GRJ top > 遺伝子疾患情報リスト
grjbar

リンチ症候群
(Lynch Syndrome)

[同義語: HNPCC, Hereditary Non-Polyposis Colon Cancer]

Gene Reviews著者:  Wendy Kohlmann , MS and Stephan B Gruber , MD , PhD
日本語訳者: 箕浦祐子(札幌医科大学大学院医学研究科遺伝医学 ) ,櫻井晃洋(札幌医科大学附属病院遺伝子診療科)
AMED「医療現場でのゲノム情報の適切な開示のための体制整備に関する研究」班(研究開発代表者:小杉眞司)

Gene Reviews 最終更新日: 2018.4 .12 日本語訳最終更新日: 2018 .10 .10

原文: Lynch syndrome


要約

疾患の特徴 

Lynch症候群は 大腸がん(CRC)および子宮内膜 , 胃 , 卵巣, 小腸 , 肝胆道系 , 尿路 , 脳および皮膚のがんのリスクが上昇することを特徴とする . Lynch症候群患者の生涯がん罹患リスクは , 以下の通り:

  • 大腸がん:52%-82%(診断時平均年齢44-61歳)
  • 女性における子宮内膜がん:25%-60%(診断時平均年齢48-62歳)
  • 胃がん:6%-13%(診断時平均年齢56歳)
  • 卵巣がん:4%-12%(診断時平均年齢:42 . 5歳 . およそ30%は40歳 より前に診断される)

Lynch症候群に 関連するそ の他のがんのリスクは低いが , 実質, 一般集団よりは高い .

診断・検査 

症状の治療:
大腸がんにおいては , 大腸全摘 , 回腸直腸吻合術 が推奨されている . その他の腫瘍については, 一般集団のマネジメントと同様に行う.

一次症状の予防:
予防的 子宮および両側卵管卵巣摘出術は, 出産を終えた後に考慮されうる . 定期的な大腸内視鏡検査とポリープ切除術が予防的 措置として有効であるため , Lynch症候群 であることがわかっている人に対する大腸がん発症前の予防的大腸切除術は, 一般的には推奨されない .

サーベイランス
1〜2年に1回の前がん状態のポリープ切除術を含む大腸内視鏡検査 . 開始年齢は20〜25歳の間 , もしくは家系内で最も早く 大腸がんと診断された年齢よりも2〜5歳若い年齢 の , いずれか早いほうに準ずる . 子宮内膜がん , 卵巣がん , 胃がん , 十二指腸がん, 尿路および 中枢神経系のがんにおけるサーベイランスの効果は不明である .

避けるべき化学物質/環境
喫煙

リスクのある血縁者に対する評価:
発端者においてLynch症候群の診断が確定すれば, 早期のサーベイランスと介入を受けることが有益である第一度近親者を明らかにするために, Lynch症候群に関連する病的バリアントを調べる分子遺伝学的検査を提案するべきである. 18歳未満のリスクのある血縁者に対するLynch症候群の分子遺伝学的検査は一般的に推奨されない が , がん発症歴が早い家系では, 18歳になる前に発症前検査をすることも考慮されうる.

遺伝カウンセリング 

Lynch症候群は常染色体優性遺伝の形式をとり , 患者の大部分は親から変異を受け継いでいる . しかしながら , 不完全浸透であること , がんの発症年齢にばらつきがあること , スクリーニング または予防的手術により発がんリスクが軽減されること , あるいは早期死亡といったことから , 発端者がLynch症候群の原因遺伝子に 病的バリアントを有していても , その親が必ずしもがんを発症しているとは限らない . Lynch症候群患者の子どもは50%の確率で 病的バリアントを受け継ぐ . リスクのある妊娠に対し , 家系内における 病的バリアントが同定されていれば , 出生前診断は可能である .

訳注:日本では, 本症に対する出生前診断や着床前診断は行われない. いずれにしても次世代への遺伝に関しては細心の遺伝カウンセリングが必要である.


診断

Lynch症候群が疑われる所見
以下の状態があてはまる発端者では, Lynch症候群を疑うべきである:

  • 大腸がん(CRC)あるいは子宮内膜がんと診断され, 以下の項目に1つ以上当てはまる*:
    • 50歳未満で大腸がんまたは子宮内膜がんと診断
    • 同時性または異時性のLynch症候群関連がん(例;大腸, 子宮内膜, 胃, 小腸, 肝胆道, 腎盂, 尿管)
    • マイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)組織構造を持つ大腸腫瘍組織(例;低分化, 腫瘍リンパ球浸潤 , クローン病様リンパ球反応, 粘液/印環分化, 髄様増殖 パターン)
    • マイクロサテライト不安定性(MSI)検査の結果, 腫瘍組織(大腸, 子宮内膜など)がMSI-Hの状態(利点, 欠点を含むMSI検査についての情報はここをクリック)
    • 腫瘍組織(大腸, 子宮内膜など)の免疫組織染色(IHC)の結果, 1種類以上のミスマッチ修復(MMR)遺伝子産物:MSH2, MLH1, MSH6, PMS2の発現が消失(IHC検査の利点, 欠点についての情報はここをクリック)
    • 少なくとも1人以上, 50歳未満でLynch症候群関連がんと診断された人が第一度近親者にいる
    • 診断時年齢に関わらず ,Lynch症候群関連がんと診断された人が , 第一度近親者に2人以上いる
  • 上記基準に1つでも当てはまる大腸がんまたは子宮内膜がん患者の家族

注 :分子遺伝学的検査は, 理想的にはLynch症候群関連がんの患者から始める. しかしながら, 家系によっては, 生存している罹患者がいない, あるいは罹患者が検査を望まないこともありうる.

  • Lynch症候群と確定診断されている人の家族
  • リスク評価モデルに基づき, Table. 1に記載されている遺伝子の1つに病的バリアントを有する可能性が5%以上ある人

PREMM [Kastrinos et al 2011] や MMRPro [Chen et al 2006]を含む, いくつかのリスク評価モデルにより, Table. 1に記載されている遺伝子のいずれかに生殖細胞系列の病的バリアントが検出される可能性が予測される. どのモデルも5%閾値を用いた場合, 臨床現場および集団スクリーニングにおいて, 良好な予測値を示す [Win et al 2013a,  Kastrinos et al 2015].

*改訂ベセスダガイドラインおよび全米総合がん情報ネットワーク(NCCN)ガイドラインから改変し た;ここをクリック(無料の登録とログインが必要)

Lynch症候群の集団スクリーニング戦略. CRC患者に対するLynch症候群のスクリーニングのガイドラインがNCCNから発表された. ここをクリック(無料の登録とログインが必要). Lynch症候群関連がん患者のスクリーニングのベストプラクティスとなるような取り組みを発展させる一助となり, これらのプログラムの結果を長期間データとして収集するために, Lynch症候群スクリーニングネットワークが設立された[Mange et al 2015].
スクリーニングの手引きには以下のものが含まれる:

  • すべてのCRC患者をMSI検査またはIHC検査によりふるい分けする. これは, Lynch症候群の生殖細胞系列分子遺伝学的検査を提案するべき患者を同定する, 費用対効果の高い方法であることが示され ている [EGAPP 2009,  Ladabaum et al 2011]. (IHC検査の利点, 欠点についての情報は, ここをクリック. MSI検査の利点, 欠点を含む情報は, ここをクリック. )
  • すべてのCRCおよび子宮内膜がん患者を, MSI検査またはIHC検査でふるい分けする[EGAPP 2009, Mange et al 2015].
  • 発症年齢と病理学的特徴から, 生殖細胞系列のMMR病的バリアントを持っていそうな患者を予測する[Rabban et al 2014].

腫瘍組織における標的分子遺伝学的検査は, IHCにおいてMLH1/PMS2の発現が消失していた患者で考慮されるべきである. 標的検査は以下のものを含む:

  • BRAFの病的バリアントであるp. Val600Glu の標的解析

注釈:(1) BRAFのp. Val600Glu はLynch症候群関連大腸腫瘍ではみられない(鑑別診断の散発性大腸がんを参照). (2) BRAFの病的バリアントは散発性の子宮内膜がんでも一般的ではない. それゆえ, BRAF検査は, 子宮内膜がんにおいて散発性であるか, Lynch症候群に関連するかを鑑別するためには有用ではない.

  • 腫瘍組織におけるMLH1のプロモーターのメチル化解析

注釈:Lynch症候群関連がんでは, MLH1のプロモーターの高度メチル化はみられない(鑑別診断の散発性大腸がんを参照).

確定診断

発端者では, Table1に記載されている遺伝子のいずれかにヘテロ接合性の生殖細胞系列病的バリアントが検出されることによって, Lynch症候群の確定診断となる.

分子遺伝学的検査は, マルチジーンパネル, 単一遺伝子検査 ,より網羅的なゲノム検査などがある.

オプション1(推奨)

EPCAMの欠失解析と同時にMLH1,  MSH2,  MSH6, PMS2 (Table1参照)および他の関連遺伝子(鑑別診断参照)を含むマルチジーンパネルが考慮されうる. 注 :(1)マルチジーンパネルに含まれる遺伝子や検査の精度は, 検査機関によって異なっているだけでなく, 時代とともに変化する. (2)マルチジーンパネルには, このGeneReviewで扱っている病態に関連のない遺伝子が含まれている場合もある. それゆえ, 臨床医は最善のコストで遺伝的原因を確定できるよう, 重要性の低い所見を排除しつつ, どの検査を行うのが最適であるかを決定しなければならない. (3)研究室によっては臨床医が指定した遺伝子を含むカスタム設計された研究室独自のパネルや, 表現型に焦点を当てたエクソーム解析パネルといった選択肢が存在することもある. (4)こうした検査で用いられる手法には, 配列解析, 欠失 /重複 解析, 他の非配列の基礎検査がある.
マルチジーンパネル検査に関する概論はここをクリック. 遺伝学的検査を発注する臨床医向けのより詳細な情報についてはコチラを参照のこと.

