Gene Reviews著者: Helga V Toriello, PhD,Brunella Franco, MD,Ange-Line Bruel, PhD,and Christel Thauvin-Robinet, MD, PhD
日本語訳者: 佐藤康守(たい矯正歯科)、水上都(札幌医科大学医学部遺伝医学)
GeneReviews最終更新日: 2016.8.4. 日本語訳最終更新日: 22022.10.1.
原文 Oral-Facial-Digital Syndrome TypeⅠ疾患の特徴
口-顔-指症候群Ⅰ型(OFD1)は、男性については、通常、妊娠中に死亡に至るため、主として女性が罹患する疾患である。診断・検査
発端者におけるOFD1の診断は、分子遺伝学的検査でOFD1の病的バリアントが同定されることで確定する。
臨床的マネジメント
症状に対する治療:
口唇裂口蓋裂・舌の結節・余剰小帯・合指に対しては外科手術、咬合異常に対しては過剰歯の抜去と矯正歯科治療、腎疾患や癲癇発作に対しては通常の治療を行う。
言語治療や特別支援教育が必要になることもあろう。
定期的追跡評価:
口唇裂や口蓋裂を有する子どもについては、年に1度の聴覚評価と言語発達評価を行う。
10歳以上の罹患者については、年に1度の血圧測定、血清クレアチニンのチェック、腎・肝・膵・卵巣の嚢胞性病変に関する年に1度の超音波診査を行う。
遺伝カウンセリング
OFD1は、X連鎖性の遺伝形式をとる。
おおむね75%の罹患者が孤発例(すなわち、OFD1の家族歴をもたない例)である。
新生の病的バリアントの結果としてOFD1を有するに至った女性発端者がみられるものの、そうした新生の病的バリアントに起因する例の占める割合についてはよくわかっていない。
孤発例の女性罹患者の、非罹患者である母親がOFD1の女児を出産するリスクは1%未満である。
OFD1の女性が、その病的バリアントを受胎の段階で子に継承するリスクは50%であるが、病的バリアントを継承した男性胎児の大多数は流産に至る。
したがって、分娩の段階においては、非罹患女性が33%、罹患女性が33%、非罹患男性が33%という比率になる。
家系内に存在する病的バリアントが判明している場合には、妊娠に際して、罹患リスクの高まりに備えた出生前診断を行うことが可能である。
出生前の超音波検査で、脳の器質的異常や重複拇趾が明らかになることがある。
本疾患を示唆する所見
特徴的な口-顔面-指の症候、稗粒腫、多発性嚢胞腎といったものを有する女性については、口-顔-指症候群Ⅰ型(OFD1)を疑う必要がある。
ただ、口・顔面・指の症候は、他のタイプの口-顔-指症候群でもみられる。
OFD1は、約50%の罹患者に多発性嚢胞腎がみられること、ならびに、家族性の例についてはX連鎖性の継承パターンを示すことが特徴である。
これについては表1(pdf)を参照されたい。
OFD1罹患者は、ほぼ全員が女性であるが、罹患男性の報告もいくつかみられる。
ただ、こうしたものは、そのほとんどが、罹患女性が産んだ男性罹患胎児といった程度の記載にとどまっている。
臨床症候
口
顔面
指
その他
X線症候(訳注:内容的にはX線以外のものが含まれているが、原文に従ってそのまま「X線症候」と訳した)
手のX線写真
細かな網状のX線透過像がしばしば現れる。
骨の不規則な石灰化と表現され、指節骨の棘形成を伴うことがある。
腎超音波検査
罹患者の50%以上に腎嚢胞が認められる。
脳のMRI
脳内嚢胞、脳梁無形成、時としてDandy-Walker奇形を伴う小脳無形成が最も多くみられる。
診断の確定
正式な診断基準というものは存在しない。単一遺伝子検査で病的バリアントが検出されなかった場合は、OFD1その他の関連遺伝子(「鑑別診断」の項を参照)を含むマルチ遺伝子パネルが推奨される。
注:(1)パネルに含められる遺伝子の内容、ならびに個々の遺伝子について行う検査の診断上の感度については、検査機関によってばらつきがみられ、また、経時的に変更されていく可能性がある。
(2)マルチ遺伝子パネルによっては、今このGeneReviewで取り上げている状況と無関係な遺伝子が含まれることがある。
したがって、どのマルチ遺伝子パネルを用いれば、意義不明のバリアントや現状の表現型と無関係な病的バリアントの検出を抑えつつ、いま問題にしている疾患の遺伝的原因を特定できる可能性が高いかという点について、臨床医の側であらかじめ検討しておく必要がある。
