[Synonyms:Basal Cell Nevus Syndrome (BCNS), Gorlin Syndrome, NBCCS]
Gene Reviews著者: D Gareth Evans, MD, FRCP and Peter A Farndon, MD, FRCP.
日本語訳者: 箕浦祐子(札幌医科大学大学院医学研究科遺伝医学),櫻井晃洋(札幌医科大学附属病院遺伝子診療科)
GeneReviews最終更新日: 2018.3.29. 日本語訳最終更新日: 2022.8.5
原文 Nevoid Basal Cell Carcinoma Syndrome
疾患の特徴
基底細胞母斑症候群(NBCCS)は,10代で発症することが多い多発性顎骨嚢胞および/または20代以降に発症する基底細胞癌(BCCs)を特徴とする.患者の約60%は,巨頭症,前額部の突出,粗な顔貌,顔面の稗粒腫を伴う外観を有する.骨格異常(二分肋骨,楔形の椎骨など)のある患者がほとんどである.異所性石灰化がとりわけ大脳鎌に生じやすく,20歳までに患者の90%超に認める.心臓線維腫は患者の約2%に,卵巣線維腫は約20%に発症する.NBCCS患児の約5%が髄芽腫(未分化神経外胚葉性腫瘍)を発症し,多くの場合,線維形成性である.髄芽腫の発症リスクは,実際はPTCH1病的バリアント(<2%)よりも, SUFU病的バリアントを持つ患者の方が高い(33%).発症のピークは1~2歳である.NBCCSの平均余命は一般集団平均と大差ない.
診断・検査
大多数の患者は既存の臨床診断基準に基づいてNBCCSと診断される.臨床的所見が決定的でない場合,分子遺伝学的検査でPTCH1またはSUFU遺伝子のヘテロ接合性生殖細胞系列病的バリアントが同定されることで診断が確立される.
臨床的マネジメント
症状に対する治療:
本疾患に精通した専門医の治療を受けること;角化嚢胞の外科的切除;進行性の基底細胞癌を完全に根絶し,正常組織の変形を予防するための早期治療;重症BCCsの治療のためのvismodegibなどのソニック・ヘッジホッグ阻害薬(訳注:日本では2022/7現在未承認);卵巣線維腫の外科的治療が必要な場合でも,卵巣組織を保存すること.しかしながら,これらの治療はコスト負担が大きく,英国国立医療技術評価機構(NICE:National Institute for Health and Care Excellence)は,費用対効果が悪いと判断した.
一次症状の予防:
完全に日光を遮断する日焼け止めを利用し,長袖やハイネック,帽子などで皮膚を覆って,直射日光を避けること.
経過観察:
小児期を通じて頭囲を継続して計測する;髄芽腫のリスクが高いため,1歳までは6カ月に1回,発達評価と身体的診察を行う;8歳以上では顎骨角化嚢胞を見つけるため,パノラマX線撮影を12~18カ月間に1回行う;少なくとも1年に1回皮膚検査を行う.
回避すべき薬剤/環境:
代替できる治療法があれば,特に小児期は放射線療法を避ける;診断のためのX線撮影は控えめにする;直射日光の暴露は極力避ける;過度の日照暴露はBCCs発症のリスクを高める.
リスクのある血縁者の評価:
NBCCSの合併症(小児の髄芽腫や成人の顎骨嚢胞やBCCs)のためのサーベイランスや,日焼け止め対策の必要性があるため,小児含むリスクのある血縁者は,遺伝学的状況を明らかにすることが適切である.
遺伝カウンセリング
NBCCSは常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式をとる.NBCCS発端者の約70~80%には罹患した親がおり,約20~30%はde novo(新たな)病的バリアントの結果としてNBCCSを発症する.罹患者の子がNBCCSを受け継ぐ可能性は50%である.家系員の罹患者でPTCH1またはSUFU病的バリアントが同定されていれば,リスクのある妊娠に対する出生前診断が可能である.
訳注:日本では,本症に対する出生前遺伝学的検査は行われない.いずれにしても次世代への遺伝に関しては細心の遺伝カウンセリングが必要である.
NBCCSが疑われる所見
基底細胞母斑症候群(NBCCS)は,大基準または小基準に含まれる以下の所見のある患者で疑うべきである.
大基準
小基準
X線検査に関する注意事項
確定診断
以下の所見があれば,NBCCSの診断が確定する:
注:(1)NBCCS患者の中で,たまにPTCH2にバリアントが見つかることがあるが,これはまだ確証がない[Fujii et al 2013].同様にSUFU病的バリアントも常に典型的なNBCCSの所見を呈するわけではない(遺伝的に関連のある疾患の項参照).(2)2つ以上の別々の腫瘍から同じPTCH1病的バリアントが同定され,白血球DNAには見られない(または通常より低い比率で存在する)場合,モザイクの存在が認められる[Evans et al 2007].
