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22q11.2欠失症候群
(22q11.2 Deletion Syndrome)
[Includes: DiGeorge Syndrome (DGS), Velocardiofacial Syndrome (VCFS), S
hprintzen Syndrome, Conotruncal Anomaly Face Syndrome (CTAF), Caylor Cardiofacial Syndrome,
Autosomal Dominant Opitz G/BBB Syndrome]

Gene Review著者: Donna M McDonald-McGinn, MS, CGC, Beverly S Emanuel, PhD, FACMG,
         and Elaine H Zackai, MD, FACMG
日本語訳者: 末國久美子,山本佳世乃,川目裕
    (お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科ライフサイエンス専攻遺伝カウンセリングコース) 
Gene Review 最終更新日: 2005.12.16. 日本語訳最終更新日: 2012.6.25.

原文 22q11.2 Deletion Syndrome


要約

疾患の特徴 

22q11.2欠失症候群の罹患者は、先天性心疾患(患者の74%)、おもに円錐動脈管奇形(ファロー四徴、大動脈弓離断症、心室中隔欠損症、総動脈管症);口蓋の異常(69%)、特に鼻咽腔閉鎖不全、粘膜下口蓋裂、口蓋裂;特徴的な顔貌(白人の多くに認める);学習障害(70-90%)など、多様な幅広い臨床症状を伴う。77%の罹患者は臨床所見の有無に関係なく免疫不全を有する。その他の症状として以下が含まれる:低カルシウム血症(50%)、有意な摂食障害(30%)、腎奇形(37%)、難聴(伝音性、感音性)、喉頭気管食道奇形、成長ホルモン分泌不全症、自己免疫疾患、痙攣(低カルシウム血症を伴わない)、骨格異常。

診断・検査 

22q11.2欠失症候群は、FISH法(fluorescence in situ hybridization)により検出される22番染色体の微細欠失を確認することで診断される。22q11.2欠失症候群の臨床症状を有する5%未満は、細胞学的検査で正常、FISH法による検査結果陰性となる。

臨床的マネジメント 

先天性心疾患を有する22q11.2欠失症候群の罹患者は、通常の方法で治療を行う。血清の低カルシウムはカルシウムの補充で治療される。摂食障害は食べるときのスプーンの形状の改良、胃食道逆流症には制酸剤、消化管運動促進薬、姿勢管理により対応する。口蓋の異常は、頭蓋顔面チームにより対応する;核磁気共鳴血管画像(MRA)は、咽頭手術候補者において外科手術中のリスクとなり得る異所性内頸動脈を特定することができる。感染症は、積極的に治療し、リンパ球異常を有する乳児には、生ワクチンの接種は避けるべきである;稀には、予防的抗生物質、IV IG治療あるいは胸腺移植が必要となることがある。運動、認知、発語、言語の遅れを評価し/治療するために、早期からの教育的介入と言語療法は、1歳から開始する。

遺伝カウンセリング 

22q11.2欠失症候群は、常染色体優性遺伝形式をとる。約93%の罹患者では、22q11.2の欠失は新生突然変異であり、7%の罹患者では、22q11.2欠失を親から受け継ぐ。22q11.2欠失症候群罹患者の子は、22q11.2欠失を50%の確率で受け継ぐ。出生前検査は、家族歴から50%のリスクのある胎児、及び、家族歴は不明だが、超音波検査により先天性心疾患、及び/または口蓋裂の所見があり、22q11.2欠失症候群のリスクが高い胎児に利用可能である。


診断

臨床診断

22q11.2欠失症候群の診断は、以下に示すようないくつかの症状の組合せをしばしば含む所見を有する患者に疑われる。

  • 先天性心疾患(特に円錐動脈管の奇形)
  • 口蓋の異常 [特に口蓋咽頭機能不全(VPI)]
  • 低カルシウム血症
  • 免疫不全症
  • 学習障害
  • 特徴的な顔貌

頻度の低い機能的異常

  • 重度の嚥下困難
  • 成長ホルモン分泌不全症
  • 自己免疫疾患(血小板減少、若年性リウマチ性関節炎、Grave’s病、白斑、好中球減少症、溶血性貧血)
  • 難聴(感音性、伝導性)
  • 精神疾患

他の構造異常

  • 骨格所見:手の軸前性、及び軸後性多指症、足の軸後性多指症、過剰肋骨、半椎、頭蓋縫合早期癒合症
  • 泌尿生殖器系の奇形:腎無形成、水腎症、多のう胞性異形成腎、重複腎、馬蹄腎、子宮欠損症(子宮無形性症)、尿道下裂、そ径ヘルニア、停留精巣
  • 喉頭気管食道奇形:血管輪、及び喉頭ウェブ
  • 眼科所見:網膜血管蛇行、眼瞼下垂、後部胎生環、角膜硬化症、コロボーマ、白内障、斜視
  • 中枢神経異常:小脳委縮、多小脳回、シルビウス裂の拡大、神経管閉鎖不全、係留脊椎、非誘発性けいれん発作、啼泣時の顔面の非対称
  • 消化管奇形:肛門前方偏位あるいは鎖肛、食道閉鎖、空腸閉鎖、副脾、臍ヘルニア、横隔膜ヘルニア、腸回転異常症、Hirshsprung病
  • 耳介前の突起(副耳)

