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ローター症候群
(Rotor Syndrome)

[Synonyms: Rotor型高ビリルビン血症]

Gene Review著者:Milan Jirsa, MD, PhD, AS Knisely, MD, Alfred Schinkel, PhD, and Stanislav Kmoch, PhD.
日本語訳者: 和田宏来 (県西総合病院小児科/筑波大学大学院小児科)  

Gene Review 最終更新日:  2012.12.3.日本語訳最終更新日: 2017.1.12

原文 Rotor Syndrome


要約

疾患の特徴 

ローター症候群は軽度の抱合型および非抱合型高ビリルビン血症を特徴とし、通常は出生後すぐか小児期よりみられる。黄疸は間欠的であることがある。眼球結膜の黄染が唯一の症候である可能性がある。

診断・検査 

代表的な所見は抱合型優位の高ビリルビン血症である。血清総ビリルビンは通常2-5mg/dLであるが、より高くなることもある。ローター症候群の発症には、密接に関連する遺伝子であるSLCO1B1SLCO1B3の両アレル不活性化変異が存在し、両遺伝子産物(OATP1B1およびOATP1B3)の完全な機能障害を認めなければならない。

臨床的マネジメント 

症候の治療: 治療は必要ない。

避けるべきもの/環境:ローター症候群患者で薬物副作用は報告されていないが、肝臓のタンパク質であるOATP1B1およびOATP1B3の欠如によって、たとえば広く使用されている薬剤やその代謝物による毒性など、肝臓の取り込みに深刻な影響を及ぼす可能性がある。

その他:ほとんどの患者の両親は血縁者同士であるため、診断されてそのような血縁関係が明らかとなることがある。このような場合に、一部の施設においては臨床遺伝専門医への診療依頼や遺伝カウンセリングの適応としているかもしれない。

遺伝カウンセリング 

ローター症候群は常染色体劣性遺伝性疾患である。患児の両親には、SLCO1B1SLCO1B3双方のヘテロ接合変異もしくはそのコーディング領域の巨大欠失のヘテロ接合を必ず認める。受胎時には、患者の同胞は罹患する確率が25%、少なくとも1つの変異をもつ無症候性キャリアである確率が50%、罹患していないもしくはキャリアでない確率が25%である。高リスク家族に対する保因者診断やリスク妊娠に対する出生前検査は、関心領域の遺伝子検査もしくは個別化された検査を検査施設に依頼して行うことが可能である。ローター症候群のような良性で臨床的に重要ではない病態に対する要望は一般的に多くない。


診断

臨床診断

ローター症候群は軽度の黄疸を特徴とし、間欠的であることがある。結膜の黄染を除いて、身体診察では正常である。

検査

ローター症候群の検査所見については表1にまとめている。

  • 抱合型高ビリルビン血症は本症の代表的な所見である。血清総ビリルビン濃度は通常2-5mg/dLであるが、より高値となることがある。
  • 抱合型ビリルビンは通常総ビリルビンの50%を超える。

表1 ローター症候群の検査所見

所見 ローター症候群 正常
血清ビリルビン 総ビリルビン 2-5mg/dL1 0.3-1.0mg/dL2
抱合型/総ビリルビン比 >50% <20%
尿 ビリルビン 認める 認めない
コプロポルフィリン 正常の2.5-5倍に増加3  
溶血 なし なし
血漿陰イオン性化合物の消失4 遅れる 急速
胆道シンチグラフィ 脚注を参照5 正常
酵素 正常 正常
肉眼所見 正常 正常
組織所見 正常6 正常
タンパク発現 OATP1B1およびOATP1B3の欠損7 正常
  1. まれに5-10mg/dL(著者の個人的な観察結果)もしくは20mg/dLまで(Chowdhuryら, 2001)の上昇を認めることがある。
  2. 1歳過ぎにおける総ビリルビンおよび直接ビリルビン。注:総ビリルビンおよび直接ビリルビンの正常値は新生児期および乳幼児期にはより高い可能性があるけれども、ローター症候群は通常この時期には診断されない。
  3. コプロポルフィリン尿症は肝疾患でしばしば認められ、ローター症候群に特異的ではない。
  4. ブロモスルホフタレイン(BSP)やインドシアニングリーン(ICG)を含む。
  5. 放射性トレーサー(99mTc-HIDA/99mTc-N[2,6-ジメチルフェニル-カルバモイルメチル]イミノ二酢酸、99mTc-DISIDA/ジソフェニン、99mTc-BrIDA/メブロフェニン)は肝臓に緩徐に取り込まれ、肝臓はほとんど描出されない。しかし、心血液プールや著明な腎排泄の持続的な描出が認められる。
  6. 遺伝性黄疸の疑いは肝生検の適応ではないことに注意する。
  7. 免疫染色では肝細胞の類洞側細胞膜に存在するOATP1B1およびOATP1B3を同定できない。注:デュビン・ジョンソン症候群でしばしば欠損するMRP2の発現は正常である。

