Gene Review著者: Steven J Steinberg, PhD,Ann B Moser, BA,Gerald V Raymond, MD
日本語訳者: 窪田美穂(ボランティア翻訳者), 櫻井晃洋(札幌医科大学遺伝医学)
Gene Review 最終更新日: 2012.4.19. 日本語訳最終更新日: 2013.5.19
原文 X-Linked Adrenoleukodystrophy
疾患の特徴
X連鎖性副腎白質ジストロフィー(X-ALD)は神経系の白質と副腎皮質が侵される疾患である.男性罹患者では主に3タイプの臨床型が認められる.
診断・検査
X連鎖性副腎白質ジストロフィー(X-ALD)の診断は臨床所見に基づく.神経症状が生じている男性患者のMRIは例外なく異常であり,多くの場合これが最初の診断の手がかりとなる.X-ALDの男性患者の99%は,極長鎖脂肪酸(VLCFA)の血漿濃度が異常である.血漿や培養皮膚線維芽細胞のVLCFA濃度上昇が罹患女性の約85%に認められるが,保因者であることが分かっている人の20%のVLCFA濃度は正常である.X-ALDとの関連が唯一知られている遺伝子であるABCD1遺伝子に対する分子遺伝学検査は臨床的に実施されている.
臨床的マネジメント
症状の治療:
副腎機能不全患者にとって,コルチコステロイド補充療法は不可欠である.罹患男児にとって両親の一般的な介護や心理的・教育的支援は有益である.副腎脊髄ニューロパチーの罹患男性にとって,理学療法, 泌尿器合併症の治療,家族へのカウンセリングや職業相談は有益である.
経過観察:
X-ALD罹患男性は定期的に副腎皮質機能を検査すること.
遺伝カウンセリング
X-ALDはX連鎖性の遺伝性疾患である.約93%の発端者が両親のいずれかからABCD1遺伝子変異を受け継いでいるが,最大に見積もってX-ALD患者の7%に新生突然変異が認められる.罹患男性がABCD1遺伝子変異を娘に伝える確率は100%で,息子に伝える確率は0%である.保因者女性が各妊娠でABCD1遺伝子変異を伝える確率は50%である.変異を受け継いだ男性は発症するが,変異を受け継いだ女性は保因者となり,通常発症しても重篤化しない.罹患男性の臨床型と予後は多様で予測できない.発症リスクの高い女性血縁者の保因者診断や,リスクのある妊娠に対する出生前診断は,家系内の病原性変異が分かっているならば可能である.
臨床診断
X連鎖性副腎白質ジストロフィー(X-ALD)の診断は4つの臨床状況で考慮されるべきである.
神経画像診断.神経学的症状が認められる罹患男性の脳MRI画像には大脳病変を認め,例外なく異常であり,初回診断の手がかりとなることが多い.患者の約85%の造影MRIでは,拡大する辺縁域に頭頂後頭領域の対称性のT2シグナル増強という特徴的なパターンが現れる.
検査
極長鎖脂肪酸(VLCFA).分析指標は以下の3つである.
表1に正常対照群,罹患男性,保因者女性の平均値をまとめた.VLCFA測定検査を行っている施設は国際的にも限られている.生化学的検査を実施している施設に関してはを参照のこと.
表1.X-ALDにおける極長鎖脂肪酸(VLCFA)の血漿値
VLCFA | 正常対照群 | X-ALD罹患男性 | 女性保因者 |
---|---|---|---|
C26:0μg/mL 1 | 0.23+0.09 | 1.30+0.45 | 0.68+0.29 |
C24:0/C22:0 2 | 0.84+0.10 | 1.71+0.23 | 1.30+0.19 |
C26:0/C22:0 2 | 0.01+0.004 | 0.07+0.03 | 0.04+0.02 |
分子遺伝学的検査
GeneReviewsは,分子遺伝学的検査について,その検査が米国CLIAの承認を受けた研究機関もしくは米国以外の臨床研究機関によってGeneTests Laboratory Directoryに掲載されている場合に限り,臨床的に実施可能であるとする. GeneTestsは研究機関から提出された情報を検証しないし,研究機関の承認状態もしくは実施結果を保証しない.情報を検証するためには,医師は直接それぞれの研究機関と連絡をとらなければならない.―編集者注.