腫瘍

  • 肝芽腫、腎細胞がん、ウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫

検査

細胞遺伝学的検査

 22q11.2欠失症候群の臨床所見を有する人の1%未満は、22番染色体と他の染色体との転座など22q11.2領域に関わる染色体再構成がある。

分子遺伝学的検査

GeneReviewsは,分子遺伝学的検査について,その検査が米国CLIAの承認を受けた研究機関もしくは米国以外の臨床研究機関によってGeneTests Laboratory Directoryに掲載されている場合に限り,臨床的に実施可能であるとする. GeneTestsは研究機関から提出された情報を検証しないし,研究機関の承認状態もしくは実施結果を保証しない.情報を検証するためには,医師は直接それぞれの研究機関と連絡をとらなければならない.―編集者注.

遺伝子 DiGeorge染色体領域(DGCR)の遺伝子欠失が、22q11.2欠失症候群に関連する唯一の遺伝的異常である[Driscoll et al 1992, Wilson et al 1992, Desmaze et al 1993, Driscoll et al 1993]。

Yamagishi ら [1999] は、22q11.2欠失症候群のある症状の原因遺伝子は、もともとPizzuti et al [1997]により報告されたものであるUFD1Lであることを示唆した;しかしながら、
注目は、現在はTBX1遺伝子に移った。TBX1の遺伝子変異は、欠失をもたないDiGeorge症候群の罹患者に認められている[Gong et al 2001, Yagi et al 2003];これらのうち少なくともひとつの変異は、機能に影響する[Stoller & Epstein 2005]。22q11.2欠失症候群の中枢神経系の症状はTBX1遺伝子が原因ではないので、その他のどんな遺伝子が欠失しなければならないか、依然、確定していない。さらに、典型的な円錐動脈管異常を含む22q11.2欠失症候群のいくつかの所見がある罹患者には、FISH法解析による欠失あるいはTBX1変異のどちらも認めない。

臨床用途

  • 確定診断検査
  • 出生前検査

臨床検査

  • FISH法 TUPLE1とN25の2種類のプローブが、22q11.2欠失症候群のFISH法解析のために商業的に利用可能である。FISH法解析の検出率は、どちらのプローブを利用しても同等であると考えられている。しかし、どちらのプローブを利用したFISH法解析であっても、22q11.2領域内の微少欠失(<40kb)を検出するのに十分な感度ではない。

    注:ARSAプローブは、染色体22q13.3の座をハイブリダイズするもので、検査に利用することもあるが、ここではコントロールの目的にのみ利用される。

研究検査. 22q11.2欠失症候群の所見がある幾人かは、一般の染色体検査で正常、かつ商用利用のプローブを利用したFISH法による欠失を認めないが、研究利用に限って利用可能なプローブによって,異なった様々な欠失を認める。

MLPA法(multiple ligation-dependent probe amplification)は22q11.2領域の欠失を検出するために用いられている。MLPA法はゲノムの特定領域の相対的コピー数を検出するための定量的Multiplex PCR 法である。22q11.2領域の欠失の診断が可能である [Fernandez et al 2005]。市販のMLPAキット(SALSA P023; MRCX-Holland, Amsterdam)は、迅速かつ包括的な欠失の検出に役立つことが明らかである。

その他の診断アプローチには、CGHアレイ(comparative genomic hybridization) [Mantripragada et al 2004]と定量 PCR [Kariyazono et al 2001]がある。

表1 22q11.2欠失症候群で利用される検査

検出方法

検出される変異

変異検出頻度

検査機関

FISH法

22q11.2DGCR領域の欠失

>95%

臨床

Direct DNA法1

より微少な22q11領域の欠失あるいは点変異

<5%

研究のみ

「検査の実施」はGeneTests Laboratory Directoryに掲載されている検査実施状況である.GeneReviewsは,分子遺伝学的検査について,その検査が米国CLIAの承認を受けた研究機関もしくは米国以外の臨床研究機関によってGeneTests Laboratory Directoryに掲載されている場合に限り,臨床的に実施可能としている.GeneTestsは研究機関から提出された情報の検証や,研究機関の承認状態もしくは実施結果の保証は行わない.情報を検証するためには,医師は直接それぞれの研究機関と連絡をとらなければならない.

