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トランスサイレチンアミロイドーシス
(Transthyretin Amyloidosis)

[Includes: Familial Amyloid Cardiomyopathy, Familial Amyloid Polyneuropathy Type I (Portuguese-Swedish-Japanese Type), Familial Amyloid Polyneuropathy Type II (Indiana/Swiss or Maryland/German Type), Leptomeningeal Amyloidosis, Familial Oculoleptomeningeal Amyloidosis (FOLMA)]

Gene Review著者: Yoshiki Sekijima, MD, PhD, Kunihiro Yoshida, MD, PhD, Takahiko Tokuda, MD, PhD, Shu-Ichi Ikeda, MD, PhD
日本語訳者: 関島良樹(信州大学医学部附属病院遺伝子診療)
Gene Review 最終更新日: 2006.3.15. 日本語訳最終更新日: 2006.6.1.

原文 Transthyretin Amyloidosis


要約

疾患の特徴 

トランスサイレチン (TTR) アミロイドーシスの特徴的な臨床症状は,緩徐進行性の感覚運動性ニューロパチー,自律神経障害,腎障害,心筋障害,硝子体混濁,中枢神経障害である.発症年齢は,20歳代〜30歳代が一般的であるが,より高齢で発症する場合も多い.典型的には,下肢遠位部の異常感覚や感覚低下で発症し,2〜3年の間に運動障害が続発する.起立性低血圧,交代性の便秘・下痢,悪心・嘔吐発作,胃蠕動の低下,陰萎,無汗症,尿閉,失禁などの自律神経障害も初発症状となりうる.心アミロイドーシスは進行性の心筋症の臨床像を呈する.髄膜アミロイドーシスでは,認知機能障害,精神症状,視力障害,頭痛,けいれん,運動麻痺,失調,脊髄障害,水頭症,頭蓋内出血などの中枢神経症状を呈する..

診断・検査 

通常,TTRアミロイドーシスの診断は,コンゴレッド染色で生検組織へのアミロイド沈着を証明すること(コンゴレッド染色で陰性の場合は抗TTR抗体を用いた免疫染色でTTRの沈着を証明),または質量分析で血清中の変異TTRタンパクを検出することによりなされる.しかし,TTR遺伝子は4つのエクソンのみから構成されており,これまでに報告されている変異は全てエクソン2, 3, 4に存在しているため,TTR遺伝子全領域の遺伝子検査も可能である.遺伝子のシーケンスにより99%以上の病原性(アミロイド原性)の変異を検出できる.遺伝子検査は生検に比べて侵襲性が低く,診断の感度が高い.

臨床的マネジメント 

アミロイド沈着による手根管症候群に対しては手根管解放術が,硝子体混濁に対しては硝子体切除術が有効である.末梢神経障害に対しては肝移植が唯一の有効な治療である.肝移植療法が推奨される患者は(1)50歳未満,(2)発症から5年以内,(3)末梢神経障害が下肢に限局しているか自律神経障害のみ,(4)明らかな心障害・腎障害を認めない,である.発症者の定期的な検査としては,末梢神経障害のモニターの目的で神経伝導速度が行われる.患者のTTR遺伝子の変異が同定されている場合,発症のリスクのある家族の分子遺伝学的検査は早期診断および治療を可能にする.遺伝子変異が不明の場合,臨床的な評価により早期治療が可能となる.

遺伝カウンセリング 

トランスサイレチンアミロイドーシスは常染色体優性の遺伝性疾患である.発端者の約1/3は親からの遺伝であり,約2/3は新生突然変異によりアミロイドーシスを発症する.患者が変異TTR遺伝子のヘテロ接合体の場合,子供は50%の確率でTTR遺伝子の変異を受け継ぐ.患者がホモ接合体の場合,(1)同胞は50%の確率で1つのTTR遺伝子の変異を受け継ぎ,25%の確率で2つのTTR遺伝子の変異を受け継ぐ.(2)全ての子供はTTR遺伝子の変異を受け継ぐ.家系内の患者の遺伝子変異が同定されている場合,50%のリスクを有する胎児の出生前診断は可能である.しかし,TTRアミロイドーシスのように成人発症で知的障害を伴わず,治療も存在する疾患に対して出生前診断を求められることは通常ない.


診断

臨床診断

緩徐進行性の感覚運動性ニューロパチーおよび自律神経障害を呈する成人例ではトランスサイレチンアミロイドーシスが疑われる.心伝導ブロック,心筋症,腎障害,硝子体混濁の合併頻度も高い.常染色体優性の家族歴は本症の診断を示唆する.