遺伝子 ABCD1遺伝子はX-ALDを発症させることがわかっている変異が生じる唯一の遺伝子である.
臨床検査
表2.X-ALDで用いられる分子遺伝学的検査
遺伝子記号 | 検査方法 | 検出変異 | 検査方法ごとの変異検出率1 | 検査の実施状況 | |
---|---|---|---|---|---|
男性 | ヘテロ接合女性 | ||||
ABCD1 | シークエンス解析 | シークエンス変異2 | 99%3,4,5 | 93%6 | 臨床 |
欠失・重複検査7 | 1つ以上のエクソン,もしくは遺伝子全体の欠失・重複 | ~6%8 | ~6%5 |
「検査の実施」とはGeneTests Laboratory Directoryでの検査の実施状況を指す.GeneReviewsでは,当該検査が米国の臨床検査機関改善修正法(CLIA)承認施設もしくは米国以外の臨床施設によりGeneTests Laboratory Directoryに掲載されている場合にのみ,分子遺伝学的検査が臨床的に実施されているとしている.GeneTestsは各施設の提出する情報に対して事実確認することはなく,各施設承認状況や治療実績に関してはいかなることであっても保証しない.医師は直接各施設へ問い合わせて情報確認すること.
検査結果の解釈
検出されうる変異
変異が検出されない場合に考えられる可能性
アレル変異ごとの情報は「分子遺伝学」の項で得られる(表A「遺伝子とデータベース・病理学的アレル変異」を参照のこと).
検査手順
発端者の確定診断
女性保因者の同定には,(1)家系内で事前に病原性変異の同定されていること,もしくは(2)罹患男性が検査を受けられない場合には,まずシークエンス解析による分子遺伝学的検査を行い,そこで変異が同定されない場合には全般的な構造的異常を検出できる手法を用いること.
注:ここでいう保因者とはこのX連鎖性疾患のヘテロ接合体のことであり,疾患に関連する臨床症状を発症する可能性がある.
出生前診断・着床前診断(PGD) リスクのある妊娠に対してシークエンス解析や欠失・重複検査を用いた出生前診断や着床前診断を行う場合には,事前に家系内の病原性変異の同定が必要である.生化学検査を用いた出生前診断では,事前に家系内で生化学的に診断が確立していなければならない.
注:GeneTests Laboratory Directoryに掲載されている検査機関で臨床的に検査が行われている場合に限り,臨床的に実施されているとするのがGeneReviewsの方針である.こうした掲載には著者,編集者,査読者の意向は必ずしも反映されていない.
遺伝的に関連のある疾患
CADDS.CADDS(ABCD1遺伝子DXS1357E連続欠失症候群;contiguous ABCD1 DXS1357E deletion syndrome)と名付けられたABCD1遺伝子の5’末端を含む連続欠失症候群の男性患者3人に関する報告がある[Corzo et al 2002].CADDSの臨床型は発症がより早期で,変異がABCD1遺伝子に限られていることから区別される.3人全員が新生児期胆汁うっ滞,筋緊張低下,発達遅滞を呈していた.頭蓋顔面異常が見られた者はいない.3人全員が1歳になる前に死亡した.この新しい症候群におけるABCD1遺伝子の関与は,培養細胞の免疫組織化学解析で,形態学的には正常だが,ABCD1遺伝子のコードする膜蛋白が欠如したペルオキシソームが現れることからわかる.3人のうち2人の母親が欠失の保因者であることが判明した.
CADDSをX-ALDと比較すると,X-ALDでは神経学的症状の発症は早くとも2.75歳であり,肝疾患は認められない.CADDSでは極長鎖脂肪酸(VLCFA)の血漿濃度は上昇するが,常染色体劣性のペルオキシソーム形成異常症,Zellweger症候群(PBD,ZSS)と異なり,他のペルオキシソーム代謝経路を検査しても異常は見つからない.
