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遊離シアル酸蓄積症
(Free Sialic Acid Storage Disorders)

GeneReviews著者: David Adams, MD, PhD and Melissa Wasserstein, MD.
日本語訳者:清水 日智(社会福祉法人恩賜財団済生会支部済生会長崎病院 小児科)

GeneReviews最終更新日: 2020.1.23 日本語訳最終更新日: 2020.12.30

原文 Free Sialic Acid Storage Disorders


要約

疾患の特徴 

遊離シアル酸蓄積症 (FSASDs: free sialic acid storage disorders) は、遊離シアル酸のライソソーム (lysosome: 水解小体; ライソゾーム; リソソーム; リソゾーム) 内の貯留量増加に起因する神経変性疾患スペクトラムである。歴史的に、FSASDは別々の対立遺伝子疾患に分類されてきた。すなわち、サラ病 (Salla disease)、中等症-重症サラ病、および乳児遊離シアル酸蓄積症 (ISSD: infantile free sialic acid storage disease) である。最も軽症なタイプはサラ病と呼ばれ、出生時における外観は正常であり、神経学的異常所見を認めない。その後ゆっくりと症状が進行して神経症状の出現を認め、結果的に軽度から中等度の精神運動発達遅滞、痙縮 (spasticity)、アテトーゼ、てんかん発作などを来すことが特徴である。サラ病は、フィンランドのラップランド地方の自治体サラ (Salla) において、特定の創始者変異 (founder variant) が比較的多く見られることにちなんで名付けられた。しかしながら、文献上は、サラ病という用語は、重症度がより低いFSASDを指すために使用されている。より重症のFSASDは歴史的に乳児遊離シアル酸蓄積症 (ISSD) と呼ばれ、重度の発達遅滞、粗な顔、肝脾腫、心肥大を特徴とし、通常は小児期早期に死亡する。

診断・検査 

FSASDの診断は、発端者 (proband) において分子遺伝学的検査 (molecular genetic testing) によりSLC17A5の両アレル性 (biallelic) 病原性バリアントを同定することにより確立される。

臨床的マネジメント 

症状に応じた治療: 
管理は対症療法と支持療法である。すなわち、けいれん発作に対する標準的な治療、摂食療法と適切な栄養管理、運動とコミュニケーションを最大限に伸ばすためのリハビリテーション、低骨密度に対するカルシウムとビタミンDの補充、そして家族支援と社会的支援である。

定期検査 (サーベイランス):
 受診のたびに、摂食状態、呼吸状態、けいれん発作、発達、運動、栄養の評価を行う。リハビリテーションの専門家による定期的な評価を行い、有用となるリハビリ介入を検討する。心肥大に対し、年に1回の心電図および心エコー検査を行う。

遺伝カウンセリング 

FSASDsは常染色体劣性遺伝 (autosomal recessive) 遺伝形式を取る。受胎時点において、罹患者の同胞 (兄弟姉妹) はそれぞれ25%の確率で罹患し、50%の確率で無症候性キャリア (carrier) であり、25%の確率で罹患しておらずかつキャリアでもない。リスクの高い血縁者に対する分子遺伝的キャリア検査 (carrier testing)、リスクの高い妊娠のための出生前検査 (prenatal testing)、着床前遺伝子検査 (preimplantation genetic testing) は、[訳注:米国においては] 家系内の病原性バリアントが判明している場合には可能である。


本稿の記載範囲

遊離シアル酸蓄積症: 以下の表現型が含まれる1
  • サラ病 (Salla disease)
  • 乳児遊離シアル酸蓄積症 (ISSD: infantile free sialic acid storage disease)

同義語や過去に用いられていた名称については、他の名称を参照のこと。


診断

遊離シアル酸蓄積症 (FSASDs: free sialic acid storage disorders) について、合意の得られた臨床診断クライテリアは存在しない。

疑うべき所見

以下の臨床所見、画像所見、検査所見を有する者は遊離シアル酸蓄積症 (FSASD) を疑うべき/考慮すべきである。
サラ病 (Salla Disease) を含む軽症のFSASD

臨床所見

MRI検査における画像所見

乳児遊離シアル酸貯蔵病(ISSD)を含む重症FSASD

臨床所見

骨格調査における画像所見 (ISSD: imaging findings on skeletal survey) には、骨格の異常 (例: 骨幹端の不規則な拡大、大腿骨の短縮、骨折を伴う骨のびまん性低石灰化、股関節形成不全、胸椎の楔状椎変形 [前方のくちばし状変形: anterior beaking of the dorsal vertebrae]、末節骨の低形成) が含まれる。

重症度の低いものと重症度の高いものを含むFSASD

検査所見

蛍光チオバルビツール酸分析 (fluorimetric thiobarbituric acid assay)、薄層クロマトグラフィー、もしくは質量分析法にて測定される尿中遊離シアル酸は、サラ病患者では約10倍、ISSD患者では約100倍に上昇する。HPLC/タンデムマス分析法により、尿中遊離シアル酸を検出することも可能である [Valianpour et al 2004]。
注意: (1) チオバルビツール酸分析では、干渉物質の影響で測定値が低下したり、発色団が吸光度に影響して誤測定を起こしたりすることがある。 (2) 薄層クロマトグラフィーでは、遊離シアル酸の上昇が見落とされる場合がある。

