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糖原病T型
(Glycogen Storage Disease TypeT)

Gene Review著者: Deeksha S Bali, PhD, Yuan-Tsong Chen, MD, PhD, Stephanie Austin, MS, MA, CGC, and Jennifer L Goldstein, PhD, MS, CGC
日本語訳者: 和田宏来 (県西総合病院小児科/筑波大学大学院小児科)                      

Gene Review 最終更新日: 2016.8.25.日本語訳最終更新日: 2017.1.19

原文 Glycogen Storage Disease TypeT


要約

疾患の特徴 

糖原病T型(Glycogen Storage Disease TypeT, GSDT)は肝・腎へのグリコーゲンおよび脂肪の蓄積とそれによる肝腫大・腎腫大を特徴とする疾患である。2つの亜型(GSDTaとGSDTb)は臨床的に区別することはできない。一部の未治療新生児では重度の低血糖を認めることがある。しかし、未治療の場合、より一般的には生後3〜4ヶ月に肝腫大、乳酸アシドーシス、高尿酸血症、高脂血症、高グリセリド血症、低血糖によるけいれんなどで発症する。患児は典型的には頬がふくよかな人形様顔貌、相対的に痩せている四肢、低身長、腹部膨満を呈する。黄色腫や下痢を認めることがある。血小板機能障害による出血傾向のため鼻出血を起こしうる。未治療の糖原病Tb型では、生後数年以降の慢性好中球数減少症だけではなく好中球および単球の機能障害をきたし、全員に反復性の細菌感染症や口腔・腸管粘膜の潰瘍を認める。未治療の糖原病T型の長期合併症には、成長障害による低身長、骨粗鬆症、二次性徴遅延、痛風、腎疾患、肺高血圧、悪性化する可能性のある肝細胞腺腫、多嚢胞性卵巣、膵炎、脳機能の変化がある。治療を受けている小児では正常な成長および二次性徴が期待できる。ほとんどの患児は成人期まで生存する。

診断・検査 

糖原病T型はG6PCまたはSLC37A4いずれかの両アレル変異を同定することによって診断される。分子遺伝学的検査で診断できないときは肝組織標本の肝酵素活性欠損(グルコース-6-ホスファターゼ活性もしくはグルコース-6-ホスファターゼ交換輸送体SLC37A4活性)によって診断する。

臨床的マネジメント 

症候の治療:
正常血糖濃度を維持して低血糖を予防し、成長と発達に適切な栄養投与を行うために栄養療法を行う。食事療法で尿酸値が完全に正常化しない場合には痛風予防のためにアロプリノールを投与する。良好な代謝コントロールでも脂質異常が続く場合には脂質降下薬を使用する。クエン酸塩は尿路結石の予防もしくは腎石灰化症の軽減に有用である。ACE阻害薬により微小アルブミン尿を治療する。末期腎疾患(end-stage renal disease, ESRD)には腎移植を行う。肝細胞腺腫には外科手術もしくは経皮的エタノール注入療法やラジオ波焼灼のような手技を行う。内科的治療に不応の場合は肝移植を施行する。反復性感染にはヒト顆粒球コロニー刺激因子(human granulocyte colony-stimulating factor, G-CSF)を投与する。

二次合併症の予防:
腎疾患の発症予防のため、高尿酸血症や高脂血症を改善し正常な腎機能を維持する。動脈硬化や膵炎を予防するため脂質レベルを正常範囲内に維持する。

定期検査:
10歳以降は1年に1回は腎臓エコーを施行する。肝臓エコーは16歳まで1~2年おきに行う。16歳以上では肝細胞腺腫に注意しながら半年〜1年ごとに肝臓の造影CTもしくはMRIを撮影する。肝細胞腺腫が見つかった場合、肝臓のエコーもしくはMRI(選択は年齢による)を3〜6ヶ月ごとに行う。肝機能検査(AST, ALT, アルブミン、ビリルビン、PT/INR, APTT)や血清クレアチニンを半年〜1年ごとに測定する。G-CSFを投与している患者では3ヶ月ごとに血算の測定を行う。また、脾臓のサイズも計測する。乳幼児期から受診ごとに血圧を測定する。肺高血圧のスクリーニングのため10歳(症状がある場合にはより早期)から3年ごとに心エコーを行う。ビタミンD濃度をルーチンに測定する。

避けるべき薬物や環境:
果糖やショ糖の摂取を減らし、ガラクトースや乳糖の摂取は1日あたり1食分に制限するべきである。女性、とくに肝細胞腺腫を認める場合には経口避妊薬は避けるべきである。

リスクのある親族の検査:
リスクのある同胞において、出生後すぐに分子遺伝学的検査(家族内で病原性変異が判明している場合)や専門医の診察を受けることで早期診断や治療が可能となる。