分子遺伝学的検査には,一連の単一遺伝子検査,マルチジーンパネル検査,より包括的なゲノム検査が含まれる.
一連の単一遺伝子検査.推奨される順番:
注:家系内に髄芽腫の患者がいて顎骨角化嚢胞がない場合は,最初にSUFUの分子遺伝学的検査を考慮するべきである[Smith et al 2014].
PTCH1,SUFUおよび他の関連のありそうな遺伝子( 鑑別診断の項参照)を含むマルチジーンパネル検査も考慮される.(1)広範なマルチジーンパネル検査は感度が下がり,遺伝子標的欠失/重複解析や大規模な再構成を検出するためのPTCH1のRNA解析は含まれていないため,考えられる疾患がNBCCSのみの場合,PTCH1とSUFUだけのパネル設定が最適である.(2)パネルに含まれる遺伝子や検査の精度は,検査機関によって異なっているだけでなく,時代とともに変化する.(3)マルチジーンパネルにはGeneReviewで扱っている病態に関連のない遺伝子が含まれている場合もあるため,臨床医はどのマルチジーンパネルが症状の遺伝的要因を特定する可能性が最も高いかを決定する必要があり,同時に,意義不明なバリアント(VUS)や,根本的な表現型を説明しえない遺伝子における病的バリアントの同定を避ける必要がある.(4)パネル検査で用いられる手法には,配列解析,欠失/重複解析,配列解析以外の検査がある.
マルチジーンパネルの概要については こちらをクリック.臨床医のための,遺伝学的検査依頼に関するより詳細な情報は こちらを参照.
エクソーム解析やゲノム解析などのより包括的なゲノム検査も(実施可能な場合は)考慮してもよい.これらの検査では,事前に想定していない診断がつくまたは示唆される場合がある(似たような臨床症状を呈する異なる遺伝子の変異など).
包括的なゲノム検査の概要についてはこちらをクリック.臨床医のための,遺伝学的検査依頼に関するより詳細な情報は こちらを参照.
表1. 基底細胞母斑症候群の分子遺伝学的検査
遺伝子1 | 検出方法 | この方法で病的バリアントが検出される割合2 |
---|---|---|
PTCH1 | 配列解析3,4 | 50-85%4,5 |
遺伝子標的欠失/重複解析6 | 6-21% 7 | |
SUFU | 配列解析3 | 5%8 |
遺伝子標的欠失/重複解析6 | ~1%8 | |
不明 | NA | 15-27%9 |
臨床症状
家系内や家系間でもばらつきのある100以上の臨床的特徴が基底細胞母斑症候群(NBCCS)と関連している[Farndon 2004].ここでは,それらの症状のうち,よく表れる順に紹介する.
巨頭症.まず目につきやすい特徴が,相対的大頭症である.NBCCS胎児の大半は頭囲が大きいため,分娩は帝王切開が必要となる.出生後の頭囲の成長パターンは停止性水頭症の場合に類似することが多いが,治療を要するような水頭症はまれである.頭囲は月齢10~18ヶ月に至るまでに97パーセンタイル超となり,その後はそのまま推移する.
約5%に認められるその他先天性形成異常には,先天性口唇/口蓋裂(5%),多指症,重度の眼異常がある.眼所見には,斜視,白内障,眼窩嚢胞,小眼球症,網膜上皮の色素変性などがある[Black et al 2003, Ragge et al 2005].
粗大運動発達遅滞.運動機能の発達に遅れが見られることが多い;5歳くらいで通常の発達と同様になる.全般的発達遅滞についての心理測定学的な根拠は見つからない.
髄芽腫.NBCCS患者の約5%が,小児悪性脳腫瘍である髄芽腫(現在は未分化神経外胚葉性腫瘍と呼ばれることが多い)を発症する [Cowan et al 1997].この腫瘍は組織学的には線維形成性であることが多く[Amlashi et al 2003],予後は良好であることが多い.NBCCSの髄芽腫発症のピークは1~2歳頃であり,孤発例のピークが7歳であるのにくらべて若年で発症する[Cowan et al 1997, Amlashi et al 2003].
最近では,典型的なNBCCS所見のある3家系で,SUFU遺伝子のナンセンスおよびミスセンスバリアントと複数のエクソン欠失が検出された;どの家系にも髄芽腫患者が1人ずついた[Smith et al 2014].SUFU関連NBCCSは髄芽腫のリスクが33%(3/9)と高く,放射線照射後の髄膜腫のリスクも高い.PTCH1関連NBCCSでは,髄芽腫のリスクは2%未満である.
