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PURA関連神経発達異常症
(PURA-related neurodevelopmental disorders)

GeneReviews著者: Margot RF Reijnders, MD, Richard J Leventer, MBBS, BMedSci, PhD, FRACP, Bo Hoon Lee, MD, Diana Baralle, MBBS, MD, FRCP, Paulo Selber, MD, SBOT, FRACS, Alex R Paciorkowski, MD, FACMG, David Hunt, MBBS, PhD, MRCP
日本語訳者:上原健史、熊木達郎、黒澤健司 (神奈川県立こども医療センター 遺伝科)

GeneReviews最終更新日: 2017.4.27.  日本語訳最終更新日: 2021.1.4

原文 PURA-related neurodevelopmental disorders


要約

疾患の特徴 

PURA関連神経発達異常症には、PURAのヘテロ接合性の病原性シーケンスバリアントによって発症するPURA症候群と、PURA遺伝子の全部または一部を含むゲノム領域5q31.3欠失によって発症する5q31.3欠失症候群がある。PURA関連神経発達異常症は、中等度から重度の神経発達の遅れを特徴とし、ほとんどの症例で発語がなく、独歩ができない症例が多い。早期発症の問題としては、筋緊張低下、低体温、過眠、摂食障害、吃逆過多、繰り返す中枢性・閉塞性無呼吸、てんかん発作、非てんかん性異常運動(ジストニア、ジスキネジア、非共同性眼球運動)、視覚異常などがある。先天性心疾患、泌尿生殖器奇形、骨格異常、内分泌異常を認めるが、頻度は低い。

 

診断・検査 

PURA関連神経発達異常症の診断は、発端者がヘテロ接合性のPURA病原性のシーケンスバリアント(罹患者の90%)、またはPURA遺伝子全長または一部を含む5q31.3の非反復性欠失(10%)のいずれかを有することを確認して、確定する。

臨床的マネジメント 

症状の治療:
包括的医療チームによる継続的な日常ケアを行う。発達の遅れ、神経学的所見(筋緊張低下、てんかん発作、異常運動)、摂食障害、無呼吸、視覚障害、および心臓、泌尿生殖器および骨格の奇形に対する介入を行う。

サーベイランス:
精神運動発達、痙攣発作またはその疑いのある発作、視覚、嚥下障害による摂食、筋骨格系合併症(股関節形成不全と側弯症)、などを評価するための長期フォローアップを行う。

遺伝カウンセリング 

PURA関連神経発達異常症は、ヘテロ接合性PURA遺伝子シーケンス変異、もしくはPURA遺伝子の全長または一部を含む5q31.3欠失のいずれかにによって発症し、それらは常染色体優性遺伝形式をとる。ほとんど全てのPURA遺伝子シーケンス異常によって発症した発端者はde novo変異であり、これまでに報告されているすべての5q31.3欠失はde novoである。患児の両親に関して、PURAの遺伝的変異がほぼ全ての症例で発端者のde novo変異で生じているため、将来の妊娠のリスクは低いと推測されている。しかしながら、罹患者の両親は、生殖細胞モザイクの可能性(経験的には1%未満と推定)により、リスクが一般集団よりも高くなる可能性があるため、出生前検査や着床前遺伝子診断を検討することがある。


GeneReviewスコープ

PURA関連神経発達異常症:含まれる疾患
  • PURA症候群
  • 5q31.3欠失症候群

同義語や古い名称については、命名法を参照


診断

PURA関連神経発達異常症は、PURA症候群(ヘテロ接合性のPURA遺伝子シーケンス異常を原因とする)と5q31.3欠失症候群(PURAの全部または一部を含む非再発性の5q31.3欠失を原因とする)から構成され、正式な臨床診断基準は公表されていない。

疑うべき所見

以下の臨床所見を有する乳幼児および年長児では、PURA関連神経発達異常症を疑う必要がある。

乳児

年長児

診断の確定

PURA関連神経発達異常症の診断は発端者において、以下のうちいずれかの遺伝学的な所見を認めた場合に確定する(表1参照)

分子遺伝学的検査のアプローチには、遺伝学的検査(マイクロアレイ染色体検査、網羅的ゲノムシーケンシング)と遺伝子標的検査(マルチ遺伝子パネルと単一遺伝子検査)とがある。

