[Synonyms:下顎顔面異骨症, Treacher Collins-Franceschetti症候群]
Gene Reviews著者: Mafalda Barbosa, MD, PhD, FACMG,Ethylin Wang Jabs, MD,andSara Huston, MS.
日本語訳者:佐藤康守(たい矯正歯科)、櫻井晃洋(札幌医科大学医学部遺伝医学)
GeneReviews最終更新日: 2024.6.20 日本語訳最終更新日: 2024.8.16
疾患の特徴
Treacher Collins症候群(TCS)は、対称性の頰骨弓・上顎骨・下顎骨の低形成に起因して生じる下眼瞼の異常、頰骨隆起低形成、眼瞼裂斜下、小下顎症/下顎後退を特徴とする。外耳奇形として、無耳症、小耳症、外耳形態異常、後方に傾いた耳介、外耳道の閉鎖/狭窄などがみられる。罹患者のおおむね40%-50%は伝音性難聴を示し、その最大の原因は、耳小骨の奇形、ならびに中耳腔の低形成である。内耳構造は正常であることが多い。乳児期に重大な呼吸障害や摂食障害がみられることもある。これらより低頻度のその他の異常としては、口蓋裂、片側性ないし両側性の後鼻孔狭窄ないし後鼻孔閉鎖がある。通常、知能は正常である。
診断・検査
女性発端者におけるOFD1の診断は、これを示唆する所見がみられることに加え、分子遺伝学的検査でOFD1のヘテロ接合性病的バリアントが同定されることで確定する。男性発端者におけるOFD1の診断は、これを示唆する所見がみられることに加え、分子遺伝学的検査でOFD1のヘミ接合性病的バリアントが同定されることで確定する。
臨床的マネジメント
症状に対する治療:
治療については、罹患者個々の有する必要性に応じた形で、できれば頭蓋顔面分野の多職種共同医療チームの手で行われることが望ましい。気道に問題をもつ新生児については、換気を楽にするため、分娩時の気道管理、特別な位置づけ、気管切開が必要になることがある。場合によっては十分なカロリー摂取を確保する目的で経管栄養が必要になることもある。口蓋裂手術(必要な場合のみ)は、おおむね1歳で行われる。難聴については、骨導増幅、言語治療、教育的介入といった対応が行われる。眼の問題については、眼科医による管理が行われる。心奇形、消化器奇形、腎奇形、四肢奇形については、標準治療を行う。頭蓋顔面再建術がしばしば必要となる。頰骨・眼窩の再建はおおむね5歳から7歳、両側の小耳症や外耳道狭窄の再建は6歳以降に行われる。下眼瞼のコロボーマについては、ボツリヌス毒素を使用した後に手術を行う。眼瞼裂斜下については、必要に応じ眼瞼再建術が行われる。
歯列不整に対しては、矯正歯科治療を行う。上下顎骨の再建術の実施時期は、重症度によって変わってくるが、そうした顎矯正術はふつう16歳以前に行われる。
定期的追跡評価 :
眼科的、耳科的評価を年に1度;睡眠時無呼吸の症候、成長、カロリー摂取に関する評価を来院ごと;歯の診査を6ヵ月ごとと矯正歯科的診査を必要に応じて;言語発達と教育の進行状況の評価を年に1度あるいは必要に応じて行う。
遺伝カウンセリング
TCSは、常染色体顕性あるいは常染色体潜性の遺伝形式をとる。常染色体顕性遺伝のTCSが大多数を占め、そのうち最も多くみられるのがTCOF1のヘテロ接合性病的バリアントで、POLR1B、POLR1Dのヘテロ接合性病的バリアントはこれより少ない。常染色体潜性遺伝(POLR1CあるいはPOLR1Dの両アレル性病的バリアント)に起因するTCSは少数である。家系内における臨床症候の現れ方には、大きなばらつきがみられることが多い。
常染色体顕性遺伝型TCS:常染色体顕性遺伝のTCS罹患者の約55%-61%は、de novoの病的バリアントに起因する例である。常染色体顕性遺伝型TCS罹患者の子がその病的バリアントを継承する可能性は50%である。
常染色体潜性遺伝型TCS:常染色体潜性遺伝型TCSを有する子の両親は、ともに、POLR1CもしくはPOLR1Dの病的バリアントのヘテロ接合体であると目される。両親とも、TCSを引き起こす病的バリアントのヘテロ接合体であることが判明している場合、常染色体潜性TCS罹患者の同胞は、受胎の段階で同じく罹患者である可能性が25%、無症状の保因者である可能性が50%、罹患者でも保因者でもない可能性が25%である。リスクを有する血族に対して保因者検査を行うためには、家系内に存在するTCS関連の病的バリアントを事前に同定しておくことが必要である。
罹患家系内に存在するTCS関連の病的バリアントが特定されている場合は、出生前検査や着床前遺伝学的検査が可能である。
Treacher Collins症候群(TCS)については、今のところ合意が得られた臨床診断基準として公表されたものは存在しない。
本疾患を示唆する所見
のような頭蓋顔面所見、難聴、X線写真所見を有する患者については、Treacher Collins症候群(TCS)を疑う必要がある。
伝音性難聴