診断の確立

遊離シアル酸蓄積症 (FSASD: free sialic acid storage disorder) の診断は、発端者において分子遺伝学的検査 (molecular genetic testing) でSLC17A5の両アレル性 (biallelic) 病原性バリアントを同定することにより確立される (1参照)。
分子遺伝学的検査のアプローチでは、表現型 (phenotype) に応じて、遺伝子標的検査 (単一遺伝子検査またはマルチ遺伝子パネル [multigene panel]) と包括的ゲノム検査 (エクソームシーケンス解析 [exome sequencing] 、エクソームアレイ [exome array]、ゲノムシーケンス解析 [genome sequencing]) の組み合わせを用いることができる。

遺伝子標的検査では、臨床医がどの遺伝子が関与している可能性が高いかを判断する必要があるが、ゲノム検査ではその必要はない。遊離シアル酸蓄積症の表現型は広範であるため、疑うべき所見に記載されている特徴的な所見を有する患者は、遺伝子標的検査を用いて診断される可能性が高く (オプション1を参照)、他の多くの遺伝性神経変性疾患と区別がつかない表現型を有する患者については、ゲノム検査を用いて診断される可能性が高い (オプション2を参照)。

オプション (選択肢) 1

表現型や検査結果から遊離シアル酸蓄積症が疑われる場合、分子遺伝学的検査のアプローチには、単一遺伝子検査もしくはマルチ遺伝子パネル (multigene panel) が用いられる。

注: 病原性バリアント p.Arg39Cysを標的とした解析は、フィンランドまたはスウェーデンの祖先を持つ患者に対して最初に行うことができる [Aula et al 2000]。

マルチ遺伝子パネル (multigene panel) SLC17A5および関心のある他の遺伝子 (鑑別診断参照) が含まれたマルチ遺伝子パネルは最も合理的な価格で病態の遺伝的原因を同定できる可能性が高く、一方で、重要性が不明な (uncertain significance ) バリアントや、基礎となる表現型を説明することができない遺伝子に病原性バリアントが同定されることを抑えることができる。注: (1) パネルに含まれる遺伝子の種類や診断の感度 (sensitivity) は検査室によって異なり、時代とともに変化する可能性がある。 (2) マルチ遺伝子パネルの中には、当GeneReviewのサイト上で説明した病態には関連しない遺伝子が含まれている場合がある。遊離シアル酸蓄積症は稀な疾患であるため、発達遅滞を対象としたいくつかのパネルにはSLC17A5遺伝子が含まれていない可能性があることに、注意が必要である。(3) 検査会社によっては、パネルのオプションとして、臨床医が指定した遺伝子を含む、検査室で設計したカスタムパネルおよび/または表現型をもとに作成されたカスタムエクソーム (exome) 解析が含まれている場合がある。 (4) パネルで使用される方法にはシーケンス解析 (sequence analysis)、欠失/重複解析 (deletion/duplication analysis)、および/または他のシーケンス解析に基づかない手法による検査が含まれる。この疾患については、欠失/重複を含んだマルチ遺伝子パネルを利用することが推奨される (1を参照)。
マルチ遺伝子パネルの詳細については、こちらを参照のこと。遺伝子検査をオーダーする臨床医のためのより詳細な情報は、ここをクリックのこと。

オプション (選択肢) 2

表現型 (phenotype) が神経変性を特徴とする他の多くの遺伝性疾患と区別がつかない場合は、包括的なゲノム検査(どの遺伝子が関与している可能性が高いかを臨床医が予測する必要がない)が最良の選択肢である。エクソームシーケンス解析が最も一般的に用いられているが、ゲノムシーケンス解析 (genome sequencing) も用いることができる。
エクソームシーケンス解析によっても診断できない場合には、シーケンス解析では検出できない (複数の) エクソン (exon) の欠失や重複を検出するために、エクソームアレイ (exome array) を、 (臨床的に利用可能な場合には) 検討することもある。
包括的なゲノム検査の詳細はこちらをクリックのこと。ゲノム検査をオーダーする臨床医のためのより詳細な情報についてはこちらを参照のこと。

1.
シアル酸蓄積症に用いられる分子遺伝学的検査

遺伝子1 検査手法 各検査手法によって、病原性変異が発端者において同定される割合2
SLC17A5

シーケンス解析3 90%-95% 4, 5
標的遺伝子における欠失/重複解析
(deletion/duplication analysis ) 6
5%-10% 4,7
  1. 染色体座 (chromosome locus) とタンパク質については、表A.遺伝子とデータベースを参照のこと。
  2. この遺伝子で検出されたアレルバリアントの情報については、分子遺伝学的情報を参照のこと。
  3. シーケンス解析は、良性、良性の可能性が高い、意義不明 (uncertain significance)、病原性の可能性が高い、または病原性のあるバリアントを検出する。病原性バリアントには、小さな遺伝子内欠失/挿入、ミスセンスバリアント、ナンセンスバリアント、スプライスサイトバリアントが含まれることがあり、通常、エクソンまたは全遺伝子の欠失/重複は検出されない。シーケンス解析結果を解釈する際に考慮すべき事項については、こちらを参照のこと。
  4. 「FIN」バリアントとして知られるp.Arg39Cysバリアントは、フィンランドおよび他の北欧の集団において一般的にみられる。したがって、これらの集団では、シーケンス解析により、高い検出率が得られることが期待される [Peltonen et al 1999Aula et al 2000]
  5.  Aula et al [2000]Froissart et al [2005]Zielonka et al [2019]
  6.  遺伝子標的欠失/重複解析は、遺伝子内の欠失または重複を検出する。使用される方法は、定量PCR (quantitative PCR)、ロングリードPCR (long-range PCR)、MLPA法 (multiplex ligation-dependent probe amplification) 、単一エクソン欠失や重複を検出するために設計された遺伝子標的マイクロアレイなどの方法が用いられる。
  7.  Tarailo-Graovac et al [2017]Žigman et al [2018]