  1. ここでいうDirect DNA法には、変異解析、変異スキャン、シーケンス解析、その他、この疾患に関連する遺伝子変化を検出する分子遺伝学的検査などを含む。

検査手順

22q11.2欠失症候群が疑われる場合には、FISH法検査の時に通常の染色体検査(訳者注:G分染法)を行うことが推奨される。なぜなら、22q11.2欠失症候群の臨床症状を有するごくわずかな人は(<1%)22q11.2領域を含む染色体の再構成があるので。

遺伝的に関連のある(アレリックな)疾患

22q11.2欠失と関連性のある他の表現型はない。

臨床像

自然経過

250人の(48%男性;53%女性)22q11.2欠失症候群の所見を、下記にまとめる[McDonald-McGinn et al 1999b]。600人の未報告データにおいても、以下に示す症状のパーセンテージは同じである[Author, unpublished data 2005]。

33%の罹患者は5歳以下である。著しい家系内、家系間の多様性が認められる。

心臓. 先天性心疾患は74%の罹患者に認め、本症候群の死亡要因の主な原因となる(全死因の90%を越える)。 [McDonald-McGinn et al 2001] (表 2)。

表2 22q11.2 欠失症候群222人の罹患者の心臓所見

Cardiac Finding

罹患者の割合(%)

ファロー四徴(TOF)

22%

大動脈弓離断症(IAA)

15%

心室中隔欠損症(VSD)

13%

総動脈管症(TA)

7%

血管輪

5%

心房中隔欠損(ASD)

3%

大動脈弓奇形

3%

VSD;ASD

4%

その他1

4%

正常

26%

McDonald-McGinn et al [1999a]から

  1. 左心低形成症候群;肺動脈弁狭窄;両大血管右室始症/大動脈弓離断症;二尖大動脈弁;内臓錯位/房室管(A-V canal)/大動脈弓離断症

口蓋 69%の22q11.2欠失症候群の罹患者は口蓋の異常を有する(表3)。最も頻度の高い鼻咽腔閉鎖不全(VPI)、は、構造の問題(短い口蓋)、機能的な問題(口蓋咽頭の筋の筋緊張低下)、あるいは両者の組み合わせの可能性がある。しばしば心疾患によって最初に診断された罹患児は、後に、形態的には認識されないが、臨床的に明らかなVIPを認める。 [McDonald-McGinn et al 1997a]。約17%は,口蓋の合併症を認めない。

表3 22q11.2欠失症候群の口蓋知見

口蓋の所見

罹患者の割合(%)

鼻咽腔閉鎖不全(VPI)

27%

粘膜下口蓋裂(SMCP)

16%

明らかな口蓋裂

11%

二分口蓋垂(口蓋垂裂)

5%

口蓋裂/口唇口蓋裂1

2%

乳児型VPI2

8%

Follow-upの必要3

14%

正常

17%

McDonald-McGinn et al [1999a]から

  1. 片側性、あるいは両側性
  2. 既往歴(鼻からの逆流や頻回の中耳炎)や、身体的診察、鼻咽腔ファイバー(てい泣や嚥下の間に口蓋咽頭機構の不完全な閉鎖)により診断されるものを“乳児型VPI”あるいは、不顕性粘膜下口蓋裂という。この場合、年齢が小さ過ぎて、十分な音声サンプルが得られず確定診断はできない。
  3. 明らかな異常はないが、罹患児は若すぎて十分な音声サンプルを提供できない

摂食. 約30%の罹患児に摂食障害を有し、しばしば経鼻栄養、及び/または胃ろうを必要とする重度の嚥下障害を有する。摂食障害は、心奇形、及び口蓋異常とは無関係である。そういった罹患児をさらに検査すると、鼻咽腔逆流の多発、輪状咽頭筋の隆起、異常な輪状咽頭の閉鎖、及び/または憩室が明らかになる可能性がある。従って、多くの罹患児に認められる摂食の問題は、第三、第四の咽頭嚢に由来する咽頭食道領域における運動障害による。[Eicher et al 2000]。

免疫機能 免疫不全は、胸腺低形成の結果おこる。胸腺の役割は、機能的T細胞の成熟を担うことなので、T細胞産生の障害が一次的異常である。T細胞の機能不全と抗体産生不全は頻度高くなく、T細胞産生の異常の二次的なものである[Sullivan 2004]。

欠失のない対照群の人と比べて、22q11.2欠失症候群の新生児は、明らかに胸腺系の細胞が少ない。しかしながら、T細胞産生の改善が、年齢とともに起こる。ある研究では、T細胞産生に有意な障害を有する子どもは、多くは1歳までに改善したという[Sullivan et al 1999]。6ヶ月齢以上の60名の免疫機能の研究において、77%は臨床的所見にかかわらず免疫不全と考えられた。67%は、T細胞産生の障害があり、19%はT細胞機能不全があり、23%は液性免疫障害があり、13%はIgA減少があった[Smith et al 1998, Sullivan et al 1998]。

加えて、誤嚥性肺炎、口蓋機能不全、及び胃食道逆流症のような22q11.2欠失症候群に関連する臨床症状は、全て反復性の感染の原因となり得る、特に先天性心疾患の人ではそうである。さらに、摂食障害は、栄養不足をおこし,一層の細胞性免疫障害をきたし得る。これらの問題にもかかわらず、稀に学齢期の児童は免疫不全に対する医学管理を必要とすることがある [Sullivan 2004]。

