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コフィン・シリス症候群
(Coffin-Siris Syndrome)

[Synonyms: 5指症候群]

GeneReviews著者: Samantha Schrier Vergano, MD, Gijs Santen, MD, PhD, Dagmar Wieczorek, MD, Bernd Wollnik, MD, Naomichi Matsumoto, MD, PhD, and Matthew A Deardorff, MD, PhD
日本語訳者:仲 麻微、升野光雄、山内泰子、黒木良和(川崎医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 遺伝カウンセリングコース)

GeneReviews最終更新日: 2018.2.8. 日本語訳最終更新日: 2021.12.5.

原文 Coffin-Siris Syndrome


要約

疾患の特徴 

コフィン・シリス症候群(以下CSSと略す)は、古典的には、第5指と他の指の末節骨または爪の無形成か低形成、さまざまな程度の発達遅滞または認知機能の遅れ、特有の顔貌、筋緊張低下、男性型多毛症/多毛症および疎な頭髪によって特徴づけられる。先天異常は、心臓や胃腸、泌尿生殖器、中枢神経系の形態異常を含む可能性がある。他の所見として摂食困難、成長遅延、眼科的異常や聴覚障害がよくある。

診断・検査 

分子基盤が知られる前には、CSSの診断は臨床所見に基づいていた。CSSを持ついくらかの人(全てではない)における、ARID1AARID1BSMARCA4SMARCB1SMARCE1 または SOX11のヘテロ接合性病的バリアントの最近の発見で、診断的特徴が古典的な症例では、よりはっきりと記述されるようになった。臨床的にCSSと診断された人の中にはSMARCA2またはPHF6における病的バリアントを持っている人もいた。再評価によって、これらの人の表現型は、それぞれがNicolaides-Baraitser症候群またはBorjeson-Forssman-Lehmann症候群とよく一致していた。

臨床的マネジメント 

症状の治療:
発達の転帰を最適化するための作業療法、理学療法および/または言語療法。栄養必要量を満たすために必要に応じて、摂食療法、栄養補給療法および/または胃瘻管の造設。眼科の異常と難聴の通常の管理。

経過観察:
発達の向上や治療的および教育的介入を評価するための発達小児科医による毎年の評価。摂食と体重増加を観察するために、必要に応じて胃腸科医と摂食の専門家によるフォローアップ。眼科および/または聴覚異常のための通常のフォローアップ。

遺伝カウンセリング 

6つの遺伝子(ARID1AARID1BSMARCA4SMARCB1SMARCE1およびSOX11)の一つにおけるヘテロ接合性病的バリアントによって引き起こされたCSSは常染色体優性遺伝である。しかし、一般的にはほとんどが新生の病的バリアントによる。もしも、病的バリアントが家族の中で特定されたら、リスクの高い妊娠のための出生前検査や着床前遺伝学的検査は可能である。


診断

コフィン・シリス症候群(CSS)のための正式な診断基準は確立されていない。しかしながらいくつかの重要な特徴は臨床的診断をするにあたり有用である。

示唆的な所見

次の所見がある人ではコフィン・シリス症候群(CSS)を疑う [Fleck et al 2001、Schrier et al 2012、Kosho et al 2014b、Santen et al 2014]。

診断の確定

CSSの診断は、表1に記されている遺伝子の一つにヘテロ接合性病的バリアントが同定される発端者で確定される。

分子学的検査アプローチには、一連の単一遺伝子検査や多遺伝子パネルの使用、およびより網羅的なゲノム検査が含まれる。

注釈:SMARCA4SMARCB1、およびSMARCE1の病的バリアントが異常な機能獲得機序を通して作用することを示す証拠は、大きな病的欠失や重複が起こる可能性が低いということ示唆している。しかしながら、関連するドメインのインフレームの欠失および重複は病的であるかもしれない。SMARCA4のこのような欠失の一つが報告されている(表1および分子遺伝学を参照)。