臨床的特徴

臨床所見

現在までに、約80名の患者がSLC17A5の両アレル (biallelic) 性病原性バリアントを有することが確認されている [Alajoki et al 2004Zielonka et al 2019]。(遊離シアル酸蓄積症 (FSASDs: free sialic acid storage disorders) を有する患者は〜300名ほど文献上報告されているが、多くの報告には分子データが含まれていない)。SLC17A5両アレル性病原性変異に関連する表現型の特徴についての以下の記述は、これらの報告に基づいている。

2.
遊離シアル酸蓄積症における特徴所見一覧

特徴1 特徴を持つ患者の割合 (%)
発達遅滞 / 認知機能障害 75%
特徴的顔貌/ 粗な顔2 50%-68% 2
肝脾腫 54%
体幹の筋緊張低下 54%
骨格の異常 50%
痙縮 (Spasticity) 48%
運動失調 44%
成長障害 42%
低身長 27%
胎児水腫 24%
てんかん 22%
神経変性の経過 20%
新生児腹水 19%
心肥大 19%
ヘルニア 19%
小頭症 18%
繰り返す気道感染症 16%
眼振 12%
腎症、ネフロパチー (Nephropathy) 10%
視神経萎縮 7%
アテトーゼ 6%
眼瞼下垂 3%
嗄声 2%
角膜混濁 1%
脳MRI画像所見 脳の萎縮 23%
低髄鞘化 22%
脳梁の低形成 16%

Zielonka et al [2019]より引用。

  1. 全てのFSASDの表現型のスペクトラム (軽症~重症まで) において報告された特徴を含む。
  2. 重症のFSASDでは粗な顔がより高頻度で認められる。

FSASDは、遊離シアル酸のライソソーム貯蔵量の増加に起因する神経変性疾患である。歴史的に、FSASDは別個の対立遺伝子疾患、すなわちサラ病 (Salla disease)、中等症サラ病、乳児遊離シアル酸蓄積症 (ISSD: infantile free sialic acid storage disease) に分けられていた。サラ病は、フィンランドのラップランド地方の自治体において、特定の創始者変異が比較的多く見られることに由来し名付けられた。しかし、文献上は、サラ病という用語は、一般的に重症度の低いFSASDを指すために使用されてきた。軽症のFSASDは、出生時の外観は正常であり、神経学的異常所見を伴わないが、その後、ゆっくりと神経学的異常が進行し、結果として軽度から中等度の精神運動発達遅延、痙縮 (spasticity)、アテトーゼ、およびてんかん発作が生じる。より重症のFSASD (ISSDとしても知られている) では、重度の発達遅延、粗な顔、肝脾腫、心肥大を特徴とし、通常、幼児期に死亡する。

重症度の低いFSASD (サラ病 [Salla Disease])

重症度の低いFSASDであるサラ病 (Salla病) は、最も軽症の表現型 (phenotype) である [Varho et al 2002]。この疾患は、出生時の外観は正常であり、神経学的異常所見も伴わない。その後、ゆっくりと神経学的な異常が進行し、軽度から中等度の精神運動遅滞をきたす [Renlund et al 1983Alajoki et al 2004]。筋力低下は、生後6ヵ月頃に初めて認められることが多い。罹患した小児の3分の1は、歩行を獲得することができる。表出性言語の発達は単語レベルに限られるが、受容性言語発達については良好である。発達遅滞は20歳代まで持続し、その後は退行を認める。
サラ病をもつ患者の中には、後年に痙縮、アテトーゼ、てんかん発作を発症し、歩行不能、言語使用困難となる者もいる。サラ病をもつ患者は、ユーモアがあり、社交的であることが特徴である [Varho et al 2002]。
T2強調頭部MRIにおける大脳白質の高信号は典型的な所見ではあるが、その程度は様々である。大脳基底核の髄鞘化異常および脳梁の低形成は、普遍的に認められる初期の所見である [Sonninen et al 1999]。小脳白質の異常も認められ、運動失調をきたすことの説明となっている [Linnankivi et al 2003Biancheri et al 2004]。中枢性の髄鞘形成不全に加えて、多発神経炎 (ポリニューロパチー) の臨床画像を示す末梢性の髄鞘形成不全が、様々な神経症状を伴って生じうる [Varho et al 2000Varho et al 2002]。

罹患した患者には、臓器の肥大、骨格の異常、または眼科的異常所見は認められない。成長ホルモンおよびゴナドトロピンの分泌不全が、1名の患者で確認されている [Grosso et al 2001]。
平均寿命は短縮するようではあるが、72歳の罹患した患者の存在が知られている。