検査

組織生検

組織におけるアミロイド沈着は生検組織のコンゴレッド染色で検出可能である.コンゴレッド染色を偏光顕微鏡で観察すると,沈着したアミロイドは特徴的なエメラルドグリーンの複屈折を示す.生検に適する組織は,腹壁皮下脂肪,皮膚,胃粘膜,直腸粘膜,腓腹神経,および手根管解放術の際に得られた腱周囲の脂肪組織である.胃腸粘膜の内視鏡的生検の感度は約85%である.腓腹神経へのアミロイド沈着は斑状のことが多いので,腓腹神経生検の感度は胃腸粘膜の内視鏡的生検よりも劣る.

血清中変異TTRタンパク

TTRタンパクは四量体構造とった可溶性のタンパクとして血清中を循環している.TTRの血清中濃度は20-40 mg/dL (0.20-0.40 g/mL)である.病原性を有するTTR遺伝子変異はTTRタンパクの高次構造の変化をきたし,TTR四量体構造の安定性を低下させ,アミロイドを形成し易い単量体への解離へと導く.トランスサイレチンアミロイドーシスの患者および健常者の血清中には少量(0.28-0.56μ g/mL)のTTR単量体が検出される.血清中のTTRを抗TTR抗体で免疫沈降することにより,血清中の変異TTRタンパクを質量分析で検出することが可能である.これまでに報告された変異TTRの約90%が質量分析で同定される.しかし,TTRタンパクは非常に多くの翻訳後修飾を受けるので,これにより野生型TTRおよび変異TTRの分子量の変化が起こることに注意が必要である.それぞれの変異TTRと野生型TTRとの分子量の差はConnorsらの総説に記載されている.

分子遺伝学的検査

遺伝子 TTR遺伝子がTTRアミロイドーシスに関連する唯一の遺伝子である.

分子遺伝学的検査:臨床的利用

  • 患者の確定診断
  • 発症前診断
  • 出生前診断

分子遺伝学的検査:臨床的検査法

  • 特定の遺伝子変異の解析 最も頻度の高い遺伝子変異であるV30M変異は,様々な人種の多くの家系で同定されている.この変異はPCR-RFLP法により,簡便に同定可能である.
  • シーケンス解析 TTR遺伝子は4つのエクソンのみから構成されており,更にこれまでに報告されている全ての変異はエクソン2, 3, 4に存在しているので,全TTR遺伝子のシーケンス解析を効率的に施行することが可能である.ダイレクトシーケンスにより99%以上の病原性(アミロイド原性)の変異を検出することができる.

表1 TTRアミロイドーシスで用いられる分子遺伝学的検査

検査方法

検出される変異

変異検出率

検査の有用性

標的変異解析

V30M変異

不明

臨床的に有用

シーケンス解析

全てのTTR遺伝子変異

> 99%

臨床的に有用

検査結果の解釈

発端者に対する検査のストラテジー

通常,TTRアミロイドーシスの診断は,1)コンゴレッド染色による生検組織のアミロイド沈着の証明(コンゴレッド陰性の場合は免疫組織検査),2)生検組織の免疫組織染色によるアミロイドタンパクの同定,3)質量分析による血清中の変異TTRタンパクの検出,によりなされる.しかし,TTR遺伝子の分子遺伝学的検査は,他の検査に比べて侵襲性が低く,診断の感度が高い.

遺伝子レベルでの関連疾患

Familial euthyroid hyperthyroxinemiaは非アミロイド原性のTTR遺伝子変異(G6S, A109T, A109V, T119M)によって引き起こされる.TTRタンパクは血清中サイロキシンの約15%と結合している.


臨床像

自然経過

家系内や家系間でもばらつきのある100種類以上の多様な臨床徴候が基底細胞母斑症候群に関連している[Farndon 2004].

これらの臨床所見を発症が多い徴候順にあげる.

  • 外観.PTCH1遺伝子変異を有する患者の約60%が,巨頭症,前額部の瘤,粗野な顔貌,顔面の稗粒腫を伴う疾患特有の外観を有する.肩はなで肩である.
  • 巨頭症まず目につきやすい特徴が,相対的巨頭症である.基底細胞母斑症候群児の大半は頭囲が大きいため,分娩は帝王切開となる.出生後の頭囲の成長パターンは停止性水頭症の場合に類似することが多いが,治療を要するような水頭症はまれである.頭囲は月齢10〜18ヶ月に至るまでに97パーセンタイル超となり,その後はそのまま推移する.

    運動発達が幾分遅れることが多いが,ほとんどがおよそ5歳までに追いつく.全般的な発達遅滞を示す心理測定的報告はない.
  • 先天性欠損.大多数の患者はX線画像で明らかな骨格異常(二分肋骨,楔形の椎骨など)を有する.複数の肋骨や椎骨の異常から生じる重度の骨格障害が報告されているが,開放性二分脊椎と同様,それほど頻度は高くない.

    とくに大脳鎌における異所性石灰化は,20歳までの患者の90%超に認める[Ratcliffe et al 1995, Kimonis et al 2004].