顔貌.PTCH1病的バリアントを持つ患者の約60%に,前額部の突出,粗な顔貌,顔面稗粒腫などの外観を認める.SUFU病的バリアントを持つ患者では,顔貌の特徴は明確でないことも多い.
骨格の特徴.先天的な骨の異常は出生時に存在していても,新生児では臨床的に明らかでないこともある.肩は下向きに傾斜している(なで肩).多くの患者で骨格異常はX線撮影で発見される(二分肋骨,楔形椎骨など).開放性二分脊椎のような多発性肋骨/椎体異常による重篤な骨格障害は,報告はあるが一般的ではない.
特に大脳鎌における異所性石灰化は20歳までに90%以上の患者に表れる [Ratcliffe et al 1995, Kimonis et al 2004].石灰化があれば,頭蓋内のX線側面像で確認できる.
顎骨角化嚢胞.PTCH1関連NBCCS患者の約90%に顎骨角化嚢胞が複数生じる.これらは5歳という若年でも発症しうるが,もっとも発症が多いのは10代である.顎骨角化嚢胞は通常,痛みを伴わない腫脹として現れる.未治療のままでいると,大きな歯の崩壊や顎骨骨折につながる恐れがある.顎骨嚢胞が30歳以降に生じることは稀である.
顎骨嚢胞はSUFU関連NBCCSでは報告されていない[Smith et al 2014].
角化嚢胞が悪性転化したエナメル上皮腫と呼ばれる稀な腫瘍は,NBCCS患者において少なくとも6例報告されている [Ponti et al 2012].
基底細胞癌(BCCs).小児初期に茶色・ピンク色・橙色の基底細胞母斑が生じることがあるが,侵襲的性質を呈することなく,静止状態で存在し続けることがある.組織学的には典型的なBCCであり,とりわけ小児では,この所見ではじめてNBCCSの孤発例(すなわちNBCCSの家族歴のない患者)であることが判明する場合がある.すでに無数に生じている基底細胞母斑から活動性のBCCsが生じることもあれば,ほとんどしみのない皮膚から典型的なBCCsが生じることもある.また,BCCは痂皮,出血,潰瘍を生じたり、局所的な感染症を呈することもある.
BCCsは小児初期でも生じるが,通常10歳代後半~成人初期になるまで生じない.基底細胞癌は年齢とともに生じやすくなるが,生涯にわたってBCCが生じないNBCCS患者も10%いる.1型皮膚(ケルト系民族の皮膚のように褐色に日焼けせず,熱傷が生じる白色皮膚)を有する者や紫外線を過剰に浴びた者は,とりわけ多数のBCCsを発症しやすいように思われる.臨床的には放射線への感受性がきわめて高い患者もおり,こうした患者では放射線療法後,照射野に新たなBCCsが生じる.
その他の皮膚症状には,眼瞼のマイボーム腺嚢胞,脂腺嚢胞,皮様嚢腫などがある.(特に首周囲の)軟性線維腫は組織学的にBCCsの様相を呈することが多いが,侵襲性を示すことはない.
他の腫瘍.心臓線維腫は女性の約2%に,卵巣線維腫は女性の約20%に生じる [Evans et al 1993, Gorlin 2004].通常,心臓線維腫は出生時もしくは出生直後に現れる.これらは無症状であることもあるが,不整脈を引き起こしたり心臓からの血流を阻害することもある.横紋筋腫が心臓やその他の部位に生じることがある [Watson et al 2004].
卵巣線維腫はSUFU関連,PTCH1関連NBCCSのどちらにも生じるが,SUFU関連NBCCSにより生じやすい [Evans et al 2017].これらは通常,超音波検査や帝王切開時に思いがけず見つかることが多い.卵巣線維腫が卵巣捻転を生じさせることがあるが,受胎能には影響を与えないと考えられている.卵巣線維腫は大型化し石灰化することがあるが;悪性化は少ない.
その他の悪性腫瘍のリスクの上昇は明らかにされていないが,これまでにリンパ腫 [Pereira et al 2011] や髄膜腫 [Kijima et al 2012]が報告されている.
罹病率・死亡率.NBCCSの平均余命は一般人口平均と大差ない[Wilding et al 2012].一番の問題は多数の皮膚腫瘍への治療によって生じる審美的影響であり,この次に顎骨角化嚢胞治療の影響に伴う問題がくる.審美的に損なわれることによって,雇用継続が難しくなるなど,社会生活上の困難が生じる.