中等症FSASD

分子生物学的研究が出現して以降、サラ病とISSDの中間の重症度を持つ表現型は、サラ病の原因となる共通の病原性バリアント p.Arg39Cysと別のSLC17A5の病原性バリアントの複合ヘテロ接合に起因していると考えられてきた[Kleta et al 2003]。このようにして、「中等症-重症サラ病」という用語が提案された  [Aula et al 2000]。
重症FSASD(乳児遊離シアル酸蓄積症 [ISSD: infantile free sialic acid storage disease])
最も重篤な表現型であるISSDは、重度の発達遅滞、粗な顔、肝脾腫、心肥大を特徴とする。その他に報告されている特徴としては、後に痙縮や運動失調を伴う早期より認められる体幹の筋緊張低下、骨格異常、およびけいれん発作などがある (2参照)。すべての罹患者において、単一の症状のみが出現するわけではない。
ISSDは、胎児期や新生児期において非免疫性胎児水腫を認めることがある (罹患者の24%)  [Lemyre et al 1999Stone & Sidransky 1999Froissart et al 2005Zielonka et al 2019]。罹患した乳児の一部は早産として出生する。他の罹患した患者は、出生時には正常に見えるが、乳児期には発達の指標 (マイルストーン) から遅れてくる [Kleta et al 2003Kleta et al 2004]。

骨格の異常には、不規則な骨幹端、びまん性の低石灰化、内反足、大腿骨の短縮、骨幹端の拡大、骨折、股関節形成不全、胸椎の楔状椎変形 (前方のくちばし状変形: anterior beaking of the dorsal vertebrae)、および末節骨の低形成が含まれる [Froissart et al 2005]。

特徴的な顔貌については非特異的であり、一般的には「粗な顔」の特徴の範囲に入る (例えば、内眼角贅皮、眼瞼下垂、上向きの鼻孔、歯肉過形成)。
報告されている眼科的所見には、眼振、外斜視、視神経萎縮、およびアルビノ様眼底 (albinoid fundi) が含まれる。角膜混濁もまれに報告されている。

その他に報告されている臨床所見としては、腎症 (ネフロパチ―) および/またはネフローゼ症候群、ヘルニアがある [Lemyre et al 1999Ishiwari et al 2004]。

通常は、幼児期に死亡し、典型的には再発性の呼吸器感染症がその原因となる。

遺伝型と表現型の相関

SLC17A5病原性バリアントの種類とライソソーム遊離シアル酸蓄積症 (FSASD) の重症度との間には、相関関係が明らかにされている  [Aula et al 2000Varho et al 2000Kleta et al 2003] :

罹患した (affected) 患者がいる同一家系においても、臨床症状の幅が変動することが知られている [Landau et al 2004]。

浸透率

FSASDsは完全浸透であるように見える。しかしながら、Mochelら[2009]は、ホモ接合性(homozygous) の p.Lys136Glu病原性バリアントを有する2名の患者について、尿中シアル酸に異常は検出されず、脳脊髄液中の遊離シアル酸のみが上昇していたことを報告しており、尿検査のみに基づく浸透性 (penetrance) は不完全である可能性があることを示唆している。

他の名称

遊離シアル酸蓄積症 (FSASDs: free sialic acid storage disorders) は、主にN-アセチルノイラミン酸を表すために使用される名称が異なるため、これまでも、そしてこれからも、異なる用語でラベル付けされてきた。遊離シアル酸蓄積症いう用語は、疾患の全スペクトラムを指す。歴史的にサラ病として知られている重症度の低いFSASDは、フィンランドの創始者突然変異が特異的であるが、軽症のFSASDを指すために口語的に使用され続けている。重症の乳児期発症のISSDは、FSASDの中でも特に重症のものを指す用語として使われている。

有病率

重症度の低いFSASD (サラ病) は、フィンランドとスウェーデンを中心に約150名報告されている [Aula et al 2000Erikson et al 2002]。分子的に証明されている重症度の低いFSASDの患者は、フィンランドとスウェーデン以外でも確認されている [Martin et al 2003]。SLC17A5病原性バリアント(pathogenic varian) であるp.Arg39Cys の有病率は、フィンランド北東部の創始地域で高く、キャリアの頻度は1:100の範囲である [Aula et al 2000]。フィンランド人の祖先をもつFSASD患者の95%がp.Arg39Cys病原性バリアントを有している。他のSLC17A5病原性バリアントの有病率は、罹患した患者の地理的起源または民族性とは無関係であるようである。すなわち、他の病原性バリアントについては、世界中のいくつかの国の30名以上の患者において報告されている  [Lemyre et al 1999Aula et al 2000Kleta et al 2003Martin et al 2003Sønderby Christensen et al 2003Kleta et al 2004]。