    約5%に認められる先天性奇形には,口唇裂・口蓋裂(5%),多指症,重度の眼異常がある.眼所見には,斜視,白内障,眼窩嚢胞,小眼球症,網膜上皮の色素異常などがある[Black et al 2003, Ragge et al 2005].
  • 髄芽腫基底細胞母斑症候群患者の約5%が,小児悪性脳腫瘍である髄芽腫(現在は未分化神経外胚葉性腫瘍[PNET]と呼ばれることが多い)を発症する[Cowan et al 1997].この腫瘍は組織学的には線維形成性であることが多く[Amlashi et al 2003],予後は良好であることが多い.基底細胞母斑症候群で髄芽腫の発症が最も多いのは2歳頃であり,孤発例が7歳であるのにくらべて若年で発症する[Cowan et al 1997, Amlashi et al 2003].
  • 顎の角化嚢胞罹患者の約90%には顎の角化嚢胞が複数生じる.顎の角化嚢胞は5歳という若年でも発症しうるが,もっとも発症が多いのは12〜19歳である.顎の角化嚢胞は通常,痛みを伴わない腫脹として現れる.未治療のままでいると,大きな歯の破損や顎骨骨折につながる恐れがある.顎の嚢胞が30歳以降に生じることはまれである.

    角化嚢胞が悪性化したエナメル上皮腫と呼ばれるまれな腫瘍は,基底細胞母斑症候群患者において少なくとも6例報告されている[Ponti et al 2012].
  • 基底細胞癌.小児初期に褐色・ピンク色・橙色の基底細胞母斑が生じることがあるが,侵襲的性質を呈することなく,静止状態で存在し続けることがある.組織学的には典型的な基底細胞癌であり,とりわけ小児では,この所見ではじめて基底細胞母斑症候群の孤発例(すなわち基底細胞母斑症候群の家族歴のない患者)であることが判明する場合がある.すでに無数に生じている基底細胞母斑から活動性の基底細胞癌が生じることもあれば,ほとんどしみのない皮膚から典型的な基底細胞癌が生じることもある.基底細胞癌は痂皮を生じさせたり,出血したり,潰瘍を形成したり,局在性感染として現れることもある.

    基底細胞癌は小児初期でも生じるが,一般には10歳代後半や成人初期になるまで生じない.基底細胞癌は年齢とともに生じやすくなるが,生涯にわたって基底細胞癌が生じない基底細胞母斑症候群患者も10%いる.1型皮膚(ケルト系民族の皮膚のように褐色に日焼けせず,熱傷が生じる白色皮膚)を有する者や紫外線を過剰に浴びた者は,とりわけ多数の基底細胞癌を発症しやすいように思われる.臨床的には放射線への感受性がきわめて高い患者もおり,こうした患者では放射線療法後,照射野に新たな基底細胞癌が生じる.

他の皮膚症状その他の皮膚症状には,顔面の稗粒腫や眼瞼のマイボーム腺嚢胞がある.稗粒腫は多数生じやすい.皮脂腺嚢胞や皮様嚢腫も多い.(とくに首周囲の)皮膚垂は組織学的に基底細胞癌の外観を呈することが多いが,侵襲性を示すことはない.

他の腫瘍心線維腫は女性の約2%に,卵巣線維腫は女性の約20%に生じる[Evans et al 1993, Gorlin 2004].通常,心線維腫は出生時もしくは出生直後に現れる.これらは無症状であることもあるが,不整脈を引き起こしたり心臓からの血流を閉塞させることもある.横紋筋腫が心臓その他の部位に生じることがある[Watson et al 2004].

卵巣線維腫は通常,超音波検査や帝王切開時に思いがけず見つかることが多い.卵巣線維腫が卵巣捻転を生じさせることがあるが,受胎能には影響を与えないと考えられている.卵巣線維腫は大型化し石灰化することがあるが,悪性化は少ない.

その他の悪性腫瘍のリスクの上昇は明らかにされていないが,これまでにリンパ腫[Pereira et al 2011]や髄膜腫[Kijima et al 2012]が報告されている.

罹病率・死亡率.基底細胞母斑症候群の平均余命は一般人口平均と大差ない[Wilding et al 2012].一番の問題は多数の皮膚腫瘍への治療によって生じる審美的影響であり,この次に顎の角化嚢胞治療の影響に伴う問題がくる.審美的に損なわれるため,雇用維持が難しくなるなど,社会生活上の困難が生じる.

遺伝子型と臨床型の関連

初期の報告では遺伝子型と臨床型の関連は認められていなかった[Wicking et al 1997].特に,基底細胞癌の発症年齢に影響を与える遺伝子型を示す根拠はない[Jones et al 2011].現時点ではPTCH1遺伝子の個々の変異について,臨床的重症度を予測することは可能ではない.PTCH1遺伝子は他の遺伝子の影響を受けて調節されている可能性がある.

網膜の色素異常などの一連の眼所見を有する1家系で,大規模な欠失が同定された[Black et al 2003].