副甲状腺機能. 低カルシウム血症は、22q11.2欠失症候群の17-60%に認め、典型的には、新生児期において最も重症である。カルシウムの恒常性は、典型的には、年齢とともに正常化するが、幼児期後期の何らかの疾患罹患時や、思春期に再燃することが報告されている。時に、乳児期の低カルシウム血症の継続的治療をうけている子どもで、学童期まで22q11.2欠失症候群の診断に至らない場合がある:一方、少なくともひとり、40歳代になっての副甲状腺機能低下症の発症で、初めて本症候群に気づかれた無症状の成人例もある [M Eagen, personal communication]。

頭蓋顔面. 頭蓋顔面の所見は、耳の異常、鼻の異常、”はれぼったいまぶた”、眼間隔離、口唇口蓋裂、非対称な泣き顔、頭蓋縫合早期癒合症を含む[McDonald-McGinn et al 2005a]。しかしながら、他の顔面の所見、例えば、長い顔や平坦な頬骨と同様、これらの所見は様々である。実際、幾人かの本症候群の患者は、特にアフリカ系アメリカ人家系の人は、顔貌の所見は、診断の手がかりを与えない。[McDonald-McGinn et al 1996, McDonald-McGinn et al 2005b]。

 33人の眼科的異常の前向きな評価は、はれぼったい上まぶた(41%)、眼瞼下垂症(9%)、はれぼったい下まぶた(6%)、内眼角贅皮(3%)、睫毛内反(3%)。他の所見は、後部胎生環(69%)、単一角膜神経(3%)深い虹彩窩deep iris crypts (10%)網膜血管蛇行(58%)、小視神経small optic nerves(7%)、傾斜乳頭tilted discs(3%)。斜視は13%の人に認められ、弱視は6%の人に認められる。後部胎生環は対照群の12-32%に認められるが、22q11.2欠失症候群の罹患者の頻度は、Alagile症候群(89%)と同程度に高い [Krantz et al 1997]。乱視、近視、遠視は、一般人口における頻度に相当する。少数の罹患者に白内障とコロボーマが認められる。

耳、鼻、及び咽頭. 過剰に折り曲がった、あるいは四角い耳輪;カップ状の耳、耳小症、及び聳立した耳;耳前瘻孔、副耳、外耳道狭窄、有意な鼻根部、幅広い鼻尖、鼻翼の低形成、及び鼻尖の陥凹/二分鼻尖は、一般的である[Gripp et al 1997]。血管輪による喘鳴、喉頭軟化症、喉頭横隔膜症も起こりうる。慢性的な中耳炎と慢性的な副鼻腔炎は、一般的である。感音性、及び伝導性難聴が報告されている。

中枢神経系. 多くの22q11.2欠失症候群の罹患者には、乳児期の筋緊張低下と学習障害が認められるが[Moss et al 1995]、特定の神経所見は稀である。けいれんは、幾人かの本症候群の罹患者に認められ、常にではないが、多くは低カルシウム血症に関連する。ある研究では、7%(27/383)の22q11.2欠失症候群の罹患者は原因の特定できないけいれんを有する [Kao et al 2004]。

一部の罹患者は、非対照な泣き顔(asymmetric crying face)をする[Cayler 1969, Levin et al 1982, Silengo et al 1986, Sanklecha et al 1992, Giannotti et al 1994]。

稀に運動失調、及び小脳の萎縮が認められる[Lynch et al 1995]。

加えて中枢神経の異常には、多嚢胞白質病変とシルビウス裂の形成不全 [Bingham et al 1997]、下垂体の形成不全、多小脳回を含む(Polymicrogyria Overviewを参照)。

fMRI(機能的MRI)を利用した最近の調査では、年齢、及び性別を適合させた対象群に比較して、明らかな大脳後部の容量の減少を示し、前頭葉よりは左後頭部、及び左頭頂部域に、より明らかな白質病変を伴う[Barnea-Goraly et al 2003, Bearden et al 2004, Bish et al 2004, Kates et al 2004]。脳の構造におけるこれらの変化の多くは、ワーキングメモリ、実行機能、視空間機能、言語、及び数学能力の領域において示される特別な認知障害に関連すると推測されている。

総じて、中枢神経の異常のパターンは幅が広く、Opitz G/BBB症候群のいくつかの症例に認められるものと重複する [Neri et al 1987, Guion-Almeida & Richieri-Costa 1992, MacDonald et al 1993]。

心理社会的発達、認知機能. 一般的に、22q11.2欠失症候群の低年齢の小児は、運動発達の遅れがあり(平均歩行18ヶ月齢)、言葉の発達の遅れ(多くは2-3歳で有意語は未)、及び約20%に自閉症/自閉症スペクトラム障害がある[Fine et al 2005]。

特に、標準テストで評価された28人の幼児の研究において、精神発達は平均21%、軽度な遅れ32%、明らかな遅滞は46%であった;運動発達では、8% は平均、13%は軽度な遅れ、79%は明らかな遅れがあった。