遺伝子に関連する (対立遺伝子) 疾患

本GeneReviewに記載されている表現型以外には、SLC17A5の生殖細胞系列 (germline) 病原性バリアントと関連している表現型は知られていない。


鑑別診断

生化学的知見

尿中遊離シアル酸と細胞性遊離シアル酸の上昇 尿中遊離シアル酸および細胞遊離シアル酸が有意に上昇する疾患は、シアル酸尿症(OMIM 269921)と遊離シアル酸蓄積症 (サラ病およびISSD) のみであることが知られている。シアル酸尿症の臨床経過では、発達遅滞や肝腫大を伴うが、重度の神経学的な障害や早期死亡を伴わない。シアル酸尿症では、遊離シアル酸の上昇はライソソソームではなく細胞質で起こる。
臨床上これらの疾患が疑われ、尿中遊離シアル酸が上昇していた場合には、FSASDsであるかシアル酸尿症であるかを鑑別するために下記2つ検査のうち1つを実施する。:

注:尿中遊離シアル酸が軽度上昇している場合には、他の原因が存在する可能性がある。

糖タンパク質または糖脂質に結合したシアル酸。糖タンパク質または糖脂質に結合したシアル酸が蓄積されている場合、シアリダーゼ (ノイラミニダーゼ) 欠損症(OMIM 256550)によるシアリドーシス、およびシアリダーゼとβ-ガラクトシダーゼの複合欠損症によるガラクトシアリドーシス(OMIM 256540)などの疾患を考慮すべきである (3を参照)。これらの酵素欠損は、シアル酸含有複合糖質のライソソーム内蓄積を伴う。これらの疾患はいずれもライソソーム蓄積症に典型的な特徴を有するが、その症状は大きく異なる。

臨床所見

粗な顔の特徴や発達の遅れなどの臨床症状と関連する他のライソソーム蓄積症、および非免疫性胎児水腫を引き起こすFSASDs以外の原因については、3を参照のこと。
注:表3に含まれるすべての疾患は常染色体劣性遺伝形式 (an autosomal recessive manner) をとる。

3.
遊離シアル酸蓄積症 (FSASDs) の鑑別診断と、関連する遺伝子

FSASDsと重複する臨床所見 遺伝子名 疾患名 関連する酵素
粗な顔の特徴 
および 
発達遅滞
AGA アスパルチルグルコサミン尿症
(Aspartylglucosaminuria; OMIM 208400)
N(4)-ベータ-N-アセチルグルコサミニル-L-アスパラギナーゼ
[N(4)-(beta-N-acetylglucosaminyl)-L-asparaginase]
ARSB ムコ多糖症VI型 (OMIM 253200) アリルスルファターゼB
(Arylsulfastase B)
FUCA1 フコシドーシス
(Fucosidosis; OMIM 230000)
組織アルファ-L-フコシダーゼ
(Tissue alpha-L-fucosidase)
GLB1 GM1ガングリオシドーシス
(GM1 gangliosidosis; GLB1-Related Disorders参照)
ベータ-ガラクトシダーゼ
(Beta-galactosidase)
GNPTAB ムコリピドーシスⅡ型 (I cell病)
(Mucolipidosis II: I-cell disease; GNPTAB-Related Disorders参照)
N-アセチルグルコサミン-1-ホスホトランスフェラーゼ-サブユニット アルファ/ベータ
(N-acetylglucosamine-1-phosphotransferase subunits alpha/beta)
IDS ムコ多糖症Ⅱ型
(MPS II)
イズロン酸-2-スルファターゼ
(Iduronate 2-sulfatase)
IDUA ムコ多糖症Ⅰ型
(MPS I)
アルファ-L-イズロニダーゼ
(Alpha-L-iduronidase)
MAN2B1 α-マンノシドーシス
(Alpha-mannosidosis)
ライソソーム性アルファ-マンノシダーゼ
(Lysosomal alpha-mannosidase)
NEU1 シアリドーシスⅡ型
(Sialidosis type II; OMIM 256550)
シアリダーゼ-1
(Sialidase-1)
非免疫性胎児水腫 CTSA ガラクトシアリドーシス
(Galactosialidosis; OMIM 256540)
ライソソーム性保護タンパク質
(Lysosomal protective protein)
GALC クラッベ病
(Krabbe disease)
ガラクトセレブロシダーゼ
(Galactocerebrosidase)
GBA ゴーシェ病
(Gaucher disease)
ライソソーム性酸性グルコシルセラミダーゼ
(Lysosomal acid glucosylceramidase)
GBA2 ベータ-グルコシダーゼ欠損症
(Beta-glucosidase deficiency; OMIM 614409)
非ライソソーム性グルコシルセラミダーゼ
(Non-lysosomal glucosylceramidase)
GNPTAB ムコリピドーシスⅡ型 (I cell病)
(I-cell disease;  Mucolipidosis II)
N-アセチルグルコサミン-1-ホスホトランスフェラーゼ-サブユニット アルファ/ベータ
(N-acetylglucosamine-1-phosphotransferase subunits alpha/beta)
GUSB ムコ多糖症Ⅶ型
(MPS VII; OMIM 253220)
ベータ-グルクロニダーゼ
(Beta-glucuronidase)
IDUA ムコ多糖症Ⅰ型
(MPS Ⅰ)
アルファ-L-イズロニダーゼ
(Alpha-L-iduronidase)
LIPA ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症
(Lysosomal acid lipase deficiency)
ライソゾーム酸性リパーゼ/コレステロールエステルヒドロラーゼ
(Lysosomal acid lipase/cholesteryl ester hydrolase)
NEU1 シアリダーゼ欠損症
(Sialidase deficiency; OMIM 256550)
シアリダーゼ-1
(Sialidase-1)
SMPD1 酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症
(Acid sphingomyelinase deficiency)
スフィンゴミエリン ホスホジエステラーゼ
(Sphingomyelin phosphodiesterase)