9q22.3微小欠失症候群PTCH1遺伝子を含む大規模な染色体欠失から9q22.3微小欠失症候群が生じる.この症候群の特徴は,基底細胞母斑症候群の徴候に加えて,発育遅延や知的障害,前額部の頭蓋縫合早期癒合症,閉塞性水頭症,出生前後の巨大児,及び発作である[Muller et al 2012].

浸透率 

基底細胞母斑症候群の発現には家系内や家系間でばらつきが認められるが,臨床経験や分子遺伝学的検査所見は完全浸透に合致したものである[著者の個人的観察所見].

表現促進現象

表現促進現象は報告されていない.さまざまな表現型が認められることから,親よりも子の重症度が高い例が説明できる.

頻度 

疾患頻度に関する研究はほとんどない.最もよく引用される57,000人中1人という頻度は,イングランド北西部の400万人の英国人集団に関する研究から得られたものである[Evans et al 1991b].この研究の発表以来,基底細胞母斑症候群への認識が高まったために診断数が増加し,30,827人中1人近くにまで数値は引き上げられている[Evans et al 2010].より軽症の症例が気づかれない場合があるため,真実の値はもっと高いだろう.

オーストラリアでの研究では,164,000人中1人という最も低い頻度が報告された[Shanley et al 1994].

最近,出生時の発症率が最大18,976人中1人にのぼることが確認された [Evans et al 2010].


鑑別診断

本稿で扱われる疾患に対する遺伝学的検査の実施可能性に関する最新情報は,GeneTests Laboratory Directoryを参照のこと.―編集者注.

トランスサイレチンアミロイドーシスは,感覚運動性ニューロパチー,自律神経障害,非神経症状(腎障害,心筋障害,硝子体混濁,中枢神経障害)などの臨床像を呈しうる(表2).

表2.トランスサイレチンアミロイドーシスに関連した表現型

表現型

遺伝子型

病型

臨床像

TTR遺伝子の変異

TTRアミロイドニューロパチー

[I型家族性アミロイドポリニューロパチー
(ポルトガル−スウェーデン−日本型),およびII型家族性アミロイドポリニューロパチー(インディアナ/スイス型, メリーランド/ドイツ型)]

初期

  • 両下肢の感覚運動性ニューロパチー
  • 手根管症候群
  • 自律神経障害
  • 便秘/下痢
  • 陰萎

進行期

  • 心筋障害
  • 硝子体混濁
  • 腎障害
  • V28M
  • V30M
  • L58R
  • K70N
  • Y78F
  • I84S
  • Y114H

心アミロイドーシス

  • 心肥大
  • 不整脈
  • 狭心痛
  • うっ血性心不全
  • 突然死
  • D18N
  • D18E
  • V20I
  • P24S
  • E42D
  • A45T
  • T49P
  • S50I
  • H56R
  • I68L
  • A81T
  • Q92K
  • R103S
  • L111M
  • V122I

髄膜/中枢神経

アミロイドーシス

  • 認知機能障害
  • 失調
  • 痙性
  • 脳内出血/くも膜下出血
  • 精神症状
  • 水頭症
  • L12P
  • D18G
  • A25T
  • V30G
  • A36P
  • G53E
  • F64S
  • Y69H
  • Y114C

ニューロパチー TTR-I型家族性アミロイドポリニューロパチーの中核症状は緩徐進行性の感覚運動性ニューロパチーと自律神経障害である.典型的には両下肢の感覚性ニューロパチーで発症し,2〜3年遅れて運動性ニューロパチーが出現する.感覚性ニューロパチーの初発症状は足先の異常感覚(灼熱感,電撃痛)と感覚低下である.温痛覚が振動覚や位置覚よりも早期に障害される.感覚性ニューロパチーが膝のレベルまで進行する時期には,両手の感覚障害も出現することが多い.進行期には,四肢の感覚障害,筋萎縮,筋力低下は手袋靴下型の分布を呈する.下垂足,下垂手,手指の機能障害は運動性ニューロパチーでよく見られる症状である.

自律神経障害は初発症状となることがある(表3).自律神経障害による症状としては,起立性低血圧,交代性の便秘と下痢,悪心・嘔吐発作,消化管運動障害,陰萎,無汗症,尿閉・失禁が見られる.感覚低下と自律神経障害により,下肢の潰瘍が形成されやすい.家族性アミロイドポリニューロパチーでは,自律神経障害が非常に深刻なな病態をもたらすことがある.