多遺伝子パネルの概要については、ここをクリック。遺伝学的検査を依頼する臨床医にとってより詳細な情報は、こちらで見られる。

網羅的ゲノム検査の概要については、ここをクリック。ゲノム検査を依頼する臨床医にとってより詳細な情報は、こちらで見られる。

表1.
コフィン・シリス症候群に用いられる分子遺伝学的検査

遺伝子1 その遺伝子の病的バリアントに起因するCSSの割合2 その方法により検出された病的バリアント3の割合4
シークエンス解析5 標的遺伝子欠失/重複解析6
ARID1A 8/172 (5%) 8/8 0/8
ARID1B 64/172 (37%) 59/64 3/60 7
SMARCA2 8 5/172 (2%) 4/5 1/5
SMARCA4 12/172 (7%) 12/12 0/12
SMARCB1 12/171 (7%) 12/12 0/13
SMARCE1 3/171 (2%) 3/3 0/3
SOX11 2/92 (2%)9 5/12 10 不明 11; 欠失および CSSの表現型を持つ7人が報告された 12
PHF6 13 2/37 (5%) 14 2/2 0/2
不明 15 69/172 (40%) 非該当
  1. 染色体座とタンパク質については表A. 遺伝子とデータベースを参照。
  2. 数字は、脚注で示されている場合を除き、CSSと臨床的に確認された患者のコホート報告における独自の症例 [Tsurusaki et al 2012、Santen et al 2013、Wieczorek et al 2013、Tsurusaki et al 2014b] の編集を表す。
  3. これらの遺伝子で検出されたアレルバリアントにおける情報のためには分子遺伝学を参照。
  4. 病的バリアントと確認された人の数/検査を受けた人の数
  5. シークエンス解析は、良性、良性疑い、意義不明、病的疑い、または病的バリアントを検出する。バリアントには、小さな遺伝子内欠失/挿入、ミスセンスバリアント、ナンセンスバリアント、スプライス部位バリアントなどがある。一般的には、エクソンもしくは全遺伝子の欠失/重複は検出されない。シークエンス解析結果の解釈で考慮すべき問題については、ここをクリック。
  6. 標的遺伝子欠失/重複解析は、遺伝子内の欠失または重複を検出する。用いられる手法には、定量PCR、ロングレンジPCR、MLPA法、および単一のエクソンの欠失/重複を検出するために設計された標的遺伝子マイクロアレイが含まれる。モザイクの病的バリアントは、ARID1A [Santen et al 2013、Wieczorek et al 2013]において認められている。
  7. ARID1Bを含む染色体6q25.3の微細欠失は次のように報告されている。(a)CSSの分子基盤の理解より先立って確認されたCSSを持つ子ども [Tsurusaki et al 2012]。(b)ARID1Bを含む微細欠失が確認された子どもで、二次的にCSSに似た特徴があることに気づかれた子ども [Santen et al 2012]。そして(c)入手可能な臨床情報がCSSに似ていると定めるのには不十分な、軽度あるいは様々な症候群性知的障害を持つ人 [Nagamani et al 2009、Halgren et al 2012、Hoyer et al 2012、Michelson et al 2012]。注目すべきなのは、これらの人が、ARID1B遺伝子座を取り巻く追加の遺伝子の関与のために、複雑な臨床所見を示す場合がある。
  8. 最初にCSSであるとされた人の再評価で、所見は、よりNicolaides-Baraitser症候群と一致したという結論となった [Tsurusaki et al 2012、Van Houdt et al 2012]。しかしながら、多くのSMARCA2の病的バリアントを持つ人は、最初はCSSであると確認されたため、著者は比較目的のためにこれらの数を含めた。鑑別診断を参照。
  9. Tsurusaki et al [2014a]
  10. Tsurusaki et al [2014a]、Hempel et al [2016]
  11. 標的遺伝子欠失/重複解析の検出率におけるデータは得られない。
  12. Hempel et al [2016]
  13. より幼い時に最初はCSSとして確認された人がPHF6に病的バリアントを持っていることがわかった。これらのほとんどは、加齢とともにBorjeson-Forssman-Lehmann症候群とより一致した顔貌となっている [Wieczorek et al 2013]。鑑別診断を参照。
  14. Wieczorek et al [2013]
  15. これらの研究で、CSSを持つ人の約40%(69/172)が既知の遺伝子のいずれにも病的バリアントを持っていなかった [Tsurusaki et al 2012、Santen et al 2013、Wieczorek et al 2013、Tsurusaki et al 2014b]。