遺伝カウンセリング 

糖原病T型は常染色体劣性遺伝性疾患である。罹患者の同胞は、受胎時には25%の確率で罹患者であり、50%の確率で無症候性キャリアであり、25%の確率で罹患者でもキャリアでもない。ヘテロ接合型保因者(キャリア)は無症状である。家族内で病原性変異が判明している場合、リスクのある親族に対する保因者診断や出生前検査を行うことは可能である。


診断

臨床診断

糖原病T型には2つの主な亜型がある。

  • 糖原病Ta型はグルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)活性の低下によって起こる。
  • 糖原病Tb型はグルコース-6-ホスファターゼ交換輸送体SLC37A4の欠損によって起こる。

肝臓におけるG6Pase活性の低下もしくはグルコース-6-ホスファターゼ交換輸送体SLC37A4活性の低下いずれかにより、グリコーゲン分解や糖新生におけるグルコース-6-リン酸からグルコースへの転換が不十分となり、重度の低血糖や糖原病T型のその他多くの徴候や症候を呈する。
米国遺伝医療・ゲノム医療学会から診断治療ガイドラインが発行されている。

示唆的な所見

以下の臨床所見、検査所見、組織所見を認めた場合に糖原病T型を疑うべきである

臨床所見 低血糖症状、肝腫大、成長障害

検査所見

  • 低血糖 空腹時血糖<60mg/dL(正常:70〜120mg/dL)
  • 乳酸アシドーシス 血中乳酸値>2.5mmol/L(正常:0.5-2.2mmol/L)
  • 高尿酸血症 血中尿酸値>5.0mg/dL(正常:2.0-5.0mgl/dL)
  • 高脂血症
    • トリグリセリド>250mg/dL(正常:150-200mgl/dL);高トリグリセリド血症は血清を乳状にする。
    • コレステロール>200 mg/dL(正常:100-200mgl/dL)
  • グルカゴンまたはエピネフリン負荷試 グルカゴンもしくはエピネフリンの投与で血糖はほとんどもしくは全く増加しないが、血清乳酸値は著しく上昇する。

肝組織所見 グリコーゲンや脂肪による肝細胞の膨化を認める。PAS染色陽性でジアスターゼによって分解されるグリコーゲンが細胞質内に均一に分布している。グリコーゲンは他の肝型糖原病(とくにV型や\型)に比べれば正常か、わずかに増加している。そして大滴性で多数の脂肪滴を認める。線維化や肝硬変は糖原病T型では認められない。

注:肝生検は侵襲的であるため、分子遺伝学的検査で診断がつかない時のみに行うべきである(「診断の確定」を参照)肝組織は他の手術(胃瘻造設など)の際に凍結標本として採取される場合があり、G6Pase活性の測定によって診断することができる。しかし、凍結標本のG6Pase酵素活性測定では糖原病Tb型は診断できない。

診断の確定

糖原病T型の診断は発端者において以下のいずれかを認めた場合に確定する

  • 分子遺伝学的検査でG6PC(糖原病Ta型)もしくはSLC37A4(糖原病Tb型)両アレル変異を認めた場合。
  • 肝酵素活性の欠損

分子遺伝学的検査

分子遺伝学的検査の手法には、連続的な単一遺伝子検査、病原性変異のターゲット解析、多遺伝子パネル、より包括的な遺伝子検査がある。

  • 連続的な単一遺伝子検査 G6PC遺伝子のシークエンス解析を最初に行う。G6PC遺伝子に変異を認めず臨床的に糖原病1型が強く示唆される場合には、続いてSLC37A4のシークエンス解析を行う。表1を参照のこと。
  • ターゲット解析
    • アシュケナージ系ユダヤ人においては、G6PC遺伝子変異p.Arg83Cysのターゲット解析を最初に行うことが可能である。
    • オールドオーダーアーミッシュにおいては、G6PC遺伝子変異p.Gln347Terのターゲット解析を最初に行うことが可能である。
  • G6PC, SLC37A4やその他関連遺伝子(「鑑別診断」の項を参照)を含む多遺伝子パネルも考慮される可能性がある。注:パネルに含まれる遺伝子や検査感度は検査施設や時期によって異なる。
  • より包括的な遺伝子検査(可能な場合)は、全エクソーム解析(WES)、全ゲノムシークエンス(WGS)などを含むが、連続的な単一遺伝子検査(もしくは多遺伝子パネルの使用)で糖原病T型の特徴をもつ患者の診断を確定できないときに考慮することがある。遺伝子検査の解釈について考慮すべき問題はこちらをクリック。