分子遺伝学的検査

遺伝子

SLCO1B1およびSLCO1B3という2つの遺伝子の両アレル不活性化変異によってローター症候群を発症する。
注目すべきことに、ローター症候群の病座が存在する双方の遺伝子は同じ染色体内で極めて近接している。

検査

以下は、血縁関係のない8家系の11患者における分子遺伝学的検査所見である。患者は全員、SLCO1B1およびSLCO1B3双方の両アレル不活性化変異のホモ接合体をもつ。

  • SLCO1B1およびSLCO1B3双方に及ぶ両アレルの全遺伝子欠失を4家系に認めている。
  • SLCO1B1の両アレルノンセンス変異およびSLCO1B3のエクソン12の両アレル欠失を3家系に認めている。
  • SLCO1B1Aのノンセンス変異およびSLCO1B3の両アレルスプライス部位変異を1家系に認めている。
    これらは、ローター症候群患者において巨大欠失はホモ接合の傾向にあることを示している。

ホモ接合におけるエクソンおよび全遺伝子の欠失の発見や解析は、一般的に複合ヘテロ接合(すなわち両親同士が血縁関係にはない子どもに期待される所見)よりも早い。

表2 ローター症候群における分子遺伝学的検査の要約

遺伝子1 この遺伝子変異によるローター症候群の割合 検査方法 同定された変異2
SLCO1B1 8人全員3、両遺伝子の不活性化変異のホモ接合が疑われている。 シークエンス解析4 シークエンス変異
欠失/重複解析5 エクソンもしくは全遺伝子欠失
SLCO1B3 シークエンス解析 シークエンス変異4
欠失/重複解析5 エクソンもしくは全遺伝子欠失
  1. 染色体座および蛋白については「表A 遺伝子およびデータベース」を参照。
  2. アレル変異に関する情報は「分子遺伝学」を参照。
  3. Van de Steegら(2012)
  4. シークエンス解析で同定される変異の例としては、小さな遺伝子内欠失/挿入やミスセンス、ノンセンス、スプライス部位変異がある。典型的には、エクソンもしくは全遺伝子の欠失/重複は同定されない。シークエンス解析の結果の解釈について考慮すべき問題はこちらをクリック。
  5. ゲノムDNAのコーディング領域や隣接するイントロン領域に対するシークエンス解析では容易に同定することのできない欠失/重複を識別する検査である。用いられる可能性のあるさまざまな方法には、この遺伝子/染色体領域を含んだ定量PCR、ロングレンジPCR、MLPA(multiplex ligation-dependent probe amplification)法、染色体マイクロアレイ解析(chromosomal microarray, CMA)などがある。

評価戦略

発端者の診断を確定するために 以下を評価する。

  • 血清総ビリルビンおよび直接ビリルビン濃度
  • 尿中ビリルビンの有無
  • 溶血の有無*
  • ALT, AST, ALP, γ-GT活性*
  • 胆道シンチグラフィ
  • 尿中総ポルフィリン

*溶血の有無やALT, AST, ALP, γ-GT活性の測定は、ローター症候群との鑑別を要する溶血性貧血や肝胆道疾患の評価に必要である。
注:ローター症候群患者の肝病理組織は正常である。よって、遺伝性黄疸は肝生検の適応とはならない。

一般的ではない検査には以下がある。

  • 尿中ポルフィリン分画
  • 保存肝生検標本におけるOATP1B1およびOATP1B3の免疫染色
  • SLCO1B1およびSLCO1B3の分子遺伝学的検査

リスクのある血縁者の保因者診断 に先駆けて、家系内の病原性変異を同定することが必要である。

注:保因者はヘテロ接合であり、発症リスクはない。

リスク妊娠の出生前診断や着床前診断(preimplantation genetic diagnosis, PGD)に先駆けて、家系内の病原性変異を同定することが必要である。