核型と染色体マイクロアレイ(CMA)先天異常および発達遅滞のある多くの人は、初期評価の一部として核型および/またはCMAを通じて染色体を評価される。CSSの特徴を示す人が、記載された検査によって特定される病的バリアントを持っていない場合、CSSの原因となると報告されている稀な再構成の発生に基づいて、核型および/またはCMAを検討する必要がある [Backx et al 2011、Halgren et al 2012、Malli et al 2014]。


臨床的特徴

臨床像

次の情報はコフィン・シリス症候群国際協力者による二つの報告に含まれたデータから編集された [Kosho et al 2014b、Santen et al 2014]。この節では、分子サブタイプに共通の特徴に焦点をあてる。遺伝学的病因間で頻度または重症度において異なる所見は、遺伝型と表現型の相関に記載されている。

初期の特徴

出生前の所見は通常目立たず、成長は正常範囲内である。まれに、中枢神経系または心臓の異常、胎児発育不全、および小頭症が指摘されている。

幼児期コフィン・シリス症候群(CSS)を持つ多くの人が出生時には臨床的に識別できないことがあるにも関わらず、先天異常のいくつかが気づかれる。

幼少期の所見

発達遅滞発達のマイルストーンの遅れに気づかれるか、正式な認知機能検査が行われる時、発達遅滞または認知機能の遅延は通常は明らかである。

脳/中枢神経系の問題

顔貌(図1を参照)

筋骨格所見

皮膚および毛髪の所見

摂食困難子どもたちは、見かけ上、腸の形態異常が明らかにどこにもない状況でも、経口摂取嫌悪または、摂食困難となる場合がある。

成長の問題

聴覚障害(45%)は、反復性上気道感染症にしばしば関連している。

眼科的異常

頻繁な感染(60%).これらは、あまり特徴はないが、しばしば上気道ウイルス感染症と一致する。

形態異常

腫瘍のリスク.CSSの原因となる遺伝子の一部における病的バリアントは腫瘍形成に関与しているが(癌および良性腫瘍を参照)、CSSにおける腫瘍リスクのデータは不足している。腫瘍はCSSのある3人で報告されている。

予後

長期間の研究がないために、コフィン・シリス症候群を持つ人の寿命の情報は入手できない。誤嚥性肺炎および/または痙攣で死亡した小児が報告されているが、これは一般的ではない [Schrier et al 2012]。CSSのある人の予後をよく理解するために、コフィン・シリス症候群インターナショナル コンソーシアム[Kosho et al 2014a]による取り組みが進行中である。

遺伝子による表現型相関

遺伝子による表現型相関は、ARID1AARID1BSMARCA4SMARCB1SMARCE1およびSOX11の病的バリアントを持ち臨床的に診断された人に見られた [Wieczorek et al 2013、Kosho et al 2014b、Santen et al 2014a、Tsurusaki et al 2014a、Hempel et al 2016]。

ARID1AARID1Aに病的バリアントがある人は、広範囲の重症度を示した。軽度の知的障害のみを示す人もいたが、重度の知的障害を示す人もいた。重篤な医学的合併症(例:誤嚥性肺炎、痙攣)があり、死に至っている人もいた。

ARID1B ARID1Bに病的バリアントがある人は一般的に、CSSのスペクトラムではより穏やかな方で、しばしば正常な成長をする。中等度の摂食の問題は3分の2で、3分の1で痙攣、3分の1で脳梁低形成が見られる。顔貌はCSSと一致するが、時には軽度で、眼間開離と上向きの鼻孔がより一般的に見られる。遠位部指の低形成は通常は第5指に限定される。

SMARCA4. SMARCA4に病的バリアントがある人は、出生前は軽度であり、出生後は軽度から中等度の成長障害がある。吸啜/摂食の困難はほとんど常に観察される。ときどき重度の発達遅滞がある人もいるが、顕著な行動上の問題は特徴的な傾向がある。顔貌は、それほど粗ではないが、第5指または第5趾低形成、および第5指または第5趾の爪低形成は、ほぼ一定の所見である(そして他の指趾の爪低形成は時に見みられる所見である)。指節間関節と末節骨の隆起も一部で見られる。