酵素活性検査

経皮的もしくは開腹生検で得た凍結標本15-20mgはドライアイスで検査機関に即日配送すべきである。

  • グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)活性 正常な肝臓内におけるG6Pase活性レベルは3.50±0.8μmol/分/g組織である。
    • ほとんどの糖原病Ta型患者では、G6Pase活性は正常の10%未満である。
    • 軽症患者はまれであるが、G6Pase活性はより高値となりうる(>1.0μmol/分/g組織および<2.0μmol/分/g組織)。
  • グルコース-6-ホスファターゼ交換輸送体SLC37A4活性 in vitro試験を用いたG6P交換輸送体SLC37A4活性の測定は凍結標本では困難である。それゆえ、酵素活性の正確な測定には非凍結肝がしばしば必要となる。結果として、ほとんどの臨床検査機関は酵素活性測定を行っていない。

    注:感度は相対的に高いため、確定診断には肝生検が必要な酵素活性測定よりも分子遺伝学的検査が用いられるようになってきている。しかし、肝生検は病理組織像や電顕像を評価することができる上、検出された疾患への影響が分からない変異(variants of uncertain significance, VOUS)に関連する病理を酵素分析によってさらに究明していくことができる。

表1 糖原病T型で用いられる分子遺伝学的検査

遺伝子1 病原性変異ごとの糖原病T型の割合 検査ごとの病原性変異2の割合
シークエンス解析3 標的遺伝子の欠失・重複解析4
G6PC 80% 〜95%5 患者2名6
SLC37A4 20% 〜95% 不明7
  1. 染色体座位と蛋白については、表A「遺伝子・データベース」を参照。
  2. 検出される病原性変異に関する情報については,「分子遺伝学」の項を参照。
  3. シークエンス解析では、良性の変異、良性と考えられる変異、臨床的意義が不明の変異、病原性と考えられる変異、病原性変異が検出される。病原性変異には、小さな遺伝子内欠失・挿入、ミスセンス変異、ナンセンス変異、スプライス部位変異が含まれるが、典型的にはエクソンや遺伝子全体の欠失・重複は検出できない。シークエンス解析の結果の解釈について考慮すべき問題はこちらをクリック。
  4. 標的遺伝子の欠失・重複解析では、遺伝子内の欠失や重複が検出できる。検査方法には、定量PCR、ロングレンジPCR、MLPA(multiplex ligation-dependent probe amplification)法、単一エクソンの欠失や重複の検出を目的とする標的遺伝子マイクロアレイなどがある。
  5. Rakeら(2000)、Seydewitz & Maternら(2000)(40症例)
  6. (複数)エクソン欠失の頻度は不明だが、これらの遺伝子における報告はほとんどない。
  7. 標的遺伝子の欠失・重複解析による同定率のデータはない。

臨床的特徴

臨床像

糖原病T型の臨床症状には、成長障害による低身長、肝腎へのグリコーゲンや脂肪の蓄積による肝腫大・腎腫大がある。
新生児のなかには重度の低血糖がみられる場合もあるが、より多くは生後3〜4ヶ月に肝腫大、乳酸アシドーシス、高尿酸血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、低血糖によるけいれんなどで発症する。低血糖および乳酸アシドーシスは短い空腹時間(2〜4時間)でも起こりうる。
未治療の小児では、典型的には頬がふくよかな人形様顔貌、相対的に痩せている四肢、低身長、肝腫大による腹部膨満を呈する。脾臓のサイズは正常である。黄色腫および下痢を認めることがある。血小板機能障害による出血傾向を認め、鼻出血はよく問題となる。
上記の所見にくわえて、糖原病Tb型患者では慢性好中球減少症や好中球・単球機能障害を合併する。好中球減少症は典型的には生後数年経過してから発症し、反復性の細菌感染や口腔・腸管粘膜潰瘍を呈する。口腔内の症状には、潰瘍、歯肉炎、歯周病、出血性素因、齲歯、歯の成熟遅延や発疹などが数名で報告されている。