遺伝子標的検査では、臨床医がどの特定の遺伝子が関与している可能性が高いかを判断する必要があるが、ゲノム検査ではその必要はない。知的障害をきたす遺伝性疾患多くは表現型が重複しているため、PURA関連神経発達異常症の児のほとんどは、以下のいずれかで診断される。

推奨される検査

PURAやその他の対象とする遺伝子を含むマルチ遺伝子パネル(鑑別診断参照)。注:(1) パネルに含まれる遺伝子および各遺伝子に使用される検査の診断感度は検査施設によって異なり、時間の経過とともに変化する可能性がある。(2) マルチ遺伝子パネルの中には、このGeneReviewで説明した病態に関連しない遺伝子が含まれている場合がある。臨床医はマルチ遺伝子パネルを選択するにあたり、本人の表現型の遺伝的な原因を同定する可能性が最も高く、値段が手頃である検査を選択するべきである。また、本人の表現型とは無関係の意義不明の変異や病的変異を同定することは避けるように留意するべきである。(3) 検査室によっては、パネルのオプションとして、臨床医によって指定された遺伝子を含むカスタムラボラトリーデザインのパネル、および/または表現型に焦点を当てたエクソーム解析がある。(4) パネルで使用される方法は、シーケンス解析、欠失/重複解析、および/または他のシーケンス解析以外の検査を含むことができる。この疾患では、コピー数解析も含むマルチ遺伝子パネルが推奨される(表1参照)。

マルチ遺伝子パネルの基本的な事柄に関しては、ここをクリックのこと。

遺伝子検査を指示する臨床医のための、より詳細な情報はここを参照すること。

マイクロアレイ染色体検査(CMA)により、PURAのシーケンス解析では容易に検出できないPURAを含む大きな非反復性の5q31.3欠失を検出できる。

考慮すべき検査

網羅的ゲノムシーケンス検査(利用可能な場合)には、エクソームシーケンシングとゲノムシーケンシングが含まれる。網羅的ゲノム検査については、ここをクリックすること。ゲノム検査を指示する臨床医のための、より詳細な情報は、ここを参照のこと。

注:単一遺伝子検査(PURA遺伝子のシーケンス解析、それに続く遺伝子ターゲット型の欠失/重複解析)は、例えば新生児期に臨床的に強く疑われ、迅速な診断が有益となる場合は有用となる可能性がある。

表1 PURA関連神経発達異常症において用いられた分子遺伝的検査

遺伝子 1 手法 病原性変異を持つ発端者で検出できた割合2 
PURA シーケンス解析 3 71/79 4
遺伝子標的型 欠失/重複解析5 Unknown 6
CMA 7 8/79 8
  1. 表A(遺伝子と染色体の座とタンパク質のデータベース)を参照のこと。
  2. この遺伝子で見つかるアレルの変異に関する情報については分子遺伝学を参照のこと。
  3. シーケンス分析は、良性の変異であるか、良性の可能性が高いが、重要度が不確かな変異、病原性の可能性がある変異、病原性である変異を見つける。
    病原性変異は、小さな遺伝子内欠失/挿入とミスセンス変異、ナンセンス変異とスプライシング部位変異を含む可能性がある。典型的にはエクソンまたは全遺伝子の欠失/重複は検知されない。
    シーケンス分析結果の解釈に関してはここをクリックのこと。
  4. n=11 [Lalani et al 2014], n=4 [Hunt et al 2014], n=6 [Tanaka et al 2015], n=1 [Okamoto et al 2017], n=49 [Author, personal observation]
  5. 遺伝子標的型の欠失/重複解析は、遺伝子内の欠失もしくは重複を検知する。用いられる手法としては、一つのエクソン欠失または重複を見つけるように設計された量的PCR、long range PCR、 multiplex ligation-dependent probe amplification (MLPA)法と1つのエクソン欠失もしくは重複を検知するためにデザインされた遺伝子ターゲットのマイクロアレイ検査がある。
  6. 遺伝子ターゲットの欠失/重複解析の検知率に関するデータは無い
  7. オリゴヌクレオチドアレイ、もしくはSNPアレイを用いた染色体マイクロアレイ解析(CMA)。最近臨床で用いられているのは5q31.3領域をターゲットにデザインしている。
  8. n=2 [Shimojima et al 2011], n=3 [Hosoki et al 2012], n=2 [Brown et al 2013], n=1 [Bonaglia et al 2015]