遺伝型ごとの表現型との相関
PTCH1
遺伝型を特定した182例のNBCCS患者の最近のレビューによると,病的バリアントのない患者と比較して,PTCH1関連NBCCS患者では,より若い年齢で診断され(p=0.02),顎骨嚢胞(p=0.002),二分肋骨(p=0.003),骨格異常(p=0.003)を有する者が多かった[Evans et al 2017].
PTCH1関連NBCCS患者の約90%で多数の顎骨角化嚢胞を発症する.
PTCH1関連NBCCS患者の約60%で,前額部の突出,粗な顔貌,顔面稗粒腫などの外観を認める.
PTCH1関連NBCCSの髄芽腫のリスクは2%未満である[Smith et al 2014].
SUFU
SUFU関連NBCCSは髄芽腫のリスクが33%と高く,放射線照射後の髄膜腫のリスクも高い.
SUFU病的バリアントを持つ患者では,顔貌の特徴は明らかでないことが多い.
全体的に,SUFU関連NBCCSはBCCsが少なく,顎骨嚢胞の報告もないなど,臨床所見は軽度である[Evans et al 2017].
遺伝子型と表現型の関連
PTCH1.
PTCH1ミスセンスバリアントを持つ患者では,その他のPTCH1病的バリアントよりも診断される年齢が高く(p=0.03),10個以上のBCCsや顎骨嚢胞を発症する割合が低い(p=0.03).
浸透率
NBCCSの発現には家系内や家系間でばらつきが認められるが,臨床経験や分子遺伝学的検査所見は完全浸透に合致したものである[著者の個人的見解].かつて,PTCH1連鎖解析に基づき髄芽腫の家系で浸透率が低下するという報告があったが,SUFU病的バリアントを持つ家系が見つかり、論駁された[Smith et al 2014].SUFU病的バリアントの浸透率を決定するのは難しいが,PTCH1より低いと思われる.
頻度
疾患頻度に関する研究はほとんどない.最もよく引用される57,000人に1人という頻度は,イングランド北西部の400万人の英国人集団に関する研究から得られたものである[Evans et al 1991b].この研究の発表以来,NBCCSへの認識が高まったために診断数が増加し,30,827人に1人程度にまで数値は引き上げられている[Evans et al 2010].より軽症の症例が気づかれない場合があるため,実際の値はもっと高いと考えられる.
オーストラリアでの研究では,164,000人に1人という最も低い頻度が報告された[Shanley et al 1994].
出生時の発症率が最大18,976人に1人にのぼることが確認されている [Evans et al 2010].
PTCH1
Ming et al [2002] は,関連のない全前脳胞症患者100人中5人のヘテロ接合性PTCH1病的ミスセンスバリアントを報告している.著者らは,NBCCSでは通常PTCH1がコードするpatched homolog 1タンパクのハプロ不全によりヘッジホッグシグナル伝達経路が活性化されるのに対し,病的ミスセンスバリアントがPTCH1の抑制活性を増強すると仮定している.Ribeiro et al [2006] はさらに4つの全前脳胞症に関連するPTCH1病的ミスセンスバリアントを報告している.
染色体9q22.3における,PTCH1を含む352kbの重要な領域を包含する非反復性欠失(すなわち、多くの切断点の可能性のある欠失と異なるサイズの欠失)は,NBCCSの臨床所見に加え,発達遅延や知的障害,前頭縫合早期癒合症,閉塞性水頭症,出生前後の巨大児,てんかん発作などを特徴とする.罹患児はWilms腫瘍のリスクも増加する.9q22.3欠失の臨床症状は多様で,臨床所見は微小欠失の規模により多少異なる.9q22.3の微小欠失は,大規模欠失を除き,通常のG-分染や他の従来型の細胞遺伝学的技術では同定できない[Muller et al 2012].
SUFU
ヘテロ接合性生殖細胞系列短縮型SUFU病的バリアントが,髄芽腫の複数の小児を含む2家系から同定されている.SUFU病的バリアントを持つ家系員の中で,NBCCSの臨床所見のある人はいなかった [Brugières et al 2010]. Guerrini-Rousseau et al [2018]によれば,髄芽腫と生殖細胞系列SUFU病的バリアントを持つ17例では,全例NBCCSの診断基準を満たさなかった.
鑑別診断は症状の表れ方に基づく.
巨頭症
発端者が巨頭症やその他の先天性欠損を有する乳児である場合,ソトス(Sotos)症候群やベックウィズ・ヴィーデマン(Beckwith-Wiedemann)症候群など,いくつかの過成長症候群を考慮する必要がある.