オプション2(推奨度は低い)

単一遺伝子検査.

腫瘍組織におけるIHC検査では, 特定のMMR遺伝子の機能が失われている可能性が高いことを示唆する, 1つ以上のMMR遺伝子の発現の消失が見られることがある(Table2参照). しかしながら, この関連は100%ではなく, 1つ以上の遺伝子について調べる必要がある. そのため, マルチジーンパネルを用いた分子遺伝学的検査の方が, 単一遺伝子検査より費用対効果が高くなることもよくある.

エクソーム解析やゲノムシークエンスなどの, より網羅的なゲノム検査も(利用可能な場合)考慮される. このような検査は, 事前に考慮されなかった診断を提供あるいは示唆しうる(例:異なる遺伝子または, 類似の臨床症状を引き起こす病的バリアント).
網羅的なゲノム配列決定についての詳細は, ここをクリック. 遺伝学的検査を発注する臨床医向けの, より詳細な情報についてはコチラを参照のこと.

Table1 Lynch症候群に用いられる分子遺伝学的検査

遺伝子1 この遺伝子の病的バリアントに原因があると考えられるLynch症候群の割合 この方法により検出可能な病的バリアント2
有する割合
配列解析3 遺伝子標的欠失重複解析4
MLH1 50%5, 6 90%-95% 5%-10%
MSH2 40%5 <80% >20%
MSH6 7%-10%7 >95% <5%
PMS2 <5%8,9 脚注 10参照 脚注 10参照
EPCAM ~1%-3%11 脚注 12参照 100%12
不明13 NA
  1. Table A. 遺伝子と染色体座位とタンパク質のデータベース参照
  2. 分子遺伝学の項の, この遺伝子上のアレルのバリアント検出情報参照
  3. 配列解析で検出される変異は非病的バリアント, おそらく非病的バリアント, 意義不明な変異, おそらく病的バリアント, 病的バリアントがある. 病的バリアントには小規模な遺伝子内欠失/挿入やミスセンス, ナンセンス, スプライス部位変異が含まれる. 通常, エクソンや全遺伝子の欠失/重複は検出されない. 配列解析結果に対する解釈はここをクリック.
  4. 標的遺伝子の欠失/重複解析では, 遺伝子内の欠失や重複が検出できる. 検査方法は, 定量的PCR, ロングレンジPCR, MLPA(multiplex ligation-dependent probe amplification)法, 単一エクソンの欠失や重複の検出を目的とする標的遺伝子マイクロアレイなどである.
  5. Smith et al [2016]
  6. MLH1のメチル化による組織上の不活性化に加え, 体細胞における機能的なアレルのヘテロ接合性の喪失(LOH)が, Lynch症候群の稀な原因として報告されている. こういった症例では, MLH1の配列解析や重複/欠失解析では検出されない(分子遺伝学の項参照).
  7. Miyaki et al [1997],  Berends et al [2002],  Peltomäki [2003]
  8. Senter et al [2008]
  9. PMS2と偽遺伝子の相同性が高いため, この遺伝子の検査や結果の解釈は難しい. PMS2の病的バリアントが家系内に疑われる場合は, PMS2解析のACMGガイドラインに準拠している研究室で, この遺伝子検査の専門的技術を持つところを選択するべきである [Hegde et al 2014].
  10. PMS2における配列解析と大規模な再配列の同定法は時を経て発展し改良されてきており, 両方の方法で罹患者集団における病的バリアントを検出するため, その割合を限定することを難しくしている. PMS2における200近い配列のバリアントと100以上の大規模な再配列が報告されている [Human Gene Mutation Database]. 配列解析で検出できるバリアントはより一般的にみられるが, 再配列はこの遺伝子の病的バリアントの40%-50%以上であるかもしれない [van der Klift et al 2010,  Vaughn et al 2010,  Smith et al 2016].
  11. EPCAMはMMR遺伝子ではないが, 3’領域の 生殖細胞系列の欠失は, 下流に近接するMSH2を高度にメチル化することで転写抑制させる [Niessen et al 2009,  Goel et al 2011,  Kuiper et al 2011].
  12. EPCAMの生殖細胞系列での欠失は, 近接するMSH2のアレルを高度にメチル化することで転写抑制させる. 近接するMSH2のアレル自体は変異していない(分子遺伝学的病因の項参照). EPCAMの配列解析はLynch症候群の診断には適切ではない.
  13. Lynch症候群のいくつかの家系では, 生殖細胞系列のEXO1,  MLH3,  MSH3,  PMS1あるいは TGFBR2のバリアントが少数例報告されている. Lynch症候群における, これらの遺伝子のアレルのバリアントの臨床的意義は(いずれも)まだ同定されていない [Lu et al 1998,  Peltomäki 2003].

Table 2 . 腫瘍組織検査結果とその解釈 , および追加検査についての 概要

腫瘍検査1 考えられる病因 追加で行うべき検査2
免疫組織染色(IHC) MSI BRAF
V600E3

MLH1
プロモーター領域のメチル化
MLH1 MSH2 MSH6 PMS2
+

+ + + MSS/MSI-Low    

散発性がん

なし4

+ + + + MSI-High    

MMR遺伝子の生殖細胞系列 の病的バリアント

  1. MLH1MSH2の生殖細胞系列検査
  2. MSH6と , 可能ならばPMS2の生殖細胞系列検査
        MSI-High    
  • ・散発性がん
  • MMR遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアント

生殖細胞系列検査の必要性有無 を調べるため のIHC
または

  1. MLH1MSH2の生殖細胞系列検査
  2. MSH6と , 可能ならばPMS2の生殖細胞系列検査 .
- + + -      
  • 散発性がん
  • MLH1生殖細胞系列 の病的バリアント
  1. BRAFV600E3とMLH1のプロモーター領域のメチル化検査
  2. MLH1の生殖細胞系列検査
- + + -   陽性  

散発性がん

なし4

- + + -   陰性 陽性
  • 散発性がん
  • まれにMLH1生殖細胞系列 の病的バリアント
  • 組織上のMLH1 のepimutation
  • 明らかな家族歴がない場合:なし
  • 明らかな家族歴および/または早期発症:MLH1の生殖細胞系列検査
  • 早期発症のみ:組織上のMLH1のepimutation検査
- + + -   陰性 陰性

MLH1生殖細胞系列 病的バリアント

MLH1生殖細胞系列 検査

+ - - +      
  • MSH2生殖細胞系列 の病的バリアント
  • EPCAM生殖細胞系列 の欠失
  • まれに, MSH6生殖細胞系列 病的バリアント
  1. MSH2生殖細胞系列検査 .
  2. EPCAMの生殖細胞系列検査
  3. MSH6生殖細胞系列検査
- + + +      

MLH1生殖細胞系列 病的バリアント

MLH1生殖細胞系列検査

+ + + -      
  • PMS2生殖細胞系列 病的バリアント
  • MLH1生殖細胞系列病的バリアント
  1. PMS2生殖細胞系列検査
  2. MLH1生殖細胞系列検査
+ - + +      
  • MSH2生殖細胞系列病的バリアント
  • EPCAM生殖細胞系列の欠失
  1. MSH2生殖細胞系列検査
  2. EPCAMの欠失検査
+ + - +      
  • MSH6生殖細胞系列 病的バリアント
  • MSH2生殖細胞系列 病的バリアント
  • EPCAM生殖細胞系列の欠失
  1. MSH6生殖細胞系列検査
  2. MSH2生殖細胞系列検査
  3. EPCAMの欠失検査

NCCN [ 2016]

空欄は , 検査が未実施かもしくはその結果が検査手順に影響しないことを意味する .

MSI=マイクロサテライト不安定性
MSS=MSI-stable
+ =正常なタンパク染色
‐ =タンパク染色が 消失

  1. 大腸がんおよび子宮内膜がんにおける腫瘍組織検査手順である . 他のリンチ症候群関連腫瘍での有効性に関してはデータが乏しい .
  2. 生殖細胞系列 病的バリアントの検査に関する情報は Table 1を参照 .
  3. 大腸がん以外の腫瘍には適さない .
  4. 検査に使われた検体が散発性の大腸がん由来の可能性があるため , 家族歴が濃厚な場合(すなわち , アムステルダム基準を満たしている) , 発端者に対して追加の検査 , もしくは 他の罹患家族に対して腫瘍組織検査が必要になる場合がある .

疾患の特徴

臨床像

Lynch症候群の罹患者は大腸がん , および他の関連がん(子宮内膜 , 卵巣 , 胃 , 小腸 , 肝胆道系 , 上部尿路系 , 脳 , 皮膚)の発症リスクが上昇する(Table 3 ) .