未治療の糖原病T型患者の長期的な合併症には以下がある。

  • 低身長 糖原病T型患者は成長障害および成人期の低身長を認める。しかし、厳格な食事療法およびコントロールで、成長と最終身長は改善する。
  • 骨粗鬆症 頻回の骨折と骨粗鬆症のX線像はよく認められる。骨塩量は思春期前であっても著しく減少している。
  • 二次性徴の遅延 過去には未治療患者は二次性徴の遅れを認めていた。しかし、厳格な食事療法によって二次性徴の発現年齢は正常となりうる。
  • 痛風 年少児でも高尿酸血症は認めるが、思春期前に痛風を発症することはまれである。
  • 腎疾患 若年患者で、蛋白尿、高血圧、腎結石、腎石灰化症、クレアチニンクリアランスの変化を認めることがある。疾患の進行に伴い、間質の線維化が明らかとなってくる。一部は末期腎疾患(end-stage renal disease, ESRD)に進行し、腎移植を必要とすることがある。
  • 高血圧は通常10代以降まで認めることはなく、腎疾患も伴う患者でしばしば認められる。
  • 肺高血圧 糖原病T型の長期合併症として肺高血圧が報告されている。肺高血圧を発症させる病態を併せもつ患者は最も高リスクである。
  • 悪性化する可能性のある肝細胞腺腫 10〜20代までに、ほとんどの患者で肝細胞腺腫が認められ、肝内出血を起こすことがある。一部では、肝細胞腺腫は悪性化して肝細胞癌(HCC)を発症することがある。不良な代謝コントロールと肝細胞腺腫発症の相関については議論の余地がある。発症には多因子が関与しているようである。
  • 膵炎は高トリグリセリド血症の二次合併症で、一部の患者、とくに食生活が乱れている患者でみられる。
  • 神経認知機能 IQの変化、MRI所見、脳波所見は、とくに食生活が乱れている患者において低血糖発作の頻度と相関する。
  • 貧血は糖原病T型患者ではよく認められる。糖原病Ta型とTb型では病態生理は異なるようである。重度の貧血を伴うTa型患者は肝細胞腺腫を認める傾向にある。重度の貧血を伴うTb型患者では腸炎を認めることがある。
  • ビタミンD欠乏 ある報告によると、患者26人中16人でビタミンD値は正常下限であった。このことは25(OH)-ビタミンD値をルーチンに測定すべきであることを示唆している。
  • 多嚢胞性卵巣 ほとんどすべての女性患者においてエコーで多嚢胞性卵巣を認める。一部の患者では排卵や妊孕性に影響するが、全体的に妊孕性は低下しないようである。
  • 月経不順 女性糖原病T型患者の約半数で月経不順が認められる。
  • 出血性素因 一部の患者では、フォン・ヴィレブランド因子抗原の減少やフォン・ヴィレブランド因子の機能異常のようなフォン・ヴィレブランド病様の所見がみられる。鼻出血、痣ができやすい、月経過多、外科手術中の出血などの症状を呈する。月経過多は出産可能年齢の女性患者において問題となるようである。出産可能年齢の女性患者で病歴を聴取するときに対処するべき問題であり、適切ならば産婦人科医へ紹介を行うべきである。
    くわえて、糖原病Tb型患者では以下の所見を呈する。
  • 好中球減少症および好中球機能障害 糖原病Tb型患者では好中球減少症および反復感染はよく認められ、Ta型患者でもごく一部では認めうる。好中球減少症は、成熟の障害というよりもアポトーシスの増加や炎症組織への好中球の遊走によって起こる可能性が示唆されている。
  • 炎症性腸疾患は糖原病Tb型でよく認められる。
  • 甲状腺に対する自己免疫 糖原病Tb型患者において、甲状腺に対する自己免疫および甲状腺機能低下症が増加していることが明らかとなった。

過去には、未治療患者の多くは幼少期に死亡し、生存者においても予後は悪かった。しかし、早期の診断および治療によって予後は改善している。治療を行えば正常な発育と二次性徴も期待できる可能性があり、ほとんどの患者は成年に達する。しかし、良好な代謝コントロールによって全ての長期的な二次合併症を避けることができるかどうかは不明である。一部の治療患者では早期に肝細胞腺腫や成人期に蛋白尿を呈する。

遺伝子型と臨床型の関連

糖原病T型患者において遺伝子型と臨床型に強い相関は認められていない。

G6PC 2症例の報告では、c.648G>Tスプライシング変異のホモ接合体を有する糖原病Ta型では肝細胞癌の発症リスクが増加する可能性が示唆されている。この変異は日本人糖原病Ta型患者においては最もよくみられる原因である。c.648G>Tのホモ接合体を有する日本の成人患者19人において、3人は肝細胞癌、1人は胆管細胞癌、7人は肝細胞腺腫を認めている。この変異のホモ接合体を有する患者40人における検討では、c.648G>Tは低血糖に関して軽症な臨床型と相関することが明らかとなった。

c.562G>C変異のホモ接合体を有するTa型患者においては、軽度の好中球減少を伴い、Tb型様の臨床型を呈することが報告されている。この臨床型は複合ヘテロ接合体の患者では認めない。

SLC37A4 Tb型患者において遺伝子型と臨床型の明らかな相関は認められていない。

命名

G6Paseは多組成酵素複合体でしばしばG6Paseシステムと呼ばれる。以前にTc型およびTd型に分類されたほとんどの患者はSLC37A4変異を有することが今では明らかとなっているため、一部の専門家は「Ta型」「非Ta型」と分類していた。しかし、新しい文献は全てTa型とTb型という分類を採用している。したがって、もはや糖原病T型を4つに分類することはない。

1972年に最初に報告したDr.エドガー・フォン・ギールケの名にちなんで、歴史的に糖原病T型はフォン・ギールケ病とも呼ばれる。

頻度

糖原病T型全体の発生率は100,000人に1人である。

ヨーロッパ人ではTa型が最も多い。

アシュケナージ系ユダヤ人では、もっともよくみられる変異(p.Arg83Cys)保因者の推定頻度は1.4%で、疾患発生率は20,000人に1人である。

変異の頻度における民族間の違い(日本人患者の88%にc.648G>T、ヒスパニック系アメリカ人の50%にc.379_380dupTAを認めるなど)は疾患発生率の違いを反映している可能性がある。