ソトス症候群は,3つの極めて重要な臨床所見を特徴とする:特徴的な顔貌,学習障害,過成長(身長と頭囲が平均値より2SD以上高い)である.ソトス症候群の主要な所見には,行動障害,骨年齢促進,心疾患,頭蓋内MRI/CT異常,関節肥大症・扁平足,母体予後不良,新生児黄疸,乳児期の筋緊張低下,腎障害,側弯症,てんかん発作がある.仙尾骨奇形腫や神経芽腫のリスクがわずかに上昇する.ヘテロ接合性NSD1病的バリアントが同定されれば,診断が確定する.ソトス症候群は常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式をとり,95%超の患者がde novo(新規の)病的バリアントを有する.
ベックウィズ・ヴェーデマン症候群(BWS)は,新生児低血糖症,巨大児,巨舌症,片側肥大,臍帯ヘルニア,胎児性腫瘍(Wilms腫瘍,肝芽腫,神経芽腫,横紋筋肉腫など),内臓腫大,副腎細胞腫大,腎障害(髄質形成不全,腎石灰化症,髄質海綿腎,腎肥大など),耳垂の線状溝や耳介小孔など様々な成長障害を特徴とする.巨舌症と巨大児は通常出生時に発現しているが,出生後に発症することもある.成長速度は7~8歳ごろに緩やかになる.片側肥大は身体の体節的部位や,特定の臓器や組織に影響を与えることがある.BWSの臨床的評価による仮診断は,分子遺伝学的/細胞遺伝学的検査により確定診断となりうる.BWSは染色体11p15.5の2つのインプリンティング領域における遺伝子転写の制御異常に関連する.
孤発性の水頭症や巨脳症 は臨床検査,家族歴,X線画像により鑑別可能である.
基底細胞癌(BCCs)
初発症状が多発性BCCsの場合は,臨床検査やX線検査により,ほぼすべてのNBCCSの診断が確立するはずである.
類似の皮膚所見を有する他の遺伝性疾患には以下のものがある:
多発性BCCsの後天的原因には,ヒ素曝露も含まれる.
顎骨角化嚢胞
初期症状が顎骨角化嚢胞である場合,臨床検査やX線検査により,ほぼすべてのNBCCSの診断が確立するはずである.小児への検査に加えて,両親に対する病歴聴取や検査も勧められる.
髄芽腫
髄芽腫を呈している小児に対しては,とりわけ3歳未満の場合や組織学的所見が線維形成性である場合には,NBCCSに対する評価を行う必要がある.小児への検査に加えて,両親に対する病歴聴取や検査も勧められる.
結節性や線維形成性の髄芽腫を有する児に対しても,SUFUの生殖細胞系列ヘテロ接合性病的バリアントを評価する必要がある [Brugières et al 2012].Brugie`resらは結節性髄芽腫の患者3人全員,また線維形成性髄芽腫の患者20人中4人において,SUFUの生殖細胞系列ヘテロ接合性病的バリアントがNBCCSの幾つかの特徴を有していることを示した.さらに,SUFUの生殖細胞系列病的バリアントは巨頭症と関連しており,SUFUのヘテロ接合性生殖細胞系列病的バリアントを有する8人の髄芽腫患者のうち1人では,放射線の照射野にBCCsを発症した[Brugières et al 2012].
最初の診断時における評価
底細胞母斑症候群(NBCCS)と診断された患者の疾患の程度と診療に関する必要事項を確定するためには,実施されていなければ以下の評価が推奨される:
症状に対する治療
本疾患の治療経験のある専門医(口腔外科医,皮膚科医,形成外科医,小児科医,臨床遺伝専門医など)により,症状に対する治療を行うべきである.
レチノイド(エトレチナートなど)による全身療法は可能であるが,耐容性に問題がある場合が多い.
現在,BCCの症状が重度であったり進行性の病変のある患者に対するvismodegibなどのソニック・ヘッジホッグ阻害薬による治療が可能である(訳注:日本では2022/7現在未承認);副作用が多くかなり深刻ではあるが,進行した病変の高い消失率と新たなBCCsの縮小が見られる[Sekulic et al 2012]. ソニック・ヘッジホッグ阻害薬は特に眼周囲の病変に有用である可能性がある[Ozgur et al 2015].しかしながら,これらの治療の費用負担が大きくなったことで,英国国立医療技術評価機構(NICE)は,費用対効果の低い治療法であると判断された.
一次予防
罹患者は,長袖やハイネック,帽子などで皮膚を覆う;完全に日光を遮断する日焼け止めを使用するなどして,紫外線暴露を避けなければならない.
環境中,放射線検査,放射線治療などからの,不必要な放射線暴露を避ける.
経過観察
小児期を通して頭囲測定を行い,適切な成長曲線にプロットし記録すること.急速な増大が認められた場合には,早急に水頭症の可能性について評価すること.
