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歌舞伎症候群
(Kabuki Syndrome)

[Synonyms:歌舞伎メーキャップ症候群, 新川・黒木症候群]

Gene Review著者: Margaret P Adam, MD, MS, FAAP, FACMG, Louanne Hudgins, MD, Mark Hannibal, MD, PhD
日本語訳者: 栗栖優佳、升野光雄、山内泰子、黒木良和 (川崎医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 遺伝カウンセリングコース)

Gene Review 最終更新日: 2019.10.21.日本語訳最終更新日: 2020.11.30

原文 Kakbuki Syndrome


要約

疾患の特徴 

歌舞伎症候群(KS)は、特徴的顔貌(外側1/3の下眼瞼外反を伴う切れ長の眼瞼裂、弓状で広い眉毛、押しつぶされた鼻尖を伴う短い鼻柱、大きく突出した耳またはカップ耳)、軽微な骨格異常、胎児期遺残である指尖の膨らみ、軽度から中等度の知的障害、そして出生後にはじまる成長障害によって特徴づけられる。その他の所見として、先天性心疾患、腎尿路生殖器異常、口唇裂および/または口蓋裂、鎖肛を含む消化管異常、眼瞼下垂と斜視、歯間空隙の拡大と先天性欠如歯が含まれる。機能的異常として、易感染性と自己免疫疾患、けいれん、女児の早期乳房発育症を含む内分泌学的異常、摂食の問題と難聴がある。

診断・検査 

KSの診断は、乳児期の筋緊張低下、発達遅滞および/または知的障害の病歴、並びに、あらゆる年齢の発端者において、以下のいずれかまたは両方を有することで確立する。

臨床的マネジメント 

症状の治療
胃食道逆流現象の治療のため濃厚流動食や食事後の体位設定、摂食困難が重症ならば胃瘻造設を行う。認知障害が明白ならば、心理教育的な検査と個々の子どものニーズに的を絞り特別な教育サービスを行う。行動が自閉症スペクトラム障害を示唆するならば発達小児科医または精神科医による評価。けいれんに対する標準的な抗てんかん薬治療。

二次的合併症の予防
特定の心疾患を伴う場合、(歯の治療のような)何らかの処置の前と処置中には抗生物質の予防的投与は必要である。

経過観察
身長、体重、頭囲を最低1年に1回それぞれの子どもの受診時に測定する。受診ごとに発達を評価し、年1回視力と聴力を測定する。

遺伝カウンセリング 

KMT2D関連のKSは常染色体優性形式で遺伝する。KDM6A関連のKSは、X連鎖遺伝である。

疾患の原因となる病的変異が家系内の罹患者で同定されていれば、KSについてリスクの増加した妊娠に対しての出生前検査と着床前遺伝学的診断は可能である。


診断

臨床診断

歌舞伎症候群(KS)の共通した臨床診断基準が公開されている [Adam et al 2019]。

示唆的な所見

KSは、新川ら[1988]によって定義された5つの主要な症状、特定の器質的異常、および/または機能的異常の任意の組み合わせをもつ人で疑われる。

主要な症状

  1. 特徴的顔貌:
  1. 骨格異常:
  1. 皮膚紋理異常:胎児期遺残である指尖の膨らみ

注釈:指三叉cおよび/またはdの欠損、指尖の尺側蹄状紋増加、そして小指球部蹄状紋増加を認めるこ
ともあるが、このタイプの分析は、多くのセンターではルーチンの臨床実践としては行われない。

  1. 軽度から中等度の知的障害
  2. 出生後にはじまる成長障害

KSの器質的異常は次に述べるものがある:

機能的な異常として以下が含まれる:

診断の確定

KSの診断は、乳児期の筋緊張低下、発達遅滞および/または知的障害の病歴、並びに、あらゆる年齢の発端者において、以下のいずれかまたは両方を有することで確立する [Adam et al 2019]:

*典型的形態異常には、外側1/3の下眼瞼外反を伴う切れ長の眼瞼裂(年齢の平均より2SD以上の眼瞼裂の長さ)および以下の2つ以上が含まれる。

分子遺伝学的検査には、表現型に応じた標的遺伝子検査(単一遺伝子検査、単一遺伝子に対する同時または連続的な検査、多遺伝子パネル)と網羅的ゲノム検査(染色体マイクロアレイ検査、エクソームシークエンス解析、エクソームアレイ、ゲノムシークエンス解析)の組み合わせがある。

標的遺伝子検査では臨床医がどの遺伝子が関連あるかを決定しなければならないが、ゲノム検査では必要ない。歌舞伎症候群の表現型は幅広いため、示唆される所見で記載した特有の所見を認める人においては、標的遺伝子検査を用いた診断がなされる傾向にある(オプション1を参照)。一方で、歌舞伎症候群と考えられていなかった人のほうが、よりゲノム検査を用いて診断される傾向にある(オプション2を参照)。