Table 3 . 一般 集団と比較した70歳までのLynch症候群罹患者のがん発症リスク

がんの種類 一般 集団でのリスク MLH1MSH2 MSH6 PMS2
リスク 発症時平均年齢 リスク リスク
大腸 5.5 % 男性:27%-74%
女性:22%-53%
27 - 46歳 男性:22%
女性:10%
男性:20%
女性:15%
子宮内膜 2 .7% 14%- 54% 48-62歳 16%-26% 15%
<1% 0. 2%-13% 49-55歳 男性:6%
女性:22%
6%
卵巣 1 .6 % 4%- 20% 43-45歳
小腸 <1% 4%- 12% 49歳
肝胆道 <1% 0.2%-4% 54-57歳
尿路 <1% 0.2 %- 25% 52-60 歳
<1% 1%- 4% ~50歳
皮脂腺 <1% 1%-9% 報告なし 不明 不明
膵臓 1. 5% 0. 4%-4% 63-65歳 不明 不明
前立腺 16.2% 9%-30% 59-60歳 不明 不明
乳房 12.4% 5%-18% 52歳 不明 不明

  Senter et al [2008],  Baglietto et al [2010],  Bonadona et al [2011],  Giardiello et al [2014]

大腸がん . MLH1 および MHS2 の病的バリアントに関連する大腸がん(CRC)のリスクは, MSH6 または PMS2の病的バリアントに関わるリスクよりも著しく高い. MSH6 および PMS2の病的バリアントの大腸がん発症平均年齢もまた, MLH1 および MHS2 の病的バリアントに関連するCRCの発症よりも遅く, それぞれ54-63歳, 47-66歳である. しかしながら, PMS2のヘテロ接合体におけるCRCの8%は30歳未満に発症する. それゆえ, MSH6 または PMS2の病的バリアントを持つ人は, MLH1 および MHS2 のヘテロ接合体におけるCRCスクリーニングの推奨事項と同様にフォローするべきである. 2009年に発表された追従性の高い スクリーニングに関するフィンランドのコホート研究では, Lynch症候群の患者とLynch症候群に関連する病的バリアントを持たない血縁者を比較しても死亡率は上がらなかったことから, 毎年の大腸内視鏡検査はCRCの予防と検出に有用である [Järvinen et al 2009].

EPCAMの 欠失による発がんリスクに関するデータはまだ 限定的であるが , Kempers ら [2011]は194人のEPCAM欠失症例を報告して いる. このコホートから, 70歳までの大腸がん累積発症率は75%(95%CI;65-86)と 推定している . EPCAM遺伝子の3’側の欠失のみ有する患者と , EPCAMMSH2双方の欠失を有する患者との間で , 大腸がんの発症リスクに差は認められなかった . しかしながら, MSH2を含むEPCAMの欠失した患者では, 大腸以外のがんのリスクが上昇した[Kempers et al 2011,  Tutlewska et al 2013].

MSI-Hの(マイクロサテライト不安定性の高い)腫瘍は, 散発性の発症と生殖細胞系列のMMR遺伝子の病的バリアントによるものとに関わらず, MSS(マイクロサテライト安定性)の腫瘍より予後は良好な傾向にある[Kawakami et al 2015].

子宮内膜がん . EPCAMMSH2の両方を欠失している女性のリスクは, MSH2の病的バリアントを有する女性と同程度である.

大腸がんと子宮内膜がんの両方を発症したLynch症候群女性において , 約50%は子宮内膜がんが先に発症する[ Lu et al 2005] . 先に大腸がんを発症したLynch症候群女性のその後の子宮内膜がんの発症リスクは , 大腸がん 診断後10年以内で26% と推定される[Obermair et al 2010] .

総合すると , Lynch症候群関連子宮内膜がんの生存率はLynch症候群関連大腸がんの生存率と同程度である[Maxwell et al 2001] .

胃がん . Lynch症候群で最も頻度の高い腸管型腺がんは[Aarnio et al 1997], CDH1の病的バリアントに起因する遺伝性びまん性胃がんによくみられるびまん性胃がんとは組織型が異なる[Guilford et al 1999]. しかし, Capelle ら[2010]は, Lynch症候群関連胃がんの20%はびまん性であると報告している. H. pyloriの感染率が高い地域 に住むLynch症候群の患者では, 胃がん のリスクはさらに高くなる[Park et al 2000] .

卵巣がん . MLH1または MSH2 の 病的バリアント を有する女性の 卵巣がんのリスクは4- 20%である . Lynch症候群関連卵巣がんの平均診断年齢は 43-45歳の間と報告されている が , さらに若年で診断された例も報告されている . Lynch症候群関連卵巣がんのおよそ30%は35歳までに診断されている[Watson et al 2008] .

病理組織の分布は散発性卵巣がんと同様である . 境界 悪性卵巣 腫瘍はLynch症候群とは関連がないようである[Watson et al 2001] .

小腸がん . 十二指腸と空腸の発生率が最も高く , 上部消化管内視鏡検査で50%の頻度で発見される[ Schulmann et al 2005 ] . 小腸がんの 大部分が腺がんである[ Rodriguez-Bigas et al 1998 , Schulmann et al 2005 ] .

尿路がん . Lynch症候群関連尿路 がんで最も一般的なのは , 尿管および腎盂の移行上皮がんである .
膀胱がんのリスク もLynch症候群の患者で上昇 する . オランダのLynch症候群 患者の研究で , 膀胱がんの相対リスクは男性 で4 .4 , 女性 で2 .2と報告されている . 検査に用いることのできた腫瘍 組織のほとんどは , MSI -Hおよび/または IHCによるタンパク発現の 消失 がみられた[van der Post et al 2010] .

Lynch症候群で すでに大腸がんの診断を受けた患者は , 膀胱がん(7 .22 , 95% CI=4 .08-10 .99)および 他の尿路 がん(腎 , 腎盂 , 尿管)のリスク(12 .54 , 95% CI7 .97-17 .94)が上昇する [Win et al 2013] .
尿路 がんのリスクは, 性別と関連する遺伝子 によって様々である .

脳腫瘍. 最も一般的な中枢神経腫瘍は膠芽腫である[Hamilton et al 1995, Wimmer & Etzler 2008]. MMR遺伝子の病的バリアントに関連する脳腫瘍は, 概してMSI-Hである(マイクロサテライト不安定性が高い)[Hamilton et al 1995,  Suzui et al 1998].

Lynch症候群の患者にみられる皮脂腺腫瘍には, 脂腺腺腫, 脂 腺上皮腫, 脂腺がん, 角化棘細胞腫が含まれる . Lynch症候群に関連した皮脂腺腫瘍は一般的にMSI-Hを呈する[Entius et al 2000, Machin et al 2002]. Lynch症候群での皮脂腺腫瘍の発生頻度に関するデータは限られている. MMR遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントを有する場合に, 皮脂腺腫瘍の発症リスクは1%〜9%の間である[Ponti et al 2006, South et al 2008].

その他のがん

特徴的な性質を持つ, その他のLynch症候群関連がんが報告されている.

膵がん . 既報の家族歴に基づいたKastrinos ら [2009]による研究では, 70歳までの膵がんリスクは一般集団の8 .6倍である  [Kastrinos et al 2009] . MMR の病的バリアントを有する446名の 患者および1029名の血縁者を平均5年間 追跡した前向き研究によれば , 膵がんリスク が上昇する こと(SIR , 10 .68; 95% CI 2.68-47.70) , および 病的バリアントがない場合には, リスクは上昇しないことがわかった[Win et al 2012] . しかし , 膵がんのリスクは上昇しないとの報告もある[Barrow et al 2009] . Lynch症候群は稀に , 家族性膵がんの原因とされている[Gargiulo et al 2009] .

前立腺がん . Lynch症候群と前立腺がんとの関連は複数報告されており , リスクが2 〜 5倍上昇するとされている[Raymond et al 2013b , Haraldsdottir et al 2014 , Ryan et al 2014] . Raymond ら [2013b]によると , MMR の病的バリアントを有する60歳未満の男性において , 前立腺がんのリスクが上昇する . しかし , Haraldsdottir ら[2014]の分析によると , MMR の病的バリアント を有する患者が , 前立腺がんをより若年で発症する , または 進行がより早いような表現型 は見出されなかった . Pritchardら [2016]は, 転移性前立腺がんの男性692名のうち4名(0.5%)にMMR遺伝子の病的バリアントを検出した.

乳がん . 乳がんとLynch症候群の関連は不明である . 21本の研究をまとめた系統的レビューによれば , Lynch症候群患者における乳がんリスクは上昇しないと主張した研究は13本 , 上昇すると主張した研究は8本である[Win et al 2013] . 現在まで , 乳がんリスクを評価する前向き研究は 1つのみである . MMRの病的バリアントを有する場合 , 乳がんの標準相対発症率は3 .95(95% CI 1 .59-8 .13)であり , 診断時平均年齢は56歳である . MMR遺伝子 の病的バリアントを認める乳がん症例に対する腫瘍組織の免疫組織染色では, 51%でMMR遺伝子の生殖細胞系列 病的バリアントに関連するタンパク質の発現が 消失している . 一般集団における乳がんの発症率が高いため , 散発性乳がんの存在によって , 乳がんとLynch症候群との関連性の分析が複雑となる .

その他の発がんリスク . 他にいくつかのがんがLynch症候群に見られると報告されている . 一部の症例において , 腫瘍 組織のMSI及び/または IHC検査 によって , 大腸 以外のがん と 罹患者の分子的診断 が一致することを示した . これらの所見は , MMR遺伝子 の病的バリアントの存在ががんの発症に寄与することを示唆しているが , Lynch症候群におけるこれらのがんの発症リスクが上昇すると結論付けるためのデータはまだ十分ではない .