(3)検査機関によっては、パネルの内容が、その機関の定めた定型のパネルであったり、表現型ごとに定めたものの中で臨床医の指定した遺伝子を含む定型のエクソーム解析であったりすることがある。
(4)ある1つのパネルに対して適用される手法には、配列解析、欠失/重複解析、ないしその他の非配列ベースの検査などがある。
マルチ遺伝子パネル検査の基礎的情報についてはここをクリック。
遺伝子検査をオーダーする臨床医に対する、より詳細な情報についてはここをクリック。
OFD1の症候を有する例であるにもかかわらず、単一遺伝子検査(ないしOFD1を含むマルチ遺伝子パネル)で診断が確定できない場合は、利用可能であるようなら、エクソームシーケンシングやゲノムシーケンシングなどの網羅的ゲノム検査が推奨される。
こうした検査を行うことで、もともと念頭になかった診断にたどり着いたり、そうした診断が示唆されたりといったこともある(例えば、別の遺伝子の変異により、類似の臨床症候が現れるといったこと)。
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遺伝子1 | 手法 | その手法で病的バリアント2が検出される発端者の割合 |
---|---|---|
OFD1 | 配列解析3 | 80%4 |
遺伝子標的型欠失/重複解析5 | 5%6 |
臨床症状
口-顔-指症候群Ⅰ型(OFD1)は、特徴的な口・顔面・指の奇形をもとに、症例によっては出生の段階で診断がつくことがある。口腔の症候
舌は分葉状である。
舌の結節は、ふつう過誤腫ないし脂肪腫で、OFD1罹患者の少なくとも3分の1にこれがみられる。
舌小帯の短小に起因する舌癒着も多くみられる。
硬口蓋ないし軟口蓋の裂、粘膜下口蓋裂、高口蓋が罹患者の50%超にみられる。
軟口蓋が3分した例の報告もみられる[al-Qattan 1998]。
歯槽部の裂や歯肉部の余剰小帯が多くみられる。
余剰小帯は、頰粘膜から歯槽頂縁へ延びる小帯が過剰に形成されたもので、これにより歯槽頂縁に切痕が形成される。
歯の異常としては、無歯症(これが最も多い)、過剰歯、エナメル質形成不全、咬合異常などがある 。
顔面の症候
眼間開離ないし内眼角開離が、罹患者の少なくとも33%にみられる。
鼻翼の低形成、正中唇裂ないし偽性上唇裂が多くみられる。
小下顎症や眼瞼裂斜下も多くみられる。
指の奇形>
短指、種々の程度の合指、第5指の彎指が多くみられる。
他の所見、特に第3指(中指)が橈側ないし尺側に偏位するといった所見がみられることもある。
重複拇趾が罹患者の50%未満にみられるが、これは通常、片側性である。
手の軸前性・軸後性多指症が、罹患者の1%-2%にみられる。
稗粒腫
小角化嚢腫である稗粒腫が少なくとも10%、おそらくはもっと高頻度に現れる。
最も多く現れるのは、頭皮、耳介、顔面、手背である。
稗粒腫は、通常、乳児期に出現し、その後は消退していくものの、小窩型の瘢痕を残すことがある。
腎
尿細管起源、糸球体起源の腎嚢胞が生じることがある。
発症年齢で最も多いのは成人期であるものの、2歳で腎嚢胞が出現した例の報告もみられる。
出生前所見として腎嚢胞を認めたとする報告[Nishimuraら1999]がみられるものの、この症例は診断に疑問が残る。
明らかな腎疾患が生じるリスクは、18歳以降では60%超に上ると思われる[Prattichizzoら2008,Saalら2010]。
11歳から70歳までの罹患女性で、末期腎疾患が報告されている。
知的障害
OFD1の罹患者の50%が、ある程度の知的障害ないし学習障害を有していると推定されている。
知的障害は、脳の異常の如何によるという側面もみられはするものの、両者に一貫した相関はみられない。
脳の異常がみられる場合でも、知的障害の程度は、通常、軽度である。
脳に異常がないにもかかわらず重度の知的障害がみられるということは、稀であるように思われる[Del Giudiceら2014]。
脳の奇形
脳の器質的異常は、OFD1罹患者の65%に及ぶ可能性がある[Thauvin-Robinetら2006,Macca & Franco 2009,Bisschoffら2013,Del Giudiceら2014]。
最も多い奇形は、脳内嚢胞、脳梁無形成、小脳無形成で、小脳無形成にはDandy-Walker奇形が伴うことがある。