Saudubray & Charpentier, Chapter 86, Table 42, Online Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease より。アクセス日は2020年1月8日(登録が必要)。

MPS = ムコ多糖症 (mucopolysaccharidosis)


管理

初期診断後の評価

遊離シアル酸蓄積症と診断された患者に対して、疾患の重症度と必要な治療・ケアを確立するために、(診断に至る検査の一部として実施されていない場合には) 表4にまとめられた評価を行うことが推奨される。

4.
遊離シアル酸蓄積症を伴う患者において、初期診断後に推奨される評価一覧

評価対象 評価項目 コメント
神経系 神経学的評価
  • 脳MRIを含む必要がある
  • てんかん発作がある場合は脳波検査を考慮する
発達 発達の評価
  • 運動、適応、認知、発話/言語についての評価を含む必要がある
  • 早期介入/特別支援教育のために評価を行う
筋骨格系 整形外科医/理学療法医およびリハビリテーション/理学療法士/作業療法士による評価 下記の評価を含むべきである:
  • 粗大運動、微細運動の技能
  • 可動性、日常生活動作、日常生活を支援する装置・デバイスの必要性
  • 理学療法 (粗大運動能の向上のため) および/または作業療法 (微細運動能の向上のため) の必要性
消化管/食餌 消化器内科/栄養科/摂食チームによる評価
  • 誤嚥のリスクおよび栄養状態の評価を含む必要がある
  • 嚥下障害や誤嚥のリスクがある患者に対しては、胃瘻造設術の必要性についての評価を考慮する
複合的ケア/その他 生化学・遺伝学または神経遺伝学者へのコンサルト 遺伝カウンセリング (genetic counseling) を含む
家族支援/援助 下記の評価を行う:
  • 地域社会やオンラインの支援 (“Parent to Parent“ など) の利用
  • 保護者の支援のためのソーシャルワーカー介入の必要性
  • 訪問看護を紹介する必要性

合併症の治療

遊離シアル酸蓄積症患者に対する医学的・心理社会的管理は、対症療法的・支持療法的である。

5.

遊離シアル酸蓄積症を有する患者の合併症に対する治療

合併症/関連臓器 治療 考慮すべき事/その他
てんかん 経験のある神経専門医による、抗てんかん薬を用いた標準的な治療
  • 多くの種類の抗てんかん薬が有効であるかもしれないが、FSASDsに特化して有効性が実証されているものはない
  • 保護者・介護者の教育1
発達遅滞/知的障碍 発達遅滞/知的障碍の管理に関する問題を参照 /td>
体重増加不良/成長障害 摂食療法、摂食の問題が長期にわたる場合には胃瘻造設術が必要となる場合がある 嚥下障害の臨床的徴候または症状がある場合、臨床的摂食評価および/または嚥下造影検査のための閾値を下げるべきである
痙縮 整形外科医/理学療法医/リハビリテーション/理学療法士/作業療法士による、拘縮や転倒を防ぐためのストレッチが含まれる 良肢位が保持され (ポジショニング)、移動が可能な装置/デバイスの必要性、障害者用駐車場利用証の必要性を考慮する /td>
骨密度の低下/骨折 カルシウムおよびビタミンDを十分に摂取するために必要なサプリメントの補充
家族/コミュニティー
  • 家族が、地域からの経済的支援、レスパイト、サポートを受けられるようにつなげるため、ソーシャルワーカーが適切に関わっている事を確認する
  • 複数の科や専門分野の予約管理、使用機器の管理、投薬の管理、生活必需品を管理するため、統合的なケアを行う
  • 緩和ケアの包含や、訪問看護の必要性について継続的な評価を行う
  • 適応型スポーツや特別オリンピックへの参加を検討する
  1. 一般的なてんかん発作に関する保護者への教育を行うことが適切である。てんかんと診断された子どものための、非医学的介入や対処方法に関する情報は、「Epilepsy & My Child Toolkit」を参照のこと。

発達遅滞/知的障碍の管理に関する問題

以下の情報は、米国における発達遅滞/知的障碍をもつ方に対する典型的な管理上の推奨事項を示したものであり、標準的な推奨事項は国によって異なる場合がある。

03 作業療法、理学療法、言語療法、摂食療法に加えて、乳幼児の精神保健サービス、特別支援教育、および感覚障害の専門家受診を利用するために、早期介入プログラムへの紹介を受けることが推奨される。米国では、早期介入プログラムはすべての州で利用可能な連邦政府出資のプログラムであり、個々の治療ニーズに応えた在宅サービスを提供している。

35 米国では、地元の公立学区を通じた発達段階のプレスクールが推奨されている。入園前に行われる評価によって、必要なサービスや治療法が決定され、運動、言語、社会性、認知発達の遅れが認められる場合には、個別教育計画 (IEP) が作成される。早期介入プログラムでは通常、IEPへの移行を支援する。発達プレスクールは施設で行われるが、医学的に不安定な状態ために通うことができない子どもたちに対しては、家庭でのサービスが提供される。