遺伝学的関連(アレル)疾患

このGeneReviewで記述した以外の臨床型でG6PCSLC37A4との関連が知られているものは現在ない。


鑑別診断

糖原病V型(GSDV)(脱分枝酵素欠損症)は乳幼児期にT型と臨床像が類似している。しかし、加齢とともに、臨床所見や生化学的検査によって鑑別することができるようになる。糖原病V型の主な症候には以下がある。

  • 加齢とともに軽快する低血糖
  • 異常なグリコーゲン蓄積による肝腫大
  • 高脂血症
  • 骨格筋ミオパチーおよび血清クレアチニン濃度の上昇(糖原病Va型のみ)

T型とは対照的に、V型では以下が認められる。

  • 炭水化物摂取後2時間の正常なグルカゴン反応
  • トランスアミナーゼの上昇
  • ミオパチー/心筋ミオパチー(Va型のみ)
  • 腎腫大の欠如

糖原病T型と似た臨床像をとりうる他の疾患には、糖原病Y型、糖原病\型(ホスホリラーゼキナーゼ欠損症)、フルクトース-1, 6-ビスホスファターゼ欠損症(OMIM)、糖尿病、ニーマン・ピック病B型(酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症を参照)がある。


臨床的マネジメント

初期診断後の評価

疾患の広がりと患者のニーズを把握するため、以下のような評価が推奨される。

  • 血清/血漿グルコース、乳酸、尿酸、25(OH)-ビタミンD、コレステロールやトリグリセリドを含む脂質
  • 血算:Tb型患者やG6PC遺伝子のp.Gly188Arg変異ホモ接合体を有するTa型患者の好中球減少症を評価する
  • 身長や体重の測定、BMI
  • 栄養状態の評価
  • 肝腫大の評価のため画像検査
  • 肝機能検査
  • 腎腫大の評価のため画像検査
  • 腎機能検査
  • 血小板機能の評価
  • 骨密度測定(10歳以降)
  • 高血圧および肺高血圧のスクリーニング
  • 代謝専門医への診療依頼
  • 臨床遺伝学専門医や遺伝カウンセラーへの診療依頼

病変に対する治療

米国臨床遺伝学会によってガイドラインが発行されている(全文)。

治療には、糖原病患者の長期にわたる治療に関連する問題に精通している代謝専門チームによるケアも含まれている。少なくとも、チームには以下の者が参加しているべきである。

  • 糖原病T型の多系統にわたる病態に精通している代謝専門医。代謝専門医は、前もって情報を提供したり、将来的な医学的問題(肝細胞腺腫の悪性化、腎結石の治療など)に関して評価を与えたりしながら、現行の医学的問題をモニターするべきである。
  • 栄養士は、栄養評価、体重管理、食事指導、コーンスターチや食事摂取のタイミングをモニターし、患者本人や家族にライフステージに応じて何を守るべきか確実に理解させる。
  • 糖原病T型の遺伝について精通している医療提供者(看護師、遺伝カウンセラー、準医師資格者)。彼らは、家族に対する診断の意味合いや患者の将来的な出産に関する疑問に対処することができる。医療コンプライアンスに重点を置き、患児が自分で疾患に関連する健康問題について理解し対処できるように支援することもある。
    診療チームは以下の医療スタッフとよく連携する。
  • 医療ソーシャルワーカーは、人工乳の入手を支援したり、公的サービスにアクセスしたり(定期的な運動および身体活動プランにアクセスするなど)、長期的な健康管理に関して早期に介入したりする。
  • 摂食障害や慢性疾患に対処できるように支援した経験のある精神科医

栄養療法の目標

血糖を正常に維持し、低血糖を予防する、

  • 日中の頻回な食事 少量頻回食や食間・就寝前に複合炭水化物を多くした軽食をとることが推奨されている(血糖のモニタリングはニーズにあわせた食事スケジュールの調整に有用である)。
  • 経鼻胃管もしくは胃瘻を通して夜間にグルコース持続注入行う。最適な注入速度は乳幼児では8-10mg/kg/分、年長児では6-8mg/kg/分である。
  • 未調理のコーンスターチの経口摂取は乳幼児期に開始できる。食事時間の食欲に影響が出ないようにコーンスターチの投与は食間もしくは就寝前に行う。
    • Argo®は味や持続可能性の点からも好まれている米国のブランドである。他のブランドは注意して使用するべきであり、やみくもにブランドを変更することは推奨されない。調整コーンスターチ、ワキシーコーン徐放コーンスターチのGlycosade®は欧米で夜間治療に使用できる。
    • 何歳からコーンスターチを始めるべきかについてコンセンサスはないが、しばしば6ヶ月〜1歳の間で開始される。コーンスターチの消化にはアミラーゼが必要であるが、2歳までは存在しない可能性がある。
    • 低血糖発作の重症度や回数はコーンスターチ療法の開始時期を左右する。乳幼児期や小児期には経鼻胃管や胃瘻から、10代や成人では経口摂取が行われる。
    • 注:推奨される未調理コーンスターチの量は、乳幼児では4時間ごとに1.6g/kg、年少期〜思春期までは6時間ごとに1.7-2.5g/kg、成人では就寝前に1.7-2.5g/kgである。頻回の血糖モニタリングを用いた代謝治療チームの指示のもと、コーンスターチの量を調整すべきである。