その他の報告されている奇形としては、2型孔脳症(裂脳型孔脳症)、脳回肥大と異所性灰白質、水頭症、脳萎縮ないし小脳萎縮、視床下部過誤腫、漿果状動脈瘤などがあり、それぞれ数例の罹患者で報告されている。
その他
通常、口蓋裂に付随するものであるが、反復性中耳炎に起因する難聴が報告されている。
時に、スピーチや咀嚼に影響が現れる例もみられる。
毛髪については、しばしば、乾燥し、粗く、脆いという表現がなされる。
部分性であることが多いが、脱毛症が時にみられる。
Blaschko線に沿った脱毛症が報告されている[Boenteら1999]。
肝嚢胞、膵嚢胞、卵巣嚢腫がみられることがあるものの、こうしたものはすべて、腎嚢胞を有する例にのみ現れる。
これまでに、低身長、後鼻孔閉鎖、脛骨偽関節が報告されている。
罹患女性の表現型には、しばしば幅がみられる。
これはおそらく、ランダムに生じるX染色体の不活化に起因するものと思われる[Morleo & Franco 2008]。
遺伝型と表現型の相関
現在のところ、遺伝型-表現型相関について確たるデータを示した報告はみられない。
OFD1に現れる病的バリアントの大多数はOFD1転写産物のエクソン16内に現れる。
浸透率
OFD1は、表現度に非常に大きな幅がみられはするものの、高い浸透率を有しているように見受けられる。
罹患女性に唯一現れた症候が腎嚢胞であったとする報告もいくつかみられる[McLaughlinら2000]。
命名法について
OFD1は以前、Papillon-Léage-Psaume症候群と呼ばれていた。
発生頻度
発生頻度は、250,000人に1人から50,000人に1人と推定されている。一連の口-顔-指症候群(OFD症候群):表1(pdf)を参照されたい。
OFD2は、主として、多指症により鑑別がなされる。
他の症候としては、鼻尖裂がある。
稗粒腫や多発性嚢胞腎はみられない。
嚢胞性腎疾患
ADPKDと診断され、その後、OFD1であることが判明するに至る例が見受けられる[Scolariら1997]。
ADPKDでは、嚢胞は尿細管から発生するが、OFD1では尿細管・糸球体両方から発生する。
しかし、画像からだけでは、必ずしもADPKDその他の嚢胞性腎疾患とOFD1に起因する嚢胞腎とを見分けることはできない。
ADPKDの場合に比べ、OFD1では、嚢胞が小さく、大きさがより均一で、腎肥大や腎奇形の程度も軽度であると言われている
OFD1では、肝嚢胞や桑実状動脈瘤がみられた例がある。
その他の鑑別点としては、遺伝形式の違い、ならびにADPKDでは口・顔面・指・脳の異常がみられないことが挙げられる。
ADPKDを惹起する原因として、PKD1、PKD2という2つの遺伝子の病的バリアントが知られている。
最初の診断に続いて行う評価
口-顔-指症候群Ⅰ型(OFD1)と診断された罹患者については、疾患の範囲やニーズを把握するため、以下のような評価を行うことが推奨される。
症候に対する治療
以下のようなものを行うのが適切である。
定期的追跡評価
定期的追跡評価として、次のようなことを行う。
リスクを有する血縁者の評価
家系内の1人にOFD1の病的バリアントが同定された場合には、一見、無症状の女性血族(口・顔面・指に何らの奇形を有しない女性血族であっても)に対し、腎疾患のリスクの如何を判定するための評価を行うことが適切である。
遺伝カウンセリングを目的として、リスクを有する血族に対して行う検査関連のことについては、「遺伝カウンセリング」の項を参照のこと。
妊娠に関する管理
罹患妊婦については、妊娠中、血圧や腎機能に関し、綿密なモニタリングを受ける必要がある。
研究段階の治療
さまざまな疾患・状況に対して進行中の臨床試験に関する情報については、アメリカの「Clinical Trials.gov」、ならびにヨーロッパの「EU Clinical Trials Register」を参照されたい。
注:現時点で本疾患に関する臨床試験が行われているとは限らない。
「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」
遺伝形式
口-顔-指症候群Ⅰ型(OFD1)は、X連鎖性の遺伝形式をとる。女性発端者の同胞
女性発端者の子
受胎の段階でOFD1の病的バリアントが伝達されるリスクは50%である。他の家族構成員
他の血族の有するリスクは、発端者の母親の状況によって変わってくる。関連する遺伝カウンセリング上の諸事項
