムの特定は遺伝カウンセリングおよび遺伝型−表現型の相関に重要である.

  • FISH法または染色体マイクロアレイ(CMA)による欠失解析 15q11.2-q13欠失は通常、SNRPNプローブを用いたFISH法による染色体解析で確定される[Glenn et al 1997]. 臨床遺伝学領域に染色体マイクロアレイ(CMA)の使用が増えており、PWS(およびAS)欠失の確定にはアレイがFISH法にとって代わるであろう.しかし、どの技術も独自の利点がある.CMAは欠失サイズを正確に同定することができる.欠失サイズは将来、遺伝型−表現型の相関を予測するには重要になると予想される [Kim et al 2012]. しかし、CMAは15番染色体近位部が関与する稀な染色体再構成(転座および挿入)を検出できない.これらの染色体再構成は再発率を決めるときに重要であり、同時核型解析およびFISH法によって検出される.遺伝カウンセリングの場合、15q11.2領域を含む均衡型あるいは非均衡型転座と新規突然変異(de novo)を鑑別するために、発端者に染色体検査を行う.表現型がより重度な場合、より大きい欠失あるいはそれ以外の染色体異常の有無を確認するために、CMAが行われることがある.
  • 片親性ダイソミー(UPD)解析 UPDの検出はDNA多型解析、通常一塩基多型(SNP)あるいはマイクロサテライト解析によって行われる.UPD解析は発端者およびその両親のDNAサンプルが必要である.SNPベースのCMAは母型UPDの一部を検出できるが、DNA多型解析はゴールドスタンダードである.
  • インプリティング異常(ID)解析 両親から15番染色体を一本ずつ受け継いだが、DNAメチル化解析で母由来のものしか発現していないという結果を得た患者はインプリティング異常(ID)を疑われる.
    • IDの原因はインプリンティングセンター(IC)における微小欠失であり、DNAシーケンス解析あるいはPWS-SRO(最小重複領域)のMLPA法で検出できる.
    • ほとんどの場合、IDはエピミュテーション(DNA配列ではなく、インプリティングに生じた変化)であり、シーケンス解析では検出できない [Buiting et al 1998Buiting et al 2003,Horsthemke & Buiting 2006].

表1 プラダー・ウィリ症候群で使われる検査

検査方法

検出変異のタイプ1

患者の割合

DNAメチル化分析2

欠失、UPD&ID

>99%

MS-MLPA3

欠失、UPD&ID

>99%

FISH4

欠失

65〜75%

DNA多型5

UPD&ID

20〜30%

CMA6

欠失

65〜75%

DNAシーケンス7

IC欠失を伴うID

<1%

UPD=片親性ダイソミー
ID=インプリティング異常
IC=インプリティングセンター

  1. アレル変異の情報は分子遺伝学の項を参照すること.
  2. 各タイプを鑑別できないが、サザンブロットあるいはメチル化特異的PCRで行われる.
  3. MS-MLPA(メチル化解析MLPA)
    ・片親ダイソミー(UPD及びID)と欠失を鑑別できる
    ・五つの親特異的メチル化サイトを検出できる
    ・UPDとIDの鑑別ができない
    ・大よそなサイズ欠失の評価およびタイプ1とタイプ2欠失を鑑別できる(Figure 2を参照する)
    ・ほとんどのIC及びSNORD116微小欠失を検出できる(Figure 2; 分子遺伝学的病因の項を参照する)
  4. FISH法は通常核型検査と合わせて行われる.FISH法で得られる情報はAS/PWS領域および使用する解析プローブ(例:SNRPN)に限る.FISH法は全AS/PWS領域の欠失や微小欠失を検出できない.また、AS/PWS領域以外の染色体に関する情報を得られない.さらに、正常、UPDおよびIDの鑑別もできない.
  5. 第一選択ではない.DNAメチル化解析でPWSと診断され、FISH法やCMA解析で片親ダイソミーを検出された場合に行われる.
  6. 染色体マイクロアレイ(CMA)の欠失検出率はFISH法よりわずかに高く、欠失のサイズに関する詳細な情報を得られる.さらに、CMAはそれ以外のゲノムにおける欠失、重複に関する情報も得られる.精度は染色体検査やFISH法より遥かに高い.CMAはSNORD116微小欠失(Figure 2および分子遺伝学的病因の項を参照する)や一部のUPDも検出できる.
  7. DNAシーケンシングは非常に高精度でIDを検出でき、エピミュテーションとIC欠失の鑑別もできる.この検査は4.3Kb以下のPWSインプリティングセンターの最小重複領域(SRO)に限る [Ohta et al 1999].この領域は遺伝子マップの25,196,494から25,200,794bpに位置する [UCSC Genome Browser, hg19].

検査手順

発端者の確定診断 DNAメチル化解析はPWS全タイプの診断ができる.さらに、CMAやFISH法で15q11.2の欠失を認めた症例において、ASとの鑑別診断もできる.
PWSのDNAメチル化解析は臨床診断には十分である(遺伝カウンセリングにはそうではない).包括的検査手順はFigure 1を参照すること.

fig1

Figure 1.プラダ−ウィリ症候群(PWS)の遺伝学的検査の手順
FISH=蛍光in situハイブリダイゼーション法
CMA=染色体マイクロアレイ
UPD=片親性ダイソミー
IC=インプリティングセンター

MLPA=multiplex

再発リスク評価 DNAメチル化のパターンが母由来のみと特徴つけられる場合,遺伝カウンセリングの目的で、PWSの分子遺伝学的メカニズム(欠失,片親性ダイソミー,インプリティング異常)を特定すべきである(Figure 1).

最初にFISH法で15q11.2-q13欠失を検索するのが最も効率的である.同時に細胞遺伝学的検査を行えば,転座や15q近位部を含むほかの異常も検出できる.染色体マイクロアレイ(CMA)の使用が増えており、PWS(およびAS)欠失の確定にはアレイがFISH法にとって代わるかもしれない.しかし、どの技術も各自の利点がある.CMAは欠失サイズを正確に検出でき,これは今後遺伝型−表現型の相関を予測するのにますます重要となるだろう [Kim et al 2012]. しかし、CMAは15q近位部に起きた稀な染色体再構成(転座や挿入)を検出できない.これらの染色体再構成は再発リスクの決定に重要であり、同時核型検査やFISH法によって検出される.遺伝カウンセリング目的とする場合、15q11.2領域を含む染色体再構成(均衡型あるいは非均衡型)と間質性新規突然変異を見分けるために、発端者に染色体検査を行うのが望ましい.典型的なPWS表現型よりも重い場合、ほかの染色体座位の大きい欠失や染色体異常の有無を確認するために、CMAを行うべきである.
欠失やほかの染色体異常が検出されない場合は,DNA多型解析を行う(発端者および両親の血液が必要).

片親性ダイソミーが検出されない場合は,インプリティングセンター(IC)の微小欠失解析を行うために、専門施設へ紹介する.

出生前診断 リスクのある妊娠に対する出生前診断は,家系内における病的変異(欠失,片親性ダイソミー,インプリティング異常)が事前に分かっていることが条件である.

遺伝学的関連(対立遺伝子の)疾患

アンジェルマン症候群(AS)は母由来のPWS/AS領域の欠失によって起こり、臨床上PWSと区別される.
母由来PWS/AS領域の重複は,精神遅滞,痙攣,自閉症の原因となる.


臨床像

自然経過

胎児の大きさは一般に正常である.胎児期の筋緊張低下は通常,胎動の減少や分娩時の異常胎位を起こし,補助分娩や帝王切開の頻度が上昇する.

乳児期の筋緊張低下はPWSのほぼ全例に認める所見であり,自発的に覚醒することの少ない体動減少や傾眠傾向,弱い泣き声,哺乳力低下を伴う反射減弱の原因となる.筋緊張低下は元々中枢性であり,診断目的で実施される筋生検を含

神経筋の検査では,一般に正常もしくは筋肉の長期不使用による非特異的所見を示す.
乳児初期には,哺乳力の低下や傾眠傾向が成長不良を引き起こす.時期は様々であるが、通常生後数週間から数カ月の間に,経管栄養や特別な乳首の使用が必要になるのが普通である.自らコップから飲んだり、固形物を食べたりする頃には,一定の期間ではほぼ正常な摂食行動がみられる.

筋緊張低下は時間経過とともに改善される.成人期でも筋肉量の減少や軽度の筋緊張低下がみられる.