生後1年間は髄芽腫のリスクを気にかけることが重要であるため,6カ月に1回の発達評価や身体的検査の実施は妥当である.定期的な神経画像検査の有効性を示す科学的根拠はない;頻繁なコンピュータ断層撮影(CT)には放射線過敏性に伴うリスクがあるため,避けなければならない.コンセンサス会議では,罹患児は8歳まで年1回の頭部MRIスキャンを行うことが提案されている [Bree et al 2011]が,多くの子供で全身麻酔を必要とするため,2%のリスクしかないPTCH1関連NBCCSにおいて,現在ではおそらく正当化されない[Foulkes et al 2017].しかしながら,SUFU病的バリアントを持つ幼児に限っては妥当である[Smith et al 2014];これは「3歳までは4カ月ごとに脳MRIを考慮し,その後は5歳まで6カ月ごとに脳MRIを考慮する」という合意文書の勧告によって支持されている [Foulkes et al 2017].
幼児期に診断がついた時点の心臓の超音波検査がFoulkes et al [2017]から提唱されている.
18歳時点での女性の卵巣超音波検査がFoulkes et al [2017]から提唱されている.
他の腫瘍に関しては,一般集団への提供回数の定期検診を行うことが妥当であると考えられるほどの発症頻度をもつ腫瘍はない.
8歳以上では,顎骨角化嚢胞をみつけるため,パノラマX線撮影を12~18カ月に1回行う必要がある[Foulkes et al 2017].
皮膚検査は少なくとも1年に1回行うこと;3~4ヶ月に1回の専門医による皮膚検査を推奨する医師もいる.
回避すべき薬物や環境
放射線治療をすることで,放射線照射野に何千個ものBCCsが発生しうる [Strong 1977, Evans et al 1991a]ため,特に小児期では他の治療法がある場合は,放射線照射は避けなければならない.他の治療モダリティがないと考える場合は,極力少ないポート数で実施する.
X線を用いた診断検査は回数を減らすべきである.
NBCCS患者は,できるだけ直射日光に当たらないように指示する.過剰な日光曝露により,BCCsが発症しやすくなる.
リスクのある血縁者の検査
できるだけ早期にNBCCSであることがわかれば,合併症(最も注意したいのは小児の髄芽腫や成人の顎骨角化嚢胞やBCCs)のサーベイランス(サーベイランスの項参照)や,X線や日光への暴露を避ける( 回避すべき薬物や環境の項参照)ことの恩恵を受けられる血縁者を同定するために,明らかな症状のない(小児も含めた)リスクのある血縁者に対して遺伝的状態を評価することが適切である.
評価は下記参照:
遺伝カウンセリングを目的としたリスクのある血縁者の検査に関わる問題は遺伝カウンセリングの項を参照のこと.
妊娠の管理
NBCCS患者の頭囲は大きいため,罹患している胎児を妊娠している女性は,児頭骨盤不均衡のための早期分娩誘発もしくは帝王切開の必要がないかを評価するべきである.
研究中の治療法
(赤外線による)光線力学的療法は研究の初期段階で望視され,安全性も高いことが示された[Haylett et al 2003].最近の研究では,光線力学的療法(PDT)を受けたNBCCS患者33人において,60%近い制御率が示された[Loncaster et al 2009].
アミノレブリン酸について研究が行われている[Itkin & Gilchrest 2004, Oseroff et al 2005].通常,アミノレブリン酸はPDTと併用して用いられる[Loncaster et al 2009].
5-フルオロウラシル(5-FU:Efudex®)やイミキモド(5%)による局所療法が検討されている[Kagy & Amonette 2000, Marks et al 2001, Stockfleth et al 2002].最近行われたレビューでは,イミキモド治療による制御率が,表在型基底細胞癌では90%,悪性度の高い基底細胞癌や結節性の基底細胞癌では50%近くに達したことが示された [Alessi et al 2009].
5-フルオロウラシルの局所療法は濾胞性病変をもたない表在型多中心性BCCsには効果を発揮するが,深部浸潤型の基底細胞癌には用いるべきでない.
最近,ソニック・ヘッジホッグ拮抗薬が臨床試験段階に入り,結果が有望視されている[Saran 2010].進行性/難治性BCCsを有するNBCCS患者へのソニック・ヘッジホッグ拮抗薬の全身投与も有効であり[Sekulic et al 2012, Tang et al 2012],局所進行性BCCsを有する患者63人での奏効率は43%であった.NBCCS患者での奏効率は極めて高かったが,有害な副作用のため,53%が投与中止となった [Tang et al 2012].ソニック・ヘッジホッグ拮抗薬は特に眼周辺の病変に有用である可能性がある[Ozgur et al 2015].最近の報告では,BCCの治療で投与された抗ソニック・ヘッジホッグ薬が角化嚢胞も消失させることが示された[Goldberg et al 2011].