早期診断・早期治療を目的としてリスクを有する血族に対して行う評価関連の情報については、「管理」の中の「リスクを有する血縁者の評価」の項を参照されたい。
リスクに関する特記事項
家族計画
罹患者の特定
重度の症候を有する罹患者の診断が確定した後になって初めて、軽度の症候を有する女性血族が診断に至るといった例がしばしばみられる[Thauvin-Robinetら2001]。DNAバンキング
検査の手法であるとか、遺伝子・病原のメカニズム・疾患等に対するわれわれの理解は、将来、より進歩していくことが予想される。
そのため、分子的な診断が確定していない(すなわち、原因となった遺伝的メカニズムがわかっていない)発端者のDNAについては、保存しておくことを検討すべきである。
出生前検査ならびに着床前の遺伝子検査
分子遺伝学的検査
家系内に存在するOFD1の病的バリアントが同定されている場合は、高リスク妊娠に備えた出生前診断や、着床前遺伝子検査を行うことが可能である。超音波検査
GeneReviewsスタッフは、この疾患を持つ患者および家族に役立つ以下の疾患特異的な支援団体/上部支援団体/登録を選択した。GeneReviewsは、他の組織によって提供される情報には責任をもたない。選択基準における情報については、ここをクリック。
分子遺伝学
分子遺伝学とOMIMの表の情報はGeneReviewsの他の場所の情報とは異なるかもしれない。表は、より最新の情報を含むことがある。
表A:口-顔-指症候群Ⅰ型:遺伝子とデータベース遺伝子 | 染色体上の座位 | タンパク質 | Locus-Specific データベース |
HGMD | ClinVar |
---|---|---|---|---|---|
OFD1 | Xp22.2 | 口-顔-指症候群Ⅰ型タンパク質 | OFD1 @ LOVD | OFD1 | OFD1 |
データは、以下の標準資料から作成したものである。
遺伝子についてはHGNCから、染色体上の座位についてはOMIMから、タンパク質についてはUniProtから。
リンクが張られているデータベース(Locus-Specific,HGMD,ClinVar)の説明についてはこちらをクリッ 表B:口-顔-指症候群Ⅰ型関連のOMIMエントリー(閲覧はすべてOMIMへ)
300170 | OFD1 CENTRIOLE AND CENTRIOLAR SATELLITE PROTEIN; OFD1 |
311200 | OROFACIODIGITAL SYNDROME I; OFD1 |
遺伝子構造
OFD1は23のエクソンをもち(参照配列 NM_003611.2)、転写産物がX染色体不活化を免れることの多いX染色体上の領域に座位している。病的バリアント
現在までに、120種を超える病的バリアント(大規模なゲノム再編成を含む)が同定されている[Ferranteら2001,Rakkolainenら2002,Stoll & Sauvage 2002,Romioら2003,Morisawaら2004,Thauvin-Robinetら2006,Prattichizzoら2008,Thauvin-Robinetら2009,Bisschoffら2013,Franco & Thauvin-Robinet 2016]。
表3を参照されたい。
表3:OFD症候群Ⅰ型罹患者で同定されている病的バリアント
エクソン/イントロン | ヌクレオチドの変化 | 病的バリアントの種類 | 予測されるタンパク質 | インデックスケースの数 |
---|---|---|---|---|
イントロン1 | c.13-10T>A | スプライス部位 | 1 | |
エクソン2 | c.43_44delAG | フレームシフト | p.Q16RfsX17 | 1 |
c.65dupA | フレームシフト | p.L23AfsX28 | 1 | |
c.111G>A | スプライス部位 | 1 | ||
c.111G>C | スプライス部位 | 1 | ||
c.63insT | スプライス部位 | p.lys21Aspfs*8 | 1 | |
c.52G>T | ナンセンス | p.Glu18* | 1 | |
イントロン2 | c.111+2T>C | スプライス部位 | 2 | |
c.111+3A>G | スプライス部位 | 1 | ||