表3.家族性アミロイドポリニューロパチーの症状

症 状

症状を有する患者の割合(%)

Coelhoらの1994の報告

Ikedaらの1987の報告

感覚性ニューロパチー
(下肢)

異常感覚が最も一般的

80%

49%

自律神経障害

嘔吐

3%

 

便秘

21%

 

交代性の便秘・下痢

12%

 

下痢

17%

4%

陰萎

24%

9%

起立性低血圧

 

7%

運動性ニューロパチー

 

7%

7%

TTR-I型家族性アミロイドポリニューロパチーの発症年齢は,通常20歳代〜30歳代であるが,より高齢で発症する場合も多い.V30M変異を有する日本人患者における平均発症年齢は40.1±12.8歳(22歳〜74歳)である.一方,V30M変異を有するポルトガル人患者における平均発症年齢は33.5±9.4歳(17歳〜78歳)であると報告されている.日本人のV30M変異患者で2大集積地と関連のない患者はより高齢発症である[平均発症年齢62.7±6.6歳(52歳〜80歳)].これらのデータは,TTRの遺伝子変異や人種が同一であっても,発症年齢が大きく異なることを示している.スウェーデン,フランス,英国人の患者は,日本人やポルトガル人に比べてはるかに高齢発症である.感覚運動性ニューロパチーや自律神経障害は10〜20年かけて進行する.様々な心伝導障害も高頻度に合併する.進行期には患者は悪液質を呈する.心不全,腎不全,感染症などが主な死因である.

TTR-II型家族性アミロイドポリニューロパチー(インディアナ/スイス型,メリーランド/ドイツ型)は,特定のTTR遺伝子変異(L58H, L58R, K70N, I84S, Y114H)に関連し,手根管症候群で発症する.感覚運動性ニューロパチー・自律神経障害に加えて臓器障害も合併し,進行期には心筋障害や腎障害が高頻度に出現する.

末梢神経系以外のアミロイドーシス TTRアミロイドーシスの患者は,末梢神経障害を呈さない場合もある.心アミロイドーシスと髄膜アミロイドーシスは特定のTTR変異に関連した代表的な非末梢神経系TTRアミロイドーシスである.このようなタイプのTTRアミロイドーシスでは,末梢神経障害は,認めないか認めても非常に軽微である.約1/3の変異TTR(V30M変異を含む)で硝子体混濁を合併する.

心アミロイドーシス 心アミロイドーシスはV20I, P24S, A45T, I68L, L111M, V122IなどのTTR遺伝子変異に関連し,心筋症の病像を呈する.V20IやL111Mなどの特定の遺伝子変異を有する家系では,末梢神経障害を伴わない心筋症が臨床像となる.心アミロイドーシスは通常晩発性であり,多くの患者は50歳以降に拘束型心筋症による心症状が出現する.典型的な心電図所見としては,II, III, aVF, V1 − V3誘導でのQ波の増高を伴った梗塞様パターンが知られている.この心電図所見は左心室の前壁基部または前壁中隔への高度のアミロイド沈着によると考えられる.心臓超音波では,収縮機能は保たれているが,左心室肥大を認める.肥厚した心室壁は特徴的なgranular sparkling像(ギラギラしたエコー輝度の上昇)を呈する.

心アミロイドーシスをきたす遺伝子変異の中でもV122I変異はアフリカ系アメリカ人において非常に頻度の高い変異である.疫学的な調査では,3.0-3.9%のフリカ系アメリカ人がV122I変異のヘテロ接合体であることが報告されている.60歳以上のアメリカ人において,黒人における心アミロイドーシスの頻度が白人に比べて4倍高いことが知られているが,この原因としてアフリカ系アメリカ人におけるV122I変異が関与している可能性がある.

髄膜(眼髄膜)アミロイドーシス L12P, D18G, A25T, V30G, A36P, G53E, F64S, Y69H, Y114CなどのTTR遺伝子変異を有する患者では軟膜・くも膜(髄膜)やくも膜下腔の血管壁へのアミロイド沈着が認められる.脳実質内の血管に移行するにつれてアミロイド沈着は軽度となる.

髄膜アミロイドーシスの患者は,認知機能障害,精神症状,視力障害,頭痛,けいれん,運動麻痺,失調,脊髄症状,水頭症,頭蓋内出血などの中枢神経症状をきたす.

髄膜アミロイドーシスの患者が硝子体へのアミロイド沈着を合併している場合は,家族性眼髄膜アミロイドーシス(FOLMA)と呼ばれている.

髄膜アミロイドーシスの患者の髄液中の総タンパク濃度は上昇していることが多く,ガドリニウム造影MRIでは,脳表,脳室表面,脊髄表面の髄膜の高度の増強効果を認める.

髄膜へのアミロイド沈着の確定診断には髄膜生検が必要であるが,特徴的なMRI所見とTTR遺伝子の変異の組み合わせにより臨床的な診断が可能である.

その他 硝子体混濁はTTR遺伝子変異を有する家系の約20%に認められると報告されている(硝子体混濁を呈する代表的な変異にはV30M, E54K, L58R, Y114Cなどがある).硝子体へのアミロイド沈着が唯一の症状であったW41L変異を有する患者も報告されている.

筋肉にアミロイド沈着をきたし,筋症状を呈した症例も報告されている.