SMARCB1SMARCB1に病的バリアントがある人は、一般的により重度の表現型を持ち、すべてで成長障害があり、通常は出生前には軽度で、出生後は中等度から重度で、吸啜/摂食が困難である。筋緊張低下と痙攣を伴う構造的中枢神経系異常は、重度の発達遅滞/知的障害に伴う典型的な所見である。一般的にそのような人は、言語を発しない。一般的な骨格所見は、第5指または第5趾低形成、他の指趾の爪低形成、目立つ末節骨および脊柱側彎症を含む。独歩する人もいる。胃腸の合併症およびヘルニア、また同じくらいよく心血管および泌尿生殖器の合併症が見られる。

SMARCE1SMARCE1に病的バリアントがある人は、重度の知的障害、典型的な顔貌、他の爪の低形成に伴う第5指および第5趾の爪低形成または欠損がある傾向がある。手は、長く細い指の特徴を持つ。一般的に妊娠週数にしては小さく(在胎不当過小)、出生後の低身長および重度の小頭症、複雑な先天性心疾患、摂食困難、および痙攣がある。

SOX11.第5指の爪および末節骨低形成と共に、軽度から重度の知的および発達遅滞を示す。神経発達異常は器官系または身体的合併症よりもよく見られる傾向がある。

浸透率

コフィン・シリス症候群の浸透率は完全であるように見える。
CSSを持つ男性より多くの女性が2001年以前の文献において報告された [Fleck et al 2001]。しかしながら、分子的に確認されたCSSの場合、男性と女性の割合は似ている [Kosho et al 2014b、Santen et al 2014]。X連鎖優性、限性遺伝またはミトコンドリア遺伝の証拠はない。

有病率

コフィン・シリス症候群であると分子的に確認された200人に満たない人が報告され、診断が稀なことを示している。しかしながら、すべての人が治療対象となる(医学的注意を向けられる)わけではないために、過小評価である可能性がある。
加えて、知的障害を持つ大規模コホートの一部の人でARID1Bの病的バリアントが同定されたこと [Hoyer et al 2012]は、CSS(およびおそらくCSSのわずかな表現型の特徴)に関連する遺伝子における病的バリアントの有病率は、知的障害を持つ人々の間で現在評価されているよりも高い可能性があると示唆している。


遺伝的に関連する(アレル)疾患

このGeneReviewで論じられる以外の表現型は、ARID1ASMARCE1またはSOX11の病的バリアントとは関連していない。
古典的なコフィン・シリス症候群に加えた表現型が、ARID1BSMARCA4およびSMARCB1の病的バリアントと関連している。

SMARCB1のヘテロ接合性生殖細胞系列病的バリアントは、腫瘍形成の古典的な2ヒットモデルを介して横紋筋肉腫様腫瘍素因症候群を引き起こすことが報告されている [Roberts & Biegel 2009、Biegel et al 2014]。

SMARCB1のヘテロ接合性生殖細胞系列の病的バリアントは、多発神経鞘腫および(より頻度は低いが)髄膜腫を発症する素因を特徴とする、浸透率が低下した常染色体優性腫瘍抑制遺伝子症候群である神経鞘腫症を引き起こす [Merker et al 2012]。

注目すべきことに、最初はCSSであると確認された幾人かは、その後SMARCA2 [Santen et al 2012、Tsurusaki et al 2012]またはPHF6 [Wieczorek et al 2013]に病的バリアントを持つことがわかった。さらにこれらの人を検討すると、Nicolaides-Baraitser症候群とBorjeson-Forssman-Lehmann症候群のそれぞれの診断に、より一貫して適合することが示唆されている [Kosho et al 2014b、Tsurusaki et al 2014b、Zweier et al 2014]。表1の脚注8および13、鑑別診断を参照。