  • MMR の病的バリアントを有する患者において , 線維性組織球腫 , 横紋筋肉腫 , 平滑筋肉腫および脂肪肉腫を含むいくつかのタイプの肉腫が報告されている[Sijmons et al 2000 , den Bakker et al 2003 , Nilbert et al 2009] . Nilbert ら[2009]はLynch症候群患者の8つの肉腫のうち6つがMMRタンパク 消失を呈しているため , 肉腫がLynch症候群関連腫瘍の一部であると判断した . 肉腫は稀であるため , Lynch症候群が肉腫の発症リスクにどれくらい関与しているかの判断は困難である .
  • Lynch症候群家系における副腎皮質がん (ACC )も報告されている . この関連について調べた最も規模の大きい, ミシガン大学の遺伝性 がんクリニックで行われた研究で は, 114名のACC患者のうち , Lynch症候群の家族歴を持ち , かつMMR の病的バリアントが同定されているのは2名(1 .7%)であった . Lynch症候群とACCの関連性については , さらにMMR の病的バリアントを有する135名の 症例 を調べたものがあり , ACCを発症したのは2名 (1 .4% )であった[Raymond et al 2013a] .

Lynch症候群の亜型

Muir-Torre症候群は , 以前, いずれもLynch症候群によくみられる, 皮脂腺腫瘍と1種類以上の 内臓の悪性腫瘍 を併発た患者を表すのに用いられた用語である . 皮脂腺腫瘍には , 脂腺腺腫 , 脂 腺上皮腫 , 脂腺がん , 角化棘細胞腫 が含まれる[ Misago & Narisawa 2000] .

Turcot症候群は , 以前, 大腸がんあるいは大腸腺腫に中枢神経腫瘍 を併発した患者を示すのに用いられた用語である . 臨床像 は , 多数の大腸ポリープから単一のポリープ , 大腸がんと多岐にわたる .
Turcot症候群は通常Lynch症候群と関連するMMR遺伝子の病的バリアント, あるいはAPC 病的バリアント が原因とされている (鑑別診断の項およびAPC関連ポリポーシスを参照) .

先天性MMR消失(CMMRD . MLH1, MSH2 , MSH6 , PMS2の病的バリアントのホモ接合変異は稀に報告されている . 罹患者はしばしば 10代より前に大腸がんあるいは小腸がんを発症する . MMR 遺伝子の両アレルに 病的バリアントを持つ小児の3分の1では10個以上のポリープが認められる . 造血器腫瘍 , 脳腫瘍及びカフェオレ斑の症例報告もある[Wimmer & Etzler 2008 , Durno et al 2010 , Bakry et al 2014] . 罹患者における皮膚の表現型は , そのほとんどにカフェオレ斑が現れる神経線維腫症I型と非常に類似する[Wimmer 2012 ,  Bakry et al 2014] . 下記の状態が家族歴にあれば, CMMRDの可能性が高まる:

  • Lynch症候群の家族歴
  • 両親が近親婚
  • 少なくとも一人の親がLynch症候群の臨床所見を呈する

しかしながら, CMMRDと確定診断された小児の多くがLynch症候群の家族歴がないため, この診断は家族歴がないからといって除外されるべきではない. Bakryら [2014] は, CMMRDの小児の家族にLynch症候群関連がんの既往歴があることは稀であると報告している.

遺伝子と表現型の関連

Lynch症候群に関連する遺伝子の種類によって , がんの発症リスクは異なってくる .

MSH2. MSH2の病的バリアントのヘテロ 接合体では 大腸以外のがんのリスクが高い .
MSH2変異は他の3つのMMR遺伝子 の病的バリアントに比べて , Muir-Torre亜型のLynch症候群の罹患者で高頻度に報告されている[South et al 2008] .

MSH6. MSH6の病的バリアントのヘテロ接合 体はMSI の低い腫瘍と関連がある . MSH6変異を有する家系では , それ以外のMMR遺伝子変異を有するLynch症候群の罹患者よりも大腸がんの発生が遅く , がんが遠位大腸に局在する傾向があ り, MSH6 の病的バリアントを有する女性では , 子宮内膜がんが 一般的に認められる[Wu et al 1999, Berends et al 2002] . MSH6 の病的バリアントを有する家系では , MLH1あるいはMSH2 の病的バリアント を有する家系 と比較して , 大腸がんのリスクはやや低いが , 子宮内膜がんのリスクは高い[Berends et al 2002 , Baglietto et al 2010] .

PMS2. PMS2の病的バリアントのヘテロ接合 体はLynch症候群関連がんのリスクが最も低い(25-32%)[Senter et al 2008] . しかしながら, CRCの全体のリスクは低いが, 発症年齢が低いことは変わらない. PMS2の病的バリアントを有する234名を調べた研究では, 8%が30歳より前に大腸がんと診断されている[Goodenberger et al 2016].

EPCAM. エピジェネティックにMSH2 の転写抑制を起こすEPCAM欠失 は , 大腸がんのリスクを著しく上昇させる . Kempers ら[2011]は , MMR遺伝子 の病的バリアント に比べ , EPCAM欠失例の 方が子宮内膜がんのリスクが低いと報告している .

遺伝型と表現型の関連

EPCAM. 大腸以外のがんのリスクは欠失の程度に 依存する . EPCAMの3’側の欠失による大腸以外のがん のリスクは低いが , MSH2を含む欠失は , MSH2 遺伝子内の病的バリアントと同様である[Tutlewska et al 2013] .

浸透率 

MMR遺伝子あるいはEPCAMの病的バリアントに関連した大腸がんおよび大腸以外のがんの 浸透率 は100% より少ない (Table 3参照 ) . ゆえに , がんの要因となるMMR遺伝子の病的バリアントやEPCAM欠失 があっても , がんを発症しない場合がある .

病名

Lynch症候群は遺伝性非ポリポーシス大腸がん (hereditary non-polyposis colorectal cancer , HNPCC )とも呼ばれ てきた . 遺伝性大腸がん分野の研究者や臨床家は, MMR 遺伝子またはEPCAMの病的バリアントが確認された 罹患者と家系を含め , 元来使用されていた“Lynch症候群” の名称に戻す ことを提案している .

頻度 

Lynch症候群は全大腸がん症例のおよそ1-3% , 全子宮内膜がんの0 .8-1 .4%を占めている[Kowalski et al 1997 , Chadwick et al 2001 , Cunningham et al 2001] .

一般集団におけるLynch症候群の頻度は1:440と推定されている[Chen et al 2006] .


遺伝学的に関連する疾患

本章に記載されている疾患の 他に , MLH1, MSH2 , MSH6 , PMS2およびEPCAM の生殖細胞系列病的バリアントに関連する 表現型は知られていない .

EPCAMの病的バリアントは, 常染色体劣性疾患である先天性腸上皮異形成症を伴う下痢症(DIAR5)の原因となる (OMIM 613217).

散発性腫瘍(大腸及び子宮内膜がんを含む)では(MSIおよび/またはIHC分析によって)MMRの欠失が見られるが, これはメチル化あるいは両アレル性のMLH1, MSH2, MSH6, PMS2の体細胞病的バリアントによるものであって, 生殖細胞系列にはみられず, これらの腫瘍の要因は遺伝性ではない[Haraldsdottir et al 2014].


鑑別診断

軽症型家族性大腸ポリポーシスAFAP . FAPと同様にAPC の病的バリアントが原因であるが , 症状がFAPより軽度である . AFAPは , 古典的FAPと比較してポリープの数が少なく , 発症年齢が高齢であることが特徴である . AFAPで認められるポリープの数は通常 , 100個未満である . 胃底腺や十二指腸にもポリープが発生するが , FAPに共通して 認められる多数の大腸外病変(表皮嚢胞 , 歯牙異常 , 先天性網膜色素上皮肥厚 , デスモイド腫瘍など)はAFAPでは認められない場合がある . AFAP関連ポリープや大腸がん では通常MSIを 示さない . AFAPは常染色体優性遺伝の形式をとる .

Turcot症候群は, 以前, 大腸がん(CRC)あるいは大腸腺腫に中枢神経腫瘍を併発した患者を示すのに用いられた用語である. APCの病的バリアントを有する人は一般的に多くのポリープを発生するが, APCの病的バリアントに起因するTurcot症候群と, MMR遺伝子の病的バリアントに起因するTurcot症候群では, ポリープ数において著しい表現型の重複がみられる[Hamilton et al 1995]. 中枢神経系腫瘍の病理型をみることで, 根本にある遺伝的要因を鑑別する一助となりうる. APCの病的バリアントは一般的に髄芽腫に関連し, MMR遺伝子の病的バリアントは膠芽腫と関連する.

MUTYH関連ポリポーシス. MUTYH(MYH) の両アレル性の病的バリアントは多発性 腺腫 性ポリープ患者で認められる . MUTYH の病的バリアントは , (1 )15-100個のポリープを有する症例の約30% , (2 ) APC の病的バリアントを認めない古典的FAPの表現型を呈する症例のごく一部 , (3 )多発性ポリープを認めない大腸がんの家族歴のある症例, から 患者が同定されることがある . 常染色体劣性の遺伝形式をとる[Sieber et al 2003] .

MSH3関連ポリポーシスおよびCRC感受性 (OMIM 600887). 多発性腺腫性ポリープや早期発症のCRC家系において, 生殖細胞系列のMSH-3の両アレル性病的バリアントが稀に報告される. 現在までにMSH3の両アレル性病的バリアントを有する患者についての報告は数例であり, その他の腫瘍やがんについてはまだよくわかっていない. 両アレル性病的バリアントを有する者では, 十二指腸ポリープや乳管内乳頭腫, 星状細胞腫, 甲状腺腺腫, 子宮平滑筋腫などが報告されている.