伝音性難聴の原因は、主として耳小骨の癒着・低形成・欠損、ならびに中耳腔の低形成にある。内耳構造にはふつう異常はみられない。
X線写真所見
診断の確定
臨床診断
発端者におけるTCSの臨床診断は、眼瞼裂斜下、頰骨複合体と下顎骨の低形成、伝音性難聴をはじめとする特徴的な顔面と下顎の両側性対称性の構造異常がみられることをもって確定可能である。四肢の奇形、小頭症、知的障害等の臨床症候はTCS罹患者では稀であるため、これらがみられる場合は、他の疾患の可能性を検討する必要がある(「鑑別診断」の項を参照)。
分子診断
発端者におけるTCSの分子診断は、これを示唆する所見の存在に加え、分子遺伝学的検査にて次のいずれかが確認されることをもって確定する(表1参照)。
注:(1)アメリカ臨床遺伝ゲノム学会(ACMG)/分子病理学会(AMP)のバリアントの解釈に関するガイドラインによると、「pathogenic」のバリアントと「likely pathogenic」のバリアントとは臨床の場では同義であり、ともに診断に供しうるものであると同時に、臨床的な意思決定に使用しうるものとされている[Richardsら2015]。本セクションで「病的バリアント」と言うとき、それは、あらゆるlikely pathogenicのバリアントまでを包含するものと理解されたい。
(2)意義不明バリアントが同定された場合、それは、本疾患の診断を確定するものでも否定するものでもない。
分子遺伝学的検査のアプローチとしては、遺伝子標的型検査(直列型の単一遺伝子検査,マルチ遺伝子パネル検査)と網羅的ゲノム検査(染色体マイクロアレイ解析、エクソームシーケンシング、ゲノムシーケンシング)を組み合わせるやり方が考えられる。遺伝子標的型検査の場合は、臨床医の側で関与が疑われる遺伝子の目星をつけておく必要がある(「方法1」参照)が、網羅的ゲノム検査の場合、その必要はない(「方法2」参照)。
方法1
最初に、TCOF1について、ミスセンスバリアント、ナンセンスバリアント、スプライス部位バリアント、遺伝子内の小欠失/挿入を調べる配列解析を行うことが考えられる。
そこでTCOF1に病的バリアントが見つからなかった場合は、次いでPOLR1B、POLR1C、POLR1Dの配列解析を行う。
注:用いる配列解析の手法によっては、単一エクソン、複数エクソン、遺伝子全体といった単位の欠失/重複を検出できない場合がある。
したがって、最初に用いた配列解析の手法でバリアントが検出されなかったとき、その次に行うべきものは、エクソン単位あるいは遺伝子全体の欠失や重複を検出することを目的としてTCOF1とPOLR1Dについて行う遺伝子標的型欠失/重複解析である。
現況の表現型と直接関係のない遺伝子の意義不明バリアントや病的バリアントの検出を抑えつつ、疾患の遺伝学的原因の特定に最もつながりやすいのは、TCOF1、POLR1B、POLR1C、POLR1Dその他の注目遺伝子(「鑑別診断」の項を参照)を含むマルチ遺伝子パネル検査であるように思われる。
注:(1)パネルに含められる遺伝子の内容、ならびに個々の遺伝子について行う検査の診断上の感度については、検査機関によってばらつきがみられ、また、経時的に変更されていく可能性がある。
(2)マルチ遺伝子パネルによっては、今このGeneReviewで取り上げている状況と無関係な遺伝子が含まれることがある。
(3)検査機関によっては、パネルの内容が、その機関の定めた定型のパネルであったり、表現型ごとに定めたものの中で臨床医の指定した遺伝子を含む定型のエクソーム解析であったりすることがある。
(4)ある1つのパネルに対して適用される手法には、配列解析、欠失/重複解析、ないしその他の非配列ベースの検査などがある。
マルチ遺伝子パネル検査の基礎的情報についてはここをクリック。遺伝学的検査をオーダーする臨床医に対する、より詳細な情報についてはここをクリック。
方法2
染色体マイクロアレイ解析は、オリゴヌクレオチドあるいはSNPのアレイを用いて、配列解析では検出できないような大欠失/重複(TCOF1ならびにこれに隣接する遺伝子群を含む)をゲノムワイドに調べるものである。TCSの臨床症候を呈し、かつ知的障害を有するような例については、このCMAが視野に入る。
網羅的ゲノム検査の場合は、関与が疑われる遺伝子の目星を臨床医の側でつけておく必要はない。エクソームシーケンシングが最も広く用いられるが、ゲノムシーケンシングを用いることも可能である。現在までに報告されているTCOF1、POLR1B、POLR1C、POLR1Dの病的バリアントは、その大多数がコーディング領域内に生じたもので、エクソームシーケンシングでの同定が可能と考えられるものである。
網羅的ゲノム検査の基礎的情報についてはここをクリック。ゲノム検査をオーダーする臨床医に対する、より詳細な情報についてはここをクリック。
表:Treacher Collins症候群で用いられる分子遺伝学的検査