運動発達遅滞はPWS患児の90〜100%に見られ,早期運動機能の獲得は平均して通常の2倍の時間をかけて達成される(お座りは12ヶ月,歩行は24ヶ月など).通常,言語発達も遅れる.精神遅滞は,患児が学齢期に達する頃までに明らかになる場合が普通である.検査をするとPWS患者の大多数は軽度精神遅滞が認められる(平均IQ 60〜70台).約40%が境界領域あるいは正常下限であり,約20%は中等度の精神遅滞を示す.IQの測定値にかかわらず,大多数のPWS患児には,多方面で重度な学習障害がみられ,知能にしたがった低い学業成績を示す.患者の中で極端な言語面での発達障害を示す者の割合は低く,大多数の患者の言語能力は優れている.

性別に関わらず性腺機能不全が認められ,生殖器低形成,不完全な思春期の発育,不妊症を大部分の患者で認める.生殖器低形成は出生時から明らかであり,一生継続する.

  • 男性の場合,ペニスは小さいかもしれないが,最も特徴的なのは,小さくて,ひだの少ない,低色素の陰嚢である.片側あるいは両方の停留睾丸が患者の80〜90%に認められる.
  • 女性の場合、生殖器低形成は,しばしば見落とされるが、大陰唇,小陰唇および陰核は,一般的に出生時から小さい.

性腺機能不全は通常血清ゴナドロピンの低値を伴い,思春期発育の不完全や遅れ、時に思春期発育障害の原因となる.副腎皮質性思春期早発症が約15〜20%の患者に起こる.不妊症が一般的であるが,女性患者の妊娠が数例報告されている [Akefeldt et al 1999Schulze et al 2001; Vats & Cassidy, unpublished data]. PWSの性腺機能低下は視床下部異常が原因であると思われていたが、最近の研究では視床下部異常と原発性性腺異常を合併することが示唆されている [Eldar-Geva et al 2009Hirsch et al 2009Eldar-Geva et al 2010].その理由は低ゴナドトロピンの欠乏およびインヒビンBの異常な低値は性別に関わらず一部の患者に見られるからである.

2歳から35歳のPWS患者84人を対象とした研究(男女半数ずつ)で確認されていることは以下の通りである [Crino et al 2003]:

  • 男性:停留睾丸100%,小睾丸76%,陰嚢低形成69%
  • 女性:小陰唇や陰核低形成が76%,原発性無月経が56%,15歳以上の自然初潮が44%
  • 両性:早発恥毛14%,性的早熟3.6%(男性1例,女性2例)

PWS患者は、栄養学的に2つの時期に分かれると思われていた(哺乳障害の後に、過食による糖尿病).しかし、最近の共同研究 [Miller et al 2011] によれば、PWS患者の栄養摂取の変化はより複雑で、通常7つの異なる時期を経験する(Table 2).

Table 2 PWS患者の栄養摂取

時期

平均年齢

臨床的特徴

0

胎児期〜出生時

胎動の減少&兄弟に比べて、低体重

1a

0〜9ヶ月

哺乳障害と食欲低下を伴う筋緊張低下

1b

9〜25ヶ月

哺乳力と食欲の改善、適度な成長

2a

2.1〜4.5歳

食欲増加や過剰カロリー摂取がないのに、体重増加

2b

4.5〜8歳

食欲とカロリー摂取の増加、満腹感が得られる

3

8歳〜成人期

過食、満腹感がほとんど得られない

4

成人期

一部の患者ではむやみな食欲がなくなる

Miller et al [2011]

PWS患者の過食は視床下部異常による充足感の欠乏が原因と思われる.食べ物をため込んだり、あさったり,食べられないものを食べたり,食物を盗んだり,食物を買うお金を盗んだりする食物捜索行動が日常である.多くの場合、胃内容排出は遅延するが、嘔吐は稀である.肥満はこれらの行動や総カロリー必要量の低下から起こる.総カロリー必要量低下の原因は活動量の減少と除脂肪量(LBM)(主に筋肉)の低下による安静時エネルギー消費量の減少である.性別に関わらず、PWS患者の肥満は主に体の中心部(腹部、臀部、大腿部)に集中し、興味深いところ、肥満の程度に比して内臓脂肪は一般の肥満者より少ない.肥満およびその合併症は本疾患の主な有病率と死亡率の原因となる(有病率と死亡率の項を参照する).

小児期後半や成人期のPWS患者は食前と食後のいずれにおいても、グレリンの値が著しく上昇したと別々の研究グループによって報告されている [Cummings et al 2002Delparigi et al 2002Haqq et al 2003b]. グレリンは主に胃から分泌され、体内に循環する強力な食欲ホルモンの1つである.血中グレリン値は空腹時に上昇し、摂食によって抑えられる.食欲誘発効果は視床下部の食欲調節経路に作用することによる.一般の肥満者のグレリン濃度はPWS患者より低く、しかも年齢と共に減少する [Scerif et al 2011].

9名の食欲過剰でないPWS小児患者(月齢17〜60)に関する研究では、BMI、年齢や性別が一致した対照群に比べ、血中グレリンのレベルはほぼ同程度であった [Erdie-Lalena et al 2006]. しかし、規模がより大きい、対象者年齢もより若い40名のPWS小児および青年患者(0.2歳〜17.2歳、平均年齢:3.6歳)に対する調査によると、PWS患者群のグレリン値は84名のBMIが一致する対照群より明らかに高かった [Feigerlová et al 2008]. 実際に、PWS患者群におけるグレリンの最高値は最も若い小児に認められた.つまり、高グレリン血症は糖尿病や食欲増加よりも早く現れていた.さらに、短期あるいは長期作用の薬剤によるグレリンへの抑制は食欲過剰患者の体重、食欲または摂食行動に影響がないことがいくつかの研究で分かった [Haqq et al 2003aTan et al 2004DeWaele et al 2008]. 現在、PWS患者の食欲過剰を説明できる継続的なホルモン異常は確認できず、食欲過剰と代謝の相関もまだ不明である.

PWS成人患者(特に高度肥満患者)の25%は、平均発症年齢20歳で2型糖尿病を発症する[Butler et al 2002] .
甲状腺刺激ホルモンの値が正常で、遊離チロキシンが低い中枢型甲状腺機能低下症はPWS患者の25%に認められる[Miller et al 2008Diene et al 2010].診断と治療の平均年齢は2歳である.

一晩単用量メチラポン(下垂体機能検査薬−訳者注)検査では、中枢性副腎機能低下症がPWS小児患者の60%を占めるとの報告がある [de Lind van Wijngaarden et al 2008] .これはこの研究集団における高い突然死率の原因かもしれない.成長ホルモン(GH)療法はコルチゾールの末梢代謝を促進するため、診断されていない副腎機能不全患者に急性副腎機能障害をきたすことがある.これはGH療法開始時の突然死と中枢性副腎機能低下症の発生率との相関が見られる原因かもしれない [Scaroni et al 2008].しかし、その後の研究によると、低用量と高用量のACTH負荷検査およびインスリン負荷試験に対し、PWS患者のコルチゾール応答は正常であることが分かった [Nyunt et al 2010Farholt et al 2011].従って、中枢性副腎機能低下症がPWS患者にとって本当の問題なのかは現在まだ不明である.すべてのPWS患者に副腎皮質機能評価を行うべきなのか、それとも副腎機能不全の所見のある患者のみに行うべきなのかは、内分泌専門医の中でもコンセンサスができていない.

睡眠障害はよく報告されており,REM睡眠潜時の低下,睡眠構築の変化,酸素飽和度の低下,中枢性および閉塞性無呼吸がみられる [Festen et al 2006Priano et al 2006].原発性視床下部機能障害は睡眠時換気の睡眠のミクロ構造の変化と睡眠時呼吸異常の原因と考えられており,髄液のオレキシンおよびヒポクレチンの低値と脚橋被蓋核のアセチル・コリン作動性ニューロンの減少が認められている[Dauvilliers et al 2003,Nevsimalova et al 2005Bruni et al 2010Hayashi et al 2011].一部のPWS患者はナルコレプシー様の異常な日中の眠気があり、急速に開始するレム(REM)睡眠とノンレム(non-REM)睡眠の減少を伴う [Bruni et al 2010].

特徴的行動特性が患者の70〜90%に見られ,小児期早期から明らかになる.かんしゃく,頑固さ,他人に対する制圧的・操作的態度,強迫的な特徴,日常で変化への対応困難などがある.