全年齢 適切な地域社会、州、教育機関 (米国) の関りがあることを確認し、生活の質を最大限に高めるために、発達小児科医との連携を取ることが推奨されている。考慮すべきいくつかの点は以下の通りである:

運動機能障害

粗大運動障害

微細運動障害 食事、身だしなみを整える、着衣、および筆記などの日常生活機能に影響を及ぼす微細運動の障害に対しては、作業療法が推奨される。

口腔機能不全 毎回の診察において口腔の運動機能障害を評価し、食事中の窒息/嘔気、体重増加不良、頻回の呼吸器疾患罹患、または他に説明のつかない摂食拒否について、臨床的な摂食評価および/または嚥下造影検査を実施する必要がある。口から食べても安全であると仮定して、協調性や感覚に関連した摂食の問題を改善するために、摂食療法 (通常は作業療法士または言語聴覚士による) を行うことが推奨される。安全のために、食事にとろみをつけたり、冷やしたりすることができる。摂食機能の障害が重度の場合には、経鼻胃管挿入または胃瘻造設術が必要になることがある。

コミュニケーションの問題 表出性言語障害を有する患者に対しては、代替コミュニケーション手段(例えば、拡大代替コミュニケーション[AAC: Augmentative and Alternative Communication ])の評価を検討すべきである。AACの評価は、この分野の専門知識を持つ言語聴覚士が行うことができる。AAC評価では、認知能力や感覚障害を考慮し、最も適切なコミュニケーションの形態を決定する。AAC装置には、画像交換コミュニケーションのようなローテクなものから、音声生成装置のようなハイテクなものまである。一般的に信じられていることとは逆に、AAC装置は言語発達を妨げるものではなく、多くの場合、言語発達を改善することができる。

定期検査 (サーベイランス)

表 6.
遊離シアル酸蓄積症を有する患者に対して推奨される定期検査 (サーベイランス) 一覧

対象/関連臓器 評価項目 頻度
摂食
  • 成長に関するパラメーターの測定
  • 栄養状態の評価、経口摂取が安全に可能かの評価
受診毎
呼吸器 誤嚥をしていないか、呼吸不全の徴候がないかのモニタリング 受診毎
神経 てんかん発作が疑われる臨床徴候がないかの確認 受診毎
てんかん発作、調子の変化、運動障害などの新しい臨床症状の有無を評価 受診毎
発達 発達の進捗状況と教育の必要性のモニタリング 受診毎
筋骨格系 理学療法医・リハビリテーション医、作業療法士・理学療法士による運動能や自力でできることの評価 受診毎
ビタミンD摂取量を含む栄養状態のモニタリング
心肥大 心電図および心エコー検査 心肥大の徴候がある場合には1年に1回
ネフローゼ症候群 尿タンパク検査 1年に1回
その他 家族への社会的支援 (例:緩和ケア/レスパイトケア、訪問看護、その他の地域による支援) とケア調整の必要性の評価 受診毎

リスクのある血縁者の評価

成人期から臨床症状を認めることは珍しく、早期の介入へと繋がらないため、明らかな臨床所見を有していないリスクのある血縁者に対してルーチンに検査を行うことは推奨されない。
遺伝子カウンセリングを目的としたリスクのある血縁者の検査に関する問題については、遺伝カウンセリングを参照のこと。

今後の導入が検討されている治療法

米国のClinicalTrials.govと欧州の EU Clinical Trials Registerを検索することで、幅広い疾患や症状の臨床試験に関する情報にアクセス可能である。注:この疾患に関する臨床試験が存在しない可能性もある。


遺伝カウンセリング

「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝学的検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的、倫理的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」

遺伝形式

遊離シアル酸蓄積症は常染色体劣性遺伝 (autosomal recessive ) 形式をとる。

家族構成員のリスク

発端者の両親

発端者の同胞 

発端者の子

発端者の子孫

この疾患の重症度が高いため、罹患した患者はこどもをもうけにくい。

他の血縁者

発端者の両親の同胞 (兄弟姉妹) はそれぞれ、SLC17A5病原性バリアントのキャリアであるリスクが50%ある。

キャリア (ヘテロ接合性に病原性バリアントを持つ者) の検出

分子遺伝学的検査 リスクのある血縁者に対してキャリア検査を行う場合には、家系内のSLC17A5病原性バリアントを事前に同定する必要がある。

生化学検査 生化学検査に基づくキャリア検査は実施不可能である。

遺伝カウンセリングに関連した問題

家族計画

  • 遺伝的リスクを決定し、出生前検査 (prenatal testing) の利用可能性について議論する最適な時期は、妊娠前である。
  • キャリアであるか、またはキャリアであるリスクが高い若年成人に対し、遺伝カウンセリング (genetic counseling; 子孫への潜在的なリスクと生殖の選択肢に関する話し合いを含む) を行うことは適切である。
  • SLC17A5病原性バリアント (pathogenic variant) p.Arg39Cysの有病率はフィンランド北東部の創始者地域で高いため (キャリア頻度は1:100の範囲である;フィンランド人に共通する創始者変異に関連する遺伝性疾患 [Genetic Disorders Associated with Founder Variants Common in the Finnish Population] を参照)、キャリアであることが知られているパートナーがフィンランド人の血を引いている場合には、[訳注; 米国では] 妊娠前検査を依頼することができる。