WPPSI-Rを使用した12人の就学前児童のグループにおいて、全検査IQは78±11、動作性IQの平均は78±14、言語性IQの平均は82±15であった。言語性では、16%は平均、44%には軽度な遅れ、40%は明らかな遅れがあった[Solot et al 1998]。

22q11.2欠失症候群の年長者は、一般に複数のドメインにわたって非定型的な神経心理学的なプロファイルを有し、最大の特徴は動作性IQより有意に高い言語性IQである。Mossら[1995]は、一般集団では稀である非言語性学習障害に一致する80人の学齢期の子どもの66%において、言語性IQと動作性IQの平均の差が認めている[Wang et al 1998]。全検査IQ単独では多くの22q11.2欠失症候群の能力を正確に示さず、言語性、及び動作性IQスコアは別々に考慮する必要がある。加えて、暗記の言語的な学習と記憶、読み、解読、及び綴りといった分野の相対的な長所が存在する。非言語的プロセッシング、視空間スキル、複雑な言語記憶、注意、ワーキングメモリ、視空間記憶、そして数学といった非言語的分野の処理に弱点が認められる。視覚より強い言語スキル、計算スキルより強い読解スキルという証拠も、特別な認知の改善、行動管理、そして親のカウンセリングを必要とする非言語的な学習障害の存在を裏付ける。

80人の学齢期の子どものグループを、年齢に応じたWeschler IQ検査で評価をし、平均IQは76であったが、18%は全検査IQは平均域、20%は平均域より低く、32%は境界域であり、30%には遅れがあった。

精神疾患. 脱抑制と衝動性があり、他方で内気と引きこもりという行動面、及び気質は22q11.2欠失症候群の幾人かの罹患者に認められる[Swillen et al 1999]。自閉症と自閉症スペクトラム障害とともに、注意欠陥、不安、固執、及び社会的交流の困難性もまたよく認められる[Swillen et al 1999; Niklasson et al 2001; Vorstman, personal communication]。

統合失調症、双極性障害、不安そして抑うつという精神疾患の発生率が増加する。これらの精神疾患の頻度と正確な特徴は、なお研究中である[Shprintzen et al 1992, Chow et al 1994, Bassett et al 1998, Yan et al 1998, Murphy et al 1999, Baker & Skuse 2005, Bassett et al 2005, Oskarsdottir et al 2005]。

成長. 22q11.2欠失症候群のほとんどの成人は、正常な身長である。しかしながら、1歳から15歳の95人の子どもにおいて、41%は身長が5パーセンタイルを下回る。この中で、4人は明らかに5パーセンタイルを下回る;全てに、成長因子IGF1、及びIGFBP3は低値であった。3人は成長ホルモン欠損症の証拠がある;3人はMRIで小さな下垂体を認め;そして2人は成長ホルモン療法に反応している [Weinzimer et al 1998]。

自己免疫疾患. 多関節型若年性関節リウマチ(JRA)は、一般人口の20倍の頻度で、22q11.2欠失症候群の罹患児に発症する。JRAの発症年齢は、17ヶ月から5歳である。JRA易発症のHLAタイプが認められる[Sullivan et al 1997, Keenan et al 1997]。22q11.2欠失症候群に関連するその他の自己免疫疾患は、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、甲状腺機能亢進症(Grave’s病)、甲状腺機能低下症、白斑、溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、再生不良性貧血、及びセイリアック病がある。22q11.2欠失症候群の罹患者には、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)が一般人口の200倍の頻度で認められる[Sullivan et al 1997, Jawad et al 2001, Kawame et al 2001]。

筋骨格系. 筋骨格系が評価された108人のなかで、6%は軸前性、及び軸後性多指症を含む上肢の異常を有し、及び15%は軸後性多趾症、内反尖足、重なり合った足趾、及び2-3指間の合趾症を含む下肢の異常を有する[Ming et al 1997]。

胸部写真を検査がされた63人の罹患者において、19%は蝶形椎、半椎、及びcoronal cleftを含む椎体形態異常;19%は、肋骨の形態異常があり、最も頻度の高いものは過剰肋骨または肋骨欠損である。肩甲骨低形性は1.5%に認められる[Ming et al 1997]。有意な頸椎の異常は、前向きに研究された79人のうち50%に認められ、椎体癒合のないC2-C3の後部癒合椎骨(21%)、C1の低形成/形態異常(75%)、C2の形成異常(59%)、C2-C3の塊状椎骨を伴う後方癒合(13%)を含む [Ricchetti et al 2004]。加えて、頸椎異常のある56%の人は、屈曲と伸展の不安定性があり、33%は、ひとつ以上の椎体の過動性増加がある;その中で、4人の子どもは、椎骨CTスキャン、及び/またはMRI、頸椎の前方、及び後方の狭窄を伴うC2-C3の過動性の亢進の異常を認めた。4人のうち2人には、手術による固定を行った;2人のうちひとりは、頸髄圧迫の症状の発症に続いて緊急な治療を必要とした。