臨床的特徴

臨床像

PURA関連神経発達異常症には、PURA症候群(ヘテロ接合性PURA遺伝子病原性変異を原因とする)と5q31.3欠失症候群(PURAの全長または一部を含む非反復性5q31.3欠失を原因とする)がある。PURA関連神経発達異常症は、中等度から重度の神経発達の遅れを特徴とする。
早期に生じる問題点は広範囲にわたり、筋緊張低下、低体温、過眠、哺乳困難、過度の吃逆、反復する中枢性あるいは閉塞性無呼吸、てんかん性けいれん、非てんかん性異常行動、視力障害がある。
先天性心疾患、尿路奇形、骨格異常、内分泌障害は生じる可能性があるが頻度は低い。
[Hunt et al 2014; Lalani et al 2014; Tanaka et al 2015; Okamoto et al 2017; Author, personal observation]

以下の臨床的特徴に付けられている数値はPURA症候群の児にみられる頻度を示している。PURAを含む5q31.3欠失症候群の児に関しては、患児ごとに非反復性欠失の大きさは様々であり、遺伝的にも不均一なグループのため、ここでは含めなかった。

発達

PURA症候群の71例全てで中等度から重度の精神発達遅滞が報告されている。
発語は大半の児で見られないが、拡大・代替コミュニケーションの機器(エイド)が一部の児で有効であった。多くの児は比較的言語理解が良く、明かな言語表出がなくても、単純な指示に従うことが可能なこともある。
運動発達は遅れるが、重症度は様々である。一部の患者は独歩まで発達が進まない。一方独歩可能となる児については、22か月から7歳までの範囲となる。患児の歩容は典型的には開脚歩行(broad-based)となる。
多くの児で微細運動機能が弱く、コミュニケーション補助具の使用を阻害する可能性もある。

神経 

重度の筋緊張低下と過眠が出生時からよく見られる。
てんかんは少なくとも50%の症例(41/72人)で報告されており、一般的にミオクローヌス発作から始まり全身性強直間代性けいれんや強直性けいれん、点頭てんかんといった他の種類のてんかんに進行していく。てんかんはLennox-Gastaut症候群へと進行する例もある。

てんかんの発症時期は新生児期から16歳ごろまでであるが、てんかんを発症する大半の症例は5歳までに発症し、多くが乳児期である。

てんかんはしばしば薬剤抵抗性である。

ジストニアやジスキネジア、非共同性眼球運動といった非てんかん性異常運動、非てんかん性の過剰な驚愕反射は複数の児で認められる。

眼振は71人中17人に認められる。

MRIの所見は以下の通りである。

眼科

眼振、Brown症候群、外斜位が最も頻繁に報告されている(21/71)
早期皮質性視力障害(7/71)、遠視(6/71)、視神経乳頭蒼白(1/71)が報告されている。

呼吸器

無呼吸や低換気が50%以上の患児で認められている(42/71)
患児の大多数にとって、無呼吸や低換気のエピソードは1歳を超えると自然に改善するが、少数の児では無呼吸が持続、または急性の呼吸器疾患の際に無呼吸が再発する可能性がある。
低緊張や嚥下困難による誤嚥性肺炎も報告されている。

心血管系

心臓の構造異常は患児の少数に認めており、心室中隔欠損症(3/71)、卵円孔開存(1/71)、肺動脈狭窄(1/71)、心房中隔欠損(1/71)、大動脈二尖弁(1/71)、左鎖骨下動脈欠損(1/71)が報告されている。しかし、すべての症例が当然の事として心エコー検査を行っているわけではないので、これらの数値は過小評価である可能性があることに注意が必要である(特に、明らかな疾患の兆候を示さないような軽度の心奇形の場合)。

消化器

多数の新生児が重度の哺乳困難と/もしくは重度の逆流性食道炎(GERD)を認める(56/71)
嚥下困難は生涯続き、流涎もよく認められる。しかし原因に関しては精査が必要である。(過度の唾液分泌もしくは口腔運動の協調障害、嚥下の問題)
便秘も患児の多数で報告されている[Tanaka et al 2015; Author, personal observation].