DNAバンク 

DNAバンクとは、将来使用する可能性を考慮し、DNA (通常は白血球から抽出されたもの) を保管することである。検査の手法や、遺伝子に対する理解、アレル変異に対する理解、疾患についての理解は将来的に向上すると思われるため、患者由来DNAをバンク化することを検討するべきである。

出生前検査および着床前遺伝子検査

分子遺伝学的検査 (訳注:米国においては) 家系の中で罹患者に病原性バリアントが同定された場合、リスクの高い妊娠のための出生前検査 (prenatal testing) や着床前遺伝子検査 (preimplantation genetic testing) が可能となる。

医療の専門家の間や家族内においても、特に検査が早期診断ではなく妊娠中絶を目的とした場合には、出生前検査に対する考え方の相違が存在しうる。多くの専門機関は出生前診断については夫婦の自己決定の問題だと考えているが、この問題については議論することが適切である。


支援団体

GeneReviewsスタッフは、この疾患を持つ患者および家族に役立つ以下の疾患特異的な支援団体/上部支援団体/登録を選択した。GeneReviewsは、他の組織によって提供される情報には責任をもたない。選択基準における情報については、ここクリック。

  • Salla Treatment and Research (STAR) Foundation

PO Box 1051
Riverdale Station NY 10471
www.sallaresearch.org

  • Metabolic Support UK

5 Hilliards Court, Sandpiper Way
Chester Business Park
Chester CH4 9QP
United Kingdom
Phone: 0845 241 2173
Email: contact@metabolicsupportuk.org
www.metabolicsupportuk.org

  • National Tay-Sachs and Allied Diseases Association, Inc. (NTSAD)

2001 Beacon Street
Suite 204
Boston MA 02135
Phone: 800-906-8723 (toll-free)
Fax: 617-277-0134
Email: info@ntsad.org
www.ntsad.org

  • Myelin Disorders Bioregistry Project

Email: myelindisorders@cnmc.org
Myelin Disorders Bioregistry Project


分子遺伝学

Molecular GeneticsおよびOMIMの表の情報は、GeneReviewの表の情報とは異なる場合がある。すなわち、GeneReviewの表にはより新しい情報が含まれている場合がある。-編集者。

A. 
遊離シアル酸蓄積症 (Free Sialic Acid Storage Disorders): 遺伝子とデータベース

遺伝子名 染色体座 タンパク質 HGMD ClinVar
SLC17A5 6q13 シアリン (Sialin) SLC17A5 SLC17A5

データは以下の標準的な参照サイトより収載した:遺伝子はHGNCから、染色体遺伝子座はOMIMから、タンパク質は UniProtから。リンク先のデータベース(Locus Specific, HGMD, ClinVar)の説明はこちらを参照のこと。

B. 
遊離シアル酸蓄積症 (Free Sialic Acid Storage Disorders) に関連するOMIM項目 (OMIMで全てを見る)

269920 乳児遊離シアル酸蓄積症 (INFANTILE SIALIC ACID STORAGE DISEASE; ISSD)
604322 溶質輸送体ファミリー17 (酸性糖質トランスポーター), メンバー5
(SOLUTE CARRIER FAMILY 17 (ACIDIC SUGAR TRANSPORTER), MEMBER 5; SLC17A5)
604369 サラ病 (SALLA DISEASE; SD)

SLC17A5の遺伝子産物であるシアリンは、ライソソソームから遊離シアル酸を輸出するためのライソソソーム膜トランスポーターとして必要不可欠である [Mancini et al 1991]。シアリンの量的不足または欠損により、糖タンパク質と糖脂質がライソソーム内で分解されることによって生成された遊離シアル酸が、過剰にライソソーム内に蓄積する。ライソソーム内遊離シアル酸の上昇によって遊離シアル酸蓄積症の病態がなぜ生じるのかは不明である。脳においてシアリンが発現していることは、サラ病/ISSDの神経学的症状の一部を説明するかもしれない [Aula et al 2004]。
疾患の原因となるメカニズム 機能喪失 (Loss of function)。

7.
注目すべきSLC17A5病原性バリアント

参考配列 DNA ヌクレオチド変異 予想されるタンパク質の変化 コメント [参考文献]
NM_012434​.4
NP_036566​.1
c.115C>T p.Arg39Cys フィンランド人における創始者変異 & 他の北欧系の集団 [Aula et al 2000]
c.406A>G p.Lys136Glu 一部のホモ接合性 (homozygous) に変異をもつ人々では、浸透率は不完全である場合がある [Mochel et al 2009]

表に記載されているバリアントは、著者によって提供されたものである。GeneReviewsのスタッフは、バリアントの分類を独自には検証していない。

GeneReviewsは、Human Genome Variation Society (varnomen​.hgvs.org) の標準的な命名規則に従っている。命名法についての説明は Quick Reference を参照のこと。


更新履歴:

  1. GeneReviews著者: David Adams, MD, PhD and Melissa Wasserstein, MD.
    日本語訳者:清水日智 (済生会長崎病院 小児科)
    GeneReviews最終更新日: 2020.1.23 日本語訳最終更新日: 2020.12.30[ in present]

原文 Free Sialic Acid Storage Disorders

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