臨床像
自然経過
X連鎖性副腎白質ジストロフィー(X-ALD)の臨床型は幅広く,VLCFA値や家族歴からは予測できない.臨床型は多岐に及んでおり,単一の親族や同胞群でも多彩である[Moser et al 2001].X-ALD患者の多くは中年,もしくはそれ以降まで無症状である.
徴候タイプ1.小児大脳型(患者の35%以下).症状が最も多く発現するのは4~8歳であり,ピーク年齢は7歳である.3歳未満での発症はほぼない.
罹患男児は行動障害や学習障害を呈し,注意力欠陥障害や多動と診断される場合も多く,刺激薬が奏効することもある.これらの行動は数ヶ月以上,もしくはそれ以上継続することがある.その後,学校で「意識が飛ぶ」(不注意,筆記能力の低下,学業成績の低下);(音声の聞き取りは正常であるにもかかわらず)発話言語の理解困難;読書,空間識形成・文書理解の困難;不器用;視覚障害や時折みられる二重視;攻撃的行為や脱抑制行為といったような,より重篤な疾患が潜んでいることを示す症状が生じる.
脳MRI画像検査をこの時期に実施すると,症状は比較的軽症であっても,際立った異常像が得られる.
最初期の症状が発作である男児もいる.
程度の差はあるが進行は急速で,6ヶ月から2年の間に全介助状態となり,年齢はさまざまであるが死亡する.
最初に神経学的障害が気づかれる頃には,ほとんどの患者に副腎皮質機能不全が生じている.
徴候タイプ2.副腎脊髄ニューロパチー(AMN)(患者の40~45%).典型症例は,20歳代もしくは中年男性における下肢の進行性のこわばりもしくは脱力,括約筋制御異常,性機能不全が認められるというものである.全症状は数10年かけて進行する.
AMN患者の約40~45%にはMRI画像や臨床検査で脳病変が認められる.AMN患者の10~20%では,脳病変の進度が重篤であり,全介助・死亡に至る重篤な認知行動障害を来す.
AMN罹患男性の約70%には,神経学的症状に初めて気づく時点で,副腎皮質機能不全が生じている.
徴候タイプ3.単独アジソン病(患者の10%以下).罹患男性では2歳から成人までの間,多くは7.5歳までに副腎機能不全の徴候が現れる.現れる徴候には,原因不明の嘔吐,脱力もしくは昏睡があり,アジソン病と診断される.副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の過剰分泌の結果生じる皮膚の色素沈着の程度は様々である.
初発症状として副腎皮質機能不全がみられた男性の大多数にAMN症状が現れるようになるのは中年近くになってからである.
副腎機能異常 総じて,神経学的症状のある男児の90%,副腎脊髄ニューロパチーの男性の70%に副腎機能異常を認める.通常,保因者女性の副腎機能は正常である.副腎機能不全を示す最も感度の高い指標は,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の血漿中濃度の増加や,ACTHの投与に応じて異常に増加するコルチゾールの血漿中濃度である.副腎皮質抗体は現れない.
罹患男性の約5~10%に認められる症状
遺伝子型と臨床型の関連
VLCFAの血漿濃度や変異の特徴から臨床型を予測することはできない.同一の変異でも幾つかの既知の臨床型に関与しうる.軽症型は遺伝子生成物が産出できなくなるような大規模欠失に,重症型は免疫反応性の高い蛋白を大量に産出するミスセンス変異と関連しているかもしれない[Moser & Moser 1999, Takano et al 1999, Pan et al 2005].
分離比解析から常染色体の修飾遺伝子の作用が想定されるが,このような遺伝子の存在は明らかになっていない.現在行われている幾つかのSNP関連解析では,単独の修飾遺伝子ではなく複数の遺伝子座が臨床型の発現に関与している可能性が示されている[Semmler et al 2009, Brose et al 2012].
浸透率
VLCFAの血漿濃度上昇という生化学的表現型の男性における浸透度はほぼ100%である.
臨床型の多様性は幅広いが,神経学的症状は成人になるまでに男性罹患者のほぼ全員に認められる.