エクソン3 | c.121C>T | ナンセンス | p.R41X | 2 |
c.162_166delTGGAG | フレームシフト | p.S54fsX73 | 1 | |
c.221C>T | ミスセンス | p.S74F | 2 | |
c.224A>C | ミスセンス | p.N75T | 1 | |
c.235G>A | ミスセンス | p.A79T | 1 | |
c.241C>G | ミスセンス | p.H81D | 1 | |
c.243C>G | ミスセンス | p.H81Q | 1 | |
c.247C>T | ナンセンス | p.Q83X | 1 | |
c.260A>G | ミスセンス | p.Y87C | 1 | |
c.274T>C | ミスセンス | p.S92P | 1 | |
c.290A>G | ミスセンス | p.E97G | 1 | |
c.294_312del TGGTTTGGCAAAAGAAAG |
フレームシフト | p.S98RfsX138 | 1 | |
c.312delG | フレームシフト | p.V105YfsX144 | 1 | |
c.313dupG | フレームシフト | p.V105GfsX116 | 1 | |
c.148insG | フレームシフト | p.His50Alafs*26 | 1 | |
c.275_276delCT | フレームシフト | p.Ser92Cysfs*24 | 1 | |
イントロン3 | c.312+2_312+8delAAAGTC | スプライス部位 | 1 | |
エクソン4 | c.337C>T | ナンセンス | p.Q113X | 1 |
c.372C>G | ナンセンス | p.Y124X | 1 | |
c.412G>A | ミスセンス | p.G138S | 1 | |
イントロン4 | c.382-3C>G | スプライス部位 | 1 | |
c.382-2A>G | スプライス部位 | 1 | ||
エクソン5 | c.400_403delGAAA | フレームシフト | p.E134IfsX1 | 3 |
c.411delA | フレームシフト | p.G138VfsX144 | 1 | |
イントロン5 | c.412+2delT | スプライス部位 | 1 | |
c.413-10T>G | スプライス部位 | 1 | ||
エクソン6 | c.431dupT | フレームシフト | p.L144FfsX154 | 1 |
c.431T>A | ナンセンス | p.L144X | 1 | |
c.454C>T | ナンセンス | p.Q152X | 1 | |
c.422T>G | ミスセンス | p.Met141Arg | 1 | |
c.508_509delGA | フレームシフト | p.Asp170Phefs*4 | 1 | |
イントロン6 | c.518-1G>A | スプライス部位 | 1 | |
エクソン7 | c.594_598delAAAGC | フレームシフト | p.L200X | 1 |
c.602delA | フレームシフト | p.N201MfsX207 | 1 | |
c.615_620delAGAAAT | インフレーム欠失 | p.E606_I607del | 1 | |
c.616_617delGA | フレームシフト | p.E206NfsX222 | 1 | |
c.628C>T | ナンセンス | p.Q210X | 1 | |
c.653delA | フレームシフト | p.K218SfsX219 | 1 | |
c.541dupG | フレームシフト | p.Asp181Glyfs*22 | 1 | |
イントロン7 | c.654+2_654+4delTA | スプライス部位 | 1 | |
c.2388+1G>C | スプライス部位 | 1 | ||
エクソン8 | c.675delC | フレームシフト | p.E226RfsX227 | 1 |
c.702insA | フレームシフト | p.Y238VfsX239 | 1 | |
c.707_719delAAAAGTATGAAAA | フレームシフト | p.K236RfsX238 | 1 | |
c.709_710delAA | フレームシフト | p.K237VfsX238 | 1 | |