オプション1

表現型および検査所見で歌舞伎症候群が示唆される時は、単一遺伝子もしくは多遺伝子パネルの使用による分子遺伝学的検査を行う。

単一遺伝子検査KMT2D遺伝子およびKDM6A遺伝子のシークエンス解析により、小さな遺伝子内欠失/挿入、ミスセンス変異、ナンセンス変異、およびスプライス部位の変異を同定する。通常は、エクソンもしくは全遺伝子欠失/重複は同定されない。

注釈:KMT2D遺伝子にモザイクヘテロ接合性の病的変異を有する古典的な特徴を持つ罹患者が報告されている。
そのため、Lepri ら[2017]は、標的を絞った次世代シークエンス解析が、従来のサンガーシークエンス解析と比
較して、より適切な変異検出方法である可能性を示唆した。

多遺伝子パネル KMT2D遺伝子、KDM6A遺伝子およびその他の関心がもたれる遺伝子(鑑別診断を参照)を含む多遺伝子パネルは、一方で意義不明な変異や根本的な表現型を説明できない遺伝子の病的変異の同定を制限しつつ、最も手頃な費用で疾患の遺伝学的原因を同定できる可能性が高い。

注釈:(1)パネルに含まれる遺伝子や各遺伝子に用いられる検査の診断感度は検査機関により様々で、時間とともに変わる可能性がある。(2)一部の多遺伝子パネルには、このGeneReviewsで述べられている疾患とは関連のない遺伝子も含まれていることがある。(3)一部の検査機関では、パネルのオプションとして、検査機関毎にカスタマイズされたパネルや、臨床医によって表現型より絞り込まれた遺伝子を含むようにカスタマイズされたエクソーム解析を使用できることがある。(4)パネルに用いられる方法には、シークエンス解析、欠失/重複解析、および/またはその他のシークエンスに基づかない検査などがある。この疾患では、欠失/重複解析を含んだ多遺伝子パネルが推奨される(表1を参照)。

多遺伝子パネルの導入についてはこちらをクリック。遺伝学的検査を依頼する臨床医のためのさらに詳細な情報についてはこちらを参照のこと。

オプション2

非典型的な表現型で歌舞伎症候群の診断を考えにくい場合には、網羅的ゲノム検査(この検査ではどの遺伝子が関連しているか臨床医が決定する必要がない)が最良の選択肢となる。エクソームシークエンス解析が最もよく用いられるゲノム検査法である。ゲノムシークエンス解析も可能である。

エクソームシークエンス解析で診断に至らなかった場合、そして特に証拠が常染色体優性遺伝を支持する場合、シークエンス解析で同定できない(多重)エクソン欠失/重複を見つけるため、(臨床的に施行可能であれば)エクソームアレイを考慮することがある。

網羅的ゲノム検査の導入についてはこちらをクリック。ゲノム検査を依頼する臨床医のためのさらに詳細な情報についてはこちらを参照のこと。

表1.
歌舞伎症候群(KS)に使用される分子遺伝学的検査

遺伝子1, 2 その遺伝子の病的変異によるKSの割合 その方法によって検出できる病的変異3の割合  
シークエンス解析4 標的遺伝子の欠失/重複解析5
KDM6A 〜3%-5%6 〜80%6 〜20%7
KMT2D 〜75%6 > 99%8 5例の報告9
不明10, 11 該当なし
  1. このリストにある遺伝子はアルファベット順である。
  2. 染色体座およびタンパク質については表A 遺伝子およびデータベースを参照。
  3. この遺伝子で認められるアレル変異に関する情報は分子遺伝学の項を参照。
  4. シークエンス解析は、良性、おそらく良性、意義不明、おそらく病的、病的変異を同定する。病的変異には小さな遺伝子内欠失/挿入、ミスセンス変異、ナンセンス変異、スプライス部位変異などがある。一般的には、エクソンもしくは全遺伝子の欠失/重複は同定されない。シークエンス解析結果の解釈について考慮すべき問題はこちらをクリック。
  5. 標的遺伝子の欠失・重複解析では、遺伝子内の欠失や重複が検出できる。検査方法には、定量PCR、ロングレンジPCR、MLPA(multiplex ligation-dependent probe amplification)法、単一エクソンの欠失/重複の検出を目的とする標的遺伝子マイクロアレイなどがある。
  6. Bögershausen et al [2016], Cocciadiferro et al [2018], Yap et al [2019]
  7. Van Laarhoven et al [2015], Bögershausen et al [2016], Cocciadiferro et al [2018], Yap et al [2019]
  8. Hannibal et al [2011], Li et al [2011], Micale et al [2011], Paulussen et al [2011], Banka et al [2012], Makrythanasis et al [2013], Bögershausen et al [2016]
  9. Banka et al [2012], Riess et al [2012], Cocciadiferro et al [2018]
  10. 歌舞伎症候群の臨床診断を受けた人の約30%について、遺伝学的原因は不明のままである。したがって、1つ以上の未同定の遺伝子の座位異質性は、依然として可能性がある [Bögershausen&Wollnik 2013]。
  11. KSのさらなる候補遺伝子またはKSと重複する特徴を持つ状態には、RAP1ARAP1B、およびKDM6Cが含まれる [Bögershausen et al 2016]。