NTHL1関連ポリポーシスおよびCRC感受性 (OMIM 616415). 両アレル性のNTHL1の病的バリアントも, 常染色体劣性ポリポーシスとCRCのリスクが高い家系で見つかっている. ポリープ数は1つから50個以上の幅で報告がある. CRCを発症する年齢は40〜65歳である. これまでに両アレル性のNTHL1の病的バリアントを有する家系は数例しか報告されておらず, 他のがんについての特定のリスクは決定していない. しかし, 乳がんや髄膜腫, 膀胱がん, 子宮内膜がん, 基底細胞がんなど多種類の腫瘍が報告されている[Weren et al 2018].

POLE>関連CRC感受性 (OMIM 615083). 生殖細胞系列ヘテロ接合性のPOLEの病的バリアントを有する者では, CRCのリスクが高まる. これらの患者は数個から多数のポリープを生じうる. 子宮内膜がん, 卵巣がん, 尿管がん, 胃がんおよび星状細胞腫などのその他のがんもPOLEの病的バリアントを有する家系で報告されている. 生殖細胞系列POLEの病的バリアントに関連する子宮内膜がんは, MSSまたはMSI-Hである [Billingsley et al 2015]. これまでのところ, POLEについてのほとんどの情報は, よくある単一の病的バリアントであるp. Leu424Valに基づいており, その他の病的バリアントが異なるリスクや表現型と関連するのかはわかっていない.

POLD1関連CRC感受性 (OMIM 174761). POLD1の病的バリアントは遺伝性CRCの稀な原因としてみつかっている. 少数のあるいは多数のポリープのある患者において, POLD1に生殖細胞系列の病的バリアントが報告されている. これらの家系では子宮内膜がんおよび星状細胞腫も報告されている [Bellido et al 2016].

リ・フラウメニ症候群 (OMIM 151623). TP53の病的バリアントに起因するリ・フラウメニ症候群ではCRCおよびその他の消化管がんが多く認められる [Mork et al 2015,  Yurgelun et al 2017]. CRCを早期発症した患者を診断する場合は, リ・フラウメニ症候群も考慮に入れるべきである.

過誤腫性ポリープ症候群 . 過誤腫性ポリープおよび大腸がんのリスク上昇に関わるいくつかの常染色体優性 の病態は , 通常 , 大腸外病変および, 腺腫性 ではなく過誤腫性の病理的所見 によって鑑別ができる .

遺伝性びまん性胃がんCDH1 の病的バリアントに 起因する胃がんは通常 , 腺がんである . 遺伝性びまん性胃がんは常染色体優性遺伝形式をとる.

BRCA1/BRCA2遺伝性乳がん /卵巣がん症候群は , 卵巣がんを含むがんの家族歴を有する患者を診断 する際に考慮されるべきである . BRCA1/BRCA2の生殖細胞系列の病的バリアントに起因する遺伝性乳がん卵巣がん症候群は, 常染色体優性遺伝形式をとる.

CRC中等度のリスクなる遺伝子. Lynch症候群やその他の浸透率の高い病態が見られないにもかかわらず, CRCを発症しやすい家系が存在する. MSS(マイクロサテライト安定性)のCRCの複数の罹患者のいる家系を分析すると, 一般的にはMSH2 および MLH1の病的バリアントを有する罹患者よりリスクは低いはずであるが, CRCのリスクが高いことがある. また, これらの家系ではその他のLynch症候群関連がんのリスクは通常高くならない [Abdel-Rahman et al 2005,  Lindor et al 2005,  Mueller-Koch et al 2005]. これらの研究は, MMR経路以外の他の遺伝的要因がリスクを高めていることを示唆している.

Table4. CRCの中等度リスクと関連する遺伝子

遺伝子 病的バリアント CRC リスク
MUTYH 病的バリアント保因者 1. 5-2倍
APC c. 3920T>A 2倍
CHEK2 c. 1100del 2倍1

NCCN [2016]

  1. 乳がんのリスクも高まる

散発性大腸がん

  • BRAFに関連するもの. BRAFの病的バリアントで最も一般的なものはc.1799T>A (p.Val600GluまたはV600E) NM_004333. 4で, CRCの15%にみられる. BRAFの病的バリアントはLynch症候群関連がんで稀にみられると考えられており, 一般的にBRAFの病的バリアントがあれば, Lynch症候群の診断を除外する [Bellizzi & Frankel 2009,  Bouzourene et al 2010].
  • 体細胞のMLH1プロモーターのメチル化. MSI(マイクロサテライト不安定性)の大部分は, 腫瘍組織において遺伝子の発現を抑制する, 体細胞におけるMLH1のプロモーター領域のメチル化によって引き起こされる. そのため, MLH1のプロモーターのメチル化を検出することは, 他の疑わしい病態のない患者において, Lynch症候群の診断を除外する一助となりうる.

臨床的マネジメント

最初の診断後の評価

Lynch症候群と診断された人において, 疾患の程度や必要とされるものを確かめるために, サーベイランスの項にまとめた評価方法と並んで, 臨床遺伝専門医および/または遺伝カウンセラーへの相談が推奨される.

症状に対する治療

Lynch症候群罹患者に対する大腸がんの管理 .

大腸がんが発見された場合 , 異時性がんのリスクが高いため , 部分的切除よりも , 回腸嚢肛門吻合を伴う大腸全摘術(IAA)が推奨されている . 計871名を平均91ヶ月追跡調査した6つの研究のメタアナリシスでは, 部分的大腸切除術を実施した患者では異時性がんの発症率が23%であったのに対し, 大腸全摘術(亜全摘または回腸S状結腸吻合術と定義する)を施行した患者では6%であった [Anele et al 2017].

新たにCRCと診断された人の, 一般集団におけるLynch症候群のスクリーニングは, 通常, 手術で切除した腫瘍組織検体を分析することに頼っているが, この方法ではLynch症候群の診断によって決まる, 部分切除にするか大腸全摘にするかの術式決定に関わる情報を適切なタイミングで提供しえない. 50歳未満かつ/または濃厚な家族歴のあるCRC患者に対しては, 適時に手術方針を決定できるよう, 遺伝性疾患の可能性の有無を知るために, 手術前に遺伝学的検査を実施することも考慮される.

Lynch症候群で認められる 他のがんは , 一般集団と同様に管理する .

一次病変に対する予防

出産 後に, 予防的 に子宮 および両側の卵管卵巣 摘出術 を考慮してもよい .
ポリープ切除術を伴う定期的な大腸内視鏡検査は大腸がんの予防に有効であるため , 予防的大腸摘出術(がん発症前の大腸切除)は通常Lynch症候群には推奨されていない .
アスピリン療法はLynch症候群におけるCRCのリスクを低減することが示されている. (現在研究中の治療法の項を参照)

サーベイランス

大腸がんCRC . すべてのLynch症候群罹患者に対して, 前がん病変であるポリープの摘出を伴う大腸内視鏡検査を, 20〜25歳, もしくは家系内で最も早く発症した年齢よりも2〜5年若い年齢の, どちらか早い方の年齢から, 1〜2年に1度実施するべきである. 前がん病変であるポリープの摘出を伴う大腸内視鏡検査 は, Lynch症候群の大腸がんの発生率を低減させる .

Lynch症候群における大腸がんは近位結腸に発生しやすいため , S状結腸内視鏡検査のみよりも全大腸内視鏡検査が推奨されている .

子宮内膜がん . 子宮内膜がんのサーベイランスは大腸がんほど確立されていない .
子宮内膜がん は症状 に気づくことで早い段階 で診断できるため , 子宮内膜がんの 症状(子宮からの異常出血, 閉経後出血など)を女性患者に教育すべきである .
1〜2年に一度の子宮内膜生検を検討してもよいが, 今のところ, こういった付加的な検査が早期発見や予後の改善を支持するデータはない [NCCN 2016].

経膣超音波検査や子宮内膜生検の有効性についての報告は矛盾する結果である .

  • 経膣超音波による子宮内膜がんスクリーニングに関する研究で , がんは検出できなかったと報告されている . しかし調査期間中 , 2つのがん が症状 が現れたことで発見された[Dove-Edwin et al 2002] .
  • フィンランドのコホート研究は , 子宮内膜採取と経膣超音波検査を2〜3年ごとに行うことはがんの早期診断につながると報告した . しかしながら , 子宮内膜がんは , しばしば早期に症状が出現するため , スクリーニングが本当に早期発見に役立つかは定かでない[Järvinen et al 2009] .

卵巣がん . Lynch症候群の女性における卵巣がん スクリーニングに関する臨床研究は行われていない .
女性に対して, 卵巣がんに関連すると思われる症状(骨盤痛または腹痛, 腹部膨満感, 腹囲の増加, 食欲不振, 早期満腹感, 頻尿, 尿意切迫感など)についての教育を行う.
血中CA-125と経膣超音波による卵巣がんスクリーニングは , BRCA1/BRCA2 の病的バリアントを有する女性のような高リスク群に対して有効ではなかった[Evans et al 2009]が, 臨床医の裁量で勧めてもよい .

胃および十二指腸がん . 時代とともに胃がんおよび十二指腸がんにたいするスクリーニングの推奨事項は変化してきた. 研究によれば, スクリーニングはがんの発見や予後の改善を支持するものではなかったが, 胃がんと十二指腸がんはLynch症候群の婦人科がんを除く大腸以外のがんの中で, 最も一般的なものであるため, 定期的な上部消化管内視鏡検査がガイドラインに記載されてきた. 特に胃がんの家族歴があったり, アジア地域の罹患者では, 上部消化管内視鏡検査を30〜35歳 から始め, 3〜5年ごと に実施することを検討してもよい [NCCN 2016] . 注)必要に応じて , 適切な治療を施すためにH Pylori感染を評価するための生検は行われるべきである [NCCN 2016] .
Lynch症候群において , 胃がんの早期発見を目的とする上部消化管内視鏡検査の有効性は限られている .