臨床的マネジメント

最初の診断後の評価

コフィン・シリス症候群(CSS)と診断された人の疾患の程度とニーズを確かめるために、以下の評価が推奨される。

症状の治療

以下のものが適切である。

二次的合併症の予防

二次的合併症を防ぐことができる治療法と介入は、個人の特定のニーズに対して推奨される治療法を反映している。これには、発達療法、適切な心臓、胃腸および神経学的評価と治療、並びに眼科的および聴覚的サーベイランスが含まれる場合がある。

経過観察

経過観察には以下が含まれる:

CSSの腫瘍は稀であるため、腫瘍サーベイランスの有用性は決定されていない。

リスクにある血縁者の評価

遺伝カウンセリングの目的で、リスクにある血縁者を検査することに関連する問題については、遺伝カウンセリングを参照。

妊娠管理

CSSを持つ女性で子をもうけた報告はないため、妊娠の潜在的な合併症は不明である。

研究中の治療法

広い範囲の疾患と健康状態に対する臨床研究情報にアクセスするために、米国のClinicalTrials.govおよび欧州のEU Clinical Trials Registerを検索のこと。注釈:この疾患における臨床試験はないかもしれない。


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

コフィン・シリス症候群(CSS)は常染色体優性遺伝形式である。これまでに報告されたほとんどの罹患者は、新生の病的バリアントを有していた。

家族構成員のリスク

発端者の両親

発端者の同胞 

発端者の子

他の家族構成員

他の家族構成員に対するリスクは発端者の両親の状況に依存する。まれに罹患した親の場合、他の家族構成員がリスクにあるかもしれない。

遺伝カウンセリングに関連した問題

家族計画


DNAバンキングは、(通常は白血球から抽出された)DNAを将来の使用のために保存しておくものである。検査法並びに遺伝子、アレルバリアントおよび疾患に対する我々の理解が将来進歩するかもしれないので、罹患者のDNAの保存は考慮すべきである。

出生前検査および着床前遺伝学的検査

家族の発端者には新生のARID1AARID1BSMARCA4SMARCB1SMARCE1またはSOX11の病的バリアントが存在する可能性が高いため、将来の妊娠のリスクは低いと推定される。しかし、親の生殖細胞系列モザイクの可能性のために一般集団よりもリスクが高くなりうるため、出生前検査または着床前遺伝学的検査は考慮するべき選択肢である。


資源

GeneReviewsスタッフは、この疾患を持つ患者および家族に役立つ以下の疾患特異的な支援団体/上部支援団体/登録を選択した。GeneReviewsは、他の組織によって提供される情報には責任をもたない。選択基準における情報については、ここクリック。

11611 106th Avenue NE
Kirkland WA 98034
Email: coffinsiris@gmail.com
www.coffinsiris.org

P.O. Box 8126
Gaithersburg MD 20898-8126
Phone: 888-205-2311; 888-205-3223 (TTY); 301-251-4925
Fax: 301-251-4911
Email: GARDinfo@nih.gov
Coffin-Siris Syndrome

501 3rd Street Northwest
Suite 200
Washington DC 20001
Phone: 202-387-1968
Fax: 202-387-2193
Email: sis@aaidd.org
www.aaidd.org

Phone: 800-CDC-INFO
Email: cdcinfo@cdc.gov
Intellectual Disability

IIntellectual Disability

Email: Samantha.vergano@chkd.org

Sanford Research
2301 East 60th Street North
Sioux Falls SD 57104
Phone: 605-312-6423
Email: sanfordresearch@sanfordhealth.org
CoRDS Registry


分子遺伝学

分子遺伝学とOMIMの表の情報はGeneReviewsの他の場所の情報とは異なるかもしれない。表は、より最新の情報を含むことがある。

A.
コフィン・シリス症候群:遺伝子とデータベース

遺伝子 染色体座 タンパク質 Locus-Specific Database(座特異的データベース) HGMD ClinVar
ARID1A 1p36​.11 AT-rich interactive domain-containing protein 1A ARID1A @ LOVD ARID1A ARID1A
ARID1B 6q25​.3 AT-rich interactive domain-containing protein 1B ARID1B @ LOVD ARID1B ARID1B
SMARCA4 19p13​.2 Transcription activator BRG1 SMARCA4 database SMARCA4 SMARCA4
SMARCB1 22q11​.23 SWI/SNF-related matrix-associated actin-dependent regulator of chromatin subfamily B member 1 SMARCB1 database UKE Hamburg SMARCB1 database SMARCB1 SMARCB1
SMARCE1 17q21​.2 SWI/SNF-related matrix-associated actin-dependent regulator of chromatin subfamily E member 1 SMARCE1 @ LOVD SMARCE1 SMARCE1
SOX11 2p25 Transcription factor SOX-11 SOX11