広範な疾患や症状の臨床研究に関する情報は, 米国では ClinicalTrials.gov を, ヨーロッパでは EU Clinical Trials Registerを参照のこと.
「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」
遺伝形式
基底細胞母斑症候群(NBCCS)は常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式をとる.
家族構成員のリスク
発端者の両親
発端者の同胞
発端者の子
他の家族構成員
他の家系員のリスクは,発端者の両親の遺伝学的状況によって決まる:親が罹患しているなら,その親の血縁者にはリスクがある.
遺伝カウンセリングに関連した問題
早期診断と治療を目的とした,リスクのある血縁者の検査に関する情報は,マネジメント,リスクのある血縁者の検査の項を参照のこと.
遺伝的ながんのリスク評価とカウンセリング.分子遺伝学的検査の実施の如何に関わらず,がんのリスク評価の過程でリスクのある者を同定することの,医学的,心理学的,倫理的な包括的説明は 癌の遺伝的リスク評価およびカウンセリング-医療従事者用 (part of PDQ®,米国国立がん研究所)を参照すること.
見かけ上de novo(新規の)病的バリアントを持つ家系への配慮.NBCCS発端者の両親のどちらにも病的バリアントがない,もしくは疾患の臨床症状がない場合,PTCH1またはSUFU病的バリアントはde novo(新規)であるかもしれない.しかし,生物学的な父親や母親が異なる場合(生殖補助医療など)や,公開されていない養子縁組といった非医学的原因も検討する必要がある.
家族計画
小児期の発症前診断.NBCCSの合併症(最も注意したいのは髄芽腫)が生じていないかサーベイランスする必要があるため,小児期にリスクのある者の遺伝学的状況を明らかにすることは適切である.石灰化の有無を確認する頭蓋部の臨床検査やX線検査では,NBCCSの年齢相関的な自然史からは,ごく幼少期の遺伝学的状況を明らかにできないことの方が多い.PTCH1またはSUFU病的バリアントが家系内の罹患者で同定されている場合,分子遺伝学的検査が考慮される.
成人に対する発症前診断.臨床検査やX線検査は,見かけ上非罹患の者に対する「遺伝学的検査」として機能することが多い.検査を受ける者は,PTCH1またはSUFUの分子遺伝学的検査を受ける場合と同様に,これらの検査の発症前診断としての意味を十分自覚する必要がある.
DNAバンク. 検査手法や,遺伝子や病気につながるメカニズム,疾患への理解は将来改善する可能性があるため,分子遺伝学的検査で診断の確定しなかった(つまり病気を引き起こすメカニズムが不明な)発端者のDNAを保管しておくことを考慮するべきである.
出生前および着床前遺伝学的検査
罹患した家系員にPTCH1またはSUFU病的バリアントが同定されれば、基底細胞母斑症候群のリスクの高まる妊娠に対する出生前診断と着床前遺伝学的検査を受けることが可能である。
医療の専門家の間や家族内においても、特にその検査が早期診断というより妊娠中絶を目的として考慮されている場合,出生前診断に対する考え方の相違が存在しうる。ほとんどの施設では出生前診断を行うか否かの決断は両親に委ねているが、この問題に関しては議論することが適切である。
(訳注:日本では基底細胞母斑症候群における着床前診断および出生前診断は行われていない)
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分子遺伝学
分子遺伝学とOMIMの表の情報はGeneReviewsの他の場所の情報とは異なるかもしれない。表は、より最新の情報を含むことがある。
表A.基底細胞母斑症候群:遺伝子とデータベース
遺伝子 | 染色体座位 | タンパク質 | 座位特異的データベース | HGMD | ClinVar |
---|---|---|---|---|---|
PTCH1 | 9q22.32 | patched homolog 1タンパク | PTCH1 データベース | PTCH1 | PTCH1 |
SUFU | 10q24.32 | Suppressor of fused homolog | SUFU データベース | SUFU | SUFU |
データは以下の標準的参照資料をもとに作成した.遺伝子は HGNC;染色体座位はOMIM;タンパク質は UniProtを参照した.リンクが提供されたデータベース(座位特異性, HGMD,ClinVar)の詳細についてはこちらを参照のこと.