尿生殖器

4人の患者において腎生殖器の障害を認めた。停留精巣(3/71)、腎結石(3/71)、先天性水腎症(2/71)、子宮脱(1/71)、尿逆流(1/71)が報告されている。

骨格系

側弯(13/71)、股関節形成不全(11/71)、骨粗鬆症/骨減少症(7/71)が最も頻度の高い骨格系の異常である。

内分泌

下垂体前葉機能異常が以下の観察に基づきPURA関連神経発達異常症のスペクトラム内に含まれるかもしれない[Hunt et al 2014]

ビタミンD低値(7/71)と貧血と/あるいは血清鉄低値(4/71)が報告されているが真の有病率については高い可能性がある。というのもビタミンDと鉄の数値はルーチンで測定しておらず臨床的に欠乏が明らかにならない可能性があるからである。

その他

遺伝子型-表現型の相関

現在のデータでは、PUR IIIリピートをコードする領域のPURA変異がPUR Iもしくは IIのリピート(分子遺伝学,通常の遺伝子産物を参照)をコードする領域の変異より重度の表現型を引き起こすことを示唆している。しかし、分子レベルの機能的な効果はまだ明白でなく、更なる研究を必要としている。[Hunt et al 2014].
PURA関連神経発達異常症はPURA症候群と5q31.3欠失症候群を含む。これはPURA遺伝子のハプロ不全が5q31.3欠失における神経発達の表現型に寄与していることを示唆している[Brown et al 2013].

5q31.3欠失を有する症例の特徴は、PURA病原性変異を有する個体の特徴と重複しており、新生児期の筋緊張低下、哺乳障害、呼吸障害、および重度の知的障害、てんかんを含む[Shimojima et al 2011Hosoki et al 2012Brown et al 2013Bonaglia et al 2015].

注目すべきことに、隣接遺伝子NRG2も含む欠失を有する症例、およびPURAとNRG2に加えて複数の遺伝子を包含するより大きな欠失を有する症例は、遺伝的にPURAの病原性バリアントを有する症例よりも重度の表現型(特徴的な顔貌を含む)を示す。これはNRG2遺伝子の欠失が5q31.3欠失の児でより重度の表現型が観察されることに起因していると推測される[Brown et al 2013]。

浸透率

著者の知る限り、PURA遺伝子内の病原性変異とPURAを含む5q31.3領域欠失は完全浸透を呈している。

命名法

OMIMでPURA関連神経発達異常症を表す用語―精神発達遅滞,常染色体優性遺伝31(OMIN 616158)-はもう用いられていない

有病率

今日、PURA症候群は71例報告されている[Hunt et al 2014Lalani et al 2014Tanaka et al 2015Okamoto et al 2017; 著者の個人観察]。5q31.3欠失症候群は8例で報告されている。
Hunt et al [2014]の研究を基にすると、推測されるPURA症候群の頻度は、知的障害の原因の3:1133(0.3%)程度である。
Lalani et al [2014] や Tanaka et al [2015]はそれぞれコホートより、11:2117、6:1098と、より高い頻度(0.5%)と推測している。


遺伝学的関連(アレル)疾患

GeneReview内で記載されている以外の表現型は、病原性PURA変異に関連しているかはわかっていない。


鑑別診断

PURA関連神経発達異常症の鑑別診断は

OMIM内のこの表現型に関連する遺伝子を参照する場合は精神発達遅滞、常染色体優性遺伝:OMIM表現型一覧を参照

 