臨床的特徴

臨床像

この項は、分子学的確定診断を受けた歌舞伎症候群(KS)をもつ400人以上の所見を要約する。

成長

KSをもつ人は通常、出生時に正常な成長パラメーターを示す。

眼科

眼の所見は、歌舞伎症候群をもつ人の1/3以上に存在し、青色強膜、斜視、眼瞼下垂、コロボーマ、マーカス ガン現象(下顎眼瞼異常運動ともいわれる)、およびピータース奇形のような角膜の異常がみられる。

耳と聴覚

KSをもつ大多数の人は、突出したカップ耳をもつ。耳瘻孔も比較的よくある。
臨床の観点からみると、慢性中耳炎は伝音性難聴を含む病的状態の主要な原因である。しかしながら、この所見が潜在的な易感染性または口蓋機能不全のような頭蓋顔面の異常と関係づけられるかどうかは明らかではない。
KSをもつ人の50%もが難聴である。慢性中耳炎は最もありふれた原因であるが、感音性難聴はまれに生じ、進行性難聴の人もいる。モンディーニ異形成、前庭腫脹、蝸牛と半規管無形成や水管腫脹を含む内耳奇形が報告されている。重度の進行性感音性難聴がある歌舞伎症候群の臨床診断を受けた少なくとも1人の人が、人工内耳の手術を受けて生活の質が改善したと報告された [Vesseur et al 2016]。

頭蓋顔面

口唇裂および/または口蓋裂はKSをもつ人の約1/3にある。粘膜下口蓋裂は実際より低頻度に把握されている [Paik&Lim 2016]。罹患者のほぼ3/4は高口蓋をもつ。口蓋の異常をもつすべての子どもと同様、摂食困難、頻繁におこる中耳炎や発語困難がよくみられる。下口唇の小窩をもつ多数の人が報告されている [Porntaveetus et al 2018]。
典型的な顔貌(外側1/3の下眼瞼外反を伴う切れ長の眼瞼裂、弓状で幅広い眉毛、押しつぶされた鼻尖を伴う短い鼻柱、大きく突出した耳またはカップ耳)は、KSの診断基準の一部とみなされているためKSと臨床診断されたほとんど全ての人に存在する。分子学的にKSと診断された人の大半は、これらの特徴的顔貌を有していることもわかっている [Adam et al 2019]。

歯科

KSをもつ人において多種多様な歯の異常が知られている。先天性欠如歯は最もよくみられ、上顎側切歯の欠損と下顎切歯の欠損,異所性の上顎6歳臼歯、第2小臼歯の欠損も記載されている。異常な形態の歯(例えば、上顎切歯のマイナスドライバーのような外観)、小さい歯、歯間空隙の拡大、不正咬合等も見られることがある。

心血管

KSをもつ人の約70%が先天性心疾患を合併する [Digilio et al 2017]。KSに関連して多くの心臓疾患が報告されているが、左心系の閉塞性病変、特に大動脈縮窄症はよく合併する。その他の異常には、(単独または組み合わせて)中隔欠損、二尖大動脈弁、僧帽弁異常、円錐動脈幹異常、および左心低形成症候群が含まれる場合がある。肥大型心筋症および大動脈基部拡張が時折報告されている。

呼吸器

横隔膜弛緩症がまれに報告されている [Zarate et al 2012]。
喉頭の異常は、麻酔時に問題が生じる可能性がある(臨床的マネジメント、症状に対する治療を参照)。

胃腸

摂食困難は非常に一般的であり(〜70%)、筋緊張低下、口腔運動協調障害、および嚥下困難が関連する可能性があり [Cheon & Ko 2015]、経鼻胃管または胃瘻管の留置が必要になる場合がある。KSをもつ多くの人は胃食道逆流がある。
胃腸系に関わる異常はKSにおいて頻繁ではない。しかしながら、以下の症状が稀に見られる場合がある。

腎尿路生殖器

腎尿路異常は罹患者の25%以上にみられる [Courcet et al 2013]。よくある腎臓の所見は、腎臓の位置と上昇の異常(単一融合腎、交差性融合腎)、腎異形成が含まれる。水腎症は、最も一般的な尿路所見である。その他の異常には、腎盂尿管移行部通過障害および集尿系の重複が含まれる。尿道下裂と停留精巣は男児に生じうる。[Bögershausen&Wollnik 2013]。

筋骨格

関節の過度可動性はKSをもつ人の50~75%にみられる。関節の脱臼は、とくに股関節、膝蓋骨、肩関節でよくおこる。関節弛緩症を伴う多くの疾患と同様、この所見は年齢とともに改善する。

内分泌

早期乳房発育症 女児の早期乳房発育症は最もよくある内分泌異常である(16%-41%)[Banka et al 2012]。この所見は、思春期早発症を示すことは稀で、次第に正常に戻ることが多い。