表 B. 基底細胞母斑症候群に関するOMIMの登録 (OMIMですべてを見る)
109400 | 基底細胞母斑症候群; BCNS |
601309 | PATCHED 1; PTCH1 |
607035 | SUFU HEDGEHOG シグナルの負の制御因子; SUFU |
分子病理学
基底細胞母斑症候群(NBCCS)患者の髄芽腫の発症が比較的若い年齢であること(一般集団は7歳に対し,2歳)と,腫瘍中のPTCH1正常アレルが喪失していることにより,基底細胞癌(BCC)と同様に髄芽腫においてもPTCH1が腫瘍抑制因子であることが確認された[Cowan et al 1997] .正常なアレルの不活性化は顎骨嚢胞を引き起こすメカニズムでもある一方,先天性奇形は,極めて量感受性の高いヘッジホッグシグナル伝達経路のpatched homolog 1タンパクの濃度変化に起因していると思われる[Villavicencio et al 2000].
注:PTCH1と高い相同性を持つPTCH2は,染色体1p32.1-p32.3に位置する[Smyth et al 1999].NBCCSの孤発例11例とPTCH1病的バリアントが同定されなかったNBCCSの家族歴のある11例に,PTCH2病的バリアントは見つからなかった.しかしながら,NBCCSのPTCH2バリアントの症例が時折報告されている [Fujii et al 2013].
遺伝子の構造.Table 2参照.
表2. TCH1病的バリアントの種類と頻度
NBCCS患者の割合と病的 PTCH1 バリアント | 病的バリアントの種類 | |
---|---|---|
脚注1参照 | Evans et al [2017]2 | |
65% | 40% | 早期終止コドン(タンパク質の短縮が予測される) |
16% | 27% | ミスセンス |
13% | 20% | スプライス部位 |
6% | 13% | (複数の)エクソン または大規模欠失や再構成 |
稀3 | 1% | スプライシングを変化させる深部イントロンのバリアント |
正常な遺伝子産物.タンパク質アイソフォームNP_000255.2は,1447アミノ酸からなる.patched homolog 1タンパクは,12の膜貫通領域、2つの細胞外ループ、ステロール感受性と推定されるドメインを持つ内在性膜タンパクである.patched homolog 1タンパクは,分泌因子ソニックヘッジホッグ(SHH)と結合し,SHH受容体として機能する.このタンパク質は,共受容体であるsmoothened(SMO)のシグナル伝達活性を抑制している.SHHとの複合体を形成すると,patched homolog 1タンパクは抑制体ではなくなり,シグナル伝達が行われる.ヒト細胞中には少なくとも3つの形態のpatched homolog 1タンパクが存在する[Hahn et al 1996].SMOを介したSHHシグナル伝達経路の抑制は,PTCH1の機能喪失を部分的に模倣した阻害剤治療の標的となっている [Skoda et al 2018].
異常な遺伝子産物.NBCCSおよび非家族性BCCに見られる病的バリアントには,切断型タンパク質が予測されるバリアントとミスセンスバリアントが含まれる.スプライシングを変化させる稀な深部イントロンのバリアントはpatched homolog 1タンパクの機能喪失を引き起こすことが予測される [Bholah et al 2014].
SUFU
遺伝子の構造.選択的スプライシングにより,複数の転写産物が存在する.一番長いものは12エクソンからなるNM_016169.3である.遺伝子およびタンパク質に関する情報の概要は Table A, 遺伝子を参照のこと.
病的バリアント.ミスセンスおよびナンセンスバリアント,スプライス共通部位と複数のエクソン欠失が報告されている[Kijima et al 2012, Smith et al 2014].
正常な遺伝子産物.SUFUにコードされるタンパクは融合相同タンパクを抑制し,ヘッジホッグシグナル伝達経路を抑制性に調節する.転写バリアントNM_016169.3 は一番長い484アミノ酸残基からなる NP_057253.2アイソフォームをコードする.
異常な遺伝子産物.SUFUのヘテロ接合性機能喪失型バリアントはNBCCSの原因となる.
がんと良性腫瘍
PTCH1の体細胞バリアントは,NBCCSでみられる角化嚢胞,BCC,皮膚の毛包上皮腫,髄芽腫,卵巣線維腫など,散発的に生じるさまざまな腫瘍と関連することが知られている.
SUFU病的バリアントは通常髄芽腫患者の生殖細胞系列にあるが,(PTCH1よりはるかに少ないが)体細胞性でも生じ,存在するとSMO阻害薬に耐性となる[Kool et al 2014].
体細胞性PTCH2の病的バリアントは,髄芽腫とBCCの孤発例それぞれ1例ずつに見つかっており,後者は生殖細胞系列には存在しなかった [Smyth et al 1999].
Gene Reviews著者: D Gareth Evans, MD, FRCP and Peter A Farndon, MD, FRCP.
日本語訳者: 箕浦祐子(札幌医科大学大学院医学研究科遺伝医学),櫻井晃洋(札幌医科大学附属病院遺伝子診療科)GeneReviews最終更新日: 2018.3.29. 日本語訳最終更新日: 2022.8.5[in present]