  • ある検討では , 同定可能な前がん病変を欠くため , 胃がんスクリーニング目的の内視鏡検査は有用ではないと 示唆している[Renkonen-Sinisalo et al 2002] .
  • オランダでの胃がんリスクに関する検討では , 胃がんの高い発症リスクはスクリーニングを正当化するのに十分であると主張した . しかしながら , 患者の87%は45歳以後に胃がんが発症するため , 費用対効果を考えると45歳以後にスクリーニングを開始するのが良い[Capelle et al 2010] .
  • Schulmann ら [2005]は , Lynch症候群関連小腸がんのおよそ50%は十二指腸に局在すると報告している . このことはスクリーニングに上部消化管内視鏡検査が有効であることを示唆している . しかし , 十二指腸がんに対する上部消化管内視鏡検査によるスクリーニングの有用性についての臨床研究は行われていない .

遠位小腸 . 現時点での遠位小腸がんスクリーニングに関するデータは少ない . カプセル内視鏡と小腸運動記録法による小腸の評価は可能である . しかし, 症状が現れた患者の評価には有用かもしれないが , 現時点でこれらの方法を通常の小腸がんスクリーニングに使用することは推奨されていない .

尿路 . NCCNは , 30〜35歳からの毎年の尿検査を推奨している [NCCN 2016] .

中枢神経系. 25〜30歳から神経学的評価を含む身体的検査を毎年実施することを検討する. 現時点では, 定期的な脳腫瘍の画像評価については推奨されていない.

のがん . 現時点で , ほかのLynch症候群関連がんに特異的なスクリーニングは推奨されていない . 罹患者 に対し、一般集団と同様なスクリーニングのガイドラインに従い , 健康状態や持続的徴候の変化 があれば、迅速な医学的介入を受けるよう に勧め るべきである . 先に述べたように, Lynch症候群の患者は乳がんや前立腺がんなど他のがんのリスクも高い. しかし, これらのリスクが現在一般集団に推奨されているこれらのがんに対するスクリーニング以上のものを考えなければならないものかどうかは, はっきりしていない. 家族歴に他のがんの早期発症例があれば, 早い年齢からがんスクリーニングの推奨事項を適用してスクリーニングを始めるべきである.

避けるべき化学物質および環境

喫煙はLynch症候群関連大腸がんのリスクを高める[Watson et al 2004 , Pande et al 2010] .

リスクのある 血縁者の評価

家系 内にLynch症候群 関連の 病的バリアントが分子遺伝学的検査によって同定された場合 , 治療および予防的措置を迅速に開始すべき人をできるだけ早期に同定するために, すべての第一度親近者(親 , 同胞 , 子) の 遺伝的状態をはっきりさせることは適切である .

Lynch症候群関連がんを早期に認識することは, 適切なタイミングでの介入と最終的な結果の改善に役立ちうる.

  • Lynch症候群の多くは 病的バリアントを受け継いだこと( de novoではない)によって発症するため , 罹患者の親が発症していなくても , 罹患者の同胞のリスクは高いと考えるべきである .
  • 病歴や家族歴から , 発端者がどちらの親から Lynch症候群関連の 病的バリアントを受け継いだかを判断できない場合 , 両方の親に分子遺伝学的検査を行うべきである .

一般的に , Lynch症候群の分子遺伝学的検査は18歳未満の リスクのある者に対しては推奨されていない . しかし , 家系内にがんの早期発症歴があれば, 発症前診断を考慮するべきである. Lynch症候群関連 の病的バリアントを有する未発症者に対しては , 20〜25歳の間もしくは家系内でもっとも早い 診断年齢よりも 2〜5年若い年齢でスクリーニングを開始する べきである . それゆえ, 家系内にがんの早期発症歴があれば, 18歳よりも早く検査することが適当となることもある.

リスクのある血縁者の検査に関する問題のための遺伝カウンセリングは , 【遺伝カウンセリング】を参照のこと .

妊娠中の管理

妊娠する前にがんのスクリーニング計画を決めるのが理想的である . 罹患 女性には , 妊娠しようとする前に, がんのスクリーニング検査を受け て現状を確認することが勧められる. 罹患女性が妊娠中にがんと診断された場合 , がんの治療選択肢および胎児への潜在的影響について 相談するべきである .

現在研究中の治療

色素内視鏡検査と精密な大腸内視鏡検査 .

2008年の研究では, Lynch症候群 患者に対する大腸ポリープの早期同定のための色素内視鏡と精密な大腸内視鏡の有効性を比較し ている . 通常の大腸内視鏡検査の後に , 参加者は色素内視鏡検査あるいは大腸内視鏡による詳細な検査に無作為に割り付けられた . その結果 , 通常の大腸内視鏡検査ではポリープを見落とすことがしばしばあるが , 色素内視鏡検査によりさらに見つかったポリープの数は詳細な2度目の内視鏡検査により見つかったポリープの数と差はなかった[Stoffel et al 2008] .

より最近の研究では, Lynch症候群の罹患者61名を標準的白色光大腸内視鏡検査または仮想色素内視鏡検査に無作為に割り付けた. 仮想色素内視鏡(I-SCANとも呼ばれる)はフィルターを通して粘膜上の 微細な変化を強調することができ, これまで使われてきた色素内視鏡と同等の効果がある. 参加者はそののち, 前回受けていない方の方法で再度内視鏡検査を受けた. 標準的白色光大腸内視鏡の後に仮想色素内視鏡を実施すると, 15個の見逃したポリープが検出されたが, 仮想色素内視鏡の後の標準的白色光大腸内視鏡検査では2つしか見つけられなかった[Bisschops et al 2017]. 今後も, どの方法がLynch症候群罹患者のポリープ検出とスクリーニングの結果を改善しうるのかについて, 大腸内視鏡の画像評価の改善が続けられていくだろう[Hüneburg et al 2009,  Rahmi et al 2015].

化学的予防に関する研究 .

アスピリンの使用はCRCのリスク低減のために考慮してもよい. 大腸/腺腫/癌腫予防プログラム2(CAPP2)は, 1, 071例のLynch症候群患者に対する, プラセボ vs 1日600mgのアスピリン投与群 , およびプラセボ vs 1日30gの難消化性でんぷん(Novelose)投与群の4 群比較試験 で ある . 平均追跡期間は29ヶ月で, アスピリン も難消化性でんぷん も , 大腸がんのリスクに影響を与えなかった[Burn et al 2008] . しかし , 平均追跡期間55. 7ヶ月でさらに分析したところ, 大腸がん発生率が63%低減した(HR 0.41, 95% CI 0.19-0.86; p=0.02) [Burt 2012] .

CAPP2研究のデータからは, Lynch症候群罹患者がアスピリンを使用することについての明確なデータは限られているが, その他のいくつかの研究で散発性CRCに対するアスピリンの同様の効果が示されている [Rothwell et al 2011]. NCCNやMallorcaガイドライン, 大腸がんにおける米国多学会共同作業部会などの複数の合意声明と専門家のレビューを統合すると, Lynch症候群罹患者のマネジメントにおいて, 個人の健康状態や合併症などを考慮して, アスピリンの使用を検討する可能性が示唆されている [Vasen et al 2013,  Giardiello et al 2014,  NCCN 2016]. CAPP2研究では1日600mgのアスピリンを使用していたが, これは散発性大腸がんのリスクを低減させるのに効果的であるとされた75mg/日よりも非常に多い. 現在, CAPP3研究が, 罹患者のCRCリスクを低減させるアスピリンの最低投与量を同定することを目的として実施されている.

疫学研究では, 1年以上経口避妊薬を使用することによって子宮内膜がんのリスクを大幅に低減できることが示されている (HR 0.39, 95% CI 0.23 - 0.64) [Dashti et al 2015]. これまでのところ, 経口避妊薬が子宮内膜がんのリスクにどのように影響するかを検討する前向き試験は実施されていない. Lynch症候群女性に対して3ヶ月の経口避妊薬投与を実施したところ, 子宮内膜の増殖を低減したという研究が1つだけある [Lu et al 2013]. 今のところ, 経口避妊薬はLynch症候群女性に対して推奨されていないが, 一般的な産婦人科的なマネジメント目的や家族計画のために日常的に用いられている. こういったデータは, 経口避妊薬がLynch症候群女性に対しても一般集団と同様に利益をもたらすであろうことを支持している.

広範な疾患や症状の臨床研究に関する情報は, アメリカではClinicalTrials . govを, ヨーロッパではwww. ClinicalTrialsRegister. euを参照のこと . 注釈:この疾患に関しての臨床研究は行われていないと思われる.


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

Lynch症候群は常染色体優性遺伝 形式をとる.

患者家族のリスク

発端者の両親

  • Lynch症候群と診断された患者の大多数は, がんの罹患の有無に関わらず, 親 から 病的バリアントを受け継いでいる .
  • 不完全浸透や , がんの発生年齢が多岐にわたること , スクリーニングや予防的手術によるがん発症リスクの軽減 , あるいは早期死亡 などの理由から , Lynch 症候群 に関連する病的バリアントを有するヘテロ接合体の親が がんを発症し ていないこともある .
  • 病歴や家族歴からでは発端者がどちらの親から 病的バリアントを受け継いだかを判断できない場合 , その由来を決定するために , 両親に対して分子遺伝学的検査を行うべきである .
  • 発端者で見つかった病的バリアントが両親の白血球DNAに検出されなかった場合, 発端者の病的バリアントが新生突然変異である可能性が考えられる. Lynch症候群における正確な新規変異率は知られていないが , 極めて低いと推測されている[Bisgaard & Bernstein 2003] .