成長および発達に最適な栄養を与える

  • 複合炭水化物(推奨される総エネルギー摂取量の60%-70%):コーンスターチ、および小児期や青年期には胚芽パン、米、ジャガイモ、乳幼児には雑穀米。

    注:(1)乳幼児や年長児においてショ糖および果糖の摂取は制限するべきである。砂糖、果物、果物ジュース、果糖の多いコーンシロップ、ソルビトール、サトウキビジュース、およびグルコースに分解することのできない他の食物は避ける。(2)乳糖およびガラクトースの摂取は制限するべきである。年長児における1日当たりの摂取量は、通常チーズ1オンス(28.35g)もしくはヨーグルト1杯もしくはスキムミルク1杯である。(3)コーンスターチによる過剰治療を避けられるように血糖のモニタリングは重要である。体重増加がみられる場合、コーンスターチのゆっくりとした減量や、コーンスターチをProsobee®(大豆ベースの人工乳)やTolerex®(消化態栄養剤)の代わりに水に溶かすことを考慮する。

  • 高品質、高生物価(低脂肪の蛋白質など)の蛋白質。乳幼児期や小児期に必要な炭水化物・蛋白質をまかなう大豆ベースの人工乳(Prosobee®)や大豆乳(乳糖/ガラクトース除去)を用いることもできる。

    注:(1)ショ糖で甘みをつけた大豆乳は避ける。ライスシロップやブラウンライスシロップを添加したものは使用してよい。(2)サトウキビの糖を混合した大豆乳も避けるべきである。

  • 脂質は低脂肪食(推奨される総エネルギー摂取量の10%-15%)で、健康に良いキャノーラ油やオリーブ油にする。注:患者家族は、過剰な体重増加を避け、総エネルギー量を計算するために脂質摂取に関する明確なガイドラインを必要としている。
  • カルシウムやビタミンDの補給は骨の成長や石灰化を助ける。カルシウム強化大豆乳を摂取していない場合、食事摂取基準の推奨量を満たし栄養不足を予防するため、クエン酸カルシウムもしくは炭酸化カルシウムとビタミンDの併用が推奨される。
    ・貧血や鉄欠乏を予防するため、ミネラルやビタミンとともに鉄の補給推奨量100%の鉄・亜鉛)を行う。

他の病変に対する治療

アロプリノールはキサンチンオキシダーゼ阻害薬で、食事療法で血中尿酸値が完全に正常化しない場合、特に思春期後に痛風予防のために用いられる。
HMG-CoAレダクターゼ阻害薬やフィブラート(リピトール®やゲムフィブロジルなど)のような脂質降下薬は、代謝コントロールが良くてもまだ脂質レベルが高い場合に、特に思春期後に用いられる。

クエン酸塩の補給は腎石灰化や尿路結石の形成を予防もしくは軽減する可能性がある。

  • 年少児においては、脂溶製剤1mEq/kg/日 分3から開始するべきである。尿中のクエン酸塩排泄量をみながら増量するべきである。
  • 年長児や成人においては、クエン酸カリウム錠を10mEq/日 分3から開始できる。腎機能障害を合併していると高血圧や致死的な高カリウム血症を起こすことがあるためクエン酸塩は注意して使用するべきである。Naレベルもモニターすべきである。

カプトプリルのようなアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬腎機能障害の早期の徴候である微量アルブミン尿の治療に用いられる。

末期腎疾患に対して腎移植が施行されることがある。

肝細胞腺腫に対して外科手術もしくは経皮的エタノール注入療法やラジオ波焼灼のような治療を行うことがある。
他の治療が奏功しない場合に肝移植を考慮することがある。

反復感染の治療にヒト顆粒球コロニー刺激因子(human granulocyte colony-stimulating factor, G-CSF)を用いることがある。

  • G-CSFは血液中の好中球の数を増加し機能を改善する可能性がある。
  • G-CSFはTb型患者に認められるクローン病様の炎症性腸疾患による症状を改善する可能性がある。
  • 連日もしくは隔日のG-CSF 1.0μg/kg皮下注を行う。G-CSFの用量は、絶対好中球数(absolute neutrophil count, ANC)が500もしくは1000/μLに達するまで約2週間の間隔で段階的に増量していくべきである。

