GeneReview 著者: Agatino Battaglia , MD; John C Carey, MD; Tracy J Wright, PhD.
日本語訳者:古庄知己 , 福嶋義光(信州大学医学部附属病院遺伝子診療部)
GeneReview 最終更新日: 2009.3.24. 日本語訳最終更新日: : 2010.1.18.
疾患の特徴
Wolf- Hirschhorn 症候群(WHS)は 、乳児期には,次のような典型的な頭部顔面の特徴を呈している:“ギリシャ兵士のヘルメット様”と称される鼻(前頭部に続く幅広い鼻稜) 、小頭症 、高い前頭部と突出した眉間 、眼間開離 、内眼角贅皮 、高く弓状の眉毛 、短い人中 、下を向いた口角 、小顎症 、耳近傍の突起を伴った耳介低形成。すべての患者において 、子宮内から始まり出生後も続く成長障害 、筋緊張低下 、およびさまざまな程度の発達遅滞/知的障害が認められる 。けいれんが50 ~100%の患者に認められる 。その他 、骨格異常(60 ~70%) 、先天性心疾患(30 ~50%) 、聴覚障害(ほとんどの場合伝音性)(40%以上) 、尿路奇形(25%) 、脳の構造異常(33%)が認められる 。
診断・検査
WHSの診断は特徴的な顔貌,成長障害,精神運動発達遅滞,痙攣により疑いがもたれ,Wolf- Hirschhorn Critical Region(WHCR,WHSの責任領域,4p16)の欠失を検出することにより確定診断がなされる.従来の細胞遺伝学的分析(ルーチンのG分染法と高精度分染法)では 、WHS における欠失の60 ~70%(あるいはもっと少ない)しか検出できないが 、WHCR(Wolf- Hirschhorn Critical Region;WHSの責任領域)のプローブを用いたFISH法では95%以上を検出できる 。検査は臨床検査として実施可能である.ほとんどの患者が 、他の染色体構造異常を伴わない欠失(いわゆる単純な欠失)を有するが 、環状4番染色体 、4p-モザイク 、不均衡型相互転座に由来する派生染色体といった複雑な染色体構造異常を有する場合もある 。
臨床的マネジメント
WHSを有する患者の治療としては次のようなものがある:リハビリテーション,言語・コミュニケーション療法とサイン言語,非典型的小発作に対するバルプロ酸投与,てんかん発作に対するベンゾジアゼピン投与,摂食障害に対する”Haberman feeder” ,経管栄養,and/ or 胃瘻造設.骨格異常,眼科的異常,先天性心疾患,および聴力障害に対しては,標準的なケアが推奨される.
遺伝カウンセリング
WHS は 、いくつかの遺伝的機序の一つに基づき4p16に局在するWHS責任領域が欠失することによって発症する 。約75%の患者が新規の4p16欠失を 、約12%の患者が環状4番染色体などの頻度の低い構造異常を 、そして約13%の患者が親の均衡型相互転座に由来する不均衡型相互転座による4p16欠失を呈する 。再発リスクは欠失の遺伝学的機序によって異なる 。親が染色体構造異常の保因者であることがわかっている場合 、出生前診断は臨床的に可能である 。
臨床診断
WHSの診断は特徴的な顔貌,成長障害,精神運動発達遅滞,痙攣により疑いがもたれ,Wolf- Hirschhorn Critical Region(WHCR,WHSの責任領域,4p16)の欠失を検出することにより確定診断がなされる.