c.710delA | フレームシフト | p.K237SfsX242 | 2 | |
c.710dupA | フレームシフト | p.Y238VfsX239 | 7 | |
c.712delT | フレームシフト | p.Y238MfsX242 | 1 | |
c.790dupG | フレームシフト | p.E264GfsX269 | 1 | |
c.823C>T | ナンセンス | p.Q275X | 1 | |
18-bp欠失 | インフレーム欠失 | p.230-235delIKMEAK | 1 | |
エクソン9 | c.837_838delAA | フレームシフト | p.K280RfsX307 | 2 |
c.837_841delAAAAG | フレームシフト | p.K280NfsX306 | 1 | |
c.839_840delAA | フレームシフト | p.E281DfsX307 | 1 | |
c.843_844delAA | フレームシフト | p.E281DfsX307 | 1 | |
c.858delG | フレームシフト | p.R286SfsX290 | 1 | |
c.871A>T | ナンセンス | p.K291X | 1 | |
c.877_878delAT | フレームシフト | p.M293GfsX307 | 2 | |
c.895insGA | フレームシフト | p.A299KfsX304 | 1 | |
c.919delG | フレームシフト | p.V307LfsX312 | 1 | |
イントロン10 | c.1051-2>G | スプライス部位 | 1 | |
c.1056-2A>T | スプライス部位 | 1 | ||
エクソン10a | c.1056C>G | ミスセンス | p.N352K | 1 |
エクソン11 | c.1071_1078delGAAGGATG/ insTTTTTCCT |
ミスセンス | p.KDD357_359del/ FSY357_359ins |
1 |
c.1099C>T | ナンセンス | p.R367X | 1 | |
c.1100G>A | ミスセンス | p.R367Q | 1 | |
イントロン11 | c.1130-20_1130-17delAATT | スプライス部位 | 1 | |
エクソン12 | c.1178dupA | フレームシフト | p.E394GfsX407 | 1 |
c.1185delA | フレームシフト | p.E395DfsX400 | 1 | |
c.1193_1196delAATC | フレームシフト | p.Q398LfsX400 | 4 | |
c.1220_1221+1delAGG | フレームシフト | p.E407AfsX408 | 1 | |
イントロン12 | 1221+1delG | スプライス部位 | 1 | |
エクソン13 | c.1268_1272delAAAAC | フレームシフト | p.Q423PfsX428 | 2 |
c.1303A>C | ミスセンス | p.S434R | 1 | |
c.1318delC | フレームシフト | p.L440X | 1 | |
c.1319delT | フレームシフト | p.L440QfsX469 | 1 | |
c.1322_1326delAAGAA | フレームシフト | p.K441RfsX450 | 1 | |
c.1323_1326delAGAA | フレームシフト | p.E442RfsX468 | 1 | |
c.1334_1335delTG | フレームシフト | p.L445RfsX451 | 1 | |
c.1358T>A | ナンセンス | p.L453X | 1 | |
c.1360_1363 delCTTA | フレームシフト | p.L454NfsX468 | 1 | |
c.1409delA | フレームシフト | p.N470TfsX468 | 1 | |
エクソン14 | c.1420C>T | ナンセンス | p.Q474X | 1 |
c.1445_1446delTT | フレームシフト | p.F482SfsX495 | 1 | |
c.1452_1458delAGAACTA | フレームシフト | p.K484NfsX491 | 1 | |