データは、以下の標準的な参照文献を編集したものである:HGNCによる遺伝子記号;OMIMによる染色体座;UniProtによるタンパク質名。リンクが提供されているデータベース(Locus Specific, HGMD, ClinVar)の記述については、ここをクリック。

B.
コフィン・シリス症候群のOMIM登録(OMIMのすべてを参照のこと)

135900 COFFIN-SIRIS SYNDROME 1; CSS1
184430 SRY-BOX 4; SOX4
600898 SRY-BOX 11; SOX11
601607 SWI/SNF-RELATED, MATRIX-ASSOCIATED, ACTIN-DEPENDENT REGULATOR OF CHROMATIN, SUBFAMILY B, MEMBER 1; SMARCB1
601671 D4, ZINC, AND DOUBLE PHD FINGERS FAMILY, MEMBER 2; DPF2
601734 SWI/SNF-RELATED, MATRIX-ASSOCIATED, ACTIN-DEPENDENT REGULATOR OF CHROMATIN, SUBFAMILY C, MEMBER 2; SMARCC2
603024 AT-RICH INTERACTION DOMAIN-CONTAINING PROTEIN 1A; ARID1A
603111 SWI/SNF-RELATED, MATRIX-ASSOCIATED, ACTIN-DEPENDENT REGULATOR OF CHROMATIN, SUBFAMILY E, MEMBER 1; SMARCE1
603254 SWI/SNF-RELATED, MATRIX-ASSOCIATED, ACTIN-DEPENDENT REGULATOR OF CHROMATIN, SUBFAMILY A, MEMBER 4; SMARCA4
609539 AT-RICH INTERACTION DOMAIN-CONTAINING PROTEIN 2; ARID2
614556 AT-RICH INTERACTION DOMAIN-CONTAINING PROTEIN 1B; ARID1B
617808 COFFIN-SIRIS SYNDROME 6; CSS6
618027 COFFIN-SIRIS SYNDROME 7; CSS7
618362 COFFIN-SIRIS SYNDROME 8; CSS8
618506 COFFIN-SIRIS SYNDROME 10; CSS10

分子学的病因論

これまでにCSSで同定されたタンパク質の多くは、最初に酵母およびショウジョウバエのBRG1およびBRM関連因子(BAF)複合体で同定されたタンパク質のヒトホモログ(相同体)をコードする。それは、もともとは哺乳類のmammalian switch/sucrose non-fermentable(mSWI/SNF)様ヌクレオソームリモデリング複合体と呼ばれる。この複合体には、ATP依存的にヒストンとDNAの相互作用を不安定化できるDNA刺激ATPase活性が含まれている [Ronan et al 2013]。SOX11は、神経の新生および出生後のグリアのニューロンへの変換においてBAF複合体の下流で作用すると予測されている [Ninkovic et al 2013]。

ARID1AARID1B、およびSOX11の病的バリアントには機能喪失効果があるが、SMARCA4SMARCB1、およびSMARCE1の病的バリアントには優性阻害または異常な機能獲得効果があるという証拠がある。

ARID1B

遺伝子構造ARID1Bは20個のエクソンから成り、9648 bpの転写産物(NM_020732.3)を生成する。あるいは、異なるアイソフォームをコードする選択的スプライシングによる転写バリアントが記載されている。遺伝子とタンパク質の情報の詳細な概要については、表A.遺伝子を参照。