典型的な顔貌の特徴
WHSを伴う個人の顔貌は年齢と共に変化し,それぞれの時期に応じて典型的なパターンを呈する[Battaglia et al 2000].顔貌上の特徴には 、“ギリシャ兵士のヘルメット様”と称される鼻の形(前頭部に連続する幅広い鼻稜)が含まれる 。これは 、すべての患者で出生から小児期に認められるが 、思春期には目立たなくなる 。他の頭蓋顔面の特徴には 、小頭症 、高い前頭部と突出した眉間 、眼間開離 、内眼角ぜい皮 、高く弓状の眉毛 、短い人中 、下を向いた口 、小顎症 、耳近傍の突起を伴った耳介低形成が含まれる 。
子宮内に始まり 、出生後も続く成長障害は全ての患者において 認められる 。
種々の程度の発達遅滞/精神遅滞は,全ての患者において認められる. 筋緊張低下および主として下肢に認められる筋発達不良が,すべての患者に観察される。
遺伝学的検査
遺伝子.Wolf- Hirschhorn Critical Region(WHCR,WHSの責任領域,4p16)の欠失が,Wolf- Hirschhorn 症候群において知られている唯一の原因である.
細胞遺伝学的に観察できる欠失が親の不均衡型相互転座に由来する派生染色体に認められるかどうかは 、分子細胞遺伝学的手法により確認できる可能性がある 。FISHによるサブテロメア領域における欠失のスクリーニングは 、多分最も感度特異度ともに高い方法であろう 。転座例の場合(転座例の大多数はサブテロメア領域に関与している) 、サブテロメア領域のスクリーニングにより転座に関わるもう一方の染色体も同定できる 。従来の細胞遺伝学的方法において付加部分が4pに付着していることが観察された例では 、SKY法(Spectral Karyotyping )またはM-FISH法が付加部分の同定に使用される場合がある 。
臨床における利用
診断
出生前診断
FISH(fluorescence in situ hybridization): WHSの責任領域であるWHCRの全領域を含むプローブ(WHSCR probe, LPU 009, Cytocell Ltd)を用いたFISH法により 、95%以上の患者において欠失が認められる 。
表1 Wolf- Hirschhorn 症候群に用いられる遺伝学的検査
検査 | 検出される欠失 | 検出率 | 検査 |
---|---|---|---|
染色体分析 | 4p16 .3の欠失 | ~60-70% | 臨床ベース |
FISH1/欠失・重複解析2 | WHCRの欠失 | >95% | 臨床ベース |
患者の検査計画
WHSを疑ったすべての患者に対して 、下記の検査を行うことが妥当である.
遺伝的に関連した疾患
Rauchらは 、部分的にWHSの症状(身長に比して低体重 、WHSの顔貌上の特徴 、神経心理学的異常と関連した言語発達遅滞)を示しており 、WHCR に限局した de novo の小さな中間部欠失を有する 患者を初めて報告した 。
以前は異なる疾患と考えられていたWHSとPitt-Rogers Danks 症候群(PRDS)は,現在では1つの症候群の臨床的スペクトラムであると認識されている 。
Pitt-Rogers- Danks syndrome (PRDS) は,1984年 に子宮内発育遅延 、低身長 、小頭症 、特徴的顔貌 、精神遅滞 、けいれんを有する4患者(うち2人は姉妹)として報告された 。12年後 、Clemensらは上の姉妹および2人の未報告患者においてWHSでみられるのと同じ4p遠位部の微小欠失を見いだした 。PRDSとWHSとは 、責任領域のサイズおよび表現型が共通しており 、同一症候群の臨床的スペクトラムではないかと考えられている 。
古典的な WHS WHSにおける臨床症状の出現頻度を表2に示す .