発端者の同胞

  • 発端者の同胞は50%の確率で 病的バリアントを受け継いでいる .
  • 家系内 でLynch症候群に関連する 病的バリアントが同定されていれば , すべての同胞に分子遺伝学的検査を行うべきである .
  • たとえ両親 ががんを発症していなくても , Lynch症候群のほとんどがde novoではなく病的バリアントを受け継ぐことにより発症するため, 発端者の同胞はがんのリスクがあると考えて分子遺伝学的検査を受けるべきである .

発端者の子

Lynch症候群罹患者の子は50%の確率でLynch症候群関連の 病的バリアントを受け継ぐ .

他の血縁者

他の家族におけるリスクは発端者との血縁関係による . 家族歴 , あるいは分子遺伝学的検査はリスクのある血縁者が母方に いるのか , 父方に いるのかを決定するのに有用である .

遺伝カウンセリングに関連した問題.

早期診断 , 早期治療を目的とするリスクのある 血縁者に関する情報は , 【マネジメント】と【リスクのある血縁者に対する評価】を参照のこと .

特異的リスクに関する問題 . 家族歴よりLynch症候群を診断する際に , いくつかの要因が妨げになりうる . それは , スクリーニングと予防的ポリープ摘出および予防的手術はリスクのある血縁者の大腸がんや子宮内膜がんの予防に繋がった場合 , もしくはがんを発症する前に 他の原因で死亡した場合などがある .

明らかにde novo の病的バリアントと思われる家系 における検討 . Lynch症候群の発端者のいずれの親も 病的バリアントまたは臨床症状を認め ない場合 , 発端者はde novoの病的バリアントを有する可能性がある . しかしながら de novo変異は稀であり , 生物学的親子関係でないこと(例えば , 生殖補助医療)や , 未公開の養子縁組などの非医学的解釈 も考慮 される[Bisgaard & Bernstein 2003] .

家族計画

  • 伝学的リスクの決定や出生前検査の可能性についての話し合いは妊娠前に行うのが適切である .
  • 罹患しているあるいはリスクのある若 年成人に対し , 遺伝カウンセリング(子どもの潜在的リスクや生殖に関する選択肢を含む議論)を行うのが適切である .

遺伝的ながんのリスク評価と遺伝カウンセリング .

分子遺伝学的検査 に関わらず, がんのリスクアセスメントを通しての, リスクのある血縁者の同定に関する医学的 , 心理学的および倫理的 効果の包括的な説明に ついては, Cancer Genetics risk Assessment and Counseling-for health professionals(NCIのPDQ®の一部 , National Cancer Institute)を参照のこと .

発症前検査. (リスクのある未発症成人に対する検査)

  • 家系内の罹患者でLynch症候群関連の病的バリアントが同定されれば, リスクのある血縁者に対する発症前検査は可能である.
  • このような検査の潜在的な帰結(これに限定されるものではないが, 検査結果が陽性だった場合の社会経済的変化や長期間のフォローアップの必要性, 評価方法の手配など)については, 検査の性能や限界と並んで, 検査前に正式な遺伝カウンセリングの場で話し合われるべきである.

未成年者に対する発症前検査(18歳未満の未発症者に対する 検査 )

  • 一般的に , Lynch症候群の遺伝学的検査は, リスクのある 18歳未満の者には推奨されていない . しかし, 家系内にがんの早期発症歴がある場合は, 発症前検査を検討するべきである. Lynch症候群関連の病的バリアントを有する未発症者に対しては, 20〜25歳の間もしくは家系内でもっとも早い診断年齢よりも2〜5年若い年齢でスクリーニングを開始することが推奨されている[NCCN 2016]. それゆえ, 家系内にがんの早期発症歴があれば, 18歳よりも早く検査することが適当となることもある.

DNAバンキング

DNAバンキングは , 将来的に使用する ため にDNA( 通常は白血球から抽出されたもの) を保管 しておくことである . 遺伝子やアレルの変異, 疾患 についての検査手法や理解が将来向上する可能性があるため , その時のために罹患者のDNAを保管することは考慮すべきである .

出生前診断および着床前の遺伝学的診断

家系内における 病的バリアントが同定されていれば , Lynch症候群のリスクのある妊娠に対し , 出生前診断および着床前の遺伝学的診断は可能である .

医療の専門家の間や家族内においても,特にそれが早期診断ではなく妊娠中絶を目的とした場合には,出生前診断に対する考え方の相違が存在しうる. ほとんどの施設では出生前診断を行うか否かの決断は両親に 委ねているが , この 問題に関しては議論の必要がある .

(訳注:日本ではLynch症候群における 出生前診断および着床前診断 は行われていない)


関連情報

GeneReviewsスタッフは罹患者と家族のための疾患特異的もしくは支持組織もしくは登録所を選別した. GeneReviewsは他団体による情報について責任を負わない. 情報の選別基準はこちら .

  • Lynch Syndrome International
    P. O. Box 5456
    Vacaville CA 95688
    Phone: 707-689-5089
    Email: info@lynchcancers. com
    Lynch Syndrome International

  • National Cancer Institute (NCI)
    6116 Executive Boulevard
    Suite 300
    Bethesda MD 20892-8322
    Phone: 800-422-6237 (toll-free)
    Email: cancergovstaff@mail. nih. gov
    Genetics of Colorectal Cancer (PDQ®)

  • American Cancer Society (ACS)
    1599 Clifton Road Northeast
    Atlanta GA 30329-4251
    Phone: 800-227-2345 (toll-free 24/7); 866-228-4327 (toll-free 24/7 TTY)
    www. cancer. org

  • C3: Colorectal Cancer Coalition
    1414 Prince Street
    Suite 204
    Alexandria VA 22314
    Phone: 877-427-2111 (toll-free); 703-548-1225
    Fax: 202-315-3871
    Email: info@fightcolorectalcancer. org
    www. fightcolorectalcancer. org

  • Colon Cancer Alliance (CCA)
    1200 G Street Northwest
    Suite 800
    Washington DC 20005
    Phone: 877-422-2030 (Toll-free Helpline); 202-434-8980
    Fax: 866-304-9075 (toll-free)
    www. ccalliance. org

  • Prospective Registry of MultiPlex Testing (PROMPT)
    PROMPT is an online research registry for patients and families who have undergone multiplex genetic testing and were found to have a genetic variation which may be linked to an increased risk of having cancer.
    PROMPT


分子遺伝学

下記の記述は最新の情報が含まれているため、GeneReviewsに記載されているほかの情報と異なる場合がある

Table A .
Lynch症候群:遺伝子とデータベース

遺伝子 染色体座位 タンパク質 座位特異的データベース HGMD ClinVar
EPCAM 2p21 上皮細胞接着分子 EPCAM homepage - 大腸がん遺伝子バリアントデータベース EPCAM EPCAM
MLH1 3p22 . 2 DNA ミスマッチ修復タンパク Mlh1 MLH1 @ ZAC-GGM
Mismatch Repair (MMR) Genes Variant Database (MLH1)
MLH1 homepage - Colon cancer gene variant databases
MLH1 MLH1
MSH2 2p21-p16 DNAミスマッチ修復タンパク Msh2 MSH2 @ ZAC-GGM
MSH2 homepage -大腸がん遺伝子バリアントデータベース
ミスマッチ修復(MMR) 遺伝子バリアントデータベース (MSH2)
MSH2 MSH2
MSH6 2p16 . 3 DNAミスマッチ修復タンパク Msh6 MSH6 @ ZAC-GGM

MSH6 homepage -大腸がん遺伝子バリアントデータベース
ミスマッチ修復(MMR) 遺伝子バリアントデータベース(MSH6)
MSH6 MSH6
PMS2 7p22 . 1 ミスマッチ修復 エンドヌクレアーゼPMS2 PMS2 @ ZAC-GGM
Leeds変異データベース(PMS2)
PMS2 @ LOVD
ミスマッチ修復 (MMR) 遺伝子バリアントデータベース (PMS2)

PMS2 PMS2

データは以下の標準的参照資料をもとに作成した. 遺伝子はHGNC, 染色体座位はOMIM, タンパク質は UniProtを参照した. リンクが提供されたデータベース(座位特異性, HGMD , ClinVar )の詳細についてはここをクリック.

Table B .
Lynch症候群に関するOMIMの情報(View All in OMIM)

114500 COLORECTAL CANCER; CRC
120435 LYNCH SYNDROME I
120436 MutL , E . COLI , HOMOLOG OF , 1; MLH1
158320 MUIR-TORRE SYNDROME; MRTES
185535 EPITHELIAL CELLULAR ADHESION MOLECULE; EPCAM
276300 MISMATCH REPAIR CANCER SYNDROME; MMRCS
600259 POSTMEIOTIC SEGREGATION INCREASED , S . CEREVISIAE , 2; PMS2
600678 MutS , E . COLI , HOMOLOG OF , 6; MSH6
609309 MutS , E . COLI , HOMOLOG OF , 2; MSH2
609310 COLORECTAL CANCER , HEREDITARY NONPOLYPOSIS , TYPE 2; HNPCC2
613244 COLORECTAL CANCER , HEREDITARY NONPOLYPOSIS , TYPE 8; HNPCC8

 分子遺伝学的病因

Lynch症候群はミスマッチ修復(MMR)経路に関わる遺伝子 の 病的バリアントが原因である . MMR経路の機能は , 一塩基ミスマッチや挿入 ・欠失ループの認識と除去であり , 4つのMMR遺伝子における 病的バリアントはLynch症候群を引き起こす[Peltomäki 2003] . MMR遺伝子はミスセンス変異 , 切断変異 , スプライシングサイト変異 , 大規模な欠失あるいはゲノム再編成によって 機能障害が生じる . さらに , MSH2そのものに変異がなくても , MMR遺伝子ではないEPCAM の欠失によって , 近接するMMR遺伝子であるMSH2が不活化され , MMR経路が破綻する .