低身長 低身長には、成長ホルモン分泌不全がなくとも、不均衡を悪化させることなく成長ホルモン療法に反応した:

高インシュリン症 高インシュリン症は、罹患者では実際より低く見積もられている可能性が高く、新生児に出現する徴候となりうる。

その他.以下の所見は、文献上KSをもつ一部の人で記述されている:

免疫

液性免疫不全および自己免疫疾患の両方を含む免疫機能障害が報告されている [Lindsley et al 2016]。罹患者の臨床所見は、分類不能型免疫不全症の人に見られるものに類似する場合がある。

神経

KSをもつ多くの子どもは筋緊張低下があり、関節弛緩がその寄与因子となっているかもしれない。

神経画像

歌舞伎症候群をもつ多くの人は、けいれんや発達遅滞のような適応のために、ある時期に脳の画像検査を受けるが、重大な脳の構造異常は稀である。報告された所見には、次のものが含まれている [Banka et al 2015, Liu et al 2015, Teranishi et al 2018]:

注釈:KSの遺伝学的原因が同定される前に、複数の罹患者で症候性のキアリ奇形Ⅰ型が報告されている [Ciprero et al 2005]。この特徴的な所見は、分子診断がついた人に関する最近の出版物では強調されていない。しかし、これは、分子的に確認されたKSをもつ人の臨床像としての症候性キアリ奇形Ⅰ型を排除するものではない。

発達

通常、軽度から中等度の知的障害は、大多数の人で報告されている。しかし、KMT2DまたはKDM6Aのいずれかの病的変異を有する人で稀にIQレベルが70を超えるという報告がある [Lederer et al 2012, Cheon et al 2014, Lederer et al 2014, Morgan et al 2015, Butcher et al 2017, Lehman et al 2017, Sakata et al 2017, Caciolo et al 2018]。KSをもつ人のほとんどは話すことができ、歩くことができる。

行動

KSをもつ人は、陽気で、社交的な傾向がある。

良性腫瘍

頭頸部によく発生する毛幹の良性腫瘍である毛母腫(石灰化上皮腫)は、歌舞伎症候群をもつ人で稀に報告されている [Bernier et al 2017]。ほとんどの場合、皮膚科医による除去で十分である。

悪性腫瘍

KMT2DおよびKDM6Aの病的体細胞変異は、さまざまな散発性腫瘍で見られているが [Huether et al 2014]、悪性腫瘍(主に症例報告として)はKSをもつ少数の人でのみ報告されている。KSをもつ人に、癌の発生の重大な素因があるという明確な証拠はない [Roma et al 2015, Karagianni et al 2016]。そのため、KSをもつ人の腫瘍スクリーニングプロトコルは開発されていない。

遺伝子による表現型相関

KMT2D

KDM6A

以下は、KDM6A病的変異をもつ人において、より一般的である [Banka et al 2015, Yap et al 2019]:

罹患した男性は、軽度から中等度の知的障害の可能性のある女性よりも、中等度から重度の発達遅滞/認知障害をきたしやすい。一般に、KDM6AがX染色体不活化を免れているという事実にもかかわらず、KDM6A病的変異をもつ女性は、罹患した男性よりも軽度の特徴をもつ傾向がある [Banka et al 2015]。

遺伝型と表現型の関連

KMT2D

KDM6A

浸透率

KMT2D病的変異に対する浸透率は完全のようである。KDM6A病的変異をもつ人の浸透率に関する結論を下すのに十分な情報がない。表現度の差異のため、軽い症状をもつ罹患者を少なく把握している可能性もある。

有病率

KSはほとんど全ての民族において報告されている。日本における有病率は32,000人に1人と推定されている [Niikawa et al 1988]。日本以外の有病率も、おそらく日本人集団で見られるものとほぼ同様であろう。
Whiteらはオーストラリアとニュージーランドにおいて、最低86,000出生に1人と推定した。