エリスロポエチンの低下を伴う貧血が25%の症例に認められる.

中等度から高度の腎障害の報告がある.

遺伝子型と臨床型の関連

数多くのTTR遺伝子の変異が報告され,遺伝型と臨床型の関連についても多くの研究がなされているが,現在でも未解明の点が多い.V30M変異でも,家系によって臨床像や発症年齢にかなりの多様性が存在する.遺伝的な修飾因子や非遺伝的な因子がTTRアミロイドーシスの臨床像に影響を与えていると考えられている.

V30M変異とT119M変異を有する複合ヘテロ接合体では,T119M変異がアミロイドーシスに対して抑制的に働くことが臨床的および実験的に証明されている.

80種類以上のTTR遺伝子変異が古典的な末梢神経障害や自律神経障害を呈するFAPの臨床像を呈する.しかし,いくつかの変異では,臨床的に末梢神経障害や自律神経障害が非常に軽微であるか全く認めない,特徴的な臨床像を呈することが知られている.

  • D18N, V20I, P24S, E42D, A45T, T49P, H56R, I68L, Q92L, R103S, L111M, V122I変異は心アミロイドーシスを来す.
  • L12P, D18G, A25T, V30G, A36P, G53E, F64S, Y69H, Y114C変異は髄膜アミロイドーシスに関連している.
ほとんどのTTRアミロイドーシスの患者は変異TTRのヘテロ接合体であるが,これまでに少なくとも18名の変異TTRのホモ接合体患者が報告されている.この内15名は50歳以降にアミロイドーシスの症状を呈している.このことは,変異遺伝子の量的効果はアミロイドーシスの臨床型に著しい変化を及ぼさないことを示している.しかし,ホモ接合体患者においてアミロイド沈着がより広範囲に起こっている可能性はある.

浸透率 

トランスサイレチンアミロイドーシスの浸透率は100%ではないので,TTRの遺伝子変異を有する個人が成人に至るまで症状を呈さない可能性がある.浸透率は変異の種類,地理的な要因,人種的な要因によって異なると考えられる.

患者の集積地では他の地域に比べて,疾患の浸透率が非常に高いことが一般に知られている.ポルトガルでは,V30M変異を有する患者の87%が40歳以前にトランスサイレチンアミロイドーシスの症状を発症する.しかし,スウェーデンでは,浸透率は僅か2%であり,無症状のV30Mホモ接合体の存在も報告されている.

促進現象

患者の集積地において,TTRアミロイドポリニューロパチー家系内での表現促進現象が観察されている.日本には2つの集積地が存在するが,その内の1つの地域に由来するV30M家系では,母親からの遺伝の場合の方が父親からの遺伝の場合に比べてより強い表現促進現象を認める.子供が男性の場合は表現促進現象がより顕著となる.

疾患名

TTRの遺伝子変異に関連した末梢神経障害は現在ではTTRアミロイドーシスと呼ばれているが,以前は以下のように呼ばれていた.

  • I型家族性アミロイドポリニューロパチー(ポルトガル−スウェーデン−日本型)
  • I型家族性アミロイドポリニューロパチー(インディアナ/スイス型,メリーランド/ドイツ型)

頻度 

V30M型のTTRアミロイドーシスの大きな集積地は,ポルトガル,スウェーデン,日本に存在する.また,様々な変異を有する多くの家系がアイルランド,スペイン,フランス,フィンランド,ドイツ,ギリシャなどから報告されている.このように,TTRアミロイドーシスの頻度は人種間で大きく異なる.

世界で最も大きなTTRアミロイドーシス患者の集積地はポルトガル北部地方であるが,この地域におけるV30M型TTRアミロイドーシスの頻度は538人に1人と推測されている.

アメリカの白人におけるV30M型TTRアミロイドーシスの頻度は100,000人に1人と推測されている.

アフリカ系アメリカ人におけるV122I変異の頻度は3.0-3.9%であり,この変異を有するヘテロ接合体のほとんどは晩発性の心アミロイドーシスを発症する.西アフリカの一部の地域では5.0%以上がV122I変異のヘテロ接合体である.アメリカ人におけるV122I変異の頻度は,白人で0.44%,ヒスパニック系で0.00%である.


臨床的マネジメント

最初の診断時における評価

これまでにTTRを含めて20種類のアミロイド原性を有するタンパク質が人間のアミロイドーシスで同定されている.遺伝性のアミロイドーシスの中では,TTRアミロイドーシスの頻度が最も高い.その他のアミロイドーシスを表4にまとめた.