  • PWSに特徴的行動の多くは自閉症を思わせる.59人のPWS患者に対して,年齢,性別,IQそれぞれ一致する対照群を設定して行われた最近の研究では,PWS患者の19%が自閉症の診断基準を満たし,対照群では15%であった [Descheemaeker et al 2006].
  • 58人の子どもを対象に行われた別の研究では,注意欠陥/多動と、同一性へのこだわりが多くみられた.発症は早期であった [Wigren & Hansen 2005].
  • これらの行動障害は成人期ではかなり減少するが [Dykens 2004],年齢とBMIの増加とともに増えるとの報告もある[Steinhausen et al 2004].
  • 精神症状は若い成人患者の10〜20%に認められる [Boer et al 2002Clarke et al 2002Vogels et al 2004].

行動障害や精神症状は,青年期と成人期においてQOLを最も障害する.

低身長は,小児期に明らかでなくても,成長ホルモン(GH)補充療法が行われなければ,通常10 歳代に明らかとなる.思春期の急伸長がないため,平均身長は男性で155 cm,女性で148 cmとなる.手と足はゆっくり成長し,一般的に10歳までに5パーセンタイル以下である.成人女性の足サイズの平均は,20.3 cm,男性の足サイズは,22.3 cmである.
300人以上の患児に対する15以上の研究データ [Burman et al 2001] によると,PWS患児に成長ホルモン分泌の減少が見られる.成長ホルモン障害はPWS成人患者にも見られるS [Grugni et al 2006Hoybye 2007].

特徴的顔貌(前額横径の狭小,アーモンド形の眼瞼裂,狭い鼻梁,薄い上唇と下向きの口)は,出生時には明白である場合とない場合があるが,時間とともにゆっくり現れてくる.

患者の約1/3にチロシナーゼ陽性の先天性色素欠乏症による毛髪,目と皮膚の色素沈着が出現する.

斜視は60〜70%で見られる.

股関節形成不全は約10〜20%に起こる [West & Ballock 2004Shim et al 2010].

脊柱側彎は40〜80%で発生するが,発症年齢,重症度は様々である.

呼吸器感染を繰り返す可能性のある患者は最大50%である.

以下の所見の割合は増加している:

  • 骨減少症による骨折
  • 下肢の浮腫および潰瘍(とくに肥満の場合)
  • 皮膚のかきむしり
  • 温度感覚異常
  • 唾液量の減少
  • 高い嘔吐閾値
  • 痙攣(患者の10〜20%)

有病率及び死亡率

PWS患者の死亡率は知的障害を持つ対照群や肥満の対照群と比較して高い [Einfeld et al 2006].その理由はPWSの合併症による.集団研究によると,死亡率は年間3%である [Butler et al 2002].PWS患者の死亡に関する2つの多施設研究が報告されており [Schrander-Stumpel et al 2004Stevenson et al 2004]、詳細な1例と64例のPWS死亡患者に対する文献レビューが行われていた [Tauber et al 2008]. 呼吸器疾患およびその他の発熱性疾患が小児患者における最も頻度の高い死因である.肥満関連の心血管障害および胃部疾患や睡眠時無呼吸が成人では最も多い死因である.他の併発疾患には,糖尿病,静脈血栓症,皮膚疾患(慢性浮腫,皮膚のかきむしりによる感染など)がある.

突然死につながる呼吸器感染や胃腸感染の報告は少数である.このうち,3例は副腎が小さいと報告されている[Stevenson et al 2004].この所見はあまり一般的ではない.最近、被験者の60%が中枢性副腎機能障害と報告されており[de Lind van Wijngaarden et al 2008]、これは一部の不測死や突然死の原因かもしれない.

急性胃膀満や胃壊死がPWS患者の何例かで報告されている[Stevenson et al 2007a].とくに,肥満体であった患者が痩せた後にむちゃ食いをして起こる.痛みの閾値が高いため気づかれないようであるが,致死的となりうる.

窒息,とくにホットドッグによる窒息が約8%のPWS患者の死亡原因と報告されている [Stevenson et al 2007b].
成長ホルモン(GH)治療開始後数カ月以内に死亡した複数例の患者が報告されている。そのため,成長ホルモンの投与が突然死をもたらす可能性が懸念されている[Eiholzer 2005Sacco & Di Giorgio 2005].報告された死亡例のほとんどは、上気道閉塞、扁桃腺の変形またはアデノイド肥大を伴う肥満の患者である.製薬会社のデータベースによれば,成長ホルモン治療を受けた675人のうち5人の小児が呼吸器障害で突然死を起こした [Craig et al 2006].別の研究では成長ホルモン治療中と治療後の患者における死亡率には変化がみられない [Nagai et al 2005].イギリスのある地域のPWS患者の自然経過に関する調査によると、成長ホルモン治療を受けていないPWS患者の死亡率は年間3%である [Whittington et al 2001].従って、成長ホルモンと突然死の関係はまだ明らかではない.しかし、最近48名の小

患者に対する長期的調査によれば、治療によるメリットはリスクよりも大きい [Carrel et al 2010].

神経画像診断

最近の研究では20人のPWS患者全員が脳に異常があったが、PWSでない兄弟(21人)や早期発症性肥満患者16人には認められなかった [Miller et al 2007].脳室拡大が全員にみられた.頭頂後頭葉の脳組織量の減少が50%、外側溝多小脳回が60%、島皮質の閉鎖不全が65%である.別の研究では,PWS患者の数例に白質病変がみられた.PWS患者の91例の脳MRIを扱った別のグループによる研究では,患者の49%に下垂体高の低下,67%に神経放射線学的異常が認められた[Iughetti et al 2007].これらの所見の臨床的意義は不明である.

遺伝型と表現型の相関

PWS発症の分子遺伝学的メカニズムと完全に相関する表現型はない.しかし、欠失型とUPD型には、一部の表現型の頻度や重症度における統計的違いが見られる.

UPD (片親性ダイソミー)

欠失

  • 91人の小児を対象に行われた最近の研究によれば,特別な摂食手段が必要である場合や,睡眠障害,低色素症,言語構音障害の割合が15q欠失型の患者では高い [Torrado et al 2007].
  • ある報告によると,僅かに大きい欠失1型(BP1からBP3、Figure 2を参照)の患者では,欠失2型(BP2からBP3)の患者に比べ,強迫行動が多く、適応行動や知的能力、学業成就が低い [Butler et al 2004Hartley et al 2005].しかし他の研究はこの2集団間に臨床的違いはそれほどではないと報告した [Milner et al 2005Varela et al 2005].

fig2


Figure 2. 15q11.2-q13染色体領域の遺伝子マップと遺伝子発現の概要

Prader-Willi症候群(PWS)領域(青い部分)はポリペプチド(MKRN3,more)をコードする5つの父由来だけが発現する独特な遺伝子コピーを持つ.

浸透率

PWSは完全浸透である.

命名法 

HHHO(性腺機能不全,筋緊張低下,精神遅滞,肥満)という名称はもはや使われていない.ウィリ・プラダー(Willi-Prader)症候群やプラダー・ラブハート・ウィリ(Prader-Labhart-Willi)症候群と呼ばれることもある.

頻度 

PWSの頻度は人口の1/10,000 〜1/30,000と推定されている.


鑑別診断

本稿で扱われる疾患に対する遺伝学的検査の実施可能性に関する最新情報は,GeneTests Laboratory Directoryを参照のこと.―編集者注.

WS表現型の一部に類似する疾患は多い.

頭蓋咽頭腫やその治療による後遺症はPWSの症状と大きく重なる.特に,頭蓋咽頭腫が幼少時に起こった場合、視床下部障害による所見はほとんどPWSと同じ特徴を示す.病歴や,病歴が明らかでない場合にはDNAメチル化解析でPWSと鑑別する.

過食性低身長は成長ホルモン分泌不全,過食症,軽度の学習障害といった精神社会的なストレスに関連した後天的病態である[Gilmour et al 2001].病歴や,もし病歴が明らかでない場合にはDNAメチル化解析でPWSと鑑別する.

筋緊張低下 乳児期の筋緊張低下は以下の病態においても認められる.