血小板機能異常/フォン・ヴィレブランド病患者の標準的な治療には抗線溶薬デアミノ-8-アルギニン-バソプレッシン(DDAVPがある。DDAVPは内皮細胞から第[因子を放出させ、フォン・ヴィレブランド因子活性や血小板放出反応を改善させる。しかし、DDAVPは体液過剰や低ナトリウム血症のリスクがあるため注意して用いるべきである。

一次病変の予防

「病変に対する治療」を参照。

二次合併症の予防

高尿酸血症および高脂血症を改善し、腎疾患の発症を予防するため正常な腎機能を維持する。

動脈硬化や膵炎を予防するため、脂質レベルを正常範囲内に維持する。

定期検査

最近専門家グループによって発行された糖原病T型ガイドラインに従う。

腎石灰化を評価するため年1回の腎エコーを当初から開始するべきである。

肝臓の定期検査は以下のように行う。

  • 16歳未満では、肝臓エコーを診断時とそれ以降は12-24ヶ月ごとに行う。16歳以上では、肝細胞腺腫を評価するために肝臓の造影CTもしくは造影MRIを12ヶ月ごとに行うべきである。
  • 肝障害の評価のため、血清AST、ALT、アルブミン、ビリルビン、PT-INR、APTT、クレアチニンを6-12ヶ月ごとに測定する。
  • 肝細胞腺腫が見つかった場合 エコーで肝細胞腺腫が見つかった場合、患児に腹部造影CT/MRIを施行するべきである。画像検査は6-12ヶ月ごと、検査や臨床所見によってはそれ以上の頻度で施行するべきである。画像検査(MRI/CT)では肝臓のサイズ、肝細胞腺腫、門脈圧亢進症の所見、肝がんを示唆する所見(結節、不均一なエコー陰影)を評価するべきである。
      注:血清AFPおよびCEAは肝細胞癌の信頼性のあるマーカーではない。

G-CSFの投与を受けている患者においては、治療への反応性をみるため、また急性骨髄性白血病(AML)のリスクは低いけれども、血中の骨髄芽球の有無を評価するため連続した血算の測定を約3ヶ月ごとに行うべきである。肝臓の定期的な画像検査(エコー、CT、MRIなど)では、脾腫の有無を評価するため脾臓のサイズを測定するべきである。

心血管系の定期検査

  • 乳幼児期から受診ごとに血圧測定を行うべきである。
  • 10歳(症状がある場合はより早期から)から3年ごとに心エコーで肺高血圧のスクリーニングを行うことは適切である。
    25(OH)-ビタミンD値はルーチンに測定し、必要があれば治療を行うべきである。

避けるべき薬物や環境

ショ糖、果糖の量を控えた食事を続ける。

1日に摂取するガラクトースや乳糖の量を1食分に制限する。

性ホルモンの肝細胞腺腫への潜在的な悪影響を避けるため、経口避妊薬は女性糖原病T型患者、とくに肝細胞腺腫を認める患者では避けなければならない。

リスクのある親族の検査

発端者の同胞の評価を可及的すみやかに行うことで、迅速な診断・治療により良好な予後が期待できる。以下のような評価を行う。

  • 家族内で病原性変異が同定されている場合は分子遺伝学的検査
  • 家族内で病原性変異が同定されていない場合もしくは分子遺伝学的検査を施行できない場合、出生後すぐに糖原病の症状がないか代謝専門医による評価を行う。

遺伝カウンセリングとして扱われるリスクのある親族への検査に関する問題は「遺伝カウンセリング」の項を参照のこと。

妊娠期の管理

妊娠成功例が報告されているものの、注意すべき事項がある。

  • 妊娠前および妊娠中の低血糖を避けるため、血糖をモニターすることの重要性を強調するため、食事に関する妊娠前カウンセリングを行う。
  • 妊娠前の肝臓や腎臓をエコーで評価する。
  • リスク妊娠に精通した産科医への紹介を考慮する。
  • 妊娠前に治療薬剤のベネフィット/リスクを評価する。
    • 妊娠第二、第三期にACE阻害薬を使用すると胎児へのダメージや死亡を起こしうる。
  • ヒトにおいて妊娠中にアロプリノールを使用したデータはない。しかし、動物実験では高用量投与で胎芽の発育に影響を与えることが明らかとなっている。
  • 脂質降下薬も胎児へ悪影響を及ぼす可能性があり、妊娠中は避けるべきである。

妊娠中をとおして代謝コントロールを緊密にフォローするべきである。妊娠中は炭水化物の必要量が増加するため、血糖値を緊密にモニターし、それに応じて治療を行うべきである。
腹部エコーを6〜12週ごとに行うべきである。Sechiらは妊娠中には以前から存在する肝細胞腺腫のサイズの増大や新規発症を報告しており、妊娠前、妊娠中、妊娠後の画像検査によるモニタリングを推奨している。5cm以上の大きな腺腫もしくは増大傾向の腺腫は妊娠前の切除が推奨されている。