臨床的特徴

自然経過

ローター症候群の唯一の特徴は、通常出生後すぐもしくは小児期よりみられる抱合型および非抱合型高ビリルビン血症による軽度の黄疸である。
黄疸は間欠的なことがある。結膜黄染が唯一の臨床症候である可能性がある。

遺伝子型と臨床型の相関

高ビリルビン血症はSLCO1B1およびSLCO1B3双方の両アレル不活性化変異を認める者のみに認められる。SLCO1B1もしくはSLCO1B3に少なくとも1つの野生型(機能性)アレルがある場合には、ローター症候群の高ビリルビン血症は認められない。

残り3つのアレルに悪影響を及ぼすSLCO1B1およびSLCO1B3の変異は報告されていない。

浸透率

本症の浸透率は100%で男女ともに同様である。

有病率

ローター症候群の有病率は不明だが、とても低い(100万に1人未満)。

特定の民族において有病率が推定より高いか低いかに関する情報はない。


遺伝学的関連(アレル)疾患

Gene Reviewで論じている以外の臨床型でSLCO1B1もしくはSLCO1B3に関連するものは知られていない。
注目すべきことに、コードされている輸送体の活性低下に帰結するSLCO1B1もしくはSLCO1B1のシークエンス変異と同じ薬物に対する感受性の変化は相関がある。

鑑別診断

この臨床型と関連する遺伝子については高ビリルビン血症:OMIM臨床型シリーズを参照のこと。

デュビン・ジョンソン症候群(Dubin-Johnson syndrome, DJS)OMIM)は抱合型ビリルビンの胆汁への排泄障害をきたす常染色体劣性遺伝性疾患で、ローター症候群よりも頻度は高い。DJSの所見については表3にまとめている。黄疸にくわえて、DJS患者の一部には腹痛や肝腫大を認める可能性がある。

表3 デュビン・ジョンソン症候群とローター症候群の所見の比較

所見 ローター症候群 デュビン・ジョンソン症候群 正常
血清ビリルビン 総ビリルビン 2-5mg/dL1 2-5mg/dL2 0.3-1.0mg/dL3
抱合型/総ビリルビン比 >50% >50% <20%
尿 ビリルビン 認める:尿は暗色であることがある 認める:尿は暗色であることがある 認められない
ポルフィリン 総ポルフィリン排泄量の増加、コプロポルフィリンは正常の2.5-5倍に増加 総ポルフィリン排泄量は正常4 <200μg/24時間5
溶血 なし なし なし
血清陰イオン性化合物の消失6 大変遅れる 遅れる 急速
胆道シンチグラフィ 脚注を参照7 脚注を参照8 正常
酵素9 正常 正常 正常
肉眼所見 正常 暗い10 正常
組織所見 正常 脚注を参照11 正常
タンパク発現 OATP1B1, OATP1B3の欠損12, 13 MRP2の欠損14, 15 正常
  1. まれに5-10mg/dL(著者の個人的な観察結果)もしくは20mg/dLまで(Chowdhuryら, 2001)の上昇を認めることがある。
  2. より高くなることがある。
  3. 1歳過ぎにおける総ビリルビンおよび直接ビリルビン。注:総ビリルビンおよび直接ビリルビンの正常値は新生児期および乳幼児期にはより高い可能性があるけれども、ローター症候群は通常この時期には診断されない。
  4. 尿中総ポルフィリン排泄は正常。しかし、クロマトグラフィーでは尿中ポルフィリンのうちコプロポルフィリンT型異性体が主として認められる。
  5. 尿中総ポルフィリン排泄量
  6. ブロモスルホフタレイン(BSP)やインドシアニングリーン(ICG)、放射性トレーサー(99mTc-HIDA/99mTc-N[2,6-ジメチルフェニル-カルバモイルメチル]イミノ二酢酸、99mTc-DISIDA/ジソフェニン、99mTc-BrIDA/メブロフェニン)を含む。注:デュビン・ジョンソン症候群では、非抱合型BSPの投与後に血中抱合型BSPは再上昇する。これはローター症候群ではみられない。
  7. 胆道シンチグラフィではほとんど描出されず、肝への取り込みは緩徐で、心血液プールの持続な描出、著明な腎排泄を認める。
  8. 肝臓の描出は正常もしくは少々遅れるが、胆嚢の描出はないか遅れる。
  9. 血清ALT, AST, ALP, γ-GT活性
  10. 肝臓は肉眼的に暗色(ときに黒色)である。
  11. 肝組織では肝細胞のライソゾームに暗いメラニン様色素の集積を認める。色素はPASおよびマッソン・フォンタナ染色で染まる。しかし、メラニンとは対照的に、中性のアンモニア銀液を還元する。自家蛍光は色素のもう一つの特徴である。乳幼児や急性肝障害から回復した患者において色素はほとんどみられない可能性がある。そうでなければ肝構造は正常である。
  12. 免疫染色では肝細胞の類洞側細胞膜に存在するOATP1B1やOATP1B3を同定することはできない。注:デュビン・ジョンソン症候群では欠損するMRP2の発現は正常である。
  13. ローター症候群におけるMRP2の発現は正常である。
  14. 全員ではないがほとんどのデュビン・ジョンソン症候群患者において、ABCC2の変異によって肝細胞毛細胆管膜のMRP2(multidrug resistance-associated protein 2)は欠損している。ABCC2はMRP2をコードする。MRP2は毛細胆管膜における抱合型ビリルビンおよびその他多数の陰イオン性化合物の排泄を司る。
  15. MRP2(OMIM)の旧名はcMOAT(canalicular multispecific organic anion transporter)である。肝臓の保存パラフィン切片でMRP2の免疫染色を行うことが可能である。