  • 新生児敗血症
  • 中枢神経機能の低下
  • 先天性筋強直性ジストロフィー1型. 生下時からの筋緊張低下と重度の全身筋虚弱が特徴的であり,しばしば,呼吸不全や早期死亡となる.精神遅滞はよく認める所見である.DMPK遺伝子のCTGリピートの伸長が原因である.
  • 脊髄性筋萎縮症(SMA)を含む筋疾患や神経疾患 [Miller et al 1999Richer et al 2001]の場合、努力呼吸の減弱が認められる.これはPWSでは稀である.分子遺伝学的検査,筋電図,神経伝導速度,筋生検が鑑別に必要である.
  • アンジェルマン症候群(AS) は重度の発達遅滞や精神遅滞,重度の言語発達遅滞,失調歩行や下肢の振戦,よく声を上げて笑う,にこにこする,興奮しやすいといった,場にそぐわない楽しそうな様子を示す特徴的な行動が特徴である.小頭症と痙攣もよくみられる.ASは母由来のUBE3A遺伝子のコピーがないことにより発症する.罹患者の80%は15番染色体のメチル化解析で診断される.乳児期にみられる症状が筋緊張低下だけである場合がある.AS症例ではPWSに認める哺乳障害,性腺機能低下,顔貌特徴は認めない.
  • 脆弱X症候群 男性患者における中等度精神遅滞と,女性患者における軽度精神遅滞が特徴である.男性例では特徴的顔貌(大頭,長顔,前額や顎の突出,突出した耳),結合組織の所見(関節の弛緩),巨大精巣(思春期後)を認める.行動異常の頻度が高く,時に,自閉症スペクトラム障害を呈する(「自閉症概説」を参照のこと).脆弱X症候群の診断は,FMR1遺伝子の3塩基反復配列の伸長やメチル化を検出することによる.乳児期には,筋緊張低下のみが脆弱X症候群の症状として認められるかもしれない.罹患者にはPWSに見られる哺乳障害,性腺機能低下,顔貌特徴はない.
  • 小児期に,MECP2関連障害(「MECP2関連障害」を参照のこと)は精神遅滞と共に,筋緊張低下,肥満,女性化乳房を呈することがある.6〜18ヶ月で発症し,罹患した女児は発達の停止が短期間でみられた後に,言語や運動能力の急激な退行を認める.疾患の特徴は合目的な手の運動が喪失し,手の繰り返される同一運動に置き換わることである.罹患者はPWSに認める哺乳障害,筋緊張低下,特徴的顔貌は認めない.MECP2遺伝子検査により大多数のレット症候群の罹患女児の診断が確定される.

精神運動発達遅滞・肥満 性腺機能低下を伴う場合もあれば伴わない場合もある.精神運動発達遅滞や肥満は以下に掲げる多くの疾患で認められる.

  • アンジェルマン症候群(AS)
  • 脆弱X症候群
  • 摂食障害や低身長を伴う14番染色体の片親性ダイソミー.胎児期成長遅滞、哺乳困難、低身長や早発思春期を合併する [Cox et al 2004Hosoki et al 2009].
  • オルブライト遺伝性骨ジストロフィー 低身長を認めるが筋緊張低下はなく,PWSとは異なる顔貌特徴(丸い顔)を示す.様々なG蛋白共役型受容体(Gs receptor-coupling protein)の測定により特異的検査が可能である.
  • バルデー・ビードル症候群(Bardet-Beidl syndrome, BBS) 錐体桿体網膜ジストロフィー,肥満,多指症,認知障害,男性の性腺機能不全,女性の生殖泌尿器系の奇形,腎機能障害が特徴である.PWSとは顔貌的特徴が異なる.診断は,既知の12の責任遺伝子のうちのいくつかに対して検査可能である.常染色体劣性の遺伝形式である.
  • コーエン症候群(Cohen syndrome) 目尻の下がった眼,短い人中,大きな門歯,先細りの指,より重度の精神遅滞を認める.小頭症,進行性網膜色素変性症,重度の近視,周期的白血球減少症も認められる.COH1遺伝子変異が原因である.常染色体劣性の遺伝形式である.
  • ボルジェソン・フォルスマン・レーマン症候群(Borjeson-Forssman-Lehmann syndrome) 男性のみに発病し,重度の認知障害,てんかん,性腺機能低下症,代謝低下,顕著な肥満,乳児期の筋緊張低下,発育不全,低身長を特徴とする.精神遅滞の重症性,眼振や,突出した眉弓・眼瞼下垂・落ちくぼんだ目といった特徴的な顔貌によりPWSと鑑別できる.PHF6遺伝子変異が原因である.X連鎖性の遺伝形式をとる.この疾患の症状を呈するヘテロ接合体の女性では,X染色体の不活性化に偏りがみられる.
  • アルストレム症候群(Alstrom syndrome) アルストレム症候群の特徴は,桿体錐体網膜ジストロフィー,早期発症性肥満,進行性感音難聴,拡張型心筋症(60%以上の患者にみられる),黒色表皮症を伴うインシュリン抵抗性2型糖尿病,発達遅滞(50%程度)である.内分泌異常にはこの他に甲状腺機能低下,男性の低ゴナドトロピン性の性腺機能低下症がある.女性患者では排尿筋-尿道の共同運動障害を特徴とする様々な程度の泌尿器系障害が10歳代後半に現れる.通常,重症な腎疾患は後期にみられる所見である.ALMS1遺伝子における変異が25〜40%の患者にみられる.

以下の細胞遺伝学的異常がみられる.

  • SIM1遺伝子を含む6q16.2の中間部欠失が認められる患者では、「PWS様表現型」の症候性肥満が確認された[Varela et al 2005]. この欠失はこれまで症候性肥満で5倍多く報告されていたものである [Bonaglia et al 2008].
  • 1p36欠失を伴う筋緊張低下,発達遅滞,肥満や過食,行動問題のPWS様表現型に関する報告はいくつがある.
  • PWS様表現型を呈する患者では,3p25.3.3p26.2重複,Xq27.2-ter重複,6q16.2欠失,1p36欠失,10q26欠失のような細胞遺伝学的異常を報告されている.

PWSに類似する特徴を持ち,関節の拘縮がある場合,Urban-Roger, Camera, あるいはVasquez症候群が疑われるが,いずれも稀である.
遺伝専門医やほかに専門訓練を受けた診断医による細心な臨床評価は適切な検査を行うことに有用である.また、必要のない分子遺伝学的検査費用を避けることができる.
注:本症に関する患者特異的同時診断は、患者所見を基づいた鑑別診断を提供するソフトウェアツールSimulConsultを参考する(登録や研究施設からのアクセスが必要である).


臨床的マネジメント

PWSの各症状のマネジメントは年齢によって異なるため、症状出現の順番を注意し、予期的指導を行うべきである.可能であれば、チーム医療による健康管理が推奨されている.最近、マネジメントに関するいくつかの管理方法が発表されている [Eiholzer & Whitman 2004,Butler et al 2006Goldstone et al 2008Cassidy & Driscoll 2009Cassidy & McCandless 2010,McCandless 2011Cassidy et al 2012].

初診時の評価

PWSと診断された患者における疾患の程度を評価する際には,以下の手順が推奨される.

  • 新生児期と乳児早期では,哺乳障害と体重増加不良に対する評価を行うこと.
  • 年齢にかかわらず,身長と体重を測定し,成長曲線もしくはPWS用成長曲線にプロットすること [Butler et al 2006].BMIの計算(体重kg/身長m2)は有益である場合がある.
  • 乳児期に発達評価,小児期に言語能力評価を含んだ教育評価を行う.
  • 斜視がみられる場合には眼科的評価を勧めること.1歳時にあるいは診断時に,視力評価を受ける.
  • 男性に対しては,年齢にかかわらず,停留睾丸の評価を行う.
  • 甲状腺機能低下症の評価を行う.特に体重増加不良が持続する患児、食事の摂取量が増えていないのに体重が増加する患児、成長ホルモン治療にもかかわらず線形成長不良の患児に行う.
  • 年齢にかかわらず脊椎側彎の評価を行い、疑いがあれば放射線的評価を行う.

    注:高度肥満の患者に対しては,適切な臨床評価を行うことができないため、診断を確定するためのレントゲン検査が必要となる.

  • 2歳以降には,問題行動や強迫症状の有無について評価を行う.青年と成人では,精神症状について評価を行う.病歴でこれらの症状がみられた場合には,より詳細な評価を受けるよう勧めること.
  • 年齢にかかわらず,呼吸状態や睡眠状態の評価が必要である.成長ホルモン治療開始前に,特に肥満児に対しては,扁桃腺やアデノイドの大きさを調べるのと同時に行うことが望ましい.

症状に対する治療

チーム医療によるマネジメントが望ましい [Eiholzer & Whitman 2004Cassidy 2005].
特殊な摂食方法(特殊乳首あるいは経管栄養)は,十分な栄養を確保し体重増加不良を避けるために,生後数週間から数ヶ月間に必要なことがある.
3歳以前の早期介入,とりわけ理学療法の早期開始は,筋力を改善し発育段階の達成を促進させる可能性がある.年長の患者では,毎日の筋肉トレーニングにより身体的活動性と除脂肪量が増す [Schlumpf et al 2006].