表2 WHSにおける臨床症状の出現頻度
頻度 | 症状 |
---|---|
>75% |
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50 ~75% |
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25 ~50% |
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<25% |
以下のような奇形
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出生後の成長障害:WHSを持つすべての患者は 、適切なエネルギーと蛋白の摂取を行っていても 、著しい子宮内発育遅延 、出生後の低身長 、体重増加不良をきたす 。
精神遅滞:WHSを持つ患者は重度の知的発達遅滞を呈し 、話ができず 、最低限のコミュニケーション技術しか持たないと一般的に言われているが 、最近の経験では知的能力の幅がかなり大きいことが明らかになった 。Battaglia とCareyによれば 、知的発達遅滞の程度は軽度(8%) 、中等度(25%) 、重度(67%)であった 。したがって,患者の三分の一は軽度から中等度の精神遅滞を有していることになる.発語は 、ほとんどの患者では喉頭音([k 、g、xなど])または2音節の音に限られるが 、6%の患者では単文のレベルに達した 。理解は 、特別な文脈(状況)に限られているようである 。コミュニケーションしたいという意欲ほとんどの患者にあるようであり 、身ぶり手ぶりのレパートリーを増やすことで上手になっていく 。
約10%の患者が 、通常8 ~14歳の間に 、日中の尿・便をコントロールできるようになる 。2~12歳までに 、 25%は独立して 、20%は 支えを使用して歩行可能となる(あわせて45%の患者は歩行する) 。約30%の患者が自分の意志で行動できるようになる:食事をする(10%は全く独力で) 、着衣と脱衣をする(20%) 、単純な家内の作業を行う 。全ての患者において 、ゆっくりであるが 、着実な進歩が見られ 、従来考えられてきたよりも良好な発達をとげる 。
けいれんは 50 ~100%の患者に見られる 。発症は月齢3 ~23とさまざまであるが 、月齢9 ~10が最も多い 。けいれんのパターンは 、片側性の間代性であったり 、強直性であったり 、二次性全般化を伴ったり伴わなかったり 、最初から全身性の強直間代性であったり 、とさまざまである 。発熱が契機となることが多い 。群発し 、15分以上持続することもある 。58%の患者において 、けいれん重積発作が認められる 。60%以上の患者で 、1~5歳の間に非典型的な欠神発作に発展する 。幼少期にはコントロールが困難な患者もいるが,適切な治療により長ずるにしたがって消失する傾向がある.けいれんは 、33%の患者では2 ~13歳までに止まり 、17%の患者では投薬がなされていない 。
70%の患者において 、明らかな脳波異常が認められた 。
摂食障害の原因は 、筋緊張低下 、口唇口蓋裂およびそれに関連した吸てつの難しさ 、嚥下協調 運動不良に伴う誤嚥 、そして胃食道逆流などである 。胃食道逆流は健常児では一時的であるが,WHS患者では持続しておきており,これが体重増加不良および呼吸器疾患の原因となる.
骨格異常としては,椎体奇形に伴う脊椎後弯側弯 、過剰のまたは癒合した肋骨 、内反足 、裂手 など, 患者の60 ~70%に認められる 。
眼科的異常としては,外斜視,鼻涙管閉鎖,眼球・視神経コロボーマ,網膜中心窩低形成などが最も一般的なものである.植皮を要する眼瞼の低形成が時々認められる 。緑内障は治療困難 なことがある 。
歯牙異常.乳歯の残存 、乳歯における長髄歯(臼歯に見られる発育異常で 、歯根が根尖のごく近傍で分岐しているため 、髄室が異常に大きくかつ長く 、根管は非常に短いというもの) 、くぎ状の歯 、歯の構成物の無形成などを伴った歯芽の萌出遅延が 50%以上の患者にみられる 。
先天性心疾患は約 50%に見られ 、通常は単純な異常である 。最も頻度が高いのは 、心房中隔欠損(27%)であり 、続いて多いのは肺動脈狭窄 、心室中隔欠損 、動脈管開存 、大動脈弁閉鎖不全 、ファロー四徴症である 。
抗体欠損( IgA のIgG2サブクラス欠損 、単独 IgA 欠損 、多糖類の反応異常)が69%に認められ 、反復性の呼吸器感染症や中耳炎の原因ではないかと考えられている 。
造血器の異常が2例の患者で報告されている.一例は進行性で難治の血球減少症であり,もう一例は急性リンパ性白血病である.
難聴(ほとんどの場合は伝音性)が 40%の患者に認められる。感音性難聴が少なくとも7例に報告されている。中耳と内耳の先天的な異常が聴力障害に関係しているようである.