遺伝学的に関連する疾患

KMT2DまたはKDM6Aの病的変異に関連する他の表現型は知られていない。


鑑別診断

表2.
歌舞伎症候群(KS)の鑑別診断で考慮すべき疾患

疾患 遺伝子 MOI 臨床像
KSとの重なり KSとの識別
CHARGE(チャージ)症候群 CHD7 AD ・口蓋裂
・先天性心疾患
・眼のコロボーマ
・成長障害
CHARGE症候群の場合:
・四角い顔
・耳垂がほとんどまたは全くない、短くて広い耳
・突出した鼻柱
・広い鼻根
KSでは:指尖の膨らみ
22q11.2欠失症候群 脚注1を参照 AD ・口蓋裂
・先天性心疾患
・尿路異常
22q11欠失症候群では:
・はれぼったい瞼を伴う、短くて狭い眼瞼裂
・球根状の鼻尖
・上部および/または側方が過剰に折れ込んだ耳輪を伴う、小さい、C字型の耳
IRF6関連疾患2 IRF6 AD ・口唇・口蓋裂
・口唇小窩
IRF6関連疾患は、非定型の成長と発達、心疾患、または特徴的な歌舞伎症候群の顔貌を伴わない。
・翼状片はKSにはみられない。
鰓耳腎(BOR)症候群 EYA1
SIX5
SIX1
AD ・耳瘻孔
・カップ耳
・難聴
・腎奇形
BOR症候群の場合:
・その他の点では、正常な頭蓋顔面、正常な成長及び発達をする。
・通常、腎臓の異常は腎低形成および/または無形成であるが、一方KSにおける腎臓の異常は、通常、水腎症と位置異常である。
・BORには鰓溝嚢胞があるかもしれないが、KSでは報告されていない。
関節型Ehlers-Danlos(エーラス・ダンロス)症候群(EDS) 不明 AD ・特に重大な関節過可動性(先天性股関節脱臼と膝蓋骨脱臼を含む)
・青色強膜
関節型エーラス・ダンロス症候群とラーセン症候群では、KSに見られる他の臓器系統を巻き込む主要な異常または典型的な小奇形は伴わない。
Larsen(ラーセン)症候群(FLNB関連疾患を参照) FLNB AD
X染色体異常症/その他の様々な染色体異常症 該当なし 脚注3を参照 ・よく似た顔貌
・先天性心疾患
・成長障害
染色体異常症は、染色体検査または染色体マイクロアレイ(CMA)によってKSと容易に見分けることができる。
Hardikar症候群
(OMIM 612726)
不明   ・遷延性高ビリルビン血
 症
・口唇口蓋裂
Hardikar症候群にみられる網膜色素変性症または硬化性胆管炎は、一般にはKSをもつ人にはない。

AD =常染色体優性;CHARGE=コロボーマ、心疾患、後鼻孔閉鎖、成長発達遅滞、生殖器の異常、および耳の異常; CMA =染色体マイクロアレイ; MOI =遺伝形式

  1. DiGeorge染色体領域内の遺伝子の欠失は、22q11.2欠失症候群に関連することが知られている唯一の遺伝学的異常である。
  2. IRF6関連疾患は、軽度では単独の口唇口蓋裂およびVan der Woude症候群から、より重度の膝窩翼状片症候群までの範囲に及ぶ。
  3. 異常に依存する

臨床的マネジメント

歌舞伎症候群(KS)の包括的なマネジメントのガイドラインは2010年に開発されたが、更新されていない。これらのガイドラインはオンラインで入手できる(pdf)。

最初の診断後における評価

KSと診断された人の疾患の程度とニーズを確かめるために、まだ終えていなければ以下の評価が推奨される:

表3.
歌舞伎症候群をもつ人の初期診断後の推奨評価

対象となる系統 評価 コメント
成長 身長、体重、頭囲の測定 FTTは摂食困難の続発症としてよく見られる
眼科 眼科評価 斜視、屈折異常、眼瞼下垂、角膜異常の評価のため
聴覚 ベースライン聴覚評価 伝音性および/または感音性難聴を評価するため
口蓋異常に対して口蓋の評価 口蓋異常が疑われる場合は、頭蓋顔面専門医への紹介を検討する
3歳以上で歯科評価を検討する  
心臓 大動脈弓の視覚化を伴う心エコー図 大動脈縮窄を含む先天性心疾患を評価するため
心電図を検討する 不整脈が疑われる場合
呼吸器 横隔膜弛緩症を評価するために胸部X線写真を検討する 呼吸器系の問題、慢性咳または再発性肺炎のある
人において
胃腸/摂食 栄養状態、摂食、GERDを評価する ・嚥下障害の疑いがある人については、栄養補給チームおよび/またはVFSSによる評価を検討する
・乳児にはFTTがありうる
思春期と成人には肥満がありうる
泌尿生殖器 ベースライン腎超音波検査 腎異常および水腎症を評価するため
男性の尿道下裂および/または停留精巣の診察
筋骨格 脊柱側弯のある人で脊椎のX線写真を検討する 脊椎の異常を評価するため
内分泌 高インスリン症の評価1 持続的な低血糖症を伴う新生児および乳児において
甲状腺機能低下症および成長ホルモン分泌不全症の評価2 異常な成長速度がある場合
免疫   T細胞数、T細胞サブセットと血清免疫グロブリンレベルを診断時または1歳時(いずれか遅い方)に 次の場合は免疫の専門医に紹介する:
・レベルが異常である、または
・患者に再発性感染症の既往がある
神経 脳波 けいれん発作の疑いがある人において
頭部MRI 以下を評価するため:
・けいれんを伴う人において構造的脳異常
・疑わしい症状のある人においてキアリ奇形I型3
精神/行動 神経精神医学的評価 睡眠障害、ADHD、不安、および/またはASDを示唆する特性を含む行動の懸念について、12か月以上の人をスクリーニングする
多方面の/その他   発達評価 運動、発語/言語、一般的な認知および職業能力を評価する
臨床遺伝医および/または遺伝カウンセラーとの相談  