病的バリアントARID1Bの微細欠失、ナンセンスバリアントおよびフレームシフトは、CSSを持つ人に見られる [Santen et al 2012、Shain et al 2012、Tsurusaki et al 2012、Kosho et al 2013、Santen et al 2013、Wieczorek et al 2013、Kosho et al 2014a、Kosho et al 2014b、Miyake et al 2014、Santen et al 2014、Sim et al 2014、Tsurusaki et al 2014b]。明らかに病的なミスセンスバリアントは確認されていない。微細欠失とナンセンスバリアントは、非特異的知的障害のある数人の患者で報告されている [Hoyer et al 2012、Santen et al 2014]。ただし、これらの対象者のうち数人の評価により、CSSの特徴との軽度の重なりが明らかになり、ARID1Bのハプロ不全を有する人の臨床像の範囲が示唆された。追加の表現型を有し、追加の遺伝子を含む大きな微細欠失を持つ対象者を除いては、現在、明確な遺伝型と表現型の相関はなく、他の表現型修飾因子の関与を示唆している。

正常遺伝子産物.ARID1Bタンパク質は2249アミノ酸(NP_065783.3)を含み、SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体の構成要素であり、おそらく細胞周期の活性化に関与している。ARID1BはARID1Aと類似しており、2つのタンパク質は、SWI/SNF複合体の相互で排他的な代替ARIDサブユニットとして機能する。関連する複合体は、いくつかの状況で対立する役割を果たす。

異常遺伝子産物ARID1B発現の喪失は、異常なクロマチンリモデリングをもたらし、さらなる遺伝子の下流の調節異常を引き起こし、CSS表現型をもたらす。

SMARCA4

遺伝子構造SMARCA4は35個のエクソンから成り、5703 bpの転写産物(NM_003072.3)を生成する。この遺伝子には、異なるアイソフォームをコードする多数の転写バリアントが発見されている。遺伝子とタンパク質の情報の詳細な概要については、表A.遺伝子を参照。

病的バリアントCSSと診断された人で、病的ミスセンスバリアントおよびインフレーム欠失バリアントが特定されている。これまでのすべての病的バリアントは、遺伝子の中央に局在しており(HAS、DEXDcおよびHELICcヘリカーゼドメインを含む)、優性阻害または異常な機能獲得効果を発揮することが予想されている [Tsurusaki et al 2012、Santen et al 2013、Kosho et al 2014b、Bramswig et al 2015]。

正常遺伝子産物.SMARCA4タンパク質には1647個のアミノ酸(NP_003063.2)が含まれており、常態ではクロマチンによって抑制される遺伝子の転写活性化に必要な、大きなATP依存性SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体の一部である。

異常遺伝子産物SMARCA4はクロマチンリモデリングと転写活性化に関与している。CSS表現型の発生におけるSMARCA4の正確な役割は現時点では不明だが、病的バリアントは異常な遺伝子発現をもたらす可能性がある。

SMARCB1

遺伝子構造SMARCB1は9つのエクソンから成り、1717 bpの転写産物(NM_003073.3)を生成する。遺伝子とタンパク質の情報の詳細な概要については、表A.遺伝子を参照。

病的バリアントCSSを引き起こす病的バリアントは、高度に保存されたショ糖/非発酵ドメイン5(SNF5)のC末端に、タンパク質のC末端(アミノ酸363-377)に向かって局在している。これらのバリアントは、優性阻害または異常な機能獲得効果を発揮することが予想されている。病的バリアントp.Lys364delは、さまざまな民族的背景の9人の患者に見られる反復性の新生病的バリアントである。患者は驚くほど類似した臨床症状を示した [Kosho et al 2014b]。

表2.
このGenereviewで論じられるSMARCB1のバリアント

DNAヌクレオチドの変化 予測されるタンパク質の変化 参照配列
c.1091_1093delAGA p.Lys364del NM_003073.3 NP_003064.2

表に掲載されたバリアントは、著者によって提供されている。GeneReviewsのスタッフは、バリアントの分類を独自には検証していない。
GeneReviewsは、ヒトゲノムバリエーション学会(varnomen.hgvs.org)の標準命名会議に従う。命名法の説明については、クイックリファレンスを参照。