腎臓 尿路疾患の病歴のない22q11.2欠失症候群の80人の罹患者において、腎超音波を用いた前向き評価で、31%に腎臓またはその他尿生殖器の異常を認める[Wu et al 2002]。これら、単一腎、高エコー輝度の高い腎、多嚢胞性異形性腎/小腎臓、結石、膀胱壁の肥厚、馬蹄腎、重複尿管、尿管性アシドーシス、及び水腎(5%)、及び夜尿を含む。高頻度の腎の異常は、Devriendt ら[1996]の報告と同様である。加えて、尿道下裂、停留精巣[McDonald-McGinn et al 1995] 、及び子宮無形成も認められる[Huff, personal communication]。

その他. 22q11.2欠失症候群の罹患者のその他の所見として、肺分葉異常、有意な便秘、鎖肛、腸回転異常/非回転症、Hirshsprung病、横隔膜ヘルニア(遅発現を含む)、臍ヘルニア、鼠径ヘルニア、下肢痛、及び頭蓋縫合早期癒合症が認められる [McDonald-McGinn et al 1995, McDonald-McGinn et al 1999a, McDonald-McGinn et al 2004, McDonald-McGinn et al 2005a]。

Bernard-Soulier 症候群(BSS)[Budarf et al 1995]は、血小板減少、及び巨大血小板の常染色体劣性遺伝性疾患で、4つのうちひとつの遺伝の変異によって引き起こされ、そのうちの1つ(GP1BB)は、22q11.2に位置する。BSSは、欠失のない方のGP1BB遺伝子に変異のある22q11.2欠失症候群に伴う22q11.2欠失症候群とBSSのどちらの罹患者も、特に外科的手術に伴う出血を起こしやすい。

最近の22q11.2欠失症候群の罹患者の、腫瘍の報告にもかかわらず、22q11.2領域の欠失の易発がん性は不明である。報告された悪性腫瘍には、肝芽腫[Patrone et al 1990; Scattone et al 2003; Adam, personal communication 2004];腎細胞がん[Scattone et al 2003];ウィルムス腫瘍[Wallgren-Pettersson, personal communication];及び神経芽細胞腫[Chatten et al 1991] が含まれる。これらの報告に基づき、22q11.2欠失症候群と肝芽腫の間の因果関係は、肝芽腫の一般頻度である1:1,000,000と同様のようである。

遺伝子型と臨床型の関連

多くの罹患者は、DGCR領域の同じ大きな大欠失を有する。注目すべきは、欠失のサイズは、親から子への伝達で変化がない。家系内、家系間の多彩な臨床的多様性は、遺伝子型と臨床型の関連性の解明を難解にしている[Driscoll et al 1995, McDonald-McGinn et al 2001]。一例だが、発達の遅れは、家族性の症例により顕著に現れれる;しかしながら、これは遺伝的要因というよりは社会経済的な要因を反映している可能性がある。

浸透率 

浸透率はFISH法により検出された22q11.2領域に欠失のある罹患者では完全である;臨床症状の多様性は著しい。

表現促進

これまでに、表現促進現象は認められていない。

命名法

現在、22q11.2欠失症候群は、かつてDiGeorge 症候群(DGS)、velocardiofacial症候群(VCFS)(Shprintzen症候群)、円錐動脈幹異常顔貌症候群(CTAF) [Matsuoka et al 1994]、多くの常染色体優性遺伝性疾患であるOpitz G/BBB症候群[McDonald-McGinn et al 1995, Fryburg et al 1996, LaCassie & Arriaza 1996]、Cayler cardiofacial 症候群(非対称泣き顔症候群)[Giannotti et al 1994] と呼ばれた臨床型を包含する。DGS、VCFS、及びCTAFという異なった臨床的な記述は,確認バイアスによるものである。

DGSは、もともと円錐動脈幹異常、及び胸腺、及び副甲状腺の形成不全あるいは低形成を伴う第三、及び第四喉頭嚢の発達領域の障害として報告された。後に、先天性心疾患が加えられた。DGSの多くの罹患者は、新生児期に明らかな先天性心疾患、低カルシウム血症、免疫不全症が認められる。 VCFS、Shprintzen 症候群とも呼ばれている、もともと鼻咽腔閉鎖不全(VPI)、先天性心疾患(通例、心室中隔欠損症あるいはファロー四徴)、特徴的な顔貌、及び発達遅滞あるいは学習障害の組み合わせとして報告された。VCFSの罹患児は、傾向的には,口蓋裂のクリニック,あるいは頭蓋顔面センターにおいて学齢期に達し言語障害及び学習障害が明らかになった時に診断される傾向があった[Wilson et al 1993, Wulfsberg et al 1996, McDonald-McGinn et al 1997b, Thomas & Graham 1997]。

頻度

罹患率の推定は、1/4000 [Wilson et al 1994]から1/6395[Devriendt et al 1998]までと多様である。22q11.2領域の欠失は多様な表現度のために、頻度は、これまでの見積もりよりおそらくはるかに高くなる。スウェーデンの人口ベースの研究では、年間頻度は100,000出生あたり14.1人である[Oskarsdottir et al 2004, Oskarsdottir et al 2005a, Oskarsdottir et al 2005b]。CDC(the Centers for Disease Control)によって行われたアメリカの人口ベースの研究では、白人、黒人、アジア人の総体的な約6000人にひとり、ラテン系アメリカ人で3800人にひとりである[Botto et al 2003]。