ADHD =注意欠陥多動障害; ASD =自閉症スペクトラム障害; FTT =発育不全;GERD =胃食道逆流症; VFSS =ビデオX線透視嚥下検査

  1. これには、血漿ブドウ糖低値の期間の血漿インスリン、遊離脂肪酸、β-ヒドロキシ酪酸の値、およびグルカゴンに対する血糖反応を得るなど「重要なサンプル」の収集が含まれる場合がある [Yap et al 2019]。
  2. 甲状腺機能検査には、遊離T4およびTSHレベルが含まれる場合がある。成長ホルモン分泌不全症の評価は困難な場合があり、内分泌科医に指示を受けるのが最適である。試験には、アルギニンまたはクロニジンを使用した成長ホルモン刺激試験の検討に加えて、インスリン様成長因子1(IGF-1)およびIGF結合蛋白-3の測定が含まれる場合がある [Schott et al 2016b]。
  3. 症状には、頭痛、眼球障害、耳神経障害、下位脳神経徴候、小脳性運動失調、痙縮、けいれんなどがある。

症状に対する治療

表4.
歌舞伎症候群をもつ人の症状に対する治療

対象となる症状 治療 考慮すること/その他
斜視、屈折異常眼瞼下垂、兎眼症 眼科医による標準治療  
難聴 考慮すべき事項:
・伝導性難聴の場合の圧力調整チューブ
・感音性難聴のある人のための補聴器1
耳鼻咽喉科の専門医および聴覚専門医に紹介
遺伝性聴覚障害および難聴の概要を参照
口唇裂および/または口蓋裂 標準治療 ・専門の頭蓋顔面クリニックによる管理が理想的である
・口蓋は典型的な裂溝修復後に、より短くなることがあり、口蓋帆咽頭不全につながる可能性がある
歯の異常 先天性欠如歯または重大な不正咬合が認められる場合の歯科矯正の紹介  
先天性心疾患および/または不整脈 循環器科医による標準治療 大動脈瘤のリスクが上昇しているかどうかは不明である。ただし、カテーテル挿入や血管形成術を検討している場合、大動脈瘤の潜在的なリスク上昇を治療チームに伝える必要がある
摂食困難/GERD 乳幼児の濃厚流動食と、食事の後に適切な姿勢をとるなどの標準治療 GERDの薬理学的治療が考慮される場合がある
胃瘻管を検討する 重度の摂食困難および/または吸綴と嚥下の協調不良の際に
慢性下痢 消化器科医に紹介 吸収不良および/またはセリアック病の評価を検討する
尿道下裂/停留精巣 泌尿器科医による標準治療  
高インスリン血症
甲状腺機能低下症
内分泌科医による標準治療  
低身長 成長ホルモン療法を検討する 内分泌科医に紹介
反復性感染 免疫グロブリン欠損がある人は、免疫グロブリン静脈内治療が考慮される場合がある 免疫科医に紹介
けいれん性疾患 神経内科医による標準的な抗てんかん治療  
低身長 成長ホルモン治療が考慮される場合がある2 内分泌科医に紹介
早期乳房発育症 思春期早発症の他の徴候が明らかでない場合、治療は正当とされない  
麻酔の必要性 頸椎に影響を与える可能性のある関節弛緩症のため、挿管時の位置決めに注意する 挿管を困難にする可能性のある潜在的な構造的気道異常について教育する
  1. 耳鼻咽喉科医および聴覚専門医の推奨に従って、人工内耳も考慮することができる。
  2. Schott et al [2016a]

KSをもつ人の仮説的な治療法としてのヒストン脱アセチル化酵素阻害薬とケトン産生食の議論については、研究中の治療法を参照。現在、これらの治療法のいずれも、臨床試験を除いては、KSをもつ人の初期治療として推奨されていない。

発達遅滞/知的障害管理の問題

次の情報は、米国の発達遅滞/知的障害のある人に対する一般的な管理上の推奨事項を表している。標準的な推奨事項は国によって異なる場合がある。

0〜3歳.作業療法、理学療法、言語療法、摂食療法へのアクセスには、早期介入プログラムへの紹介が推奨される。米国では、早期介入はすべての州で利用可能な連邦資金によるプログラムである。

3〜5歳.米国では、地元の公立学校区を通じた発達幼稚園が推奨されている。配置前に、必要なサービスと療法を決定するために評価が行われ、個別教育計画(IEP)が展開される。
神経発達療法は、日常生活の技能と行動を改善するために言語と運動能力を対象とする必要がある [Caciolo et al 2018]。

5歳から21歳

全年齢.発達小児科医との相談は、適切なコミュニティ、州、および教育機関の関与を確保し、生活の質を最大化する上で親を支援するために推奨されている。

罹患した人のニーズに基づいた個人的な支持療法の検討が推奨される。発達小児科医は、治療の種類に関する特定の推奨事項を作成できる。
米国では:

運動機能障害

粗大運動機能障害

微細運動機能障害.作業療法は、摂食、身だしなみを整える、着替え、筆記などの適応機能に影響を与える微細運動能力が困難な場合に推奨される。

口腔運動機能障害安全に口から食べられるとすれば、口腔運動のコントロールが不十分であるために摂食が困難な人には、通常は作業療法士または言語療法士による摂食療法が推奨される。

社会的/行動的懸念

子どもは、応用行動分析(ABA)を含む自閉症スペクトラム障害の治療に使用される介入の資格があり、その恩恵を受けることができる。ABA療法は、個々の子どもの行動的、社会的、および適応的な長所と短所を対象としており、通常認定された行動分析者と一対一で実施される。

発達小児科医との相談は、適切な行動管理戦略を通して両親を指導し、必要に応じてADHDの治療に使用される薬剤などの処方を提供するのに役立つ場合がある。

経過観察

表5.
歌舞伎症候群をもつ人に推奨される経過観察

対象となる系統 評価 頻度
成長 少なくとも身長と体重の測定1 各予約時に
眼科 視力を評価するための眼科または検眼 少なくとも毎年
聴力 聴力評価 少なくとも毎年
筋骨格 脊柱側弯の臨床評価 骨格の成熟までの各予約で    
内分泌 甲状腺機能検査 2〜3年ごと
免疫 全血球計算の評価 2〜3年ごと
多方面の/その他 発達の進歩と教育のニーズを観察する 小児期および青年期の各訪問時
  1. 青年および成人は肥満を発症する場合がある。

回避すべき薬品や環境

関節弛緩症をもつ人では、関節の損傷のリスクを高める活動(例えば、トランポリンで跳ねる)は避ける必要がある。

リスクのある血縁者の評価

遺伝カウンセリングの目的でリスクのある血縁者を検査することに関する問題については、遺伝カウンセリングを参照。

研究中の治療法

クロマチン発現の調節因子としてのKMT2DおよびKDM6Aの機能に基づいて(分子遺伝学を参照)、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(HDACi)が歌舞伎症候群をもつ人に有益な効果をもたらす可能性があると仮定されている。 Bjornsson et al [2014]はKSのマウスモデルを作成し、HDACiで治療すると、これらの罹患したマウスの特定の脳領域で見られる構造的および機能的な違いを正常化し、神経新生と記憶を改善することを発見した。これはまだKSをもつヒトでは試験されていないが、これらのマウス研究に基づく臨床試験は計画段階にある。

ケトーシスは内因性のHDACiとして作用するため、KSをもつ人がケトン産生食にすると、認知の問題を改善できると仮説を立てている人もいる [Benjamin et al 2017]。現在、これはKSの推奨治療法ではないが、一部の家族や医師はこの食事を自主的に試している。KSの治療としてのケトン産生食は臨床試験の一部として研究されていないため、これらのタイプの実験的治療の結果は査読のある文献では入手できない。

広い範囲の疾患と健康状態に対する臨床研究情報にアクセスするためには、米国のClinicalTrials.govおよび欧州のEU Clinical Trials.Registerを検索のこと。注釈:この疾患における臨床試験はないかもしれない。


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

KMT2D関連の歌舞伎症候群は、常染色体優性遺伝形式である。
KDM6A関連の歌舞伎症候群は、X連鎖遺伝形式である。

常染色体優性遺伝–家族構成員のリスク

発端者の両親

注釈:親が最初の変異をもつ人であれば、彼女または彼は体細胞モザイク変異であり、軽い/最小限の症状があるかもしれない [Banka et al 2013, Lepri et al 2017]。

発端者の同胞 

発端者の子

発端者の他の家族

X連鎖遺伝–家族構成員のリスク

男性発端者の両親

男性発端者の同胞.同胞のリスクは、母親の遺伝的状況に依存する:

男性発端者の子.

他の家族構成員

ヘテロ接合体(保因者)検出

発端者に病的変異が同定されている場合、リスクのある女性血縁者の遺伝的状況を判定する分子遺伝学的検査は最も有益である。

注釈:このX連鎖疾患に対してヘテロ接合性の女性は、さまざまな臨床症状を呈する可能性がある(遺伝子による表現型相関を参照)。

遺伝カウンセリングに関連した問題

見たところ新生病的変異をもつ家族で考慮すべき事柄.常染色体優性遺伝疾患の発端者の両親がどちらも発端者に同定された病的変異をもたないか、疾患の臨床所見をもたない時、おそらくその病的変異は新生変異である可能性が高い。しかしながら、生物学的父親や母親が異なる場合(例えば、生殖補助に伴う)または告知されていない養子縁組を含む、起こりうる非医学的な事実もまた明らかににされるかもしれない。

家族計画

DNAバンキングは(通常は白血球から抽出された)DNAを将来の使用のために保存しておくものである。検査法並びに遺伝子、アレル変異および疾患に対する我々の理解が将来進歩するかも知れないので、罹患者のDNAの保存は考慮すべきである。