病名
Siemerling-Creuzfeldt病はX-ALDの別名である.
歴史的に,Schilder's病という病名はX-ALDを含む幾つかの臨床状態を指して用いられており,この病名で診断された家系もあるかもしれない.不都合なことに,この病名は現在もスダン親和性脳硬化症やある種の多発性硬化症を指して用いられていることから,診断に混乱を招く場合もある.
頻度
頻度は2~5万人に1人と推定されている.米国では,ヘミ接合体(罹患男性)の最小頻度が21,000人中1人,ヘミ接合体とヘテロ接合体(保因者女性)を合わせた頻度が16,800人中1人とされている[Bezman et al 2001].
頻度はどの民族集団でもほぼ同一であるように思われる.
鑑別診断
本稿で扱われる疾患に対する遺伝学的検査の実施可能性に関する最新情報は,GeneTests Laboratory Directoryを参照のこと.―編集者注.
X連鎖性副腎白質ジストロフィー(X-ALD)と同様の臨床症状を持つ病態には以下がある.
臨床医への注:この疾患に関連した個別の患者に対応した「simultaneous consult」はこちらをクリックのこと.は個別所見に基づく双方向型の診断サポートソフトである(要登録).
臨床的マネジメント
最初の診断時における評価
X連鎖性副腎白質ジストロフィー(X-ALD)と診断された患者の疾患の程度の確定には,以下の手順が推奨される.
症状の治療
罹患男性に副腎機能不全を認めた場合には,コルチコステロイド補充療法が不可欠であり延命効果がある.(コルチコステロイド補充療法は神経系病変には無効である.)
罹患男児にとって両親の一般的な介護や心理的・教育的支援は有益である.
副腎脊髄ニューロパチーの患者男性にとって,理学療法,泌尿器合併症の管理,家族のカウンセリングや職業相談は有益であり,多くは私生活と職業生活を両立している[Silveri et al 2004].経過観察
初回の副腎皮質機能が正常であったX-ALD罹患男性には,定期的に副腎機能を再検すること[Dubey et al 2005].
X-ALD罹患男性は脳病変の発生を監視するため,小児期は6カ月に1回,その後は年に1回,脳MRIを受けること[Peters et al 2004]. MRIの異常所見は臨床症状が生じるかなり前に現れ [Loes et al 2003] ,症状が現れていない時期に骨髄移植を行うと最善の効果が得られることがはっきりと実証されているからである[Shapiro et al 2000, Peters et al 2004, Mahmood et al 2007].
リスクのある血縁者の検査
無症状,もしくはごくわずかにしか症状が現れていないリスクを持つ男性を早期に見つけることで,時宜を得た副腎機能低下への治療の実施が可能となる[Mahmood et al 2005].
遺伝カウンセリング目的のリスクのある血縁者の検査に関連する問題については,「遺伝カウンセリング」の項を参照のこと.
研究中の治療法
MRI画像が正常で症状がまだ現れていない男児に対する単群試験では,ロレンツォ油治療によるヘキサコサン酸(C26:0)値の減少がMRIの異常像,つまり小児大脳型の発症リスクの低下と関連性がみられた.著者等は治療効果にはC26:0の減少が必要であり,その減少量がリスクの低下と相関があることを強調した.このような低下が見られても,小児大脳型を発症させる患児もいる.この試験がオープン試験で,プラセボ対照群が設置されていないことに注意しなければならない.つまり,結果の解釈には幾分注意を払わなければならないだろう.ロレンツォ油の使用はいまだ研究中の段階である[Moser et al 2005].
種々の疾患に対する臨床試験についてはClinicalTrials.govを参照のこと.
その他
遺伝クリニック 遺伝専門医のいる遺伝クリニックは患者や家族に自然経過,治療,遺伝形式,患者家族の遺伝的発症リスクに関する情報を提供とするとともに,患者サイドに立った情報も提供する.GeneTests Clinic Directoryを参照のこと.「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」
遺伝形式
X連鎖性副腎白質ジストロフィー(X-ALD)はX連鎖性の遺伝疾患である.