さまざまな尿路奇形が 25%の患者に見られる 。腎無形成 、のう胞性異形成/低形成 、oligomeganephroma (ネフロン数の減少とネフロン構成物の過形成により特徴付けられる腎低形成) 、馬蹄腎 、腎の回転異常 、膀胱外反 、閉塞性腎症など 。oligomeganephroma は慢性腎不全と関係する 。これらの奇形のいくつかは膀胱尿管逆流を合併する 。
尿道下裂と停留睾丸は50%の男児例にみられる 。
子宮無形成 、索状性腺が女児例に報告されている 。
中枢神経系の構造異常は 1/3の患者に認められる 。その多くの例で脳梁菲薄化を伴い 、さらに 、少数例では 、び漫性の白質減少 、両側小脳半球後葉の著しい低形成/無形成を伴うこともある 。他の奇形として 、脳回の狭小化を伴った脳低形成 、arhinencephaly (無鼻症) 、アンモン角のH2領域の短縮 、小脳脳回の萎縮・異形成が報告されている 。
睡眠の問題は 、乳幼児期に見られるが 、容易に克服できる 。
さまざまなその他の先天異常が少数の患者で報告されている 。
遺伝型と臨床型の関連
WHSにおける臨床的多様性を説明するために 、4p欠失のサイズと臨床症状の重症度との間の関連が調べられてきた 。
Wieczorek らと Zollono らがそれぞれ 、部分的なあるいは完全な遺伝 型・表現型の関連 を示したが 、そうした関連はないと結論付けた研究もある 。Meloni らは重度の精神遅滞を持つ典型的な症状の患者でもFISHでしか検出できない微小欠失を有する場合や 、逆に通常の染色体検査で確認できる大きい欠失を有するにもかかわらず軽度 ~中等度の精神遅滞を呈するのみで大奇形もない場合があると述べている 。以上から 、欠失のサイズと臨床症状との間に関連はないと推測される 。
用語の定義
WHSと Pitt-Rogers-Danks 症候群とは,異なる疾患であると考えられていたが,現在では,一つの症候群の臨床スペクトラムであると認識されている.
頻度
従来 、WHSの頻度は約1/50,000出生児(女児:男児=2:1)とされていきた 。しかし 、誤診されていたり 、認識されていない患者もいることから 、頻度はもっと高いと推測される 。
近位部 4p欠失 4pの中間部欠失を有する が数人報告されている 。これらの欠失は通常WHSの責任領域よりも近位の4p12-p16を含む 。これはWHSとは区別しうる独立した症候群である 。
WHSの表現型 WHSの臨床症状特に顔貌は特徴的であるが 、以下の疾患と重複する症状があるために誤診される場合がある 。
最初の診断に引き続いて行われる評価
Wolf-Hirschhorn症候群と診断された患者においては,疾患の範囲を明らかにするために,次の評価を行うことが推奨される.
症状に対する治療
知的障害.
運動発達 、認知 、コミュニケーション 、社会的スキル の点に注目して 、適切に評価し 、個人に合ったリハビリテーションプログラムに組み入れるべきである 。身ぶりの言葉の利用はコミュニケーション技術を促進し 、話し言葉の出現を妨げることはない 。早期からの発達訓練とその後の適切な学校選択がきわめて重要である 。
けいれん.WHS患者の約95%は複数回のけいれんを経験する.最も多いきっかけは,発熱である.2/3の患者ではその後バルプロ酸が有効な非典型的欠神発作に移行するため 、初めてのけいれんの後すぐに 、バルプロ酸を開始するのが適切である 。非典型欠神発作はバルプロ酸とエトスクシミドによって良好にコントロールされる 。
最近,てんかん重積の発症を予防するための最初の治療として臭化ナトリウムが提唱されている.
間代性,強直間代性,欠神発作,あるいはミオクローヌスのてんかん重積はベンゾジアゼピン(ジアゼパム)の経静脈的投与により良好にコントロールされる.