遺伝子1,2 | その遺伝子の病的バリアントがTCSに占める割合 | 遺伝形式 | その方法で病的バリアント3が検出される割合 | ||
---|---|---|---|---|---|
配列解析4 | 遺伝子標的型欠失/重複解析5 | 染色体マイクロアレイ6 | |||
POLR1B | 約1%-2%7,8 | AD | 100% | 報告例なし | |
POLR1C | 約1%7,8 | AR | 100% | 報告例なし | |
POLR1D | 6%-8%7,8 | AD AR9 |
約90%7 | 約10%7 | CMAで大欠失が同定された例なし7 |
TCOF1 | 約60%-90%7,8 | AD | 97%超7 | 2%-3%10 | 1%未満10 |
不明 | 3%11 | 対象外 |
AD=常染色体顕性;AR=常染色体潜性;CMA=染色体マイクロアレイ;TCS=Treacher Collins症候群
臨床像
Treacher Collins症候群(TCS)は、両側性対称性の眼瞼裂斜下、頰骨隆起低形成、小下顎症/下顎後退症などを特徴とする。頰骨や上下顎骨の低形成により、重大な呼吸障害・摂食障害が生じることがある。耳の異常としては、伝音性難聴がある。それらより少ないその他の異常としては、口蓋裂や、片側性あるいは両側性の後鼻孔の狭窄ないし閉鎖がある。
TCSには、顕著な家系間、家系内のばらつきがみられることが多い。罹患者の中には、非常に軽微な症状しかもたないため診断されないままになってしまうような例がある一方で、重度の顔面症状があり、生命に関わるような気道の問題を伴うような例がみられることもある[Trainor & Andrews 2013]。現在までに、表1に挙げた遺伝子の1つに病的バリアントが同定されている例は、5,000人を上回る数に上る。以下に述べるTCSの臨床的特徴は、こうした報告に基づくものである。
表2:Treacher Collins症候群:代表的症候の出現頻度
典型所見 | 出現頻度 |
---|---|
眼瞼裂斜下 頰骨隆起低形成/頰骨低形成 伝音性難聴 小下顎症/下顎後退症を伴う下顎骨低形成 |
きわめて高頻度(75%超) |
外耳道閉鎖 小耳症 下眼瞼コロボーマ(切痕形成) スピーチの発達遅延 歯の異常 耳前部毛髪線延長 |
高頻度(30%-75%) |
口蓋裂 後鼻孔狭窄/閉鎖 心奇形 |
低頻度(10%-30%) |
脊椎奇形 腎奇形 小頭症 知的障害/運動発達遅延 四肢奇形 |
稀(10%未満) |
Splendoreら[2000],Teberら[2004],Vincentら[2016]
眼の異常
TCS罹患者194人について、眼とその付属器の奇形の発生頻度に関する評価が行われている[Rooijersら2022]。一次性の眼の奇形がほぼ全例で報告されており、その主たるものは、眼瞼裂斜下(93.8%)、下眼瞼のコロボーマ(69.6%)、下眼瞼の睫毛欠損(時に部分性)(42.8%)であった。二次性の眼の奇形として最も多くみられたのは、流涙症(24.2%、)兎眼角膜症(14.4%)であった。斜視が27.3%に、屈折異常が49.5%にみられたと報告されている[Rooijersら2022]。
耳の奇形と聴覚
外耳奇形として、無耳症、小耳症、形態異常、後方に傾いた耳が多くみられる。外耳道の閉鎖ないし狭窄をもつ例について言うと、外耳道の異常の有無やその重症度と、中耳奇形の有無とその重症度との間には、強い相関がみられた[Marszalek-Krutら2021]。内耳構造はふつう正常である。伝音性難聴は、通常、耳小骨や中耳腔の低形成や欠損等の中耳奇形に起因するものである。
気道/呼吸器の問題
後鼻孔閉鎖/狭窄や、舌沈下を伴う重度の小下顎症により、分娩時に気道閉塞をきたす例がみられる[Trainor & Andrews 2013]。そうした出生時に重篤な気道閉塞をきたすリスクを有する胎児に関しては、出生前超音波検査により、小下顎症と胎児の嚥下異常の状況を評価することで事前の把握が可能である[Wangら2023]。TCSをもつ新生児の死亡原因は、通常、気道奇形の結果、睡眠時無呼吸が生じることにある。重症のTCSをもつ新生児の気道管理には、胎児に対して、分娩中に経口挿管や気管切開を行うことを目的としたEXIT(ex utero intrapartum treatment)法の施行が容易になるような特別な位置づけが行われる。適切な気道管理さえ行われれば、一般集団と大差ない寿命が得られる。
摂食
小下顎症と下顎後退症があることで、顎関節や顎の筋肉にさまざまな影響が及ぶ可能性があると同時に、口蓋裂(通常は、Pierre Robin sequenceのメカニズムで生じるU字形の口蓋裂)が生じる場合もある。こうした問題がある場合は、咀嚼・嚥下の問題をはじめとする摂食の問題に関係してくることになる。
歯の異常