停留睾丸は青年期までには自然治癒するかもしれないが,通常はホルモン治療や外科的治療が必要となる.標準的治療は十分であるが、生殖能力の保持は考慮されない.陰嚢のサイズを改善し、外科的治療効果を高めることができるため、停留睾丸の乳児に対するヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)治療は考慮されるべきである [McCandless 2011; Angulo & Miller, unpublished data].

斜視の処置はどの患児にも必要である.

過食が始まった場合や体重の増加が始まった場合には(2〜4歳が多い),肥満とその合併症を防ぐために,バランスのとれた低カロリー食で.規則正しく運動し,つまみ食いを最小にするための厳しい管理プログラムを実行する.肥満の場合でも同じプログラムを実施する.栄養士との相談やきめ細かい支援が大抵必要となる.台所,冷蔵庫,棚への施錠が必要な場合が多い.PWS患者のエネルギー必要量は,1000〜1200kcal/日を超えることはほとんどなく,日々の食物摂取を計画して行うこと.栄養士によるビタミンやミネラル摂取量の適切性評価を行うこと.特にカルシウムやビタミンDに対しては,適切なサプリメントの処方が望ましい.

成長ホルモン治療によって、身長は標準まで伸び,除脂肪量が増え,脂肪量が減り,運動量が増大するため,体重管理に有益である.小児に対する推奨投与量は,通常成長ホルモン欠損症のみの患者に対する量と同じである(約1mg/m2).乳児期や診断時からの治療開始が可能である.成人への成長ホルモン投与量は,小児の推奨投与量の20〜25%である.

成長ホルモン治療に関する対照群を設定した臨床試験では,乳児期から成人期を通じての著しい治療効果が明らかとなっている [Lindgren et al 1997Carrel et al 1999Ritzén et al 1999Eiholzer et al 2000Mogul et al 2000,Carrel et al 2002Carrel et al 2004Eiholzer & Whitman 2004Hoybye 2004Whitman et al 2004,Hoybye et al 2005Hoybye 2007Myers et al 2007Mogul et al 2008Sode-Carlsen et al 2010].

  • 比較対照試験では、治療群の乳児における言語能力と認知能力の向上 [Myers et al 2007],成人における思考速度、頭の柔軟性と運動能力の改善が認められた [Hoybye et al 2005] .
  • 製薬会社が行った328人の小児に対する1〜2年間の成長ホルモン治療効果のデータによれば,身長の成長速度が特に思春期前の小児において高まったとされている.しかし,BMIには変化がなかった[Craig et al 2006].
  • 長期治療を受けた21人の患者における最終身長は,副作用の増加もなく,39人の未治療患者と比較して著しく高かった [Angulo et al 2007].
  • 成功ホルモン治療によるPWS患者の認知能力の改善が認められた[Osório 2012Siemensma 2012].
  • 当初,PWSにおける成長ホルモン治療は側彎症を悪化させるという懸念があったが,最近の研究では治療群と未治療群を比較して側彎症の頻度および重症度に違いがみられなかった [Nagai et al 2006Angulo et al 2007].

小児期に適切な教育計画を開始すること.

  • 乳児期と幼年期に,言語遅滞や構音障害のための言語治療を開始する.
  • 通常集団あるいは個別での特殊教育が学童期には必要である.しっかりと課題に取り組ませるために個人指導が必要である.社会的能力の訓練グループは有益である.

行動異常は,厳しい制限設定を含む行動管理計画で対処する.PWS患者の行動に有効な治療法はないが,大多数の患者でセロトニン再取り込み抑制薬が奏功し,特に強迫症状のある患者に対して有効であった [Brice 2000Dykens & Shah 2003].

精神症状には選択的セロトニン再取り込み抑制薬が良好に奏効すると報告されているが、気分安定には効果がない[Soni et al 2007].PWS患者の精神症状に対する治療効果評価に有用な研究はまだない[Ho & Dimitropoulos, 2010].

性ホルモン補充療法は十分な二次性徴を促す.しかし、男性にテストステロンの投与による問題行動や,女性にエストロゲンの投与による梗塞の危険性および生理中の衛生管理面への懸念があるため,投与にまだ議論がある.毎日のテストステロンパッチやジェルの使用,もしくは3か月に1回のテストステロン徐放剤注入投与により血中濃度をより均一化して,行動問題の悪化を予防できるかもしれない.骨粗鬆症リスクはホルモン治療の際に考慮すること. 最近、4名のPWS女性の妊孕性に関する報告では、産児制限の問題が取り上げられた [Akefeldt et al 1999Schulze et al 2001; Vats & Cassidy, unpublished data].

脊柱側彎,股関節異常,肥満といった合併症に対しては,一般と同様な治療を行う.

唾液の減少は口腔乾燥用に開発された製品(専用の歯磨き粉,ジェル,洗口液,ガムなど)を使うことができる.

小児期や成人期の睡眠障害に対する治療法があるかもしれないので,すぐに睡眠評価を行うこと.原因により治療法は異なるが,一般に対する治療法と同様であり,扁桃摘出術,アデノイド切除術,持続的気道陽圧法(CPAP)が用いられることもある.

睡眠時無呼吸の程度にもかかわらず、PWS患者に日中の異常な眠気は高頻度で表れる.モダフィニル(Modafinil)はこれらの症状の治療に有効でつ安全である[De Cock et al 2011].
PWSの成人患者に対して行動や体重管理がうまくゆく生活環境の1つにPWS患者専用のグループホームがある.一般に患者には介護付きの雇用環境が必要である.

後見,遺言,委託及び支援の問題は,青年期までによく調べておくべきである.

一次病変の予防

肥満はダイエットや運動,「症状に対する治療」の項で述べた管理プログラムが設けられれば予防の可能性がある.
成長ホルモン治療は若い年齢で開始された場合,良好な食事管理があれば、肥満と高脂肪体質の予防や遅らせる可能性がある.また,典型的顔貌への進展も予防可能であるかもしれない.

二次病変の予防

糖尿病は肥満がない場合はまれである.

カルシウムとビタミンDの補助食品は有益かもしれない.なぜなら,低カロリー食では乳製品が少なくなりがちであり,PWSの年長児と成人の多くで骨粗鬆症が報告されているからである.

骨粗鬆症がある場合に、ビスホスホネートによる治療を考慮する.

正式な研究報告はないが,PWS患者はあらゆる薬剤への感受性が非常に高い傾向がある.低用量での投与開始が望ましい.

サーベイランス

米国小児科学会(AAP)推奨の健康管理ガイドラインが最近発表された[McCandless 2011; click here for full text].
運動プログラムや、ビタミンとミネラルの摂取量を含む食事の適切性評価を行うには,以下のように身長,体重,BMI(体重kg/身長m2)のモニタリングを行うこと.

  • 乳児期は1か月に1回.
  • 1歳未満では半年に1回.
  • 1歳以降は1年に1回以上.

停留睾丸は睾丸固定術の実施後にも起こりうる.従って,睾丸の位置に対するモニタリングを行うこと.

顕著な肥満患者や体重増加が著しい患者においては,標準的な手法で糖尿病の有無を評価すること(例えば,グリコヘモグロビン濃度または糖負荷試験).

遊離T4およびTSHの値を含む甲状腺機能低下症検査を年に一回実施する.

あらゆるタイプの睡眠障害に対する病歴を聴取する.病歴がある場合には,睡眠検査を実施する.

側彎症に対する臨床的モニタリングを実施すること.肥満がみられる場合には,少なくとも1年に1回放射線画像診断を行う.

少なくとも1年に1回は行動障害および精神症状に関する病歴を聴取すること.

リスクのある親族の評価

リスクのある親族への検査に関連する諸問題は,「遺伝カウンセリング」の項を参照のこと.

研究中の治療法

PWS患者へのオクトレオチド(ソマトスタチン作用薬)投与によりグレリン値が低下するが,摂食行動には変化がみられなかった [Haqq et al 2003bTan et al 2004De Waele et al 2008].

トピラメイト投与により皮膚のかきむしりが減少したとの報告がある [Shapira et al 2004] .ほかに、低用量のトピラメイト(一日25‐50mg)を投与したところ、皮膚のかきむしりのあるPWS患者の約半数は上記と類似した結果を得たという.

種々の疾患に対する臨床試験についてはClinicalTrials.govを参照のこと.

その他

過食をコントロールする薬剤はまだ知られていない.

胃バイパスは満腹感をもたらしたり、過食を予防したりする効果がなく、更に合併症の発生率が高いため [Scheimann et al 2012]、PWS患者には禁忌である.