出生前検査および着床前遺伝学的検査

罹患家族構成員で病的変異が特定されると、歌舞伎症候群の出生前検査と着床前遺伝学的検査が可能になる。


資源

GeneReviewsのスタッフは、この疾患のある人とその家族の利益のために、以下の疾患特異的団体か上部支援団体、および/または登録を選択した。GeneReviewsは、他の組織によって提供された情報については責任をもたない。選択基準の情報については、ここをクリック。

www.allthingskabuki.org

8060 Struthers Crescent
Regina Saskatchewan S4Y 1J3
Canada
Phone: 306-543-8715
Email: margot@kabukisyndrome.com
www.kabukisyndrome.com

Kabuki syndrome

Email: petal@sakks.org
www.sakks.org


分子遺伝学

分子遺伝学とOMIMの表の情報は、GeneReviewsの他の場所の情報とは異なるかもしれない。表は、より最近の情報を含むかもしれない。

表A.
歌舞伎伎症候群:遺伝子およびデータベース

遺伝子 染色体座 タンパク質 Locus-Specific Databases
(座特異的データベース)
HGMD ClinVar
KDM6A Xp11.3 リジン特異的脱メチル化酵素6A UTX @ LOVD KDM6A KDM6A
KMT2D 12q13.12 ヒストン-リジンN-メチル基転移酵素2D KMT2Dデータベース KMT2D KMT2D

データは、以下の標準的な参考文献を編集したものである:HGNCによる遺伝子記号;OMIMによる染色体の座、UniProtによるタンパク質名。データベース (Locus Specific, HGMD, ClinVar) の記述についてのリンク、 ここをクリック。

表B.
OMIMに登録されている歌舞伎症候群(OMIMで全てを参照のこと)

147920 KABUKI SYNDROME 1; KABUK1
300128 LYSINE-SPECIFIC DEMETHYLASE 6A; KDM6A
300867 KABUKI SYNDROME 2; KABUK2
602113 LYSINE-SPECIFIC METHYLTRANSFERASE 2D; KMT2D

分子学的病因論

KDM6AとKMT2Dは、ASCOM複合体と呼ばれるタンパク質の複合体の一部として機能する。この複合体の機能は、抑制的なエピジェネティックな刻印を除去し、活性化するメチル化の刻印をクロマチンに付着させることである。これによりRNAポリメラーゼII複合体が動員され、活性化クロマチン状態が生じる [Bögershausen & Wollnik 2013]。KDM6Aは、抑制性のポリコーム由来のメチル化の刻印を除去するH3K27脱メチル化酵素である [Agger et al 2007, Hong et al 2007]。KMT2Dはヒストン3リジン4(H3K4)N-メチル基転移酵素で、ヒストンH3タンパク質の4番目のアミノ酸のリジン残基を特異的に修飾し、非メチル化からモノ、ジ、およびトリメチル化H3K4への変換を触媒する。KMT2DのSETドメインは、メチル基転移酵素活性に関与している [Kouzarides 2007]。ただし、KMT2DとKDM6Aが役割を果たす調節経路のほとんどの標的遺伝子(およびそれぞれの機能)はまだ知られていない。

病気の原因のメカニズムKDM6AまたはKMT2Dの機能が失われると、歌舞伎症候群が引き起こされる。

KDM6AまたはKMT2D固有の実験室に関する考慮事項注目すべきことに、KDM6AはX染色体の不活化を免れる。

癌と良性腫瘍

KDM6Aこの遺伝子の体細胞変異は、尿路上皮癌、T細胞急性リンパ芽球性白血病、および乳癌で最も一般的に記載されているが、さまざまな癌がこの遺伝子の体細胞変異を保有している可能性がある [Schulz et al 2019]。

KMT2Dこの遺伝子の有害な体細胞変異は、中枢神経系、胃腸、造血器の悪性腫瘍を含むさまざまな癌で報告されている [Ford & Dingwall 2015, Rao & Dou 2015]。

公開されたガイドライン / 合意声明


更新履歴:

  1. Gene Review著者: Margaret P Adam, MD, MS, FAAP, FACMG, Louanne Hudgins, MD, Mark Hannibal, MD, PhD
    日本語訳者: 峠和美、升野光雄、山内泰子、黒木良和
    (川崎医療福祉大学大学院医療福祉学研究科遺伝カウンセリングコース)
    Gene Review 最終更新日: 2011.9.1. 日本語訳最終更新日: 2012.12.9.(minor revision 2014.6.1)
  2. Gene Review著者: Margaret P Adam, MD, MS, FAAP, FACMG, Louanne Hudgins, MD, Mark Hannibal, MD, PhD
    日本語訳者: 栗栖優佳、升野光雄、山内泰子、黒木良和川崎医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 遺伝カウンセリングコース)
    Gene Review 最終更新日: 2019.10.21.日本語訳最終更新日: 2020.11.30[in present]

原文 Kakbuki Syndrome

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