TCS罹患者の60%に歯の異常が報告されている。具体的には、無歯症(33.3%)、エナメル斑(20%)、上顎第一大臼歯の異所萌出(13.3%)などがある[da Silva Dalbenら2006]。これまでに、Angle ClassⅡ開咬の報告がみられる。
その他の頭蓋顔面症候
耳前部の毛髪が頰骨の横にまで延びる耳前部毛髪線の延長が多くみられる。頭蓋骨早期癒合症はTCSの1症候ではないものの、それでも頭蓋骨の形状に異常がみられることがある(側頭骨間距離の狭小化を伴う短頭)[Marszalek-Krukら2021]。TCS罹患者でみられるこれより低頻度の頭蓋顔面症候には、眼間開離、鼻の変形、高口蓋、巨口症などがある[Marszalek-Krukら2021]。
心症候
TCOF1関連TCS罹患者とPOLR1D関連TCS罹患者に心症候の報告がみられる。これまでに報告されている先天性心疾患は、心房中隔欠損、心室中隔欠損、動脈管開存、卵円孔開存で、肥大型心筋症についても、稀ではあるが報告例がある[Vincentら2016,Beaumontら2021]。
消化器症候
幽門狭窄や食道閉鎖をはじめとする上部消化管機能異常の報告もみられる[Beaumontら2021]。下部消化管の異常としては、神経支配の異常(外科的直腸生検で組織学的に確認済の有神経節性筋層間神経叢肥大)を伴う慢性偽性腸閉塞がある[Giabicaniら2017]。
筋骨格症候
脊椎の異常が罹患者の約10%にみられる。脊柱側彎が最も多くみられるが、潜在性二分脊椎の報告もみられる。他の筋骨格症候には、漏斗胸や鳩胸、扁平足などがある[Beaumontら2021]。先天性の四肢奇形も、稀ながら報告されている。具体的には、合趾、母指欠損や母指低形成、手根骨の癒合などである[Beaumontら2021]。
腎奇形
先天性両側性水腎症や重複集尿系などの腎奇形も、稀ではあるが報告されている。左側無機能腎の報告が1例みられる[Beaumontら2021]。
発達
知的障害と運動発達遅滞の報告[Vincentら2014,Marszalek-Krukら2021]がみられはするものの、通常、知能は正常である。
遺伝子ごとにみた表現型の現れ方
データはそれほど多くないものの、TCOF1関連TCS罹患者は、POLR1B・POLR1C・POLR1D関連TCS罹患者に比べ、臨床症候が重症である可能性がある[Ulhaqら2023]。外耳道閉鎖、眼瞼裂斜下、下眼瞼コロボーマは、TCOF1関連TCS罹患者でより多くみられる[Ulhaqら2023]。
遺伝型-表現型相関
TCOF1
浸透率
TCS関連病的バリアントの浸透率は概して高いものの、TCOF1[Dixonら2004,Vincentら2016]とPOLR1D[Dauwerseら2011,Vincentら2016]については、不完全浸透の報告もみられる。
疾患名について
常染色体顕性遺伝のTCSについては、Fransceschetti-Zwahlen-Klein症候群、頰骨耳下顎異形成症(zygoauromandibular dysplasia)という呼び方もなされる。
2023年改訂の骨系統疾患国際分類[Ungerら2023]で、Treacher Collins症候群は、頭蓋顔面異骨症グループに分類され、以下のような形で遺伝子特異的命名がなされている。
頻度
TCSの発生頻度は、80,000人に1人と推定されている[Reid & Carroll 2021]。
TCOF1、POLR1B、POLR1Dの病的バリアントに関連するものとしては、本GeneReviewで述べたもの以外の表現型は知られていない。
POLR1C
POLR1Cの両アレル性病的バリアントにより、大脳白質形成不全症が生じることが知られている(「POLR3関連白質ジストロフィー(POLR3-Related Leukodystrophy)」のGeneReviewを参照)。Treacher Collins症候群(TCS)の3例で、POLR1Cの5種の病的バリアントが同定されている[Dauwerseら2011]。POLR1C関連TCS罹患者については、脱髄はみられない。
表3a:Treacher Collins症候群との鑑別診断に関係する遺伝子
遺伝子 | 疾患名 | 遺伝形式 | その疾患で現れる症候 | |
---|---|---|---|---|
TCSと重なる症候 | TCSと異なる症候 | |||
DHODH | 軸後性先端顔面異骨症,DHODH関連(Miller症候群)(OMIM 263750) | AR |
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EDN1 GNAI3 HDAC9 PLCB4 |
耳介下顎骨症候群(OMIM PS602483) | AD AR |
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|
EDNRA | 脱毛症を伴う下顎顔面異骨症,ENDRA関連(OMIM 616367) | AD |