2歳未満の子供に1年間コエンザイムQ10を使った唯一の研究では,体組成の改善はみられなかった [Eiholzer 2004].


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

PWSはいくつかのメカニズムにより、父由来の染色体15q11.2-q13のPWS/AS領域の発現欠如が原因で発症する..

患者家族のリスク

発端者の両親

  • 発端者の両親は罹患しない.
  • 両親の遺伝学的検査は,発端者の発症メカニズムに基づく.

注:父方の生殖細胞系列モザイクは稀だが、15q11.2欠失 [Fernández-Novoa et al 2001]やIC欠失の症例に見られている [Buiting et al 2003Wey et al 2005].更に、母方の15番染色体不分離の再発症例も認められている [Harpey et al 1998].

発端者の同胞 PWS発端者の同胞のリスクは発端者の遺伝学的メカニズムに基づく(表3を参照のこと).ほとんどPWS家系において、再発率は1%以下である.しかし、一部の家系において再発率は50%に達する.また、起こる可能性がほとんどないが、理論的に100%のケースもある(例えば:母親が15/15ロバートソン転座).

表3 遺伝的メカニズムごとのPWS発端者の同胞の再発リスク

分類

割合

遺伝学的メカニズム

PWS患者の同胞の再発率

Ia

65%-75%

5-6Mbの欠失

1%未満

Ib

<1%

染色体再構成

50%に達する可能性がある

IIa

20%-30%

母方片親性ダイソミー

1%未満

IIb

<1%

両親の染色体転座やマーカー染色体を伴う母方片親性ダイソミー

上昇するが、1%未満から100%まで幅広い

IIIa

<0.5%

インプリンティングセンター欠失を伴うインプリティング障害

父親もインプリティングセンター欠失を有する場合に、50%に達する

IIIb

2%

エピミュテーション−インプリンティングセンター欠失を伴わないインプリティング障害

1%未満

Ia. 欠失型患者の父親が染色体再構成の有無を確認するために、染色体検査やFISH解析を行うべきである.新規突然変異による大規模な欠失を有する場合、同胞の再発率は1%以下である.生殖細胞系列モザイクによる大規模な欠失は稀に報告されている [Kokkonen & Leisti 2000].

Ib. 発端者に染色体再構成や微小遺伝子領域の欠失が認められた場合、この変異は父親から受け継いだものなのかそれとも新規突然変異によるものなのかによって、同胞やほかの血縁者における再発率が異なる [Cassidy et al 2012].

Ia. 15番染色体の母方片親性ダイソミーは通常新規突然変異のため、発端者同胞の再発率は1%以下である(両親のどちらがロバートソン転座の場合を除く).従って、発端者の染色体解析が必要である.発端者に染色体異常を認めなければ、発端者の父親がロバートソン転座でないことを確認するために、染色体検査を行う.発端者の2本正常な15番染色体は両方とも母親から受け継いだため、母親はロバートソン転座でないことを推測できる.しかし父親は15番染色体が関与するロバートソン転座の場合、第一次減数分裂時染色体分離異常が生じ、15番染色体を持たない精子が作られることが理論的に可能である.モノソミーレスキューの結果として、胚に15番染色体母方片親性ダイソミーが起こる.

IIb. 母親のロバートソン転座は理論的に、家系内における再発率を上昇させる。そのため、片親性ダイソミーの患者は母親からロバートソン転座を受け継いでいないことを確認するために、染色体解析を行うべきである. 稀に、ロバートソン転座による染色体分離異常を補完するためのトリソミーレスキューの結果として、片親性ダイソミーが起こる.理論的に、リスクはもっと高いが、経験的データでは、ほとんどの場合再発率が1%未満と示唆している.

母親が15/15ロバートソン転座の場合、トリソミーレスキューはPWSをもたらす.父親が15/15ロバートソン転座の場合、モノソミーレスキューはPWSをもたらす.15/15ロバートソン転座を有するカップルのほとんどはPWSではなく、習慣流産を経験するが、上記のメカニズムによって、PWSの児が生まれる可能性がある.

稀に、母方片親性ダイソミーの発端者に、小さいマーカー染色体を認められる [Liehr et al 2005]. この場合、マーカー染色体の存在による染色体不分離や片親性ダイソミーのリスクが上昇するため、両親の核型を調べるのが重要である [Kotzot 2002].

IIIa.インプリティング異常症例の大多数(85%)はエピジェネティクの新規突然変異によるもので、同胞の再発率は1%未満となる.

発端者の子

  • 稀な女性症例を除き,PWS患者は子どもを持つことがない.
  • 患者の子の再発率は,患者の発症メカニズムおよび患者の性別に基づく.
  • 発端者が欠失型PWSの場合,女性発端者の子はアンジェルマン症候群(AS)、男性発端者の子はPWS(報告例はない)となるリスクは50%となる.
  • 発端者が片親性ダイソミーの場合,子は非罹患と推測される.片親性ダイソミー型PWS女性患者は健常児を出産した1例が報告されている [Schulze et al 2001].
  • インプリティングセンター欠失によるインプリンティング異常が原因のPWS女性患者の場合、もしこの欠失にAS SROが含まれていれば、理論的に子はASとなるリスクは50%である(報告はない).
  • 発端者が染色体転座の場合,発端者の性別によって異なるが,理論的に子がPWSあるいはアンジェルマン症候群にあるリスクは上昇する.

他の家族 染色体再構成(転座あるいは逆位)が発端者および片親に認められる場合,転座保因者である親の同胞には遺伝カウンセリングや遺伝学的検査の選択肢を提示すべきである.

遺伝カウンセリングに関連した問題

家族計画 

  • 遺伝的リスクの評価、保因者の分類や出生前診断の利用に関する話し合いは妊娠前に行われるのが望ましい.
  • 発端者、保因者または保因者になりうる若い成人に遺伝カウンセリング(子の潜在的リスクや生殖の選択肢に関する話し合い)を提供する.

DNAバンキング DNAバンキングは,将来の使用のために,通常は白血球から調整したDNAを貯蔵しておくことである.検査手法や,遺伝子,変異,疾患への理解は将来改善する可能性があり,患者のDNAを貯蔵しておくことは考慮されるべきである.ことに現在行っている分子遺伝学的検査の感度が100%ではないような疾患に関してはDNAの保存は考慮すべきかもしれない.このサービスを行っている機関についてはDNA bankingの項を参照のこと.

出生前診断

ハイリスク 本症のほとんどは標準的出生前染色体検査で検出されないが、PWSの子を持つ家族にPWSの出生前診断は可能である.FISH、CMA、DNAメチル化解析、MS-MLPAとDNA多型解析は出生前診断に有用であるが、インプリンティング異常を検出できるのは5’SNRPN座位のDNAメチル化解析(MS-MLPAを含む)のみである [Kubota et al 1996Glenn et al 2000Ramsden et al 2010]. PWSの出生前診断は絨毛生検(胎生週数約10〜12週)あるいは羊水穿刺(胎生週数約15〜18週目)で得られた細胞から抽出したDNAを用いて分析する.しかし、出生前診断でDNAメチル化解析を行った経験のある検査機関は少ない.また、胎盤由来の組織は高度メチル化されているため、絨毛よりも羊水を用いて検査するのは一般的である [Driscoll & Migeon 1990Glenn et al 2000].

注:(1).出生前診断は発端者の分子遺伝学的メカニズムが確認され、且つ夫婦が胎児のリスクに関してカウンセリングを受けた後に行うこと.

  • 欠失型あるいは片親性ダイソミー型PWS患者の子を持ち、且つ両親は染色体再構成がない場合、再発率は低いが、確認のため出生前診断が可能.
  • インプリティングセンター欠失型PWSの子を持ち、且つ父親が保因者の場合、再発リスクが高いので出生前診断を提示すべきである.この場合,DNAメチル化解析も施行可能である.
  •  15番染色体が関与する染色体転座が受け継がれた結果として、欠失が生じる場合、理論的な再発率が50%に達するため、出生前診断は妥当である.         

注:胎生週数は最終月経の開始日あるいは超音波検査による測定に基づいて計算される.

ローリスク PWSの家族経歴がない低リスク妊娠の場合も,PWSは可能性としてありうる.