EPCAM

遺伝子構造. EPCAMは314個のアミノ酸をコードする9個のエクソンからなる. 遺伝子およびタンパク質に関する詳細な情報は, Table A. 遺伝子の項を参照する.

的バリアント. EPCAMの転写終結シグナルを含む欠失は, Lynch症候群家系の1%〜2.8%を占める. 他の転写終結シグナルに影響しないEPCAMの病的バリアントは常染色体劣性先天性上皮異形成症を引き起こす[Sivagnanam et al 2010].

正常遺伝子産物. EPCAM発現は組織によって異なる. 大腸幹細胞ではEPCAMは高レベルで発現するが, 白血球では発現レベルが低い[Ligtenberg et al 2009]. Lynch症候群関連がんになりやすい他の組織におけるEPCAM発現については, ほとんどわかっていない.

異常遺伝子産物. EPCAM欠失はAlu配列間での組換えから生じると考えられている[Kuiper et al 2011]. EPCAM転写終結シグナルが消失すると, 転写がMSH2までつながり, メチル化によるMSH2プロモーターの転写抑制を招く. 従って, EPCAMが発現している組織において, EPCAM欠失とcis構造になっているMSH2アレルは不活化されるが, もう一本のMSH2アレルは影響を受けない. これらの欠失は生殖細胞のMMR遺伝子のバリアントと同様に, 常染色体優性遺伝形式で受け継がれる[Ligtenberg et al 2009].

MLH1

遺伝子構造 . MLH1は長さが57 ,357 kb , 756個のアミノ酸をコードする19個のエクソンからなる . 遺伝子およびタンパク質に関する詳細な情報は , Table A . 遺伝子の項を参照すること .

病的バリアント . MLH1には200以上の異なる 病的バリアントが報告されており[Peltomäki 2003 , Peltomäki & Vasen 2004] , Table Aを参照のこと . 欠失は生殖細胞系列MLH1 病的バリアントの5%〜10%を占める .
メチル化によるMLH1の構造的不活化は , 体細胞の機能的アレルのヘテロ接合性喪失 (LOH)をもたらし , Lynch症候群 の稀な (〜0 .6%)原因として報告されている [Niessen et al 2009] . これらの患者の組織では , 2本のMLH1アレルのうち , 片方はプロモーターのメチル化により遺伝子発現が制御され(silencing) , Lynch症候群の表現型を呈する . これらの症例のほとんどは孤発例(家系に罹患者が一人しかいない)であるが , 一部の 家系では遺伝性の高度メチル化が報告されている[Goel et al 2011] . MLH1のプロモーターのメチル化 は , MLH1の塩基配列解析あるいは重複/欠失 解析では検出されない .

正常遺伝子産物 . DNAミスマッチ修復タンパクMlh1はPMS2(PMS1タンパクホモログ2)遺伝子産物と二量体を作り , ヘリカーゼ(EXO1がコードするタンパク) , 増殖細胞核抗原(PCNA) , 一本鎖DNA結合タンパク質(RPA)およびDNAポリメラーゼ など, ミスマッチ修復に関与する他のタンパク質の結合の調整に働く[Peltomäki 2003] .

異常遺伝子産物 . 機能的Mlh1タンパクが存在しない腫瘍細胞において , MLH1 は細胞レベルでは劣性遺伝形式をとる . これは, 腫瘍 中の両方のMLH1アレルの不活化 によるもので, 不活化 バリアントもしくは , MLH1プロモーターの高度メチル化による 転写抑制 によって起こることが多い .

MSH2

遺伝子構造 . MSH2は934個のアミノ酸をコードする16個のエクソンからなる . 遺伝子およびタンパク質に関する詳細な情報は , Table A . 遺伝子の項を参照すること .

病的バリアント . MSH2には170以上の 病的バリアントが同定されている[Peltomäki 2003 , Peltomäki & Vasen 2004] . MSH2におけるAlu繰り返し配列の割合は 高く , MLH1よりもゲノム再構成 を高率で引き起こしうる[van der Klift et al 2005] . MSH2病的バリアントの少なくとも 20% は, 単一もしくは複数のエクソンの欠失である .

正常遺伝子産物 . MSH2がコードするDNAミスマッチ修復タンパクM SH2は , 同じDNAミスマッチ修復タンパクであるMSH6もしくはMSH3とヘテロ二量体を作り , ミスマッチの認識に働く . このヘテロ二量体の構造を説明するために , スライディングクランプ様式が使用されている . クランプ(絞金)はDNAに沿ってスライドすることで , DNA上のミスマッチを検出すると考えられている[Fishel et al 1993 , Gruber & Kohlmann 2003] .

異常遺伝子産物 . 機能的Msh2タンパクが存在しない腫瘍細胞において , MSH2 は細胞レベルでは劣性遺伝形式をとる . これは , 腫瘍 中の両方のMSH2アレルの不活化 によるもので, ヘテロ接合性の喪失(LOH) によって起こることが多い . MSH2 を不活化する 病的バリアントを有する患者において , MSH2プロモーターのメチル化により , 残っている正常なアレルも不活化される . 散 発性大腸がんではこれが一般的ではないことに注意する .

MSH6

遺伝子構造 . MSH6は1,360個のアミノ酸をコードする10個のエクソンからなる . 遺伝子およびタンパク質に関する詳細な情報は , Table A . 遺伝子の項を参照すること .

病的バリアント . MSH6には30以上の 病的バリアントが同定されている[Peltomäki & Vasen 2004] . 単一もしくは複数のエクソンの欠失は生殖細胞MSH6 病的バリアントでは稀である .

正常遺伝子産物 . MSH6がコードするDNAミスマッチ修復タンパクM SH6は , 同じDNAミスマッチ修復タンパクであるM SH2とヘテロ二量体を作り , スライディングクランプ様式によるミスマッチの認識に働く[Fishel et al 1993 , Gruber & Kohlmann 2003]
.

異常遺伝子産物 . 機能的M SH6タンパクが存在しない腫瘍細胞において , MSH6 は細胞レベルでは劣性遺伝形式をとる . これは , 腫瘍 中の両方のMSH6アレルの不活化 によるもので, ヘテロ接合性の喪失(LOH)によって起こることが多い .

PMS2

遺伝子構造 . PMS2は862個のアミノ酸をコードする15個のエクソンからなる . 複数の偽遺伝子が7p22 , 7p12-13 , 7q11および7q22に同定されている[Nicolaides et al 1995] . 遺伝子およびタンパク質に関する詳細な情報は , Table A . 遺伝子の項を参照すること .

病的バリアント . 生殖細胞系列PMS2 病的バリアントは稀である[Hendriks et al 2006] . 一塩基変異と大規模な遺伝子再構成 が報告されている . 大規模な欠失検査に関する研究では , 病的バリアントの20%程度は大規模な欠失によるものと わかった . 偽遺伝子が複数存在するため , PMS2における大規模な欠失の検出は技術的に困難であり , 遺伝子全体に対して包括的な大規模な欠失検査を提供しようとする検査室にとっては重大な課題となっている . 最近 , 欠失の検出にMLPA(multiplex ligation-dependent probe amplification)キットが利用可能となった . しかし , 検出された欠失が偽遺伝子にあるかどうかは確認していない . 参照サンプルのパネルと組み合わせた検査は , 欠失が臨床的に有意であるかどうかを判断するのに役立つ[Vaughn et al 2011] .

正常遺伝子産物 . MLH1の 正常遺伝子産物の項を参照すること .

異常遺伝子産物 . 機能するP MS2タンパクが存在しない腫瘍細胞において , PMS2 は細胞レベルでは劣性遺伝形式をとる . これは , 腫瘍 中の両方のPMS2アレルの不活化 によるもので, ヘテロ接合性の喪失(LOH) によって起こることが多い .


更新履歴

  1. Gene Review著者: Wendy Kohlmann, MS and Stephan B Gruber, MD, PhD
    日本語訳者: 岩泉守哉(浜松医科大学消化器内科)
    Gene Review 最終更新日: 2011.8.11 日本語訳最終更新日: : 2012.7.8
  2. Gene Review著者: Wendy Kohlmann, MS and Stephan B Gruber, MD, PhD
    日本語訳者: 江田肖(瀬戸病院遺伝診療科, 櫻井晃洋(札幌医科大学附属病院遺伝子診療室)
    Gene Review 最終更新日:2014.5.22.日本語訳最終更新日: 2016.12.22 in present)

  3. Gene Reviews著者:  Wendy Kohlmann , MS and Stephan B Gruber , MD , PhD
    日本語訳者: 箕浦祐子(札幌医科大学大学院医学研究科遺伝医学 ) ,櫻井晃洋(札幌医科大学附属病院遺伝子診療科)
    AMED「医療現場でのゲノム情報の適切な開示のための体制整備に関する研究」班(研究開発代表者:小杉眞司)
    Gene Reviews 最終更新日: 2018.4 .12 日本語訳最終更新日: 2018 .10 .10 (in present)

原文: Lynch syndrome

印刷用

grjbar
GRJ top > 遺伝子疾患情報リスト