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EFTUD2 | 小頭症を伴う下顎顔面異骨症,EFTUD2関連(Guion-Almeida型) | AD |
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FOXI3 1 SF3B2 2 |
Hemifacial microsomia(Goldenhar症候群,眼-耳-脊椎スペクトラム)(OMIM PS164210) | AD AR |
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POLR1A 3 | 四肢欠損を伴う下顎顔面異骨症,POLR1A関連(Cincinnati型)(OMIM 614462) | AD |
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RPS28 TSR2 |
下顎顔面異骨症を伴うDiamond-Blackfan貧血 | AD XL |
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大球性貧血 |
SF3B4 | 先端顔面異骨症,SF3B4関連(Nager症候群)(OMIM 154400) | AD |
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AD=常染色体顕性;AR=常染色体潜性;TCS=Treacher Collins症候群;XL=X連鎖性
表3b:下顎顔面異骨症を伴い、Treacher Collins症候群との鑑別診断が必要ではあるが、遺伝学的背景が未解明の疾患
疾患名 | その疾患でみられるTCSと異なる症候 |
---|---|
Toriello-Carey症候群(OMIM 217980) |
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鰓弓症候群(OMIM 301950) |
|
Banru症候群(OMIM 604830) |
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Hedera-Toriello-Petty症候群(OMIM 608257) | 眼瞼下垂 |
Pierre Robin sequence(OMIM 261800)1 | 口蓋裂を伴う小下顎症、舌沈下、気道閉塞 これは治療なしでも成長とともに自然改善することがある2 |
非症候群性下顎骨低形成 |
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TCS=Treacher Collins症候群
ただ、これらの例については、分子診断での確認はなされていない。
今のところ、Treacher Collins症候群(TCS)の臨床的管理に関するガイドラインとして公表されたものはない。そうしたガイドラインがない中での以下に述べる推奨は、これまで本疾患の管理に携わってきた著者らの個人的経験に基づくものである。
最初の診断に続いて行う評価
Treacher Collins症候群と診断された罹患者については、疾患の範囲やニーズを把握するため、診断に至る過程ですでに実施済でなければ、表4にまとめた評価を行うことが推奨される。
表4:Treacher Collins症候群:最初の診断に続いて行うことが推奨される評価
系/懸念事項 | 評価 | コメント |
---|---|---|
眼 | 外眼筋の活動、角膜の露出、視力の状態に留意しつつ行う眼科的評価 | |
聴覚 | 正式な聴覚評価(「遺伝性難聴概説」のGeneReviewを参照) | 生後6ヵ月までに伝音性難聴が確認された例については、頭頸部、ならびに外耳道・中耳・内耳の解剖学的状態を把握するための頭蓋顔面のCTスキャン(体軸断と前額断) |
呼吸器 | 口腔咽頭の閉塞につながる後鼻孔閉鎖/狭窄,小下顎症,舌沈下の評価 | 閉塞性睡眠時無呼吸が疑われる場合は、睡眠検査を検討 |
摂食/栄養 | 口蓋裂と嚥下機能に関する評価 | |
歯 | 歯の異常に関する評価 | 歯が萌出した段階で行う |
心臓 | 心エコーを含む心評価 | 心臓の構造異常の評価を目的として行う |
消化器 | 摂食の問題が長引く例については、幽門狭窄,食道異常,偽性腸閉塞の評価を検討 | |
筋骨格 | 必要に応じX線写真を用いて行う脊椎奇形と四肢奇形に関する臨床的評価 | |
腎臓 | 腎超音波検査 | 腎の構造異常の評価を目的として行う |
遺伝カウンセリング | 遺伝の専門医療職1の手で行う | 医学的、個人的な意思決定の用に資するべく、本人や家族に対し、TCSの本質、遺伝形式、そのもつ意味についての情報提供を行う |