腎機能は妊娠中に悪化する可能性があるため緊密にフォローすべきである。腎結石の発症がTb型の妊婦で報告されている。

分娩中のグルコース静注が施行されてきた。

出産時に出血が増える可能性があるため、血小板数、ヘモグロビン、凝固能の測定を行うべきである。

研究中の治療法

現行の食事療法は低血糖を予防し、糖原病T型患者の生命予後を著明に改善した。しかし、肝細胞癌に進行する肝細胞腺腫の発症や進行性の腎不全などの長期合併症もまだ認められる。糖原病T型に対する新しい治療法の開発は、一次的な原因の治療や長期合併症の回避に重点を置いている。肝細胞移植のパイロット研究では、ドナー細胞の持続性が示された。しかし、この治療法の長期的な効果の評価にはさらなる研究が必要である。Ta型およびTb型患者に対する遺伝子治療では、ごく最近では組み換えアデノ随伴ウイルス(recombinant adeno-associated virus, rAAV)ベクターに焦点が合わせられている。動物実験では有望な結果が得られている。rAAVによりG6PC遺伝子を組み換えした動物の実験では、肝臓のG6PaseおよびG6PT活性の増加や代謝指標の改善が認められている。しかし、導入遺伝子の発現は経過とともに減少し、ヒトにおける長期的な治療のためには反復して行う必要があることが示唆されている。G6Pase導入遺伝子の組み換え方法は研究中であるが、有望な結果が得られている。注目すべきことに、生存するため、また肝細胞腺腫の発症を予防するためには、比較的低い肝G6PC活性(正常の3%)が必要である。腎G6Pase欠損の遺伝子治療はあまり研究されてこなかった。形質導入腎細胞を作成する最も効果的な方法については研究段階にある。

効果的に全ての罹患臓器に形質導入するアデノ随伴ウイルスの血清型を同定することは有益であると思われる。

さまざまな疾患に関する臨床試験に関する情報はClinicalTrials.govを参照のこと。


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

糖原病T型は常染色体劣性遺伝形式で遺伝する。

患者家族のリスク

発端者の両親

  • 罹患者の両親は必然的にヘテロ接合保因者である(すなわちG6PCもしくはSLC37A4のキャリア)。
  • ヘテロ接合保因者(キャリア)は無症状であり、疾患の発症リスクもない。

発端者の同胞

  • 受胎時には、発端者の同胞の25%は罹患者、50%は無症候性キャリア、25%は変異をもたない非罹患者である。
  • ヘテロ接合保因者(キャリア)は無症状であり、疾患の発症リスクもない。

発端者の子

糖原病T型患者の子どもは必然的にG6PC変異もしくはSLC37A4変異のヘテロ接合保因者(キャリア)である。

発端者の他の家族

発端者の両親の同胞がG6PC変異もしくはSLC37A4変異のキャリアであるリスクは50%である。

保因者診断

分子遺伝学的検査

リスクのある親族の保因者診断を行う前に、家族内のG6PC変異もしくはSLC37A4変異の同定が必要である。

遺伝生化学的検査

酵素検査は信頼性に乏しく、保因者診断には用いられない。

遺伝カウンセリングに関連した問題

早期診断・治療を目的としたリスクのある親族の検査についての情報は、「臨床的マネジメント」「リスクのある親族の検査」を参照のこと。

家族計画

  • 遺伝学的リスク評価、保因者診断、および出生前診断の可否などについての議論の最適な時期は妊娠前である。
  • 罹患者、キャリア、キャリアのリスクがある若年成人に対して遺伝カウンセリング(潜在的な子どもへのリスクや出産方法の選択肢に関する話し合いなど)を行うことは適切である。

DNAバンク は主に白血球から調整したDNAを将来利用することを想定して保存しておくものである。検査技術や遺伝子、変異、あるいは疾患に対するわれわれの理解が将来さらに進歩すると考えられるので、DNA保存が考慮される。

出生前診断および着床前診断

分子遺伝学的検査

ひとたび家族内でG6PC変異もしくはSLC37A4変異が同定された場合、リスク妊娠に対する出生前検査や着床診断を行うことは可能である。

生化学検査

正確性が低く、胎児に対する肝生検はリスクがあるため、G6Pase酵素活性もしくはG6Pトランスロカーゼ酵素活性の測定による出生前検査は行わない。in vitroでのG6Pase酵素活性測定では、保因者と健常者または罹患者と区別することができない可能性があり、よって推奨されない。

特に早期診断ではなく妊娠中絶を考慮した検査である場合に、医療従事者や家族の間でも出生前検査に関して視点の違いが存在する可能性がある。ほとんどの施設において、出生前診断に関する決定は両親の選択によると考えるが、これらの問題に関して話し合うことがのぞましい。


原文 Glycogen Storage Disease TypeT

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