表4.トランスサイレチンアミロイドーシス以外のの遺伝性アミロイドーシス

タイプ

疾患名

臨床型

タンパク名

末梢神経型

アポAIアミロイドーシス
[従来のIII型家族性アミロイドポリニューロパチー(アイオワ型)]

  • 腎障害
  • 胃潰瘍
  • 末梢神経障害

アポリポタンパクAI

ゲルソリンアミロイドーシス
[従来のIV型家族性アミロイドポリニュー(フィンランド−デンマーク型)]

  • 脳神経障害
  • 角膜の格子状変性
  • 末梢神経障害
  • 手根管症候群

ゲルソリン

非末梢神経型

フィブリノーゲンAα関連
アミロイドーシス

  • 腎障害
  • 点状出血

フィブリノーゲンAα

リゾチーム関連
アミロイドーシス

  • 腎障害

リゾチーム

家族性地中海熱

  • 腎障害
  • 腹膜炎
  • 周期性の発熱

ピリン
(marenostrin)

脳型

3型アルツハイマー病

  • 認知機能障害

プレセニリン1

4型アルツハイマー病

プレセニリン2

1型アルツハイマー病
(スウェーデン,ロンドン,フロリダ,フランダース,北極,アイオワ型)

アミロイド前駆タンパク(APP)

アミロイド沈着に伴う
遺伝性脳出血

  • 脳出血

アミロイド前駆タンパク(APP)

シスタチンCアミロイドーシス
(アイスランド型)

  • 脳出血

シスタチンC

Familial British dementia

  • 認知機能障害
  • 失調
  • 痙性麻痺
  • 白内障
  • 難聴

BRI

非遺伝性の全身性アミロイドーシスには,免疫グロブリン(AL)アミロイドーシス,反応性(続発性,AA)アミロイドーシス,β2-ミクログロブリン(透析関連)アミロイドーシスがある.

老人性全身性アミロイドーシス(SSA)(従来の老人性心アミロイドーシス).老人性全身性アミロイドーシス(SSA)は野生型TTRの主に心臓への病的な沈着によって惹起される.病的なアミロイド沈着は肺,血管壁,腎髄質にも認められる.SSAは高齢者での頻度が高いが,生前に診断されることは稀である.このため,SSAの正確な頻度は不明である.しかし,剖検例の検討では,80歳以上の高齢者では22-25%の頻度で心臓へのアミロイド沈着が認められる.SSA患者は通常,無症状であるか心症状を呈することが多い.手根管症候群を呈することもある.SSAはTTR遺伝子の変異を伴うTTRアミロイドーシスやALアミロイドーシスなどのその他のアミロイドーシスとの鑑別を要する.急速に心不全が進行するALアミロイドーシスに比べ,SSAにおける心不全は緩徐進行性である.Westermarkらは心臓よりも肺の方がアミロイド検出において信頼性の高い臓器である可能性を指摘している.

その他の後天性および家族性のニューロパチーも鑑別として考慮に入れる必要がある.特に,患者が明らかな家族歴を有さず,疾患の初期段階である場合は,慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP),Crow-Fukase症候群[POEMS (plasma cell neoplasia with polyneuropathy, organomegaly, endocrinopathy, M protein, skin change)],糖尿病性ニューロパチー,Shy-Drager症候群などの非遺伝性・非アミロイド性のニューロパチーの可能性を考慮に入れるべきである.

感覚運動性ニューロパチーや自律神経障害ではなく,心筋症や中枢神経障害が主症状の場合はより広範な疾患を鑑別の対象として考慮に入れなければならない.心アミロイドーシスの鑑別としては,HFE関連遺伝性ヘモクロマトーシス,糖原病(Pompe病),ファブリー病,心サルコイドーシス,ミトコンドリア病 (MELAS) などの拘束型心筋症を呈する疾患が挙げられる.


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

トランスサイレチンアミロイドーシスは常染色体性優性の遺伝形式をとる.

患者家族のリスク
 
発端者の両親

  • TTRアミロイドーシスの発端者の約1/3がTTRアミロイドーシスの親を有する.約2/3の患者は新生突然変異により発症している.
  • 非常に多くのTTR遺伝子の変異が同定されていることから,TTR遺伝子は非常に変異をきたしやすい遺伝子であると考えられる.このため,新生突然変異が出現することが多い.
  • 発端者で原因となるTTR遺伝子変異が同定されている場合,新生突然変異によると考えられても,両親の遺伝子診断を含めた評価を行うことが推奨される.

注:両親が疾患発症前に若くして死亡したり,高齢発症であった場合,両親が発端者と同じ疾患であったことを認識できないことがある.この場合,見かけ上家族歴は陰性となる.

発端者の同胞 

  • 発端者の同胞のリスクは,両親の遺伝学的な状態に依存する
  • もし,両親のうちの一人がTTR遺伝子変異のヘテロ接合体であれば,発端者の同胞は50%の確率で一つの変異TTR遺伝子を受け継ぐ.
  • Munar-Quesらは,数人のTTR遺伝子変異のホモ接合体患者を報告している.この場合,発端者の同胞は50%の確率で一つの変異TTR遺伝子を受け継ぎ,25%の確率で二つの変異TTR遺伝子を受け継ぐ.
  • 発端者における原因遺伝子変異が両親のいずれにも認められなかった場合,同胞のリスクは低いが,一般人口におけるリスクに比較すると高い.これは,これまでに報告はないものの,生殖細胞系列の変異の可能性が残されているからである.