エクソン15 | c.1587delA | フレームシフト | p.A530LfsX532 | 1 |
c.1612C>T | ナンセンス | p.Gln538* | 1 | |
エクソン16 | c.1757delG | フレームシフト | p.S586MfsX590 | 1 |
c.1821delG | フレームシフト | p.I608SfsX628 | 1 | |
c.1887_1888insAT | フレームシフト | p.N630IfsX666 | 1 | |
c.1979_1980delCT | フレームシフト | p.S660CfsX | 3 | |
c..2044dupA | フレームシフト | p.I682NfsX700 | 1 | |
c.2056delT | フレームシフト | p.S686PfsX717 | 1 | |
c.2122_2125dupAAGA | フレームシフト | p.N711KfsX713 | 1 | |
c.2176delC | フレームシフト | p.R726AfsX516 (?) | 1 | |
c.1859_1860delC | フレームシフト | p.Ser620Cysfs*8 | 1 | |
c.1990dupC | フレームシフト | p.Leu665Thrfs*35 | 1 | |
イントロン16 | c.2261-1G>T | スプライス部位 | 1 | |
エクソン17 | c.2349delC | フレームシフト | p.I784SfsX816 | 1 |
欠失 | c.(?_-311)_828+?del | エクソン1-8の欠失 | 1 | |
欠失 | c.(?_-311)_1542+?del | エクソン1-14の欠失 | 1 | |
欠失 | c.381-?_412+?del | エクソン5の欠失 | 1 | |
欠失 | c.936-?_1129+?del | エクソン10-11の欠失 | 1 | |
欠失 | c.1222-?_3038+?del | エクソン13-23の欠失 | 1 | |
欠失 | c.2261-?_2387+?del | エクソン17の欠失 | 1 | |
欠失 | c.518-?_935+?del | エクソン7-9とイントロン9の14bpの二重欠失 | 1 | |
OFD1遺伝子全体を跨ぐ欠失 | 大欠失 | 1 | ||
OFD1遺伝子全体を跨ぐ欠失 | 大欠失 | 1 |
参照配列は、OFD1(Entrezヌクレオチド登録番号NM_003611)のコーディング配列の翻訳開始点ATGのAを1つのヌクレオチドとみなしたものとなっている。
著者:Toriello HV, Franco B, Bruel A-L, Thauvin-Robinet C
更新:2016年8月
注:上記の表は、著者らの作成したものをそのまま載せたもので、GeneReviewsのスタッフによる確認は行っていない。
正常遺伝子産物
口-顔-指症候群Ⅰ型タンパク質は、選択的スプライシングにより、OFD1-1(Cxorf5-1)、OFD1-2(Cxorf5-2)という2種の形態が生じる。
OFD1-1は1,012個のアミノ酸から成るタンパク質(参照配列NP_003602.1)で、OFD1-2は367個のアミノ酸から成るタンパク質である。
この2つのタンパク質は最初の351個のアミノ酸が共通しており、OFD1-2はその後、C末端領域に16個のアミノ酸が付加する。
De Conciliisら[1998]は、OFD1について、成人組織においては、調べた範囲のすべての組織で発現していたと述べている。
ただ、発生初期においては、発現は専ら生殖器組織でのみ発現し、その後ほどなくして頭蓋顔面構造や神経系でも発現するようになったという[Ferranteら2001]。
このタンパク質の機能については、今もってよくわかっていないものの、発生の初期段階からOfd1転写産物をユビキタスに不活化したマウスモデルの特性評価を行った結果では、Ofd1が、一次繊毛を形成したり、左右非対称性を決定づけたりする上で必要であることが実証されている[Ferranteら2006]。
In vitroの研究で、Ofd1が中心小体の長さや遠位構造を制御する働きをしていることが明らかになっている[Singlaら2010]。
異常遺伝子産物
病的バリアントの大多数は、タンパク質の未成熟トランケーション、ならびに機能喪失とみられる変化を予測させるものである。