鑑別疾患

本稿で扱われる疾患に対する遺伝学的検査の実施可能性に関する最新情報は、 GeneTests Laboratory Directory を参照のこと。--編集者注

22q11.2欠失症候群に認められるそれぞれの症状は、特に正常な個人にも認めうるものである。

粘膜下口蓋裂を含む口蓋裂を認める罹患者の8%は、22q11.2領域の欠失を有する可能性がある。このことより、口蓋裂を有する最も頻度の高い遺伝性症候群である。逆に言えば、22q11.2欠失症候群は、最も頻度の高い先天性の口蓋咽頭機能不全の遺伝的な原因である。

症状が重複する疾患

  • Smith-Lemli-Opitz 症候群(多指症、及び口蓋裂が認められる場合) Smith-Lemli-Opitz 症候群は、7-デヒドロコレステロール(7-DHC)の血清濃度が上昇、あるいは、7-デヒドロコレステロール:コレステロール比が上昇する。DHCR7遺伝子変異の分子遺伝学的検査は利用可能である。
  • Alagille症候群(蝶形椎、先天性心疾患、及び後部胎生環が認められる場合) Alagille症候群の臨床診断基準に合致する罹患者の70%以上に、JAG1遺伝子のシーケンス解析で変異が認められる。約5-7%の罹患者には、FISH法解析にて、JAG1遺伝子全体を含む、20p12領域の微細欠失を認める。
  • VATER症候群(心奇形、脊体異常、腎奇形、四肢奇形が認められる場合)
  • Oculo-auricul vertebral(Goldenhar)症候群(耳の奇形、椎骨欠損、心疾患、腎奇形が認められる場合)

22q11.2欠失症候群を疑われ、FISH法解析の結果が正常である場合には、10p13-p14領域の欠失を含む、他の染色体領域の染色体異常の場合がある。


臨床的マネジメント

最初の診断時における評価

22q11.2欠失症候群と診断された罹患者の疾患の程度を把握するために、次の評価が推奨される:

新生児期

  • 副甲状腺機能低下を評価するための血清カルシウムイオン濃度の測定。もし異常が認められた場合には、正式な内分泌的評価。
  • リンパ球数の絶対数の測定:リンパ球数の低値は、T細胞サブセット検査、B細胞サブセット検査と免疫の評価と免疫の専門医への紹介。
  • 体液性免疫反応の評価。
  • 腎臓の構造異常を評価するための腎臓超音波検査。
  • 胸部椎椎体奇形を評価するための胸部X線。
  • 胸部X線、ECG、及び心エコー図を含む循環器専門医による心臓の基本的評価;血管輪が疑われる場合には、胸部MRIが必要な可能性あり。

乳児期

  • 有意な胃食道逆流症;吸啜・嚥下、形態がすすまない、舌触りのある形態の追加の困難;嘔吐、及び便秘のような摂食の問題の評価
  • 1歳での発語と言語評価は,言語の出現の遅れがあるほとんどの患児に対して行われるべきで,これにより早期介入の対策が可能である.加えて、その評価は口蓋裂/VPIの診断の一助になる。

4歳以降

  • 4歳以上の罹患児全てに、頸椎X線検査(5方向:屈曲、伸展、正面AP、側面、開口位)を行う。この年齢は頸椎が骨化する年齢である。

必要に応じて

  • 成長ホルモン分泌不全の可能性を考慮し、内分泌科医による低身長(身長が20パーセンタイル未満)の罹患児の評価。
  • 不安、気分障害、行動の変化、あるいは明らかな精神疾患の事実がある罹患者への評価。
  • 出血性疾患の既往のある罹患者の血液専門医による評価

症状に対する治療

22q11.2欠失症候群の罹患者の年齢、また現在現れている問題に応じて次に示す専門家の医療提供者による学際的な評価がしばしば求められる:遺伝科、形成外科、言語病理学、耳鼻咽喉科、聴覚科、歯科、循環器科、免疫、小児発達、小児神経科、神経内科、及び総合小児科(かかりつけ医)。

低カルシウム濃度は、標準的な方法でのカルシウム補充の理由となる。長期にわたってカルシウム補充を受けている罹患者は腎臓結石のリスクが上昇するので、可能であれば、内分泌医へ紹介する。

腸回転異常/非回旋症、Hirschprung病、及び遅発性横隔膜ヘルニアのような構造異常の可能性を検討するために、摂食障害は、消化器専門医により評価されるべきである [McDonald-McGinn et al 2004]。

摂食障害に取り組む戦略は以下を含む:食べる時にスプーンの口腔への入れ方の調整:酸遮断薬、蠕動促進薬、体位療法による胃食道逆流症の治療:及び、腸のぜん動低下や排便促進の治療薬[Dinulos & Graf 1998, Eicher et al 2000]。