肝蓄積症(抱合型高ビリルビン血症V型, OMIM)は、ローター症候群やデュビン・ジョンソン症候群とはおそらく異なる第3の抱合型高ビリルビン血症と記述された。肝臓のビリルビンの取り込みもしくは貯蔵の一次障害が推定されているが、疾患特異的な遺伝子変異は同定されていない。臨床型に基づき、基本的には肝蓄積症はローター症候群に類似しているということはできる。

ブロモスルホフタレイン、ジブロモスルホフタレイン、ローズベンガル、インドシアニングリーンの血漿消失率および最大肝排泄能は減少しているが、もっとも顕著な特徴は肝における色素貯蔵の著明な減少である。
ビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素活性、血漿胆汁酸濃度、肝機能検査は正常である。

胆汁うっ滞性肝疾患胆管閉塞は、黄疸以外の臨床徴候および血清ALT, AST, ALP, γ-GTの上昇を伴う高ビリルビン血症を認めた場合にいつでも疑うべきである。画像検査や内視鏡で胆嚢や胆管枝に異常所見を認めた場合も同じである。

溶血性黄疸は非抱合型優位の高ビリルビン血症および溶血の徴候を認める。

ジルベール症候群(Gilbert syndrome, OMIM)はUGT1A1によるビリルビンの抱合が障害される常染色体劣性遺伝性疾患である。プロモーターであるTATAボックスのリピート変異 A(TA)7TAA(正常ではA(TA)6TAAであり、しばしばプロモーターの一塩基多型 c.-3279T>Gを伴う)または日本人には多いが欧州ではまれなUGT1A1のコーディング領域のミスセンス変異、いずれかによってUGT1A1活性の低下は起こる。

高ビリルビン血症は非抱合型優位であり、抱合型ビリルビンは血清総ビリルビンの20%未満である。ジルベール症候群は最もよくみられる遺伝性黄疸であり、欧州では約5-10%に認められる。


臨床的マネジメント

初期診断につづく評価

ローター症候群と診断されたほとんどの患者は、両親が血縁者同士である。それゆえ、ローター症候群の診断によってそのような血縁関係が偶然判明する可能性もある。このような場合に、一部の施設においては臨床遺伝専門医への診療依頼や遺伝カウンセリングの適応としているかもしれない。

病変に対する治療

治療は必要ない。

避けるべきもの/環境

ローター症候群患者で薬物副作用は報告されていないが、肝臓のタンパク質であるOATP1B1およびOATP1B3の欠如によって、広く使用されている薬剤やその代謝物による毒性など、肝臓の取り込みに深刻な影響を及ぼす可能性がある。
おもにOATP1B1を介して肝臓に取り込まれ、SLCO1B1の遺伝的多様性によって薬物動態が影響を受ける薬剤の一覧が報告されている。これらの薬の一部はOATP1B3によっても取り込まれる。そのリストにある薬剤は以下である。