臨床的マネジメント

初期診断後の評価

PURA関連神経発達異常症と診断された症例において、疾患の程度とニーズについて確立するために以下の検査が推奨されている

表2
診断後に推奨されている評価

系統/懸念 評価 コメント
認知機能 発達の評価
神経 神経学的評価
脳MRI PURA関連神経発達異常症の児で、過去に脳MRIを撮影したことが無く、けいれん、低換気、視野異常、異常眼球運動を示す児に対して行う
脳波、ビデオ脳波 けいれんが疑われる場合
眼科的評価 電気診断学的検査を行う
心血管 エコー検査を考慮
呼吸器 呼吸機能の評価 必要に応じて
消化器 哺乳の評価/嚥下の評価、誤嚥の可能性についての評価 必要に応じて
便秘の評価
生殖泌尿器 尿路の超音波検査を考慮
筋骨格 適切なレントゲン撮影 股関節形成不全や側弯が疑われる場合に行う
内分泌 血清ビタミンDの評価
骨密度の評価 骨粗鬆症や骨減少症が疑われる場合に行う
下垂体前葉の評価 必要なら行う
その他 臨床遺伝科、遺伝カウンセラーへのコンサルト

症状に対する治療

小児科、遺伝科、小児神経科、呼吸器科、眼科、整形外科、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など適切な専門家からなる多職種チームによる介入によってしばしば患児の利益となる。

表3
PURA関連神経発達異常症の児に対する治療

症状/懸念 治療 備考/その他
認知/発達遅滞 発達遅滞/知的障害教育問題を参照のこと
けいれん 神経内科医による管理を行う てんかんと非てんかん性のイベント(ジストニア、ジスキネジア、非共同性眼球運動)を区別するためにビデオ脳波検査を含めた方がよいことがある。
視力障害 屈折異常の矯正、視能訓練、眼振、外斜位に対する標準的な介入を行う
低換気 夜間の酸素使用、まれに気管切開 携帯型末梢酸素飽和度モニターが必要になるかもしれない
特に急性疾患の際に短期間の挿管人工呼吸管理が必要になることがある
先天性心疾患 心疾患ごとに最新の知見に基づいた介入を行う
頻回の誤嚥(あるいは誤嚥ハイリスク) 経皮的内視鏡胃瘻造設を検討
胃食道逆流症 内科的治療が非奏功の場合Nissen手術を検討
便秘 ルーチンでの管理 重度の場合は消化器科への相談が必要となる可能性がある
先天性尿生殖器障害 疾患ごとに最新の知見に基づいた管理を行う
側弯 標準的な管理を行う 進行性の神経障害性の側弯には脊椎癒合が必要となる場合がある。
骨粗鬆症/骨減少症 標準的な管理を行う
立位の不安定さ 短下肢装具の装着で安定性が改善する場合があり、安定した立位や移動能力を獲得できる可能性がある。
神経障害性の股関節形成不全、進行性亜脱臼、脱臼 股関節の再建術、大腿骨非回転近位部骨切り術を検討 全身性の関節弛緩と持続歩行不能性のため、大腿骨骨切り術後であっても股関節亜脱臼が再発する可能性がある。
ビタミンD欠乏症 ビタミンDの補充を行う
下垂体前葉のホルモン欠乏 内分泌科医による標準的な治療を行う

発達遅滞/知的障害の教育的問題

以下の情報はアメリカ合衆国内での発達遅滞/知的障害の児に対して推奨されている一般的なマネジメントを示している。国によって標準的な推奨は変わる。

0-3歳

作業、理学、言語、食事療法といった早期介入プログラムへの参加が推奨されている。アメリカ合衆国内では早期の介入は国家規模であり、連邦基金によるプログラムがすべての州で利用可能である。

3-5歳

米国では、地元の公的な学区を通して、発達上の幼稚園が推奨される。
必要なサービスと治療法が決定され配備される前に評価が行われ、評価後に個々の教育プラン(IEP)に記載される。

5-21歳

全年齢

発達小児科医との相談は、適切なコミュニティ、州と教育機関が関連し、生活の質を最大にする際に両親を支援することを確かなものにするため推奨される。

患児の必要に応じた個人的な支持療法を考慮することは推奨されている。治療の種類についての特定の推奨は、発達小児科医にとって決定される。

米国で:

運動障害

粗大運動障害

微細運動障害

適応機能(摂食、グルーミング、着衣など)に影響を及ぼす微細運動技能の障害には、作業療法が推奨されます。

口腔運動機能障害

患者が口から食べても安全である場合、口腔運動の制御不良により摂食が困難な患者には、摂食療法(一般的には作業療法士または言語療法士による)が推奨される。

コミュニケーションの問題

意思疎通の代替手段について評価することを考慮する( 言語表出が難しい児に対してのAugmentative and Alternative Communication [AAC])