運動、認知、発語及び言語の遅れのリスクが高いため、教育的介入、及び言語療法は、1歳までに開始するべきである。

成長ホルモン分泌不全症を認める場合には、一般集団と同様の治療を受けるべきである。

免疫不全は一般的に、感染症に対する積極的な治療を除いて、特殊な介入は必要ない。稀に、予防的抗生物質抗体、IVIG療法、あるいは胸腺移植が必要になる。 統合失調症、及び双極性障害[Clarke & O'Callaghan 2003] また自閉症やADHD/ADDを含むその他の疾患を伴う罹患者への、精神疾患への早期診断、及び早期介入は、長期予後を改善する。

二次性合併症の予防

リンパ球異常のある乳児には、生ワクチンの予防接種(例えば経口ポリオワクチン、MMR)をしてはならない。生ワクチンを接種する前の小児期には,免疫状態を再評価するべきである。加えて、免疫が獲得されたかを評価するための抗体検査が必要である。

経過観察

罹患者は、各臓器ごとのフォローアップを必要とする。

定期的な発達評価は、子どもに役立ち、学校が適切な対応を提供することの援助となる。

臨床遺伝医による定期的な再評価によって、家族に対して新しい進歩や推奨について提供することができる。

研究中の治療法

情報を入手するために、さまざまな症状や疾患の臨床試験を行っているCrinicalTraials.govを検索する。注:この疾患への臨床試験はない可能性がある。

その他

遺伝外来 遺伝の専門家が、患者の視点に立った資源についての情報とともに、患者や家族に自然歴,治療,遺伝形式,患者家族の遺伝的リスクに関する情報を提供する。Gene Test Clinic Directoryを参照のこと。

この疾患に対する疾患特異的もしくは包括的な支援組織についてはクライエントに対する資源を参照のこと これらの組織は患者やその家族に情報,支援,他の患者との交流の場を提供するために設立されている。


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

22q11.2欠失症候群は、常染色体優性遺伝形式の隣接遺伝子症候群である.

患者家族のリスク

発端者の両親

約93%の発端者は22q11.2欠失の新生の欠失である。

7%の罹患者は、親から欠失を受け継ぐ。

体細胞モザイクの正常成人と同じく軽度罹患の成人も同定されていることから、FISH検査も含む発端者の両親への評価の推奨される。[McDonald- McGinn et al 2001]。

発端者の同胞 

発端者の同胞のリスクは、親の状況による。

22q11.2欠失症候群の罹患者の親が正常なFISH検査結果であれば、同胞のリスクは低い、しかし、親の性腺モザイクあるいは低レベルの体細胞モザイクが同定されているので、一般集団のリスクよりは大きい。

親もまた22q11.2欠失症候群であるなら、同胞のリスクは50%である。

発端者の子 22q11.2欠失症候群の罹患者の子は、22q.11.2欠失を受け継ぐ可能性が50%ある.

発端者のその他の家族 他の家族のリスクは、発端者の両親の状態による。親に欠失が認められた場合には、その人の家族にはリスクがある。

遺伝カウンセリングに関連した問題

家族計画 

遺伝的リスクの決定、出生前診断の可能性を議論するための、最適な時期は妊娠前である。同様に、リスクがあるが症状のない家族の遺伝的状況を確定する検査についての意思決定も妊娠前に行うことが最適である。

DNAバンキング DNAバンキングは、将来、利用する目的でDNAを保存するもの(典型的には白血球から抽出されたもの)である。検査方法及び、遺伝子・変異・疾患への知見は将来進む可能性があるので、罹患者のDNAを保存しておくことは熟考されるべきである。DNAバンキングを提供する研究所の一覧は、Testing を参照のこと。

出生前診断

ハイリスクの妊娠 

FISH法解析を用いた出生前検査が利用可能である。

  • 妊娠15~18週に行われる羊水穿刺あるいは10~12週に行われる絨毛診断(CVS)により得られた胎児細胞から得た染色体試料は、分子遺伝学検査の項に記述された方法と同様にFISHを用いて解析できる。
  • 妊娠18及び22週に行われる口蓋や他の関連する奇形に対する高解像度超音波検査や心奇形に対する心エコーによって本症候群のリスクの高いことが評価できる。

注:妊娠期間は、正常な最終月経の初日あるいは、超音波検査の測定による日から計算した月経の週として表される。

リスクの低い妊娠 

家族歴の知られていない胎児において,定期的な超音波検査により同定される先天性心疾患や口蓋裂の所見は,本診断を示唆する。特に大動脈弓離断症、動脈管開存、ファロー四徴、及び心室中隔欠損症などの円錐動脈管異常を伴う先天性心疾患の胎児の場合である。

胎児の細胞から得た染色体試料は、FISH法を用いて解析できる。22q11.2欠失症候群の診断の確定は、妊娠後期であっても周産期管理に役立つ。

着床前診断(PGD)は、罹患した家族メンバーで22q11.2欠失症候群が確定している家族で利用可能である。


原文 22q11.2 Deletion Syndrome

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