正常遺伝子産物.SMARCB1タンパク質には385個のアミノ酸(NP_003064.2)が含まれており、BAF(hSWI/SNF)複合体の中核的な構成要素である。このATP依存性クロマチンリモデリング複合体は、細胞の増殖と分化、細胞の抗ウイルス活性および腫瘍形成の抑制に重要な役割を果たす。

異常遺伝子産物SMARCB1はクロマチンリモデリングに関与し、ほとんどの腫瘍が両アレルの機能喪失型バリアントに関連する、横紋筋肉腫様腫瘍素因症候群の腫瘍発生に関与している。CSS表現型の発生におけるSMARCB1の正確な機序は、現時点では不明である。

SMARCE1

遺伝子構造SMARCE1は11個のエクソンから成り、2425 bpの転写産物(NM_003079.4)を生成する。遺伝子とタンパク質の情報の詳細な概要については、表A.遺伝子を参照。
病的バリアント.HMGドメイン内に位置するSMARCE1のまれな病的ミスセンスバリアントは、優性阻害または異常な機能獲得効果を発揮することが予想されている [Tsurusaki et al 2012、Santen et al 2013、Wieczorek et al 2013、Tsurusaki et al 2014b]。

正常遺伝子産物.SMARCE1タンパク質には411個のアミノ酸(NP_003070.3)が含まれており、常態ではクロマチンによって抑制される遺伝子の転写活性化に必要な、大きなATP依存性のSWI/SNFクロマチンリモデリング複合体の一部である。

異常遺伝子産物CSS表現型の発生におけるSMARCE1の正確な役割は、現時点では不明である。

SOX11

遺伝子構造.SOX11は1つのエクソンから成り、8718 bpの転写産物(NM_003108.3)を生成する。遺伝子とタンパク質の情報の詳細な概要については、表A.遺伝子を参照。

病的バリアント.SOX11の病的バリアントには、部分的または全体的な遺伝子欠失またはHMGボックスDNA結合ドメインの新生のミスセンスバリアントが含まれる [Tsurusaki et al 2014a、Hempel et al 2016]。
正常遺伝子産物.SOX11タンパク質は、441個のアミノ酸を含み、転写因子のSOX(SRY関連HMGボックス)ファミリーの一員から成る。これには、配列特異的な方法でDNAに結合する単一のDNA結合ドメインが含まれている。このタンパク質ファミリーは、胚発生の調節と細胞運命の決定に関与している。

異常遺伝子産物.HMGボックスDNA結合ドメインの病的バリアントの存在と、微細欠失によって引き起こされる臨床的表現型の重なりの存在は、病因の機序がSOX11タンパク質のハプロ不全であることを示唆している。

癌および良性腫瘍

SMARCA4.SMARCA4のヘテロ接合性生殖細胞系列病的バリアントは、横紋筋肉腫様腫瘍の素因を引き起こすことが報告されている。同様に、SMARCA4の体細胞病的バリアントは、非定型奇形腫様および横紋筋肉腫様腫瘍で発見されている [Schneppenheim et al 2010、Hasselblatt et al 2011、Biegel et al 2014]。

SMARCB1.SMARCB1のヘテロ接合性生殖細胞系列病的バリアントは、古典的な腫瘍形成の2ヒットモデルを介して横紋筋肉腫様腫瘍素因症候群を引き起こすことが報告されており、それに対応して、SMARCB1の体細胞病的バリアントが非定型奇形腫様および横紋筋肉腫様腫瘍で発見されている [Roberts&Biegel 2009、Biegel et al 2014]。


更新履歴:

  1. GeneReviews著者: Samantha Schrier Vergano, MD, Gijs Santen, MD, PhD, Dagmar Wieczorek, MD, Bernd Wollnik, MD, Naomichi Matsumoto, MD, PhD, and Matthew A Deardorff, MD, PhD
    日本語訳者:仲 麻微、升野光雄、山内泰子、黒木良和(川崎医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 遺伝カウンセリングコース)
    GeneReviews最終更新日: 2018.2.8. 日本語訳最終更新日: 2021.12.5. [ in present]

原文 Coffin-Siris Syndrome

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