サーベイランス

表4 PURA関連神経発達異常症の児に対して推奨される観察項目

系統/懸念 評価 頻度/コメント
認知 児の発達のモニタリング 長期
神経 脳波、あるいはビデオ脳波 けいれんが疑われた場合
眼科的、視覚の評価 ルーチンで行う
消化器 嚥下困難と便秘のモニタリング ルーチンで行う
筋骨格系 股関節形成不全、側弯症を含む筋骨格系の合併症のモニタリングを行う ルーチンで行う

At riskの血縁者の評価

遺伝子カウンセリングを目的としたリスクのある血縁者の検査に関連する問題については、遺伝子カウンセリングを参照のこと。

研究中の治療

米国のClinicalTrials.gov、欧州のEUClinicalTrialsRegisterを検索して、幅広い疾患や状態の臨床試験に関する情報にアクセスは可能。注:この疾患に対する臨床試験がない場合がある。


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

PURA病原性シーケンス変異のヘテロ接合体(PURA症候群)、もしくはPURA遺伝子全長または一部を含む5q31.3領域の欠損(5q31.3欠失症候群)によって生じるPURA関連神経発達異常症は常染色体優性遺伝形式で遺伝する。

家族のリスク

PURA遺伝子病原性シーケンス変異

発端者の両親

発端者の同胞

発端者の子

今日までPURA関連神経発達障害と同定された成人は極めて少なく、子どもをもった症例はない。しかし、罹患者の子のリスクは理論上50%である。

PURA遺伝子の全長または一部を含んだ5q31.3欠失

発端者の両親

発端者の同胞

発端者の同胞のリスクは両親の遺伝子に依存する

発端者の子

今日までPURA関連神経発達障害と同定された成人は極めて少なく子供もいない。
しかし患児の子孫のリスクは理論上50%である。

発端者のその他の家族

今日まで報告されているPURA関連神経発達障害の発端者全てがde novoもしくは低頻度モザイク[著者, 個人観察]の親から遺伝したことを考慮すると、他の家族のリスクは低いと推測される。

関連する遺伝カウンセリングの問題

家族計画

出生前検査と着床前遺伝検査

発端者の大部分がPURAに関連するde novo変異のため、将来の妊娠リスクが低いと推測される。しかしカップルが出生前検査や着床前遺伝学的検査を希望するかもしれない。というのも、一般集団と比較して生殖細胞モザイクの可能性があるため、高いかもしれないからである。

特にもしテストが早期診断よりもむしろ妊娠中絶の目的で考慮されているならば、医療の専門家と家族の間で出生前検査の使用に関する考え方の違いが生じるかもしれない。大半の施設で出生前検査に関する決定が両親の選択であると考えられるのならば、これらの問題に関して議論することは適切である。

 


資源

GeneReviewsスタッフは、この疾患を持つ患者および家族に役立つ以下の疾患特異的な支援団体/上部支援団体/登録を選択した。GeneReviewsは、他の組織によって提供される情報には責任をもたない。選択基準における情報については、ここクリック。

www.purasyndrome.org

501 3rd Street Northwest
Suite 200
Washington DC 20001
Phone: 202-387-1968
Fax: 202-387-2193
Email: sis@aaidd.org
www.aaidd.org

Intellectual Disability

Phone: 800-232-4636 (toll-free)
Email: cdcinfo@cdc.gov
Facts About Intellectual Disability

836 South Arlington Heights Road, #351
Elk Grove Village IL 60007
Phone: 877-399-4867
Fax: 847-253-0675
Email: info@vor.net
www.vor.net


分子遺伝学

分子遺伝学とOMIMの表の情報は、GeneReviewの他の部分でそれと異なるかもしれない。表はより最近の情報を含むかもしれない。

表A
PURA関連神経発達異常症:遺伝子とデータベース

遺伝子 染色体座 タンパク質 HGMD ClinVar
PURA 5q31​.3 転写活性化タンパク質Purα PURA PURA

データは以下の基準で編集されている
引用:HGNCからの遺伝子、OMIMから染色体座、UniProtからタンパク質
リンクが提供されているデータベース(座、HGMD、ClinVar)の記述についてはここをクリックのこと。