  • 絨毛生検あるいは羊水穿刺から15q欠失が疑われれば,FISHあるいはCMAの適応となる.この場合,欠失が確認された後に,欠失が母由来(胎児はアンジェルマン症候群)か父由来(胎児はPWS)かを決定するために,欠失の親由来解析を行う.
  • 絨毛生検で15トリソミーあるいは15トリソミーモザイクが検出され,その後の羊水穿刺で46本の染色体であることが分かった場合,母由来の15番染色体欠失によるAS(父親性片親性ダイソミー),または父由来の15番染色体欠失によるPWS(母親性片親性ダイソミー)はトリソミーレスキューの結果と考えられる.この場合,羊水細胞を用いたUPDの親由来解析,あるいはメチル化解析を考慮すること.
  • 15番染色体が関与する染色体転座が存在する場合(受け継がれるか新規突然変異にも関わらず),あるいは15番染色体由来の過剰染色体が確認された場合,FISH(欠失を除外するため)及び親由来解析(片親性ダイソミーを除外するため)あるいはDNAメチル化解析を行うこと.

着床前診断 インプリティングセンター欠失が同定されている一部の家族にとって、着床前診断は1つの選択肢となる.着床前診断は,家族性転座症例において片親性ダイソミーを除外するためにも用いられる.

訳注:日本では行われていない.


プラウダリー・ウィリ症候群関連情報

  • 日本プラダー・ウィリー症候群協会(PWSA Japan)link
  • 竹の子の会 link

分子遺伝学的情報

分子遺伝学的情報とOMIM表に記載されている情報はほかのGeneReviewsと異なる可能性がある:表により最近な情報が含まれている.

Table A. プラダウィリ症候群(PWS):遺伝子とデータベース

責任領域

遺伝子記号

遺伝子座位

たんぱく名

PWCR

不明

15q11.2

不明

データ出典:遺伝子記号はHGNC、染色体座位、座位名、責任領域、相補性グループはOMIM、たんぱくはUniProより参照.

Table B. PWSに関するOMIMの情報

137142

GAMMA-AMINOBUTYRIC ACID RECEPTOR, ALPHA-5; GABRA5

137192

GAMMA-AMINOBUTYRIC ACID RECEPTOR, BETA-3; GABRB3

176270

PRADER-WILLI SYNDROME; PWS

182279

SMALL NUCLEAR RIBONUCLEOPROTEIN POLYPEPTIDE N; SNRPN

600161

PRADER-WILLI/ANGELMAN REGION RNA 1; PWAR1

600233

GAMMA-AMINOBUTYRIC ACID RECEPTOR, GAMMA-3; GABRG3

601491

IMPRINTED IN PRADER-WILLI SYNDROME; IPW

601623

UBIQUITIN-PROTEIN LIGASE E3A; UBE3A

602117

NECDIN; NDN

603856

MAKORIN 3; MKRN3

603857

MKRN3 ANTISENSE RNA; MKRN3AS

605283

MAGE-LIKE 2; MAGEL2

605436

SMALL NUCLEOLAR RNA, C/D BOX, 116-1; SNORD116-1

605837

HECT DOMAIN AND RCC1-LIKE DOMAIN 2; HERC2

605855

ATPase, CLASS V, TYPE 10A; ATP10A

609837

SMALL NUCLEOLAR RNA, C/D BOX, 115-1; SNORD115-1

610922

NUCLEAR PORE ASSOCIATED PROTEIN 1; NPAP1

611215

PRADER-WILLI REGION NONCODING RNA 1; PWRN1

611409

OCA2 GENE

分子遺伝学的病因

PWS領域は15染色体長腕近位部の5−6Mbのゲノム領域(15q11.2-q13) (Figure 2)にある.この領域により小さい2.5Mb差次的インプリティング領域が存在する.本疾患の完全な表現型は複数の遺伝子発現の欠失によって生じることが明らかとなっているため、PWSは隣接遺伝子疾患である.15q11.2-q13領域にある関連遺伝子の発現は由来する親に依存するため、本疾患はインプリンティング異常の1つでもある [Glenn et al 1997Bittel et al 2006].

PWSの原因となるゲノム的およびエピジェネティク的変化はすべて染色体15q11.2-q13にある正常な父由来の遺伝子発現の欠失を引き起こす.罹患者にこれらの遺伝子の父由来コピーの欠失や発現異常があれば、すべての遺伝子発現の欠失が見られる.その理由は、母由来のこれらの遺伝子はエピジェネティク的に発現しないからである [Glenn et al 1997Cassidy & Driscoll 2009].逆に、同じ領域にある母由来遺伝子が優先に発現するUBE3A発現の欠失はアンジェルマン症候群の原因である [Lossie et al 2001Williams et al 2010].

15q11.2-q13領域は概ねに三つの切断点(BP1,BP2とBP3) [Christian et al 1999] によって、四つの異なる領域に分けられる.これらの切断点は部分的重複領域に存在する [Amos-Landgraf et al 1999] (see Figure 2):

  • 近位切断点BP1とBP2の間に位置する非インプリティング領域に、両親共に発現する遺伝子、NIPA1, NIPA2, CYF1P1GCP5が含まれている [Chai et al 2003].
  • PWS父由来のみ発現する領域には5つのポリペプチド翻訳遺伝子(MKRN3, MAGEL2, NECDINとバイシストロニックのSNURF-SNRPN)、C15orf2(イントロンを持たない遺伝子で、精巣には両アレルとも発現するが、脳に発現するのが父由来のアレルのみ)、C/Dボックス核小体低分子リボ核酸(snoRNAs)群、および複数のアンチセンス転写物(UBE3Aのアンチセンス転写物を含む)がある.
  • アンジェルマン症候群(AS)領域はUBE3AATP10Aを含む.この二つの遺伝子は優先的に母由来の遺伝子を発現する.
  • 遠位非インプリティング領域には3 GABA受容体遺伝子群、眼皮膚白皮症タイプ2(OCA2)遺伝子、HERC2および遠位切断点(BP3)が含まれる.

PWS領域の中枢はSNURF-SNRPNである.この遺伝子は2つの異なるタンパクをコードする、バイシストロニックな遺伝子である.SNURF-SNRPNの5’末端にはプロモーター、エクソン1およびイントロン1を含むCpGアイランドがある.この領域において、父由来アレルはメチル化されず発現するが、母由来アレルはメチル化され発現しない [Glenn et al 1996]. CpGアイランドとエクソン1は4.3kbの最も小さい欠失オーバーラップ(SRO)にある [Ohta et al 1999]. このSRO領域は父由来のPWSインプリティングセンター(IC)をコードする.SNURF-SNRPNはテロメアに位置する6個のsnoRNA遺伝子の宿主としての役割を持つ.snoRNA遺伝子はSNURF-SNRPNの発現を制御する.UBE3Aアンチセンス転写物はSNURF-SNRPNの転写によって起こり、ヒトとマウスには、父由来のUBE3Aが抑制されると考えられる [Cavaillé et al 2000Chamberlain & Brannan 2001Runte et al 2001].

SNORD116(以前HBII-85とも呼ばれる)とSNORD115(以前HBII-52とも呼ばれる)を除き、snoRNAはシングルコピー遺伝子である.SNORD116SNORD115はそれぞれ29と42の多重コピー遺伝子である.snoRNAは選択的スプライシングによって、mRNAの修飾に関わり、すべてのsnoRNA遺伝子は複数の標的を持つと考えられている.しかし、現時点でsnoRNA遺伝子(例えば、SNORD115)の標的として発見されたのは、セロトニン2C受容体のみである [Kishore & Stamm 2006].SNORD116の標的はまだ発見されていない.

複数の研究者がマウスモデルから一定の見通しができたものの、PWSの表現型を決めるすべての遺伝子の的確な機能はまだ完全に解明されていない.ASの場合、UBE3Aの単一遺伝子変異によって主な診断基準を満たす.[Lossie et al 2001,Williams et al 2010].それに対し、PWSの場合、患者のすべての特徴を単一遺伝子変異で説明できない.しかし独特な欠失や転座家系を解析することによって、PWSの多くの表現型を説明できる重要な領域はSNORD116 snoRNA遺伝子群に絞ることができた [reviewed byBuiting 2010].全SNORD115群とUBE3A座位を含む家族性微小欠失を有するAS家系によって、SNORD115座位はPWSの重要な領域から除かれた [Runte et al 2005].この微小欠失が父由来の場合、明らかな表現型はないが、母由来の場合、ASとなる.

責任領域 PWS/AS責任領域

正常アレル変異 PWS/AS領域に位置する遺伝子は下記のようになっている.