患者家族のリスク
発端者の両親
AS患者の同胞のリスクは,家系発端者のASの遺伝機序に依存しており,表2に要約される.
発端者の同胞
男性・女性発端者の両親
発端者の同胞
発端者の子
発端者の他の家族.性別,血縁関係,発端者の両親の保因者状態により,発端者のおばやおじ及び彼らの子は,保因者リスクや罹患リスクを持つことがある.
リスクのある血縁者の評価は臨床的マネジメントや遺伝カウンセリングにとって重要であるが, 十分に実施されていない場合が多い.評価が十分に行われていない原因には幾つかの要因がある.
保因者診断
リスクのある女性親族の保因者診断は2段階を経る.
遺伝カウンセリングに関連した問題
早期診断・治療目的のリスクのある血縁者に関する情報については,「臨床的マネジメント」や「リスクのある血縁者の検査」の項を参照のこと.
臨床型の多様性.リスクのある夫婦には,臨床型がさまざまで同一血縁者やきょうだい同士でも異なる場合が多いことを知らせることが重要である.従って,比較的軽症の臨床型であった家系の血縁者には,子どもが罹患した場合に重篤な臨床型となりうることを知らせる必要がある.
リスクのある無症状の血縁者もしくは症状のみられる血縁者が診断を受けていない場合.リスクのある血縁男性には,患者との守秘義務の原則を尊重したうえで,X-ALDリスクを同定したり,X-ALDのリスクを知らせたりすることが肝要である.血漿VLCAF濃度の測定により症状の発現前の疾患の早い段階でX-ALD罹患男性の同定できると,生命を脅かす合併症が起こる前に副腎機能不全の診断と治療を行うことが可能となる.また,このような検査により,早期の(特異的でない場合の多い)神経学的,行動的,認知的徴候や症状に対して,正確な早期診断を行うことが可能となる.
家族計画
DNAバンキング DNAバンキングは,将来の使用のために,通常は白血球から調整したDNAを貯蔵しておくことである.検査手法や,遺伝子,変異,疾患への理解は将来改善する可能性があり,患者のDNAを貯蔵しておくことは考慮されるべきである.このサービスを行っている機関についてはの項を参照のこと.
出生前診断
分子遺伝学的検査. 息子が罹患する確率が25%(胎児が男性であるとわかっている場合は50%)の保因者女性の妊娠に対する出生前診断は可能である.通常の手順では,妊娠約10~12週の絨毛生検(CVS)もしくは通常妊娠約15~18週に実施される羊水穿刺で得られた胎児細胞の染色体解析によって胎児の性別を決定する.核型が46,XYであり,血縁者の病原性変異が同定されている場合には,胎児細胞のDNAに既知の発病変異が認められるか検査を行うことができる.
注:妊娠週数とは最終月経の第1日から換算するか,超音波検査による計測によって算出される.
生化学的検査.分子遺伝学的検査が可能でない場合,培養羊水細胞や培養絨毛細胞で極長鎖脂肪酸(VLCFA)測定を行う[Wanders et al 1998, Moser et al 1999].培養絨毛細胞を用いた検査での偽陰性が報告されているが,これは技術的な要因によるものであろう.極長鎖脂肪酸の測定は十分な実績のある検査機関でのみ行うこと.
着床前診断(PGD) 着床前診断(PGD)は病原性遺伝子変異が同定されている家系,若しくは罹患男児が生じる可能性を避け,女児の胎芽のみを着床させることを選択した家系で可能である.着床前診断(PGD)を行っている施設に関してはを参照のこと.
注:GeneTests Laboratory Directoryに掲載されている検査機関で臨床的に検査が行われている場合に限り,臨床的に実施されているとするのがGeneReviewsの方針である.こうした掲載には著者,編集者,査読者の意向は必ずしも反映されていない.
以下は,GeneReviewsスタッフが選んだ当該疾患患者やその家族のための患者サポート団体や患者登録である.GeneReviewsはこのほかの組織が提供する情報には責任をもたない.
241 Camden Street
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