WHSの患者は 、明らかな脳波異常を有するが 、必ずしもけいれんと関係があるわけではないため 、ここ5年間けいれん発作が認められない場合には抗けいれん薬を中止するのが妥当である 。
摂食障害 口腔運動の スキルに注目した摂食訓練もまた必要である 。筋緊張の低い乳児/子どもには(口蓋裂がない場合 、また口蓋裂の外科的修復術前の場合) 、特別な摂食技術あるいは器具( Haberman Feederなどのような)を利用することができる 。
協調的嚥下が弱い患者にはチューブ栄養が考慮される.
胃食道逆流は通常の方法によって処理されるべきである.
44%のWHS患者が胃ろう造設術を受けており 、胃噴門形成術が行われることもしばしばである という報告がある。
骨格奇形 内反足 、側弯 、後弯などの骨格奇形は個々に対応されるべきである 。早期からの治療(理学療法および外科手術)が考慮される.
眼科的異常は標準的方法により治療される.
先天性心疾患 通常複雑なものではなく 、修復術を行わなければならない 。
聴力障害はヒアリングエイドを試してみる.
睡眠に関する問題 中耳炎 、胃食道逆流 、湿疹などの医学的問題がないのに 、親から睡眠の問題が強く訴えられた場合 、親の注意や関心をやわらげることが有効な介入となる 。
その他.構造的異常(横隔膜,消化管,歯牙など)には通常の方法により注意が払われるべきである.
二次的合併症の予防
膀胱尿管逆流症に対しては予防的抗生剤投与が必要である.
免疫不全が明らかになった場合 、IgG の静脈内投与や抗生剤の予防内服といった対策が考慮される 。
監視(サーベイランス)
定期的に全身所見を観察することにより,リハビリテーションを調整したり,発達スキルの改善のための治療・後退に対する治療の調整,および医療的必要性の変化に対する調整が可能となる.
治験(観察下での治療)
本疾患における治験は行われていない.
その他
Carbamazepine は非典型的小発作を有する患者の脳波所見を悪化させる可能性がある.
遺伝外来:臨床遺伝の専門家のいる遺伝外来では,患者・家族にその疾患の自然歴,治療法,遺伝形式,他の血縁者に対するリスクなどの情報を提供するとともに,一般消費者向けの情報提供も行っている.
Consumer Resources (情報資源)参照: 本疾患に特化した,あるいは包括的なサポート機関があり,患者・家族に様々な情報を提供したり,他の患者・家族を紹介するなどの援助を行っている.
「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」
遺伝形式
WHSは4p16に局在するWHSの責任領域が欠失することによって発症する 。欠失にはいくつかの遺伝学的機序が知られている 。
患者家族のリスク
家族のリスクは欠失の機序によって異なる 。
患者の親
親が均衡型転座を有する患者の約 2/3において 、転座を有する親は母である 。
患者の同胞
患者の子 親となった WHS患者はいない 。
発端者の他の家族
患者が不均衡型染色体構造異常を有していることがわかれば 、他の家族も均衡型構造異常を有するリスクが生じる 。
特別なカウンセリング上の問題
4pと他の染色体とが関与した相互転座を親が有している場合の特別な再発リスクについてはデータがない 。遺伝カウンセリングが行われるべきである 。
出生前検査
高リスク妊娠.出生前検査は親が均衡型染色体構造異常の保因者とわかっている家族においては実施可能である 。妊娠 10 ~11週に絨毛穿刺(CVS)によって得られた細胞 、または妊娠15 ~16週に羊水穿刺によって得られた細胞を 、患者と親の検査結果から必要と考えられた細胞遺伝学的手法を用いて解析する(G分染法 、FISH 、4番染色体painting probe) 。
ノート:妊娠週数は最終月経日の初日から数えられた,あるいは超音波計測により算出された週数として表示される.
低リスク妊娠.3D超音波検査により,子宮内成長障害のある胎児で,“ギリシャ兵士のヘルメット様”の特徴的顔貌が観察されることがある.
着床前遺伝子診断(PGD)は,均衡型染色体構造異常の保因者とわかっているカップルが妊娠を望む場合には,技術的には可能であり,米国においてはこの技術を提供する検査機関がある.
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