家族への支援/情報資源 | 臨床医,より広い範囲のケアチーム,家族支援組織の手で行う | 以下の必要性を把握する目的で、家族や社会の構造に関する評価を行う
|
TCS=Treacher Collins症候群
症候に対する治療
治療は、罹患者個人個人の必要に合わせた形で進める必要があり、臨床遺伝医、形成外科医、頭頸部外科医、耳鼻咽喉科医、口腔外科医、矯正歯科医、聴覚士、言語治療士、心理士などから成る多職種共同の頭蓋顔面医療チームによって行われるのが望ましい。
管理上の主要な課題については、3つの年齢層に分け、重症度ごとに類別して行われる[Thompsonら2009,Trainor & Andrews 2013]。
出生から2歳まで
気道
出生前の段階でTCSが疑われた場合は、より詳しい(レベルⅡの)胎児超音波診査を行うとともに、高リスク患者を扱う産科医や新生児科医へのコンサルテーションを検討する。
分娩チームは、生命を脅かすような気道障害が生じる可能性について常に頭に入れておく必要がある[Trainor & Andrews 2013]。新生児期の気道管理法としては、ふつう、帝王切開により胎児の頭と頸を一部だけ娩出させ、分娩中の経口挿管や気管切開に備えるEXIT(ex utero intrapartum treatment)法と呼ばれる特別な位置づけにする。適切な管理を行えば、一般集団とそれほど変わらない寿命が期待できる。
必要であれば、気道確保のための外科処置が標準的に行われる。主なものとしては、呼吸機能を改善するための外科処置、鼻孔の開放を行う外科処置、下顎の前方牽引を行う外科処置がある。手術に際しては、直達喉頭鏡検査以外の挿管手技が必要になることがある[Leiら2023]。
摂食/栄養
気道を確保しつつ、適切なカロリーを確実に摂取させる目的で、経鼻胃管や胃瘻による摂食などの栄養・摂食支援について必要に応じて評価する[Trainor & Andrews 2013]。
口蓋裂
口蓋形成術は、1歳から2歳の間に施行することが推奨される[Kobus & Wojcicki 2006]。
聴覚
難聴の治療としては、骨伝導音声増幅器の使用、言語治療、教育的介入が行われる。耳の奇形を有する例については、埋め込み型骨導補聴器(BAHA)が選択肢の1つとなる[Trainor & Andrews 2013]。
眼/視覚
担当の眼科医が、眼瞼コロボーマ、涙量減少、視力障害の管理を行う。兎眼角膜炎がある場合は、医学的対応を行う。
心奇形,消化器奇形,腎奇形,四肢奇形
これらについては標準的手法で管理が行われる。
3歳から12歳まで
頭蓋顔面再建術
頭蓋顔面再建術がしばしば必要となる[Marszalek-Krukら2021]。一般に、軟組織の修正に先立って骨の再建が行われる。再建術を行うことで、顔の非対称の進行を予防できる可能性がある。
教育支援
難聴を有する例に対しては、必要に応じ、言語治療や教育的介入を行う。
13歳から18歳まで
顎矯正治療
通常、顎矯正治療は16歳以前に行う必要がある。上下顎の再建術は、次のような形にすることが推奨される。
鼻の再建
鼻の再建が必要な場合は、顎矯正手術の後でこれを行う。
定期的追跡評価
現に存在する症候、支持療法に対する反応様相、新たな症候の出現のモニタリングを目的として、表5にまとめた評価が推奨される。
表5:Treacher Collins症候群罹患者に推奨される定期的追跡評価
系/懸念事項 | 評価 | 実施頻度 |
---|---|---|
眼 | 眼科的評価 | 年に1度、あるいは必要に応じて |
聴覚 | 聴覚評価 | |
気道 | 睡眠時無呼吸の症候に関する評価 | 来院ごと |
摂食/栄養 | 成長とカロリー摂取の評価 | |
歯 | 歯の診査 | 6ヵ月に1度 |
矯正歯科的診査 | 必要に応じて | |
筋骨格症候 | 脊柱側彎と扁平足に関する臨床的評価 | 年に1度 |
発達 | 言語発達と教育の進行状況の評価 | 年に1度、あるいは必要に応じて |
リスクを有する血縁者の評価
リスクを有する血族に対して行う遺伝カウンセリングを目的とした検査関連の事項については、「遺伝カウンセリング」の項を参照されたい。
研究段階の治療
さまざまな疾患・状況に対して進行中の臨床試験に関する情報については、アメリカの「ClinicalTrials.gov」、ならびにヨーロッパの「EU Clinical Trials Register」を参照されたい。
「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」
遺伝形式
Treacher Collins症候群(TCS)の遺伝形式には、常染色体顕性遺伝と常染色体潜性遺伝がある。
常染色体顕性遺伝-家族構成員のリスク
発端者の両親
X線写真診査を行うことで、軽度の頰骨弓低形成が明らかになることがあり、時には頰骨弓無形成が見つかることさえある[Marres 2002]。