発端者の子 

  • 患者(ヘテロ接合体患者)の全ての子供は50%の確率で変異TTR遺伝子を受け継ぐ.
  • もし発端者が変異TTR遺伝子のホモ接合体患者である場合,すべての子供が遺伝子変異を受け継ぐ.

遺伝カウンセリングに関連した問題

明らかに新生突然変異による家族 常染色体優性遺伝の疾患を有する発端者の両親のいずれもが疾患の原因となる遺伝子変異を有していなかったり,臨床的な症状を認めない場合,発端者は新生突然変異を有する可能性がある.しかし,父親が異なる場合や明らかにされていない養子縁組など,医学的要因以外の原因も考えられる.

リスクのある無症状の家族に対する検査 リスクのある無症状の家族に対する検査は“分子遺伝学的検査”の項で記載したのと同様の技術で施行可能である.この検査は,発症年齢,疾患の重症度,症状のタイプ,進行の速さを予測する意味での有用性はない.リスクのある個人の検査を施行する際には,その家系の疾患が本当にTTRアミロイドーシスであるのかを確認する目的で,家系内の患者の検査がまず施行されるべきである.

TTRアミロイドーシスの明らかな症状を認めない場合,疾患に関連した変異の検査は予測的な検査となる.リスクのある無症状の家族は出産・財政的な問題・生涯設計に関連した個人的な決断をするために検査を希望することがある.また,単に“知る必要がある”と考えて検査を希望するなど他の動機も考えられる.リスクのある無症状の家族に対する検査の際には,検査を希望する動機・TTRアミロイドーシスに関する個人的な理解度・結果が陽性であった場合および陰性であった場合の予見しうる影響・神経学的な状態などに関する検査前面談が通常行われる.これら検査においては,健康・人生・障害者保険・雇用や教育における差別・社会や家族内での人間関係の変化などの被験者が検査後に遭遇するであろう問題についてカウンセリングが行われるべきである.その他に考慮しなければいけない問題としては,他の家族のリスクの状態である.インフォームドコンセントが行われ,記録は機密下に保管されなければならない.検査結果が陽性であった場合は,長期間の経過観察と評価が必要である.

生体肝移植のドナー 

日本ではI型およびII型TTRアミロイドポリニューロパチーに対して生体肝移植を施行することが一般的に受け入れられている.このため,ドナーになることを希望している無症状の家族に対する分子遺伝学的検査が必然的に施行されている.

リスクのある無症状の子供に対する検査 

成人発症の疾患のリスクのある無症状の子供に対する検査は施行しないのが一般的である.無症状の子供に対する検査を行わない方が良いとする理由には,子供の“情報を知る権利”と“知らない権利”の選択の余地を奪う点,子供に対する家庭内や社会における差別を生む可能性,教育や職業などの経歴に深刻な影響を及ぼしかねない点が挙げられる.症状を有する子供の場合は,診断が確定することにより得られる恩恵が大きい.

家族計画

遺伝的リスクの評価や遺伝カウンセリングは妊娠前に行われるのが望ましい.患者家族が遺伝子検査を受ける場合も同様である.

DNAバンキング 

DNAバンクは主に白血球から調製したDNAを将来の使用のために保存しておくものである.検査法や遺伝子,変異あるいは疾患に対するわれわれの理解が進歩するかもしれないので,DNAの保存は考慮に値する.ことに現在用いられている分子遺伝学的検査の感度が100%ではないような疾患では特に重要である. 発端者の他の家族 他の家族のリスクは,発端者の両親の遺伝的な状態に依存する.もし両親が遺伝子変異を有していれば,その家族もリスクを有する.

出生前診断

出生前診断は分子遺伝学的検査の項で述べた方法を用いて,技術的には可能である.DNAは胎生16−18週に採取した羊水中細胞や10−12週*に採取した絨毛から調製する.出生前診断を行う以前に,罹患している家族において病因となる遺伝子変異が同定されている必要がある.

注:胎生週数は最終月経の開始日あるいは超音波検査による測定に基づいて計算される.

TTRアミロイドーシスのように成人発症で,知的障害を伴わず,治療法も存在する疾患に対して出生前診断を求められることは通常ない.特に遺伝子検査が早期診断よりも中絶を目的として考慮される場合は,医療関係者と家族の間では出生前診断に対する見解の相違が生じるかもしれない.多くの医療機関では最終的には両親の意思を尊重するとしているが,この問題については注意深い検討が求められる.

訳注:一般にTTRアミロイドーシスに対して出生前診断の適応があるとは考えられておらず,日本では行われていない.


原文 Transthyretin Amyloidosis

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