  • スタチン−シンバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、 ピタバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン
  • エゼチミブ
  • 抗がん剤−メトトレキセート、イリノテカン
  • サルタン−オルメサルタン、バルサルタン
  • リファンピシン
  • ミコフェノール酸
  • トラセミド
  • チアゾリジンジオン−ピオグリタゾン、ロシグリタゾン
  • グリニド−ナテグリニド、レパグリニド
  • ロピナビル
  • フェキソフェナジン

リスクのある親族の検査

遺伝カウンセリングとして扱われるリスクのある親族への検査に関する問題は「遺伝カウンセリング」の項を参照のこと。

妊娠中の管理

罹患妊婦および罹患胎児に対する特別な妊娠管理は知られていない。
注目すべきことに、妊娠中にみられるローター症候群の高ビリルビン血症は、妊娠に関連した肝疾患(妊娠性肝内胆汁うっ滞症など)や妊娠に関連しない肝疾患の診断や治療を複雑化する可能性がある。

研究中の治療法

さまざまな疾患に対する臨床試験に関する情報は、ClinicalTrials.govを参照のこと。注:この疾患に対する臨床試験は行われていない可能性がある。


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

ローター症候群は常染色体劣性遺伝性疾患であり、発症にはSLCO1B1SLCO1B3双方の両アレル変異が存在し、両遺伝子産物(OATP1B1およびOATP1B3)の完全な機能障害を認めなければならない。

患者家族のリスク

発端者の両親

  • 患者の両親には、SLCO1B1SLCO1B3双方のヘテロ接合変異もしくはそのコーディング領域の巨大欠失のヘテロ接合を必ず認める。
  • ヘテロ接合(1〜3個の病原性変異を有するキャリア)では無症状である。

発端者の同胞 

  • 受胎時には、患者の同胞は罹患する確率が25%、少なくとも1つの変異をもつ無症候性キャリアである確率が50%、罹患していないもしくはキャリアでない確率が25%である。
  • 注:(1)キャリアは1〜3個の病原性変異を有している可能性がある。(2)1個の遺伝子に1個の変異を認めるキャリアや1個の遺伝子に2個の変異を認める(他の遺伝子には変異はない)キャリアは、子どもが罹患しているリスクはない。

  • ひとたびリスクのある同胞が罹患していないことが分かれば、キャリアである可能性は約66%(2/3)である。
  • キャリアは無症状である。

発端者の子

  • ローター症候群患者の子どもには、SLCO1B1SLCO1B3双方のヘテロ接合変異(キャリア)を必ず認める。

発端者の他の家族

  • 発端者の両親の同胞はキャリアであるリスクがある。

保因者診断

高リスク家族に対する保因者診断は、関心領域の遺伝子検査もしくは個別化された検査を検査施設に依頼して行うことが可能である。

遺伝カウンセリングに関連した問題

ほとんどの患者の両親は血縁者同士であるため、ローター症候群の診断によってそのような血縁関係が偶然判明する可能性もある。このような場合に、一部の施設においては臨床遺伝専門医への診療依頼や遺伝カウンセリングの適応としているかもしれない。

家族計画

  • 遺伝学的リスク評価、キャリアかどうかの検査、および出生前診断の可否などについての議論の最適な時期は妊娠前である。
  • 罹患者、キャリア、キャリアのリスクがある若年成人に対して遺伝カウンセリング(潜在的な子どもへのリスクや出産方法の選択肢に関する話し合いなど)を行うことは適切である。

DNAバンキング

DNAバンクは主に白血球から調整したDNAを将来利用することを想定して保存しておくものである。検査技術や遺伝子、変異、あるいは疾患に対するわれわれの理解が将来さらに進歩すると考えられるので、DNA保存が考慮される。

出生前診断および着床前診断

ひとたび家族内で病原性変異が同定された場合、リスク妊娠における出生前検査や着床診断は可能なオプションである。
ローター症候群のような良性で臨床的に重要ではない病態に対する要望は一般的に多くない。特に早期診断ではなく妊娠中絶を考慮した検査である場合に、医療従事者や家族の間でも出生前検査に関して視点の違いが存在する可能性がある。出生前診断に関する決定は両親の選択によるが、これらの問題に関して話し合うことがのぞましい。


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