母親や父親が体細胞・生殖細胞系列両方のモザイクであったという例がこれまで実際に報告されている[Shooら2004,Vincentら2016,Sanchezら2020]。
注:両親の白血球DNAを調べても、必ずしも体細胞モザイクのすべての例を検出できるわけではなく、生殖細胞系列(性腺)単独のモザイクの場合は、一切これを検出することができない。
* 病的バリアントの最初の発生が実は片親のほうであったという場合、その片親は、バリアントの体細胞モザイクであったために、非罹患者であった、あるいは軽度/軽微な罹患にとどまったということが考えられる[Shooら2004,Sanchezら2020]。
発端者の同胞
発端者の同胞に対するリスクは、発端者の両親の臨床的/遺伝学的状況によって変わってくる。
発端者の子
常染色体顕性遺伝型TCS罹患者の子が、その病的バリアントを継承する可能性は50%である。ただ、TCS関連病的バリアントを継承した児に現れる奇形の種類とその重症度については、予測することができない。
他の家族構成員
他の血族の有するリスクは、発端者の両親の有する臨床的/遺伝学的状態によって変わってくる。仮に片親が罹患者であった、あるいはTCS関連病的バリアントを保有していれば、その片親の血族もリスクを有することになる。
常染色体顕性遺伝-家族構成員のリスク
発端者の両親
発端者が病的バリアントのホモ接合体である(すなわち、同一の病的バリアントを2つ有する)ように見える場合は、次のような可能性も出てくる。
発端者の同胞
発端者の子
常染色体潜性遺伝型TCS患者の子は、POLR1CあるいはPOLR1Dの病的バリアントの絶対ヘテロ接合者(絶対保因者)となる。
他の血族
発端者の両親の同胞は、常染色体潜性遺伝型TCS関連病的バリアントの保因者であることに関し、50%のリスクを有することになる。
保因者の同定
リスクを有する血族に対して保因者検査を行うにあたっては、その家系内にある常染色体潜性遺伝型TCS関連の複数の病的バリアントを事前に同定しておくことが必要である。
関連する遺伝カウンセリング上の諸事項
家族計画
DNAバンキング
検査の手法であるとか、遺伝子・病原のメカニズム・疾患等に対するわれわれの理解が、将来はより進歩していくことが予想される。そのため、分子診断の確定していない(すなわち、背景にある病原のメカニズムが未解明の)発端者については、DNAの保存を検討すべきである。詳しくは、Huangら[2022]を参照されたい。
出生前検査ならびに着床前遺伝学的検査
分子遺伝学的検査
家系内に存在するTCS関連病的バリアントが特定されている場合は、出生前検査や着床前遺伝学的検査を行うことが可能である。
注:(1)出生前検査でTCS関連病的バリアントの存在が検出された場合でも、奇形の内容やその重症度については、予測することができない。
(2)胎児が、浸透率の低い病的バリアント(特に、高頻度にみられるTCOF1 のc4369_4373delAAGAAの病的バリアント)を有している可能性について、頭に入れておく必要がある(「浸透率」の項を参照)。
超音波検査
TCSのリスクがわかっている妊娠については、羊水過多、小頭症、胎児の異常顔貌(小下顎症)、胎児の嚥下異常等の問題を検出することを目的として、超音波を用いた出生前診断が可能である[Wangら2023]。ただ、異常の程度が軽い胎児については、診断上の症候が見過ごされてしまう可能性がある。三次元画像診断が出生前鑑別診断の助けになることがある[Pereiraら2013]。
出生前検査の利用に関しては、医療者間でも、また家族内でも、さまざまな見方がある。現在、多くの医療機関では、出生前検査を個人の決断に委ねられるべきものと考えているようであるが、こうした問題に関しては、もう少し議論を深める必要があろう。
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Treacher Collins syndrome
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Treacher Collins syndrome
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Treacher Collins syndrome
このサイトは、国立難聴等コミュニケーション障害研究所の支援の下に開設され、新生児の聴覚スクリーニングや難聴に関する情報を提供している。
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分子遺伝学
分子遺伝学とOMIMの表の情報はGeneReviewsの他の場所の情報とは異なるかもしれない。表は、より最新の情報を含むことがある。
表A:Treacher Collins症候群:遺伝子とデータベース
遺伝子 | 染色体上の座位 | タンパク質 | sLocus-Specific Databases | HGMD | ClinVar |