表B
PURA関連神経発達異常症についてのOMIMエントリー(OMIMの全てを見る)
OMIM Entries for PURA-Related Neurodevelopmental Disorders

600473 PURINE-RICH ELEMENT-BINDING PROTEIN A; PURA
616158 MENTAL RETARDATION, AUTOSOMAL DOMINANT 31; MRD31

遺伝子の構造

NM_005859.4を転写するPURA遺伝子は5304ヌクレオチドを持ち、1つのエクソン、969ヌクレオチドの配列をコードしている

病原性変異

現在まで、61の PURA遺伝的病的なde novo変異が知られており、ミスセンス、ナンセンス、フレームシフト変異、インフレーム欠失がある。[Hunt et al 2014Lalani et al 2014Tanaka et al 2015Okamoto et al 2017; Author, personal observation].

全てのミスセンス変異は3つのPURリピートの内1つの領域に生じる(正常遺伝産物を参照のこと)、一方全てのtruncating variants(ナンセンス変異、フレームシフト変異、インフレーム欠失)は全領域内で生じていた。[Hunt et al 2014Lalani et al 2014Tanaka et al 2015Okamoto et al 2017; Author, personal observation].

表2は5つの繰り返す病的変異を示している。c.697_699delTTC (7 individuals), c.289A>G (2 individuals), c.812_814delTCT (2 individuals), c.734G>C (2 individuals), and c.596G>C (2 individuals) [Hunt et al 2014Lalani et al 2014Tanaka et al 2015; Author, personal observation].

表5

GeneReviewsで言及されているPURA病原性変異

DNA塩基変化 予測されるタンパク質の変化 参照配列
c.289A>G p.Lys97Glu NM_005859​.4
NP_005850​.1
c.596G>C p.Arg199Pro
c.697_699delTTC p.Phe233del
c.734G>C p.Arg245Pro
c.812_814delTCT p.Phe271del

この表にリストアップされている変異は著者によって提供されている。GeneReviewsスタッフは独自に変異の分類を確認していない。

GeneReviewsはHuman Genome Variation Society (varnomen​.hgvs.org)の標準的な命名規則に則っている。命名法の説明についてはクイックリファレンスを参照のこと

5q31.3欠失症候群との関連性

PURAは5q31.3欠失症候群に関連した重要な欠失領域の中に位置している3つの遺伝子[Brown et al 2013].である。PURAを含む最も小さい微細欠失はBonaglia et al [2015]によって報告されている。

正常な遺伝産物

NM_005859.4転写は高度に保護された、プリンに富む元素結合タンパクA(Pur-alpha)として知られる322のアミノ酸タンパク質をコードしている[Lalani et al 2014]。Pur-alphaは多機能なタンパク質であり、動物モデルでは正常な出生後の脳発達に重要な役割を示す[Khalili et al 2003Hokkanen et al 2012]。Pur-alphaはDNAの複製、転写、mRNA輸送と開裂に重要な役割を果たしている配列特異的DNA-/RNA-結合タンパク質である。

Pur-alphaの機能は3つのPURリピートモチーフにより、PURⅠ、PURⅡ、PURⅢである[Graebsch et al 2009Weber et al 2016]。

異常遺伝産物

機能的レベルでの病的変異の影響はまだ明らかにはされていないが、これらの変異はおそらくタンパク質の機能的ハプロ不全を生じるものと推察される。


更新履歴:

  1. GeneReviews著者: Margot RF Reijnders, MD, Richard J Leventer, MBBS, BMedSci, PhD, FRACP, Bo Hoon Lee, MD, Diana Baralle, MBBS, MD, FRCP, Paulo Selber, MD, SBOT, FRACS, Alex R Paciorkowski, MD, FACMG, David Hunt, MBBS, PhD, MRCP
    日本語訳者:上原健史、熊木達郎、黒澤健司 (神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
    GeneReviews最終更新日: 2017.4.27.  日本語訳最終更新日: 2021.1.4[ in present]

原文 PURA-related neurodevelopmental disorders

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