  • SNURFSNRPNは2つの異なるタンパクをコードする複雑なバイシストロニックな遺伝子である.最初に解明されたのは、エクソン4−10はSmNタンパクをコードすることである.SmNタンパクはmRNAのスプライシングに関わるスプライセオソームのタンパクである [Glenn et al 1996].エクソン1−3はSNURFをコードする.SNURFは機能不明なポリペプチドを産生し [Gray et al 1999]、テロメア側に位置する 6つのsnoRNA遺伝子の宿主として働く.snoRNA遺伝子はSNURFSNRPNの発現によって制御される.
  • IPWはRNA転写物だけであり、タンパクをコードしない.
  • 転写物PAR1, PAR4, PAR5およびPAR7の機能はまだ知られていない.
  • OCA2(以前Pとして知られる)、チロシナーゼ陽性の白皮症をコードする. OCA2欠失はPWS患者の3分の1に見られる低色素沈着に関与する.
  • GABRB3,GABRA5GABRG3はすべてGABA受容体のサブユニットの遺伝子である.
  • UBE3A(以前E6APとして知られる)はASに関与する.
  • ATP10Aは母由来遺伝子が発現し、ASの最も一般的は欠失領域にある.
  • HERC2および複数の重複は良く見られる欠失切断点にある.
  • NECDINNDN)はDNA結合タンパクをコードする.NDNノックアウトマウスモデルによって、 NDNは神経突起の伸長に必要な細胞内プロセスの媒介であり、ネクジン欠損が軸索の伸長を阻害することが分かった [Lee et al 2005].NDNノックアウトマウスモデルの所見はPWS患者に類似すると報告されている.従って、ネクジンは抗アポトーシス性であるか、あるいは神経経路の初期発生の生存因子であることが示唆される [Andrieu et al 2006].
  • イントロンを持たない遺伝子MAGEL2NDN座位に近接し、父由来アレルのみが転写され、脳に優位に発現する.Magel2-nullマウスに関する研究によって、新生児成長遅延、哺乳困難、離乳後の体重増加不良および成人期の代謝変化による肥満を含む、PWSに重要な所見との関連性が証明された [Lee et al 2005Bischof et al 2007].最近、Magel2-nullマウスに類似する多数の特徴および自閉症スペクトラム異常を持つ4名のPWS患者は父由来のMAGEL2アレルに切断変異があることが分かった(病的アレル変異の項を参照する).
  • MKRN3(Markorin3, ZNF127)は主に父由来染色体が発現するZnフィンガータンパクである.
  • C15orf2はイントロンを持たない遺伝子である.成人の精巣には両アレルが発現するが、胎児の脳には一本のアレルしか発現しない.
  • PWRN1は精巣に発現し、前立腺、心臓、腎臓、肝臓、肺、骨格筋、気管、脊椎および胎児の脳にやや低い発現を示す.胎児の脳には一本のアレルしか発現しない.
  • snoRNA HBII-85(SNORD 116)遺伝子群が本症に関わる根拠は下記となる.SNURF-SNRPNの発現とセントロメア遺伝子が保存されているが、プロモーターとSNORD116遺伝子群を分離した均衡型転座はPWSを発症する.より最近のSNORD116遺伝子群の微小欠失は3名のPWS所見のある患者に報告されている(病的アレル変異の項を参照する).従って、SNORD116 snoRNAの欠損はPWSの主症状を引き起こすと示唆される.
  • ほかにいくつかのインプリティング遺伝子と機能不明な転写物は確認されている.

病的アレル変異 ほとんどのPWSは父由来の15q11.2-q13領域中間部の微小欠失によって起こる [Ledbetter et al 1981Butler & Palmer 1983Glenn et al 1997].欠失はPWS患者の65%‐75%の原因である.欠失型PWS患者の大多数は1つか2つの近位切断点(BP1あるいはBP2)と遠位切断点(BP3)を持つ(Figure 2を参照する)[Christian et al 1995Amos-Landgraf et al 1999].高頻度で見られる中間部欠失のサイズは約5−6Mbで、欠失領域に隣接する共通切断点(BP1, BP2とBP3)にある縦列反復配列のコピー数の伸長が原因である.これらの約250-400kbの低コピー数の染色体伸長によって、非相同染色体の対合が形成したり、減数分裂時15q11.2-q13領域に異常な再構成を引き起こしたりする.この結果、染色体の欠失(父由来領域欠失が原因のPWSやAS)、重複(母由来および父由来)、三倍体と15番染色体逆位 [Robinson et al 1998Amos-Landgraf et al 1999Boyar et al 2001Maggouta et al 2003Depienne et al 2009]が生じる.ほかに、約8%は非均衡型転座 [Kim et al 2012]を含む、様々なユニークなあるいは非定型的サイズの欠失(タイプ1やタイプ以外)も生じる.欠失がPWS典型欠失例より小さいあるいは大きい場合、表現型を影響する可能性がある.

プロモーター領域の微小欠失およびSNRPN近位上流領域(推定でインプリティングコントロール配列を含む)は母特異的DNAメチル化パターンのPWS患者に同定されている.しかし、これらの患者は一般的な父由来PWS/AS領域の大規模な欠失も母型片親性ダイソミーもない.この母特異的DNAメチル化パターンはインプリティングセンター(IC)の微小欠失によるインプリティング異常(ID)の原因と考えられる.
両親から受け継いだが、インプリティングセンター(IC)のSROに異常を伴わない、この領域に母由来のみのDNAメチル化パターンもある.これらの患者はエピミュテーションによるインプリティング異常(ID)が原因と考えられる.

SNORD116遺伝子群を含む微小欠失(175-236kb)の患者に関する3つの報告は最近、別々で発表されている [Sahoo et al 2008de Smith et al 2009Duker et al 2010].新生児期の筋緊張低下、乳児期の哺乳不良、2歳後の急激な体重増加、過食、性腺機能低下、発達遅延/知的障害、および言語/行動の問題、PWS典型的臨床像がこの3つの報告の患者に見られる.但し、これらの患者は小児期の高身長や大きい頭囲、PWS特徴的顔貌がないという非典型的特徴を持つ.また、これらの患者に典型的なPWS行動の有無を確認するための厳正な神経行動学的検査は行われていない.それにもかかわらず、上記の報告によって、父由来SNORD116遺伝子群の欠失はPWS表現型に重要な役割を果たしていることは明らかである.

より最近の文献では、父由来MAGEL2アレルにおける切断型変異を有する4名の患者が報告されている [Schaaf et al 2013].この4名の患者全員は臨床的に自閉症スペクトラム症候群および知的障害を認める.3名は6歳前に体重が過剰に増加し、2名は過食症と満腹感の欠乏がある.Holmと同僚たちのPWSコンセンサス診断基準に基づき [Holm et al 1993]、上記文献の筆者たちは4名のうち、1名が「古典的」PWS、3名が本症の臨床的および行動的特徴の程度が異なると感じた.

正常遺伝子産物 唯一同定されているのはSNRPNMKRN3のタンパクである。SNRPNは選択的mRNAスプライシングに関与する核小体RNAタンパクである.

異常遺伝子産物 不明

インプリティング PWS領域にあるいくつかの遺伝子(SNURF-SNRPN, MKRN3, NDN, MAGEL2, C15orf2,PWRN1)はゲノムインプリティングに関与し、父由来PWS領域が欠失する場合のみ、PWS表現型として現れる.DNAメチル化がゲノムインプリティングに関与することは、既にPWS領域にある複数の遺伝子で証明されている[Glenn et al 1996Glenn et al 1997MacDonald & Wevrick 1997]. SNRPN上流にある推定的インプリティングコントロール配列における微小欠失は、数名の患者に確認されている.これらの患者は母特異的DNAメチル化パターン、父由来PWS/ AS領域の大規模な欠失や母型片親性ダイソミーのいずれも認めなかった [Saitoh et al 1997Ohta et al 1999].体細胞インプリティング異常と見られる患者はエピミュテーションによるものである [Buiting et al 1998,Buiting et al 2003].

更新履歴

  1. Gene Review著者: Suzanne B Cassidy,MD,FACMG,FAAP, Stuart Schwartz,PhD,FACMG.
    日本語訳者: 窪田美穂(ボランティア翻訳者),鳴海洋子(信州大学医学部附属病院遺伝子診療部)    
    Gene Review 最終更新日: : 2008.3.24. 日本語訳最終更新日:2009.5.31.
  2. Gene Review著者: Daniel J Driscoll, MD, PhD, FACMG, FAAP, Jennifer L Miller, MD, MS, FAAP, Stuart Schwartz, PhD, FACMG, and Suzanne B Cassidy, MD, FACMG, FAAP.
    日本語訳者: 江田 肖(瀬戸病院 遺伝診療科) ,櫻井晃洋(札幌医科大学遺伝医学)
    Gene Review 最終更新日: 2014.1.23 日本語訳最終更新日: 20140.10.28 (in present)

原文 Prader-Willi Syndrome

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