---|---|---|---|---|---|
POLR1B | 2q14.1 | DNA依存性RNAポリメラーゼⅠサブユニットRPA2 | POLR1B @ LOVD | POLR1B | POLR1B |
POLR1C | 6p21.1 | DNA依存性RNAポリメラーゼⅠならびにⅢサブユニットRPAC1 | POLR1C @ LOVD | POLR1C | POLR1C |
POLR1D | 13q12.2 | DNA依存性RNAポリメラーゼⅠならびにⅢサブユニットRPAC2 | POLR1D @ LOVD | POLR1D | POLR1D |
TCOF1 | 5q32-q33.1 | reacleタンパク質 | TCOF1 database | TCOF1 | TCOF1 |
データは、以下の標準資料から作成したものである。遺伝子についてはHGNCから、染色体上の座位についてはOMIMから、タンパク質についてはUniProtから。リンクが張られているデータベース(Locus-Specific,HGMD,ClinVar)の説明についてはこちらをクリック。
表B:Treacher Collins症候群関連のOMIMエントリー(内容の閲覧はOMIMへ)
154500 | TREACHER COLLINS SYNDROME 1; TCS1 |
248390 | TREACHER COLLINS SYNDROME 3; TCS3 |
602000 | POLYMERASE I, RNA, SUBUNIT B; POLR1B |
606847 | TREACLE RIBOSOME BIOGENESIS FACTOR 1; TCOF1 |
610060 | POLYMERASE I, RNA, SUBUNIT C; POLR1C |
613715 | POLYMERASE I, RNA, SUBUNIT D; POLR1D |
613717 | TREACHER COLLINS SYNDROME 2; TCS2 |
618939 | TREACHER COLLINS SYNDROME 4; TCS4 |
分子レベルの病原
頭蓋顔面複合体を構成する軟骨・骨は、主として神経堤細胞由来である[Trainor & Andrews 2013]。したがって、TCSの症候は、胚発生の時期における神経堤細胞の発達障害で説明しうる可能性がある。こうした発達障害については、細胞の発生を活性化する遺伝学的経路に作用する病的バリアントにその原因がある可能性がある。
TCOF1、POLR1B、POLR1C、POLR1Dはすべて、神経堤細胞内で発現し、それらの遺伝子産物(treacleタンパク質;RNAポリメラーゼⅠサブユニット2;RNAポリメラーゼⅠとⅢのサブユニットAC1;POLR1Dタンパク質アイソフォーム2)は核小体内に共局在して、リボソーム生合成に関与する。仮説として、これら3つの鍵となるタンパク質に生じるバリアントが、p53の司る神経上皮細胞のアポトーシスを誘発することによって細胞分裂を阻害しているのであろうとの考え方がある[Gonzalezら2005]。RNAポリメラーゼⅠやⅢに影響を及ぼすバリアントは、結果としてrRNAやtRNAの欠乏を引き起こし[Dauwerseら2011]、これにより、結果的に胚発生期の神経上皮細胞や神経堤細胞内の成熟リボソームの数の不足を招いている可能性がある[Dixonら2000,Dauwerseら2011]。
疾患の発症メカニズム
機能喪失型である。
遺伝子特異的な検査技術上の考慮事項
POLR1Dの病的バリアントのうち、常染色体潜性遺伝を示し、かつ、ヘテロ接合体の人に一切の臨床所見がみられないのは、現在のところ、c.163C>G(p.Leu55Val)1つのみである[Schaeferら2014,Vincentら2016]。
表6:本GeneReviewで取り上げた遺伝子別の病的バリアント
遺伝子1 | 参照配列 | DNAヌクレオチドの変化 | 予測されるタンパク質の変化 | コメント |
---|---|---|---|---|
POLR1D | NM_015972.4 NP_057056.1 |
c.163C>G | p.Leu55Val | 常染色体潜性遺伝関連のバリアント |
TCOF1 | NM_001135243.2 NP_001128715.1 |
c.4369_4373delAAGAA | p.Lys1457GlufsTer12 | 「遺伝型-表現型相関」の項を参照 |
上記のバリアントは報告者の記載をそのまま載せたもので、GeneReviewsのスタッフが独自にバリアントの分類を検証したものではない。GeneReviewsは、Human Genome Variation Society(varnomen.hgvs.org)の標準命名規則に準拠している。命名規則の説明については、Quick Referenceを参照のこと。